BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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一条くんと名取くん
日時: 2017/05/04 11:42
名前: あまのはし (ID: vstNT7v3)

学園もののオリジナルBL小説です。
α、β、Ω等が出てきますので、苦手な方はUターンしてください。

一条くんと名取くんの恋を一条くん目線で載せて行きたいと思います。
お互いの特性を知らないで惹かれあった二人がバタバタしながらも恋愛を成就させていくお話です。

Re: 一条くんと名取くん ( No.17 )
日時: 2017/05/14 17:58
名前: あまのはし (ID: v8ApgZI3)


体育はグラウンドをランニング。のち、準備運動をしてサッカーとのこと。

「ランニングする意味がわかんなくね?」

皆が走ってる中、10m走ったぐらいで歩き始めて俺に追いついてきた和樹に同意を求めれば、息切れしながら「千秋も走ろうよ」と別の返答がくる。真面目だなーと思いつつも、空を見上げれば雲一つない快晴。太陽がギラギラ輝き風はそよ風程度。頬を汗が伝った気がする。

「スポーツの前には体を解さないと怪我するよ?」

隣で走ってる和樹は俺を心配して言う。和樹は俺と同じΩだ。だから、体力を消耗し過ぎると急な発情期ヒートに理性がポロッと簡単に崩れる。
αと番にならなければ自分で発情期を制御することは出来ないって言われてる。確かに難しい。一週間は苦しむ。意識は朦朧とするし、高熱でインフルエンザにかかった日が7日続く感じかな。
でも、和樹は三ヵ月前くらいから担任の佐伯と番になった。佐伯はαだった。同種は分かってもαやβを見分ける事は俺らには難しい。発情期になれば皆同じだろ。俺は男だ。犯されるのは御免だな。

ま、そーゆーわけで、和樹は体育が苦手なのにやる気満々で。1周したところで体育教師に熱中症だと嘘をつき日陰で休んだ。和樹は足が遅いから先頭とは2周半距離が空いてる。がんばれーと日陰から応援した。

Re: 一条くんと名取くん ( No.18 )
日時: 2017/05/16 00:09
名前: あまのはし (ID: v8ApgZI3)

暑い・・・。
日陰でそよ風に揺られながら明るいグラウンドを見て、じっとしてるのに頭がぼうっとしてきた。近くには筋肉質な体育教師が走る生徒を腕組みし仁王立ちで見守っている。

「・・・あ・・・つい・・・」

セミの鳴き声と自分の荒くなってきた呼吸だけが耳に聞こえて、怖いぐらいに汗が出てる様に感じ、胸を風で冷やそうと体操着をパタパタ揺らせば頭がグラグラ回る。
体育教師の佐賀が俺の方を見て、まるで怪我人を見るような顔しながら寄ってくる。

「名取!だい・・・ぶか!・・・ぉい!なと・・・り」

途切れ途切れにしか聞こえなくなった先生の声に不思議に思いながら体を揺さぶられ、動くのが怠くて一瞬木々の隙間から快晴が見えたと思ったら、そこからの記憶がなかった。



目が覚めると見知った天井が見えるのに、まず考えたのは「あれ?ここ、何処だ?」だった。すぐに答えは出たし、頭の中で自問自答する。顔だけ動かしてよくよく辺りを見渡せば白い掛け布団に俺を周りから隠すように囲うように白いカーテンが閉められてる。

ゆっくり上体を起こせば軋むベッド。鉛のように重い体。恐らく頭に乗っていたであろう、氷と水の入った透明な袋が掛け布団に落ちる。それを見つめてぼうっとしていれば、聞きなれた声が聞こえて、返事をする間もなくカーテンが少しだけ開けられた。

「起きたのか?」

保健医の神崎。Ωの抑制剤なんかを貰いによくここへ来る。Ωはβやαと違って妊娠が出来る。女性扱いされてもおかしくは無い。それをこの学校では重要な事として、Ω全員に特別に扱われるよう、特別枠というゴム製のブレスレットを体の何処かに付けるよう義務付けられている。また、Ωでなくても、体の弱い者や女になりたい所謂オカマも付けることは許可されている。
保健医の神崎とは仲が良い方だと思う。嫌われてても別にいいけど。体が怠くなってんのって、Ωの発情期か?こんなん発情期が起き始めてからは初めてだけどな・・・。

「佐賀先生が運んできてくれたから、後で礼を言っておくんだよ」

神崎の言葉を耳で右から左へ聞き流す。ぶるりと寒気がして掛け布団とその下にある毛布を引っ張り、ベッドの上で体育座りして肩まで掛ければ掛け布団に顎から顔を埋めた。

はぁー、なんかこれで寝れそうだな・・・

「眠るならちゃんと横になって寝なさいよ?」

神崎が俺の両肩をゆっくり押してベッドに倒す。布団を上手に首元までかけて氷と水の入った袋を俺の額に乗せる。「ああ、俺、熱なんだな」ってなんとなく思った。俺のすぐ近くのベッドの端に軽く腰掛けた神崎が手を伸ばして、俺の頬を撫でて首元までくる。神崎の手が良い感じに冷たくて気持ちいいから不意に顎を上げれば神崎が薄く笑って静かに言う。

「まだ高いな。もう一度ゆっくり休め。そうしたら大分良くなると思うぞ」

「ん。神崎は俺のお母ちゃんですねー」

先生と言えど他人に心配されるのは、気分が上がらず、冗談でヘラリと笑って言えば「馬鹿言うな、寝ろ」と命令される。言う通りに目を瞑って最後に一言。

「次起きた時のお粥、期待してんぞ」

冗談半分、お粥が食べたいから本気半分で言えば、重い瞼はもう開かない。神崎の返事も聞く前に頬に何か柔らかいものが触れた気がしたけど、今は睡魔に敵うものはなかった。

Re: 一条くんと名取くん ( No.19 )
日時: 2017/05/19 10:11
名前: あまのはし (ID: v8ApgZI3)



ーーーーーーーーーー
一条航貴side

皆が体育から戻って教室で着替えを済ませた後、6限目の始まる前に副会長室から教室へ戻る。6限目が始まった。
おかしい。名取が居ない。またサボっているのか?名取は何処へ行った。
隣の席である名取の姿が無い。名取の前の席の井原と同じく名取の後ろの席の武田がヒソヒソ話す。

「大丈夫かな?」「あとで見に行くか」等の話し合い。きっと名取の話をしているのだろうと思う。

ーー名取に何かあったのか?

俺が目を離した隙に、名取に非常時。自身ではβだと言っていた名取だが、俺はアイツがΩだと信じてる。期待してる訳じゃない。アイツはΩだ、そんな気がするんだ。Ωは番関係にあるαがまだ出来ていないとするなら発情期を抑制することは至難。例え相手がαでなくβであったとしても、Ωは肉体、知識共に優れているとは言えない。

名取が襲われでもしたらと思うと焦りと怒りで席を立ち、教師に御手洗だと告げ、保健室へ向かった。

Re: 一条くんと名取くん ( No.20 )
日時: 2017/05/19 15:16
名前: あまのはし (ID: v8ApgZI3)


ガララッバンッ コッコッコッ

保健室の扉を勢い良く開け閉めして、足音を立てながら中へ入れば保健医の神崎がコップにポットの湯を注ぎながら顔を向ける。

「おやおや、副会長の一条君じゃないかい?」

俺を見て珍しいとでも言うような顔してコップの中をスプーンで混ぜてる。
保健室を見渡せば、カーテンの閉まったベッドは一つだけ。それに向かって歩みを進めれば神崎から声がかかる。

「ちょっとちょっと、起こしちゃ駄目だよ?」

「・・・スミマセン、僕のクラスメイトか確かめたくて」

「・・・キミのクラスメイトだよ。名取君」

教師だから仕方が無いが、教師ぶった言い振る舞いに腹が立つ。笑顔を向けて、急に来て何も言わなかった事については悪かった風に謝る。そうすれば一瞬眉を寄せた神崎だったが、眉を下げ口角を少し上げて、呆れたと言うよりは勝ったとでも言うような表情で上記を述べる。

その時俺は気付く。保健医の神崎。
直接会って話をマトモにしたのはこれが初めてだったがーーーコイツはαだ。

Re: 一条くんと名取くん ( No.21 )
日時: 2018/06/05 10:14
名前: あまのはし (ID: cs0PNWSr)


「先生にちょっとした質問を、いいですか?」

「ああ、なんだい?」

「先生は名取をΩだとお思いですか?」

至って真剣な顔で聞く。Ωの抑制薬を所持しているのは神崎だって含まれる。もし知っていて、いや、そうでなくても名取に近づくことは許さない。

「・・・さあ、どうだろうね。僕には応えかねない質問だな」

不敵な笑みを浮かべて余裕を見せつけてくる神崎に内心焦る。名取が襲われたらと思うと気が気ではない。
ベッドに近づき白いカーテンを勢いよく開けると、ベッドで安静に寝息を立てる名取。安堵のため息が漏れる。

「キミは何に焦っているんだ?一条君。
名取君は軽い熱中症だから少し休めば良くなるよ」

振り返れば神崎は胡散臭い笑顔を俺に向ける。俺の質問の意図を理解しておいて知らぬ振りをしている。余裕を見せつけられると腹が立つ。お前には渡さない。

「・・・名取に手を挙げたら許しません」

名取の無事を確認出来れば神崎に用はないからと上記を述べて保健室を出て行こうとすれば神崎が俺に声をかける。

「名取君がキミにΩじゃないって言ったんなら、それが答えなんじゃないか?」

少し勝ち誇ったような鼻で笑われたような言い方の神崎に心情を悟られないように冷静に、また来ます、と残して保健室を後にした。

ーー知ったような口利くな、名取は渡さない。


そう誓った俺とは別に俺の居なくなった保健室では、愉快気な笑い声を小さく漏らす保険医神崎。
「たのしくなってきたな、名取ィ」
ベッドサイドの椅子に腰掛け神崎は眠る名取の頬を手の甲で不敵な笑みを浮かべながら撫でた。


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