BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】
日時: 2016/09/02 13:34
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

朝倉の兄弟です。
長く続けるようにがんばろうと思います。


主な登場人物

カイジ
寂れた廃ビル街にひっそり暮らしている住人の1人。家をなくした者、身寄りのない者、名前が無い者が集まる。情報屋集団の幹部。金髪右分けの髪。童顔。悪戯好き。スリが上手い。背は平均より少し低い。

赤澤 健人
服の上からでもわかる筋肉。柔道黒帯で体格が良い。サングラスをかけていて、元ヤン。黒髪短髪に青いキャップを被っている。身長は高い方。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.3 )
日時: 2016/09/03 04:22
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)


「いや、あるから。あるでしょ?おおありだから!」

「何故そう言いきれる」

「ここ、俺しか使ってないし、俺しか知らない道だから。」

「他の住人も知らねぇのか?」

「ここは俺が担当してる区域。もういいでしょ?さっさと出てってよね」

自分のこと以外になると口が回る男に答えるだけ応えて、男の胸板を両手で押すと区域から出て行ってほしいと告げる。

「お前は、どこに行く?」

「はいはい、どこだっていいでしょ。もうついて来ないでね」

「……」

どこに行くか問われた青年は適当に返事をして、男について来るのを止めるよう言うと、また黙りを決め込む男に呆れたような深いため息をつくと、男から距離を取って、種を翻しては先のない行き止まりとなっている壁の方へ少し歩く。

「はぁ……まぁ、いいや。俺に仕事の依頼なら来る前に連絡して」

それだけ男に伝えると青年は、壁から出た棒や垂れ下がったロープを伝ってパルクールのような動きをしてあっという間にビルの屋上へ行くと振り返ることなく姿を消した。
男はその姿を凝視しては、見届けたというような清々しい気分だった。男もやることが無くなり種を返して帰っていった。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.4 )
日時: 2016/09/03 12:40
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

男は青年の居た廃ビル街を出ると、繁華街を歩く。煙草を咥えてズボンのポケットに手を突っ込み猫背で歩けば誰もが自然と道を開けてくれる。そんな中、男は歩きながら考え事をしていた。

男は少し前に、青年と会った。初めは自分とは違う価値観、性格とフットワークの軽さに興味があった。それからというもの青年のことが気になり、青年を探して、青年と話していくうちに、別の感情を抱いてしまっていた。つい最近それに気づいた男は、青年はどうなのだろうか、と思うのと同時に青年ともそういう関係になりたい願望を持っていた。

男は青年に(物理的に)近づくけれど、青年は一定の距離を保ってしか話さない。男は口に咥えた煙草を地面に落として火を消すように靴で踏み、火が消えたのを見て、曇った空を見上げる。

「あいつ……気づいてるのかな…?」

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.5 )
日時: 2016/09/03 22:13
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

煙草が切れたのを見てため息をついた男は空になった煙草の箱を持っていた手で潰し、何を目掛けてるわけでもなく、後ろへ投げる。昼間の繁華街は少し静かで、早く夜にならないかと思う。
煙草の自販機を見つければ、財布を取り出そうと上着のポケットに手を入れる。
が、掴もうとしていた財布はポケットの中には無く、疑問に思った男は財布を入れた箇所を手探りで探すが見当たらない。
暫くして一つの答えにつく。スリ上手な青年のことを思い出す。彼がきっと持っているのだろう。

「どこまでも抜け目のない奴だな……忘れたくても忘れられねぇよ」

そう思った男は夜まで煙草は我慢することにして、早々に携帯を取り出して電話をかける。
暫くコール音が鳴るが一向に出る気配はなく、終いには電源が入っていないか、電波の届かない所にいるとご丁寧に教えてくれた。青年が携帯を見てくれれば不在着信となるから、これ以上は連絡する必要は無いと思い、男は近くの店にでも入って暇を潰すことにした。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.6 )
日時: 2016/09/05 09:08
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

日が落ちて暗くなり始めの空を見て廃ビル街へ向かう。
その街はほかの街とは高いフェンスで区切られ、少し離れた所に廃ビルが並んでいたり、廃工場が幾つもある。何度も通った為、フェンスの開き場所は知っている。所々、元は出入口として使っていただろうと思われる所や、誰かによってこじ開けられた所は有効活用させてもらっている。
フェンスを越えたところで空を見上げると、空には星一つ見えない。先程まで出ていた月も灰色の雲に隠れてしまっている。
何故かこの街の上空はいつも曇り。慣れた道を歩んで目的地にたどり着けば青年を探す。

「……カイジ」

小さく呟くように青年の名を呼ぶ。暗い廃ビルの中は目が慣れていないと人なんて見えはしないし、廃墟に見える為、怖がりでは到底やって来れない。男の声は余韻があるように少しその場に残るが、静まり返ったそこには重く空気に溶け込んだ。

暗い、そう思った男は半日ほど前に青年が座っていた箱の上へ腰を下ろす。何か重いものが中に入っているのか、頑丈な箱は大柄な男が座っても壊れる事は無く、少し安堵する。そして、青年が何かを広げていた場所へ視線を落とす。漁師や農家が使うような籠(といっても使われなくなった穴の空いている物や少し歪んでいる物)の上に薄いベニヤ板が乗せてある状態で。
青年はここでいつも何をしているんだろうか、いつも人からスった札束を数えているのだろうか、そんな事をしても時間潰しには全くならないだろう、と男は思いながら右手でベニヤ板の表面に軽く指を滑らす。

「あれま、赤澤さん?」

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.7 )
日時: 2016/09/05 21:08
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

聞こえてきた声は探していた人物のものだ。その人物を見なくてもわかる。少し離れた所から聞こえてきた声の主は音を立てずにそこへ振り降りてきたのだろう。男が来ていることにいつ気づいたのかは分からないが、声からして青年はきっと、きょとん顔で首を傾げてこちらを見ているに違いないと男は思う。
男は青年の声が聞こえた時には暗いと思っていた周りも明るく気分が高揚した。名前を呼ばれた時には口元が綻んでしまうのを咳払いで抑えた。

「え、なんでいるの?は?」

驚いている青年の声に疑問符を浮かべたいのはこちらの方だと男は思う。携帯を見ていないのか、携帯を見る暇も青年には無かったというのか?と。情報屋である彼は昼夜に時間が無いことは解るが、それでも客と商売の為に連絡手段である物を使わないのは青年の性質からして有り得ない。
男は眉根を寄せてゆっくり振り返る。男は青年を見て短く言葉を発する。

「連絡…したはずだが?」

男が少し疑うように青年を見ていると、青年は、一度首を傾げて、思い出したようにズボンのポケットに片手を突っ込む。手探りで見つけたそれを青年は見ると悪戯心のある笑みを浮かべては男にそれを見せて言う。

「ちょお〜っと使えなくなっちゃってねぇ〜?いや危なかった、あの時これが無けりゃヤバかったし」

すっかり黒くなった画面には大きな割れたと思わせるには十分なヒビが入っていた。その原因について、思い出したのか青年は携帯を軽く振って携帯に感謝しているような口調であるが、男はそれにいい気分はしない。

「……誰にやられた」


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