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不器用なボクら 【創作BL】
日時: 2022/05/17 02:19
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

全寮制の学園ものBL小説です。

浄化の力を持つ先輩×幽霊がみえ祓えるイケメン後輩

の物語です。
―――――――――
・誤字脱字お許しください
・更新頻度はまちまちです
・荒らしはやめてください
・苦手な人はバックお願いします
―――――――――

~~登場人物と関係性~~
清水きよみず 聡志さとし  高3 305号室 上の階
特徴…橙色の髪、琥珀色の目、長さが均一で無いツンツンさらさらヘアー。ある程度筋肉のある標準体型。基本ポーカーフェイス。関西出身ということもあり独特な訛りがある。身長は178センチ。
性格…面倒くさがりなだけで素っ気なく対応してしまうことがあるが根は優しい。上手に嘘をつく。
幽霊…みえないし感じない、生まれつき近くの幽霊を浄化してしまう体質。体調不良になれば浄化の力が緩む。

相馬そうま 慧斗けいと  高2 205号室 上の階
特徴…藍色の髪に暗めの青目。爽やかで整った顔立ち。シュッとした体型で太りにくい。身長は173センチ。
性格…争いごとが嫌いで人の良い笑みを浮かべている。臆病で甘えん坊で消極的。
幽霊…みえるし祓える。小学校上級生頃に祓えるようになり、現在は式神も使える。

菊池きくち 俊介しゅんすけ  高2 205号室 下の階
特徴…白に近い金髪頭、前髪をあげて赤のカチューシャで止めてる。茶色い目は猫目。身長は175センチ。
性格…バカで直球。でもちゃんと考えてる。
幽霊…みえないし感じないけど信じてる。ホラーやミステリーが苦手。

木崎きざき れん  高3 305号室 下の階
特徴…短髪の黒髪黒目。筋トレが趣味な為、肉体美。身長は183センチ。
性格…ノリが良く、気前も良い。ほとんど自室に居ることが無く筋肉バカ、後輩を可愛がりからかうことが多い。
幽霊…みえないし感じない。幽霊は信じないが宇宙人は信じるしオカルトは結構好き。

来間くるま 昭彦あきひこ  高3 201号室 一人部屋
特徴…襟足が首筋まである茶髪に黒目。左の前髪をピンでとめてる。細身体型だが足の速さは校内でも有名。身長は177センチ。
性格…イベント大好き女子大好きなチャラ男。面倒見は良い方。頭はそんなによくない方。
幽霊…みえないが引き寄せ体質な為、よく怪奇現象にあう。幽霊は信じていてビビりだが自分の近くには居ないと思っている。

高橋たかはし あおい  高1 203号室 下の階
特徴…外ハネの赤髪に黒目、着痩せするタイプのムキムキボディ。身長は低そうにみえて175センチ。成長期中。
性格…いつも元気ハツラツ。怖い物知らずで喧嘩も強い。グロイ映画やゲームをするのが好き。
幽霊…モヤ程度にみえる。祓えないためみえないフリをしていたが今は相馬が居るため厄介な幽霊は祓ってもらっている。

ーーーー物語ーーーー
★再会または出会い?
【相馬慧斗 視点】
・これから始まる寮生活 …>>1
・ルームメイト …>>2
【清水聡志 視点】
・変わり者の転入生 …>>3,>>4
★関係性
【菊池俊介 視点】
・気になる関係 …>>7
【相馬慧斗 視点】
・ドライヤー …>>10,>>11
・相違点 …>>12,>>13
★約束
【相馬慧斗 視点】
・俊介に憑いてる>>14
【菊池俊介 視点】
・え、マジでデート? …>>15
★日曜日
【菊池俊介 視点】
・デートなんだから …>>16,>>17
・ファミレスにて …>>18,>>19
【相馬慧斗 視点】
・過去の話とサトシ兄ちゃんについて …>>20,>>21,>>22
【清水聡志 視点】
・過去の秘密 …>>23

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.19 )
日時: 2022/04/14 22:00
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

それは、今朝も寮を出る前に顔を合わせたばかりの男で、退屈そうな顔をして空虚を見つめ毛量のある橙色の髪を風に揺らす男、清水聡志だった。
何故ここにいるか、という驚きよりも、別の驚きに俺は一瞬、声が出なくなる。

彼の隣には、女性がいた。茶色の長髪を頭の上で1つ結びした露出多めの女性が彼の片腕を抱きしめて楽しそうに笑っていた。

「え、彼女?」

あの人に、そういった噂を聞かないからこそ、目の当たりにしている光景に驚きが隠せず、気づいた時には言葉は零れていた。
それに、慧斗が「ん?」と聞き返して、俺の視線を辿って顔を向ける。

慧斗は清水先輩と最近仲がいいみたいだし、知ってるか。そう思って慧斗を見れば、慧斗は眉間に皺を寄せて、口を僅かに開けて、未知の生物を目の当たりにしている顔をしていた。
見たことがない慧斗の険しい顔に、俺は慧斗に見せちゃマズいものを見せてしまったような気がして、場を和ませるように苦笑いして続ける。

「あれ、人違いかな、きよ」
「清水先輩で間違いないよ」

いや、怖い!!俺まだ喋ってたんだけど!

真顔になった慧斗が窓ガラス越しに清水先輩達を見ながら即答する。少し伏せ目がちになった瞳は俺を見ようとせず、慧斗にしては珍しい隙のないオーラと真顔に、その表情が氷のように冷たく感じて、ブルっと震える体を両手で抱きしめる。
慧斗が見ても、アレが清水先輩で間違いないなら、隣の女性が恋人ではない可能性にかけようと声を出す。

「あっ、い、妹さんかな?似てなくてキレイな人だな〜」
「先輩に妹は居なかったはず…男兄弟って聞いたし」

墓穴掘った…いや、男兄弟なら、似てない弟の方が女装してるとか!

「お、弟なんじゃねっ? 女装してるとか!」
「先輩は2人兄弟の弟の方だったと思う」

しまった…!なら、ダメ押しで…!

「お、お兄さんが女装を…!」
「…ん〜…」

やっとのこと慧斗が清水先輩たちから視線を外して、スマホ画面を触り、何か考える仕草をとる。
俺は、なんとか慧斗を傷つけずに済んだのではないか、と内心とても安心していた。
「お待たせしました〜」と丁度注文していた料理も届き、慧斗を元気づけようと変顔したりクラスメイトを驚かせた時の成功話をしたりすれば、慧斗はクスクスと笑ってくれた。
慧斗のパスタも運ばれてくると、先程までの冷たい表情はどこへやら、穏やかに微笑む慧斗は、いつも通りに戻っていて、安心した。

その後は、会計を済ませたあとも慧斗がカフェの方へ視線を向けることはなく、最後に夕日が沈む前に行きたい場所があると言った慧斗の後を着いて歩いた。

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.20 )
日時: 2022/04/22 14:28
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

相馬慧斗side

俊介とファミレスを出て、俊介と少女が出会った場所へ向かう。5mほど前を軽い足取りで歩く少女の後を歩きながら追いつつ、先程の清水先輩のことが脳裏に過ぎる。

メイクをして大人っぽく装っているが隣の女性の背後には心配そうに彼女を見つめる年配のお爺さんが居た。恐らく守護霊。清水先輩の隣にいた女性は、多分だけど未成年。守護霊とは別に制服を着た女子生徒が彼女の後ろに立って彼女の肩に両手を乗せて居るのが透けて見えたから。女子生徒は生きてる人、彼女を恨んでるわけでも妬んでるわけでもないけど、生霊いきりょうを彼女に飛ばしてるってことは、何か大事な願いを彼女にしているのかもしれない。

というか、それはどうでもいいとして!
問題は清水先輩と彼女…いや、女性…の関係性だ。清水先輩はオーラが強過ぎて守護霊が見えないし、何考えてるかも分からない…けど、隣に居たあの女性が清水先輩の腕にくっ付いても先輩は腕を振り払おうとはしなかった。

それって、先輩がスキンシップ多めでも気にしない人だから?それとも相手が女性だから?それとも彼女からされてるから?俺からスキンシップしても先輩は嫌がらない?

そもそも、先輩に彼女って居たの?俺と居る時ほとんど本読んでた先輩に彼女?俺に秘密で連絡取り合ってたとか?それなら何で俺に話してくれないの?

…俺が先輩のこと、サトシ兄ちゃんだと思ってること、気づいてるから…?
いやいや、そんな風には見えなかった、なら…話す必要が無いほど、俺とは近しい関係ではないから?
…もしかして、このショッピングモールに来たのも俺に見せるため?先輩は本当のところ、俺の事、嫌い…だったりして…?

「慧斗はさ、清水先輩と…」
「…えっ?な、なに?」

隣を歩いていた俊介の口から“清水先輩”と聞こえて我に返り、問い返す。俺を心配するような表情で俊介は改まって口を開く。

「慧斗はさ、清水先輩とサトシ兄ちゃんって人…同一人物だと思ってる?」
「えっ…ど、う、して?」

思わぬ俊介からの質問に緊張が走る。心を読まれたのかと冷や汗が背中を伝う。それに反して俊介は「あー…」と視線を逸らして考えながら話してくれた。

「ほら、慧斗がウチに入ってきた時、清水先輩を見間違えたって言っただろ?」
「…うん」
「そのサトシ兄ちゃんって人が清水先輩なんじゃないかって思うところがあるから、一緒に居るのかなー?とか思って」

俊介は頭はそれほど良くないけど、凄く勘の鋭い人だったようだ。俺の心をあっさり見抜いた。そんなに俺の行動は分かりやすかっただろうか、清水先輩にもそれが分かって、先輩は俺の事ハッキリ嫌いだとか言わないタイプだから、回りくどく俺に彼女といる所を見せたんだろうか。一度悩み始めたら深いところまで落ちていって、俊介は苦笑いしながら続ける。

「あくまでも勘だしさ、違うなら違うでいいし、清水先輩って、俺はちょっと苦手だけど、慧斗はどうやって親しくなったのかな〜とか色々気になって」
「…違わないよ」
「え?」
「…俺にもまだ分からないけど、サトシ兄ちゃんと清水先輩は、なんていうか…凄く似てて」
「慧斗…あ、あのさ、慧斗が良かったらなんだけど、そのサトシ兄ちゃんって人の話、聞かせてほしい」

そう言って俊介は足を止め、俺の様子を伺ってくる。俊介にサトシ兄ちゃんのことを話したくない訳じゃない。俺が視えるということを知っても、俺と友人で居てくれるか不安なだけ。

「うん、いいけど…二つだけ、約束してほしい」
「おう、なんでもいいぜ!一つ目は?」
「…サトシ兄ちゃんの話は、他言たごんしないでほしい」
「タゴンって?」
「他の人に話さないでほしいってこと」
「ああ、なるほど!わかった、任せろ!んで、二つ目は?」
「…俺が変わり者って知っても…俊介はこれまで通りに接してくれるって約束してほしい」
「?…何言ってんだ、当たり前だろ?」
「…どうしても普段通りに出来なかったら、教えてほしい…配慮するから」
「んな気遣うなって、慧斗はありのままで居てくれよ!」

俺の肩に腕を回して慰めの言葉を紡ぐ俊介だけど、俺がありのままで居ると、きっと俊介は困るだろうし疲れるだろうから苦笑いして誤魔化す。

そして、約束を交わした為、歩道で立ち話にはなってしまうが、俊介にも分かりやすいよう短めに話すことにした。

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.21 )
日時: 2022/05/02 00:34
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

「サトシ兄ちゃんと初めて会ったのは、公園だった」

〜〜回想〜〜
俺は、親の都合で同じ学校に通うことが少なく、珍しい容姿をしているのか、いじめの標的にされることが多かった。当時は同学年と1つ上と2つ上の計3人の男子生徒に、登下校中に後ろから体当たりされたりサッカーの練習がしたいとゴール前に立たされボールをぶつけられたりされてた。
勿論それはほとんどが強制だから、逃げが効くなら逃げたし隠れたし、強く断って家に走ることが多かった。

そんな楽しくない日々が続いて、その日も彼らの命令を無視して下校してた。
下校途中に彼ら3人がよく遊んでいる公園の前を通ると、普段は聞こえない猫の鳴き声が聞こえた。3人はまだ来ていないようだし、その日は夕方から雨が降ると天気予報で言っていたから気になって、猫の鳴き声がする方へ歩を進めた。

公園の手前の茂みにダンボールに入った小さな黒猫を見つけた。左後ろ足に怪我をして悲痛な鳴き声をあげていた。まずは怪我の手当てを優先しようと思ったが、道具は何も持っていないため、手持ちの傘を雨避けとして開いて子猫を覆うようにかぶせる。

走って家に帰り、公園に戻ってくると、あの3人が公園で大声で笑いあっていた。
見つからないように身を屈めながら、様子を伺えば、3人は公園の奥の茂みに布やらオモチャを広げ「秘密基地」と言いながら遊んでいた。

さっさと子猫の所へ行って手当して帰りたい、そう思うのに3人の所を見た途端に足が動かなくなる。
楽しそうにトランプカードで遊んでいる3人にはアレが視えていない。

さっきは居なかったのに、戻ってきたら公園には3体居た。1体は砂場で体育座りしてる坊主の男の子。1体は公園の中で割と大きめの木の下で俯いて立ってるセーラー服の黒髪女性。そして、もう1体が黒い帽子を深く被ったスーツ姿の男性。スーツ姿の男性は他2体と違って片手に包丁を持って3人のすぐ近くで、3人の遊びを見ていた。それが凄く怖くて動けなくなった。

「あれ、ソーマのやつ、こっち見てるぜ」
「は?どこ?」
「ほら、あそこ」

そのうち、3人の1人が俺に気づいて指をさしてはその場で立ち上がる。他2人も俺を見ると楽しそうに笑って手招きする。

「ほんとだ、アイツなに隠れてんだ?ブフッ」
「おい、来いよ、お前も特別に秘密基地に入れてやる」

1人が俺ところまで来て腕を掴むと、秘密基地まで引っ張られる。3人が怖いのではなくスーツ姿の男性が怖くて、掴まれた腕を振りほどこうにも力が出ない。

『やめてっ、やだ!』
「静かにしろよ、オレらがいじめてるみたいに見られるだろ!」
「そーだ、そーだ」
「ババ抜きのビリはジュース皆の分オゴリってのは」

スーツ姿の男性はゆっくりと刃物を持った腕を上にあげ、喋っていた1番年上の男子生徒に向かって勢いよく腕を振り下ろした。

『あぶないッ!』
「…は?」

咄嗟に大声をあげてしまっていた。
彼らには見えていないし、幽霊の攻撃も無害で、無傷な目の前の彼は、俺の怒鳴るような焦燥感にかられた言い方に腹を立てた。

「おい、何が“危ない”んだよ、言ってみろよ」
『うっ…い、いたい…』
「またオバケが見えたとか言うのか?」
「あぁ〜ん、ママぼくちん怖ぁーい」
「今どこに居るのか言ってみろよ、おら!」
『ッ、痛い…やめてっ』
「オレらにウソついたバツ〜」

腹を殴られて、屈んだら体を押されて地面に倒される。すぐ蹴られると思ったからお腹を守るように膝を地面についてうずくまる。予想通り3人は俺を囲んで背中を不規則に蹴られる。
こんな風になるなら、彼らを守るようなことを言わなければ良かった、その方が蹴られる事はなかったかもしれない。そう思っていた時、近くから声が聞こえた。

『それ、楽しいんか』
「あ? なんだお前」
『自分より小さい子イジメて楽しいかって聞いてんねん』

その声と共に靴が砂利に擦れる音が近づいてきて、俺のすぐ近くで止まる。

「なにコイツ」
「お前ソーマの味方?」
「初めて見る顔だな」
『まずオレの質問に答えてくれへん?』

子供にしては挑発的な口調に、俺をかばっては彼まで巻き込まれる、と思った俺は顔を上げて目の前の彼の服を掴む。オレンジ色とピンクと黄色白色が混ざった優しくて眩しくキラキラ光るものが俺の事を庇った少年から出ていた。初めて見るそれに、太陽より眩しく鮮やかで虹よりキレイだと思った。

「お前が誰か知らねえけど、弱いやつが強いやつの遊びに付き合うのは当たり前なんだよ」
『あそび…?自分らがやっとんのはイジメやろ』
「イジメ? チッチッチ〜、オレらのルールじゃこれが遊びなんだよ」
「お前がソーマの味方につくって言うなら、オレらのルールに従ってもらうぜ?」
『待ってよ、この人は関係な』
『ええよ』

3人は俺の事を庇う少年を標的にするつもりで、ニヤニヤと意地悪い顔をしていて、彼を巻き込む訳にはいかないと、彼の前に出ながら「この人は関係ないから、巻き込まないで」と口を開けば、話の途中で少年は遮る。3人の遊びに付き合うと返事をした少年に「なんで?」と驚きと焦りを隠せず顔を向ければ、服を掴んでいた手をスルリと解いて、俺の頭を片手で撫でた少年は優しく囁く。

『目ぇつぶっとき』

目を瞑っていろと言うことだろうかと解釈して、両手で両目を覆い隠すと、頭をポンポンとまた撫でられ「ええ子」と言った少年は、俺に背を向ける。

『ほな、始めよか?』

そう言った少年の後に、ドッゴッベチッドカッと様々な音が聞こえ、3人のいずれかの声を聞こえて、砂利を擦る靴底の音に「つ、強いとか卑怯だぞテメェ!」と1つ上の彼の声が聞こえ、少年は怒りと愉しさの混じった口調で彼らに言う。

『卑怯って何がや、自分らのルールに従って“遊んだ”だけやろ?』
「こ、こんなの、弱いものイジメって言うんだろ、母さんに言いつけ」
『調子ええこと言いなや、先にやってたんはどっちや』
「お、お前がやってんのと俺らのとは全然ちが」
『まだ遊び足りひんか…?』
「ヒッ!!」
『今後、二度とこの子に近付くな、ええか?』

「ひゃいぃ〜」なんて情けない声と足音が遠ざかっていき、両手を退けて目を開けると、俺を助けてくれた少年が、俺の服についた埃を払ってくれていた。

『あ、の…巻き込んで、ごめんなさ』

頭を下げようとすれば額をペシッと軽く叩かれる。痛くはないが何故叩くのかと額を両手で抑え首を傾げれば、少年は眉を寄せて自身の後頭部に手を当てながら言う。

『アホやなぁ、そこは、ありがとうでええねん』
『ありがとう、ございます』
『…おん』

言われた通り感謝を述べれば、少年は頬を赤くして唇を尖らせ、満更でもない表情をした。パチパチ弾ける眩しいオーラを持った少年の瞳は小さくても琥珀色で毛量のある髪が橙色であることを、その時はじめて知った。

『また、ああいう事されたら俺んこと呼び、どっからでも駆けつけたる』
『…でも、お兄ちゃんに迷惑かけ』
『あ、せや、名前言うてへんかったな、サトシや』
『さとし…?』
『おん、こうやって書いてサトシや、よろしゅう』
〜〜〜〜〜〜

「って、サトシ兄ちゃんは地面に木の枝使って“サトシ”って書いて笑顔で自己紹介してくれた」

軽くサトシ兄ちゃんとの出会った経緯を話せば、俊介は「へぇ〜」と虚空を見つめながら相槌を打った。俊介の頭でどのように解釈されるかは分からないが、処理が終わるのを待った。

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.22 )
日時: 2022/05/05 21:58
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

「へぇ〜なるほどな、サトシ兄ちゃんってスッゲーカッコイイな!!」
「うん、でしょ?」

頭の中で処理が纏まり始めたのか俊介は質問を始めてきた。

「でもこの“サトシ”なら清水先輩と漢字が違うぜ?」
「うん、そうなんだよね…」

スマホで打って俊介に見せた漢字を自身でも見つめる。確かに、清水先輩の名前の漢字は二文字で“聡志サトシ”だから俊介の言う通りサトシ違いとなる。それでも

「その…慧斗が見た虹よりもキレイなキラキラしたものが、清水先輩にも見えた…とか?」
「…うん」
「そ、それってさ、俺にも見える?」

俊介が自分を指差す。素直に頷いて「俊介は薄紫色」と答えれば嬉しそうに顔を綻ばせる。オーラならみんなあるけど、サトシ兄ちゃんのは不思議なチカラを感じる。当時は分からなかったけど、今なら思う。あの不思議なチカラを感じたオーラは霊を浄化させるものなんじゃないかって。ジュワッと灼熱の炎にあぶり焼かれた様な音に、ブチッと重量のあるものに潰された様な音などで、近くに居た霊が消える所を何度か見たから。基本的に未練をはらって天へ導く、自分がよく使う浄化では、天からたまに挨拶などで地上へ降りて来るヒトも見かけるけど、サトシ兄ちゃんのオーラによって強制的に浄化された霊を見かけることは二度とない。たまたまかもしれないけど、俺にはソレがちょっとだけ怖くて、今朝は俊介に憑いたを守るために清水先輩から隠した。
幸いなことに浄化はされなかったけど、清水先輩のオーラとサトシ兄ちゃんのオーラは見間違えないくらい同一色をしている。
磁場みたいにピリピリわずかにしびれる感覚を肌で感じるけど、攻撃的じゃなくて、とても温かい。

「清水先輩とサトシ兄ちゃんの、ソレって、少しでも違ったり」
「完全に一致してるよ」
「お、おおっ…そっか」
「うん」
「…それ持ってる人って結構居る可能性とかは?」
「…あんまり、見たことない」
「なら可能性が無いとは言いきれないってことだな、たまたま名前が一緒だったってことも考えられるし、清水先輩が慧斗を覚えてないんじゃあ…ホントに人違いって線も…ある、だろ?」
「…うーん」

俊介の言う様に、偶然近い条件が揃っただけでソレだと決めつけるのは良くないことだと分かってる。俺がずっと心の中でサトシ兄ちゃんに会いたいと願ってた想いが、たまたま揃ってるだけ。清水先輩は本当にサトシ兄ちゃんとは別人なのかもしれない。だけど、諦めきれない何かが心にモヤとして残る。
そんな俺に気を遣ってか、俊介は話題を変えた。

「そういえば、その後、子猫はどうしたんだ?」
「子猫は…その日は手当だけして、少しの間、智兄サトシにいちゃんと公園で世話してた、学校帰りとか様子見ながら」
「どっちか飼うとか出来なかったのか?」
「俺は親の都合で転校することが多かったからペットは飼えなかったし、智兄ちゃんの所は、お兄さんが猫アレルギーだから無理って聞いたかな」

結局、俺は一ヶ月後に転校したから子猫がその後どうなったのかを知らない。今は飼い主を見つけて元気にやれているだろうか、あの公園はイジメられていた時の嫌な思い出と、智兄ちゃんと遊んだ楽しい思い出が浮かびそうで、時間がある時に行けない距離ではないのに、複雑な思いから足が進まなかった。今度、勇気を出して行ってみるのもアリかもしれない。何か智兄ちゃんと会う手がかりが残ってるかもしれないし。
俺が考えていれば、俊介は子猫から次の興味の矛先へ話題を変える。

「へぇ〜、智兄ちゃんのお兄さんには会ったことある?」
「うん」
「え、スゲェどんな時に会うの?」
「どんな時って…智兄ちゃんが一度だけ高熱を出して学校休んだ時に、心配で家に行ったら、お兄さんが居て…みたいな?」
「…へ、へぇ〜心配で、ふーん…」
「うん、智兄ちゃんが学校休むなんて珍しかったし」
「あぁ〜なるほど、それで、お兄さんはどんな人だったか覚えてる?」
「え、うーん…」

会ったことがあると言っても十年前の記憶だし、自分でも曖昧にしか思い出せない。当時は智兄ちゃんを心配して家に寄った訳だし、お兄さんがどうだったかまではあまり記憶にない。覚えているのは、智兄ちゃんとは違った妙な訛り口調で銀髪で顔が整っていたような、背後に逞しい筋肉を持ったヒトを憑けていたなってことだけ。
名前とかは流石に思い出せない、ただ智兄ちゃんの見舞いだと言えば「ええ子やのう」と優しく頭を撫でてくれたことを覚えてる。

「…優しい人、だったのは覚えてる」
「優しい人かぁ、あんまり手がかりにはならないな」

まるで智兄ちゃん捜しを手伝ってくれるような言い方の俊介に、念の為、必要ない旨伝える。

「…俊介が気にすることないよ、智兄ちゃんは俺の尊敬する人だし、過去の約束とか、気になることは会えたら話をしたいだけだし」
「過去の約束?」
「う、うん、まぁ、それはこっちの話」

下手な断り方に口を滑らしたが、流石に約束の内容は、俊介には話せないから口を紡ぐ。
俊介は眉根を寄せて不服そうな表情をして、地面に転がる小石を蹴りながら口を開く。

「俺さ、慧斗が清水先輩と仲良くしてるの、ずっと不思議に思ってて…」
「俊介…?」
「なんていうか、その、慧斗は、智兄ちゃんと会えたら…スッキリするのか?」
「えっ…?」
「慧斗は、智兄ちゃんのこと、ずっと捜してる、のか?」
「……」

ずっと捜してるのか、と聞かれたら「ずっと捜してた」が答えになる。引っ越してからも会える奇跡を求めて、どこに転校しようが、学校中駆け回って生徒の顔を見て回って、捜した。「心配せんでも、絶対会えるて、オレらが再会するんは運命で決まってんねん!」そう笑顔で言った智兄ちゃんの言葉を信じてた。けど、俺の両親は離婚するし、引き取ってくれた父親からも離された俺が、何かを得られるとは思ってなくて、この高校に入ることが決まった時「智兄ちゃんとの約束を諦めよう」そう思ったんだ。
子どもの根拠が無い発言、未来は誰にも分からない、運命なんて無い。
そう思って捜すのを辞めたら、智兄ちゃんにそっくりな人が現れるなんて、それで別人なら…あまりにも、残酷じゃないかっ…!

「慧斗…慧斗が智兄ちゃんを捜すなら、俺は協力するぜ?」
「…捜してないよ、ただ…」

〜〜回想〜〜
俺が引っ越す1週間前の話。
「サトシ兄ちゃんに会えてホントに良かった」
「っ…なんやねん、急に」
「ずっと一緒にいたい」
公園の滑り台で呟いた一言に、智兄ちゃんに片手をバッと掴まれ手を繋がれる。何だろうかと顔を向ければ、頬を赤くした智兄ちゃんは真剣な面持ちで言う。
「今はオレら子供やし、無理かもしれん…けど、大人んなったら自由やん」
「…自由?」
「おん、大人んなった時、ずっと一緒に居ればええやん」
「…うん!」
大人になれば智兄ちゃんとずっと一緒に居られると浮かれて頷いた。それに満足そうに口角を上げた智兄ちゃんは俺から顔を逸らして夕日を見て、手を繋いだまま会話を続ける。真似して夕日を見る。
「鶴にはオレのオーラが見えんねやろ?」
「うん」
「大人んなったら、きっと見た目も変わる、オレめっちゃムキムキで身長高いかも知れんし」
「ふふっ、うん」
「せやから」
そう言って繋いでいた手に力が入った智兄ちゃんに顔を向ける。
「せやから、そんときは、鶴が俺を見つけてほしい」
「…オレが?」
「うん、俺が知らんふりしても捕まえて声かけて、絶対離さんでほしい」
そう言った智兄ちゃんは、いつもとは違って情けなく眉を下げて俺に懇願していた。そんな智兄ちゃんに元気になってほしくて、俺の目が見間違えることは無いって断言したくて、繋いだ手に俺も力を込めて頷いた。
「うん、絶対、絶対に智兄ちゃんを見つけるよ!」
「別人と一緒になったら許さんで?」
「ならないよ、智兄ちゃんのこと、大好きだもん!」
「…頼んだで、大人んなったらオレら___」
「うん、約束!」
〜〜〜〜〜〜
今でも夢だったんじゃないかってぐらい智兄ちゃんと居た時間は幸せだった。
智兄ちゃんの隣だけが俺の居場所なんだと思ってた。会えないなら、清水先輩みたいな「智兄ちゃんそっくりな人」を俺の前に出さないでほしい。
俺は、智兄ちゃんを捜すのは諦めた…ただ…

「ただ、清水先輩と別人だって証拠がほしい」

清水先輩は「人違い」と言った。
本当にそうなら証拠がほしい、俺が希望なんて持たなくなるぐらいの絶望がほしい。生ぬるい傷跡が一番苦しくて痛くてみるから、いっそ一思いに殺されるぐらいの絶望…

「…なるほど、それなら俺も協力するぜ」

頷いた俊介が、手伝うと言ってきて、巻き込みたくて話したわけでは無い為、両手を前に顔の前で振りながら断りを入れる。

「へっ、いや、いいよ、本人に色々聞くし」
「ここまで話聞いて何もしないは出来ないから何かさせてくれよ!」

話を聞かせてくれと言ってきたのは俊介だし、俺の話を聞いて俺に同情したのかもしれない。何かやる気に満ち溢れてる俊介に、これ以上断っても無駄だろうなと思い、あまり清水先輩の詮索もされたくもないけど、断れない雰囲気に押し負ける。

「うーん…わかった…」
「よっしゃー!」

慧斗へ話し終えたところで、俺達はまた歩き始めた。

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.23 )
日時: 2022/05/15 01:34
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

清水聡志side

ブーッブーッ

机に置いたスマホの振動で目が覚める。画面を見れば8時37分。学校が休みの日に、こんな朝早くから目覚ましをかける性格ではないため、二度寝をかまそうかと枕に顔を埋めれば、この間アイツがこのベッドで俺の髪をどうしても乾かしたいからと駄々こねていたな、と向かいの部屋の彼を思い出す。入学早々、俺と誰かを間違える、胡散臭い笑顔をいつも貼り付けてるくせに俺の前ではよく怒る、部屋に入る時にノックしろと言えば、ちゃんと従う忠実さがあるのにたまに融通が効かなくなる。初めはただの偽善の面被ったイケメンかと思ってたが、存外退屈ではない彼にクスッと笑う。

ブーッブーッ

2度目のバイブ音に、さすがに無視は出来ない為、体を起こしスマホの通知メッセージを確認する。

《もう寮着いてんけど、起きとる?》
《今日、ウチが来んの忘れてへんやろな?》
「…あ、せやった」

思わず零れた言葉は誰も拾うことなく部屋に響いて、下の階を覗けばルームメイトは既に外出しているようだった。
今日は父親の弟の娘、つまり従妹いとこが来ると数日前にメッセージが来ていたことを思い出す。
通知メッセージの内容から、寮の出入口付近に居ることが分かり、軽く外出用の服に着替えてスマホの画面を見れば、「既読」の確認が出来たからか、待つことが嫌いな彼女からは次々に脅迫のようなメッセージが届く。

《遅ない?》
《ずっと外で待ってんけど!》
《あと1分で来なかったら「ダーリン」って叫んだるわ》

アホか、っつか「ダーリン」てなんやねん、古いわ
自室を出て、向かい側の205号室が静かなことを確認すると、スマホを操作して「今向かってるわ、じっとしとき」とメッセージを送る。

寮の出入口の扉を開ければ「聡志ぃ〜」と抱きついてきた従妹こと清水きよみず 結衣ゆいの顔面を鷲掴んで、体から離す。

「痛いわアホ!何すんねん!」
「お兄様つけんかい」
「え〜?聡志ったらウチらの仲やん」
「はいはい、とりあえず部屋案内したるわ、着いて来ぃ」

結衣に背を向け、自室に案内しようと歩き出せば、結衣は辺りをキョロキョロ見渡しつつ、質問してくる。

「ノリ悪いなぁ〜…この寮、女子のウチが入っても文句言われないん?」

もちろん男子寮に女子生徒が入ることは禁止されているが、結衣はウチの生徒じゃない。

「結衣がウチの生徒やったらあかんやろなぁ」
「はぁ!?それむっちゃ危ないやん!校則ギリッギリのとこ突いてんで!バレたらどないするん!?」
「そんときはそんときや、まぁ、なんとかなるやろ」
「アンタがどうなってもウチ知らんで!」
「アホ、声小さくせえ…誰かに聞かれたらどないすんねん」

自室の扉を開けて結衣を先に中に入れる。誰にも見られていないことを確認して部屋に入って扉を静かに閉める。結衣は俺の責める口調に「アンタが悪いことしとるんに、なんでウチが怒られなあかんねん」とボソボソ愚痴垂れている。
そんな、結衣が俺に会いに来た理由は実際のところまだ聞けていなくて、本題を切り出す。

「ほんで、どないした?」

扉の出入口に立ったまま何の用かと聞けば、結衣は「せやせや」と思い出したように気を切り替え、椅子に座って人差し指と中指を立てる。

「おっきく言うと2つあってな、1つ目はウチの行きたい思うてた店が明後日で閉店する言うて、そん前に行きたなったこと」
「俺以外に一緒に行ってくれる人おらんかったんか」
「ちゃうわ!みんな忙しいだけやねん!ウチがボッチなんちゃうから!」
「誰もボッチや言うてへんやろ」
「あぁあ〜!むかつく!」

結衣は机にあったルーズリーフの1枚を手の平でグシャグシャに丸め俺に投げてくる。避ける気がなく胸元に当たって落ちた紙くずをルームメイトのゴミ箱へ入れつつ「もう1つは?」と理由を聞く。

「もう1つは…まだ、捜してるんかなって気になって…」

言いにくそうに小さめの声で言った結衣のセリフは、俺を気にしてる様子で「結衣には関係ない」と続けようと結衣を見れば、1枚の現像された写真を俺に見えるように前に出された。

「これ…鶴ちゃんやろ?アンタの初恋の人」

結衣の指先に写る黒髪で色白な青眼の子供。子供は顔立ちが整っており、はにかんだような笑顔を見せている。その隣には、歯を見せて嬉しそうに堂々と笑う俺の幼少期の姿。片手は人差し指と中指を立ててピースして、もう片手は隣の子供と手を繋いでる。背景は昔の俺の実家だろうか、屋内で撮られたものだ。

俺の記憶にその写真の映像は無い。


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