BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】
- 日時: 2016/09/02 13:34
- 名前: 我 (ID: DVcR0E4k)
朝倉の兄弟です。
長く続けるようにがんばろうと思います。
主な登場人物
カイジ
寂れた廃ビル街にひっそり暮らしている住人の1人。家をなくした者、身寄りのない者、名前が無い者が集まる。情報屋集団の幹部。金髪右分けの髪。童顔。悪戯好き。スリが上手い。背は平均より少し低い。
赤澤 健人
服の上からでもわかる筋肉。柔道黒帯で体格が良い。サングラスをかけていて、元ヤン。黒髪短髪に青いキャップを被っている。身長は高い方。
- Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.13 )
- 日時: 2016/09/10 07:19
- 名前: 我 (ID: Zn9JBKpx)
情報屋集団の住処としている街は外部からは“Perish town”と呼ばれている。意味はそのまま“滅びた街”である。廃ビル、廃工場、廃墟が並んでいる。物は片付いているわけでもなく、今にも崩れそうな建物や、トタン屋根の無くなった錆びた鉄骨だけの建物も多くある。
その街を含め周囲の5〜6の地区が一つに纏まったのである。その周りにも幾つも島の中には人のシマがある。
男は一つに纏まった地区の人間では無かった。たまたまその領域へ入ってしまったのが始まりだったような気もするがあまり覚えていないようで、今は頭の中は全て青年のことであるので、気にしていないようだ。
青年もだが、ここの地区に住む住人は自分達のシマに余所者を入れる事を好んでいる訳では無い。
だからこそ、交渉を誤れば命は無い。勿論その後の行いも監視されているようなものだ。
男は青年の領土で1日いることは、きっと認められない、または、2人きりでは居られない。監視役がきっといる。
そこで、男は青年を自分の自宅へ来るよう案内のメモを渡したのだった。青年は男の考えを察してか、適当に了承して、メモを受け取った。
- Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.14 )
- 日時: 2016/09/10 12:46
- 名前: 我 (ID: Zn9JBKpx)
そして男と青年が約束を交わした日から6日後。
男はジュース、酒、つまみ等、食べ物になる物や材料を調達して、両手にビニール袋を抱えて自宅へ向かっていた。
まだ昼にはなっていないが、朝と言える時間帯ではないような曖昧な時間。
青年と一緒に過ごせる唯一の日。青年はきっと昼過ぎに来るだろうと思った男は先に食料の調達へと行っていたのだ。
男が自宅の玄関の扉を開けようとズボンのポケットにある鍵を取る為、両手の荷物を片手へ移動させる。鍵を取り出し鍵穴へ差し込むと回して扉を開ける。
鍵を外して胸ポケットに入れれば片足で閉まろうとする扉を蹴り開け、玄関で適当に靴を脱げばリビングへ真っ先に向かう。
リビングにつけばテーブルに荷物を置いて必要なものだけとっては冷蔵庫へ入れる。
「買い出し、行ってたの?」
「!」
冷蔵庫の中を整理整頓し終え、まだ袋に残っている物を片そうと振り向けば声と共にいきなり現れた青年に男は驚く。
「お、お前!いつからそこに居た!?」
「は?ついさっきだけど」
買い物袋に中身を見ながら声をかけてきた青年は息も乱れておらず、足音もたてずにそこに来て立っていたのだ。いつからいたのか聞いても来ていたとしか思えないぐらいそこにいる青年を不思議に思いつつ、何処から入れば足音もたてずに来れるのか、疑問に思う。
「……何処から入って来たんだ?」
「あっち、開いてたから入って来たんだけど、他の場所から入って来いってこと?」
思わず呟いてしまった男に青年は玄関を指差し、さも当然のように真顔で言ってくる。正しい、正しいことだが、入る前に許可を取るのが当たり前ではないのか、とも男は思ってしまい、少し呆れる。
でも、教わったことがない青年を見て仕方が無いことであるのでため息一つで気持ちを切り替えることにした。
- Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.15 )
- 日時: 2016/09/13 02:49
- 名前: 我 (ID: Zn9JBKpx)
「とりあえず、靴、脱いでくれねぇか」
日本での常識を心得ていないのか、土足で人の家に許可なく入り込む青年に上記を言って玄関へ戻るよう片手で促すと、青年は一瞬眉を寄せた。だが、そのことに男は気づかない。青年は小馬鹿にしたように笑った後、挑発的態度をとる。
「いつ敵が襲ってくるかわからないのに、武器を捨てろってこと?」
「は?何言ってる」
「だったら、なに?他に言い訳あるなら聞くよ?」
「人の家に許可なく土足で入り込むなって言ってるだけだろ?」
聞く耳を持っているようには聞こえない青年の挑発的な態度に乗ってしまい、苛立ちを含んだ男はそれを見せないようにと振る舞うのに精一杯で、思っていたことを口走っていたことに気づいて、しまった、と思った。
言おうとは思っていなかった言葉は、出てしまっては、もう遅い。
青年の雰囲気が男に対して敵意へと確実に近づいてくるのに男は今気付いた。
「お前らだってそうだろ」
静かに響いた青年の声にピリピリとした殺気まで感じた男の口からは言葉が出てこない。静寂に包まれる室内。
青年と揉めるつもりは無い。ましてや、青年がこの状況で帰ってしまうなら拗れた関係が整う事もなくなるかもしれないと思った男は話を変えようと口を開いた。
「そうだな、悪かった。昼食、どうする?」
青年は男の態度が一変したことに、予想していなかったのか戸惑い、目を泳がせた後、拗ねた子供のように鼻を鳴らしてそっぽを向けば二階に続く階段へと向かっていってしまった。
まるで、室内を知ったような青年の足取りに不思議に思う男だが、少し見えた青年の幼げな表情と態度を思い返すと、そんなことどうでもよくて、嬉しくなった男は早目につまみと飲み物を用意してお膳に乗せると、青年の待っているであろう二階へ向かった。
- Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.16 )
- 日時: 2016/09/13 11:14
- 名前: 我 (ID: Zn9JBKpx)
つまみと飲み物を乗せたお膳を持って、二階にある自室の扉を開けると、青年はベッドの端に座って部屋の中を首を回して見ていた。
男は部屋の中央にあるコーヒーテーブルに飲み物とつまみを静かに置くと、お膳を台の下へ隠すように置いて座る。
「何か気になるもんでもあるのか?」
キョロキョロしていた青年を見て男は尋ねると、青年はいつも通りの声音でベッドから立つと本棚に並べてある本に顔を近づけて見ながら歩く。
「いやさぁ、もう少し柄物集めた方がいいんじゃない?黒と白ばっかりって、なんかモノクロみたいじゃん?」
動きやすいオレンジ色の靴、黒で少し汚れのついた七分丈のサンエルパンツを穿いてワインレッド色のサイズのあっていないぶかぶかタンクトップを着て、情報屋集団のトレードマークの様なカーキ色の上着、更に頭は金髪。そんな青年の格好を見て、たまには落ち着いた色も見てみたくなるものだと男はこっそり思う。
「座れ。お前の分の飲み物も用意してある」
「俺ね、正直警戒してないわけじゃないんだよ?赤澤、アンタのこと」
「俺はお前が情報屋だからといって利用したいわけでも、お前の容姿が良いからって捕まえて売り捌きたいわけでもねぇ」
男は青年に飲み物の置いてある前へ座るように促すと、真剣な声音へと変化した青年は、男の真後ろで足を止める。青年が何をしてくるか分からないが、男は伝えたい事だけ明確に伝えよう、と振り向かずに言葉を紡ぐ。
静かになった空気は先程とは違って、青年が「だったら何の目的があって一緒にいるんだ」と疑問を抱いているようで、男はため息を零して下記を述べる。
「それだけは伝えておきたくてな。まだ俺にも気持ちの整理は出来てないから、もう少し待ってもらえるか」
それはまるで男が告白された時に困って返事をあと伸ばしする時の台詞の様になってしまったが、その言葉の意味を理解出来なかった青年は一度首を傾げて、まぁいいかと思う事にして、男の近くにある飲み物の前へ胡座をかいて座ると、つまみに片手を伸ばす。
本当は気持ちの整理なんてとっくに出来ていて、青年へ抱いている気持ちが恋路だということも男には分かっているが、どう伝えれば上手く伝わるのやらと思うと頭を抱えたくなる。
今はただ、目の前にいる青年を目に焼き付けておこうと見つめるだけだった。
- Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.17 )
- 日時: 2016/09/13 22:19
- 名前: 我 (ID: jFu2moab)
「あれから、少しは寝たか?」
「んー?毎日寝てるよ〜?」
6日前に会った青年は今よりは少し肉はついていたし、窶れた表情でも無かった。また、隈も深くなっているような気がした男は青年に問うが、青年は冗談交じりのように薄ら口元には笑みを浮かべてへらへらしている。
「どのくらい寝てる」
「んー…さあ?俺らのシマには時計なんて無いし日が登れば朝じゃん?」
明確に知りたく男が青年に時間を聞くと、あくまで当然のことのように呟かれた返答は、あっさりとしていて、青年は明け方まで起きている訳ではないだろうか、と男を不安にさせるには充分なもので。
「少し窶れてないか、今日はお前を休ませる為の日だぞ」
「いつも通りでしょ?休むって言っても俺、アンタが室内に居たら多分休めないと思うんだよね〜」
ニヤニヤ笑う青年の言葉には理解出来ない男は、それでも安め、と青年の首根っこを掴むと青年のすぐ後ろにあったベッドにその軽い身を放る。
ベッドに落ちた衝撃で軽く跳ねた青年は目を丸くして抗議を声を上げる。
「なにすんだよ!」
「何もしねぇから、さっさと寝ろ。」
「…それって何かする人の言うセリフだよね?例えるならアレ、焼豚好きだけど食べないから焼いといて、って言ってるようなモンじゃない?」
「ふざけるな、真剣に言ってる。そのまんまじゃお前、ぶっ倒れるのも時間の問題だぞ」
ベッドの上で胡座をかいてしまった青年に釘指す男だが、青年も青年で、初めて来る部屋への緊張感と落ち着かなさ、男が自分に何をしてくるかも分からない為の警戒心をなかなか解くことが出来ずにいて、この状況では青年が寝ることは不可能に近かった。