複雑・ファジー小説

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【短編】 目玉ちゃん目玉ちゃん目玉ちゃん 【物語】
日時: 2012/04/16 20:53
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

( くるしい、よ。ねえ。 )


.

勢いで作ってしまいました。どうもありです。
えーと短編集なんかを載せていきたいと思います。ジャンルはシリアスからギャグまでまあ色々と置いていく予定であります。
ではゆっくり見てってくれると嬉しい限りでございます。

@ 目次
[ それは蒸し暑い雨の日 ] >>1
[ Dreamer ] >>2 >>3 (佐々木夢芽・鈴木有芽/ささきゆめ・すずきゆめ) 
[ イレギュラー ] >>7
[ 残酷な天の彼女 ] >>9
[ 馬鹿ですよ、どうしようもなく ] >>10 (池田嬉季/いけだきき)
[ 最高に熱い夢を ] >>11
[ すーぱーろりーた ] >>12 >>13 (崎本要・倉本燐・西垣鈴・西垣/さきもとかなめ・くらもとりん・にしがきりん・にしがき)
[ 光る星と光る花冠 ] >>15 (秋原遊生・星夜/あきはらゆうき・せいや)
[ 混ざり合う絵の具 ] >>18
[ ぎょろぎょろして叫んでます ] >>20 (目玉ちゃん/めだまちゃん)
[ 一緒に笑って、 ] >>21
[ ひらひらと、へらへらと、 ] >>22 >>23 (愛咲爽・愛咲陽・風日/あいさきそう・あいさきよう・ふうか) 
[ ぎすぎす、な ] >>24 (透・蜜柑/とおる・みかん)
[ あなたの事しか見ていないのです ] >>25
[ 告白 ]  >>28

@ お客様 
ひゅるりさん wOkkAさん 友桃さん るき♂さん
 


.



2011/6/19  スレッド生成 

Re: 【短編】 Dreamer 【物語】 ( No.6 )
日時: 2011/06/26 15:12
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

>>5
どうもどうもー^^
そこまで固くならなくていいっすよー。
応援ありがとうございます、これからも頑張りますね

#01 - イレギュラー ( No.7 )
日時: 2011/07/08 22:18
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

[ イレギュラー ]


 どこまでも白い世界で、狂いそうなほど真っ白で空虚の中で、二人の人影があった。

 「長く艶やかな金髪、空色の澄んだ瞳、華奢な体、歪んだ心、素晴らしい戦闘能力。貴方は完璧な人よ」
「いいや、完璧なんかじゃあないね。一つだけ、大きな間違いを犯してたのさ、私は」

 二人とも両手にナイフを持ち、互いに突き刺す行為を繰り返す。しかしそのダメージは体に反映しなかった。
当たり前である。なぜならここは深心世界と呼ばれる、心、魂だけしか来る事のできない世界。いくら武器を持っても、いくら相手を突き刺しても、それは体には届かない。
ダメージを与える方法は、たった一つ。相手の心を怖し歪ませ狂わせる事。
 瓜二つの彼女達——いや、一心同体の彼女達が分裂して繰り広げているこの戦いは、いがみ合っているわけでもなく、無論褒め合っているわけでもなく、自分を愛し、嫌っているからこその戦いだった。
 片方は自分の全てを否定し、片方は自分の全てを愛した。

 「私も貴方も同じ。私は貴方が好きだし、自分の事も好き。完璧だと自分で思うのに、貴方が好きになってくれない」
「一つの間違いを犯したらそこで完璧は無くなるんだよ。つまり、私らは完璧じゃないんだ」

そう言って、またナイフを突き刺す。体には響かないけど、心に響く痛み。

 「私らは最初から依存する相手と否定する相手を間違ってたんだよ」

————愛す人と、嫌う人の一番を自分にしてしまったから。


 彼女は目線を下に向けて、哀しげに呟いた。もう一方の彼女は、その場で泣きじゃくった。子供の様に。
 しかし泣きじゃくる彼女を見ても、片方は突っ立っているだけで、何も近寄らない。それは、弱虫な自分が大嫌いだから。
 泣きじゃくる彼女は、泣きながら笑う。泣いてる私も、大好きだから。 

 「だから、私らはイレギュラーなんだ」 
「消滅しないと、いけない存在——なのね」

両方は顔を合わせて言葉を交えた後に、自分を愛していた彼女はもう一方を抱きしめ、自分を嫌っていた彼女はもう一方にナイフを突き刺した。どちらとも手に強く力を入れて。
 嫌いな自分に抱きしめられた片方は精神が歪んだ。好きな自分にナイフを当てられた彼女は精神が壊れた。
 そして二人は消滅していく。

 ——イレギュラーは、いつだって居てはならない存在なのだ。


 「次は、愛せる相手と嫌う相手が他人になればいいね」

二人は同時に小さく呟いたと言う事は、誰も知らない。 



イレギュラー / end

Re: 【短編】 Dreamer 【物語】 ( No.8 )
日時: 2011/07/02 10:49
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

今回は書きなれたほのぼのではなくいがみ合いになってます。
イメージはボカロのモザイクロールで結構です。あれ聴いたら案外分かると思います。

自分の事なのに愛せない嫌えない。それって何だか変ですね。

バトル物をかける人が羨ましいと日々思ってます。バトル物書いてみたいわぁ…。

#01 - 残酷な天の彼女 ( No.9 )
日時: 2011/07/08 22:18
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

[ 残酷な天の彼女 ]


 それは死体だった。僕が愛する人物の細長く白いその肢体は残酷だった。眩暈が起こった。吐き気がした。
 
 「どうして、こんな事をした……!」

僕は、飄々とした態度で突っ立っている目の前の女を睨む。この女が僕の愛する人を殺した。
 この女が憎い。憎くてたまらない。知ってる人だった。憎悪と苛立ちは募るけれど、どこか悲しい思いがあった。彼女が死んでしまったのもそうだが、冷たい視線で彼女を見るこの女は、僕の姉——だった。
 ありえない事とありえない事が混ざり合う。そして僕は混乱し困惑しただの役立たない弱い男になっていく。いや、まあ今までもそうだったんだけど。
 どうせなら、知ってる人じゃなければいいのに。そうしたら仲良くできたのに。そうしたら憎めたのに。そうしたら、僕は臆病にならないでいいのに。
 
 「別に。ただ、そういう気分になっただけ」
「そういう気分って、姉さんは、殺し屋かよ……?」
「ま、違ってはいないわね」

 僕が冷たく残酷になった彼女を抱き寄せて泣いていると、姉さんは冷たくそう言い放った。
 違っては、いない? 僕はその言葉に頭が痛くなりそうだった。

 「私は、組織に属しているわ。それは知ってる事でしょう?」

嫌な予感がする。その組織はこの世界を動かす程の大きな力だとかで、まあなんか色々凄い所だ。そんな世界に知られる組織が、何をしてるんだ。
 
 「ここまで聞いたら予想できるだろうけど——」
「姉さんと、敵対してたん場所に居たんだろ? コイツは」
「察しが良いわね」

今までと変わらない口調で姉さんは言ったが、表情は悲しげに見えた。
 運命の巡り合わせって奴なのだろうか。だとしたら、こんなに残酷な運命はない。僕はまだ姉さんに怒りと憎悪とその他色々、ぶつけたい気持ちがある。けれど、彼女を殺す事に姉さんが躊躇したのなら。そうしたのなら、殺気を向ける事無いのに。僕は、その望みを、答えを期待して訊ねる。

 「姉さんは、コイツを殺せと言われて、戸惑った?」
「いいえ」

即答だった。表情を変えずに。表情が変わる前に、僕から目を逸らしたけれど。でも、その声には何の迷いもなかった。僕は、悔しくて悔しくて、殺したくなった。実の、姉を。
 でも、僕は臆病だった。弱くて行動に移せない、落ちこぼれだった。

 「アナタに、殺しはできないわ。だってアナタは——」

——落ちこぼれだから?
 姉さんは途中で口を閉じたけれど、その答えを僕は理解していた。
 僕は彼女を刺したと思われる刃物を握っていたけれど、やはり僕は落ちこぼれだった。
 
 「ごめんね」

僕は俯いていて、その言葉が何を意味しているのか分からなかった。僕を馬鹿にしているのか、それとも本心なのか。姉さんの表情を伺う気にもなれなかった。

 僕が絶望していた時。熱い衝撃。痛い。なんてもんじゃない。何が起こった? 姉さんは何をした?
 頭だ。あたまがいたいイタイいたいよイタイ。ぽたぽたと何かが落ちる。痛いながらも後ろを振り向く。赤い液体。何だコレ。血か。

 「ごめん、ね……!」

視界は歪んで霞んでいく。耳は何も聞こえない。痛みか。痛みのせいだ。
 

 泣きながら空を見る女性の横には、男女の死体が倒れている。彼女は空を見て、呟いた。

 「アナタは、優しいから」  



残酷な天の彼女 / end

#01 - 馬鹿ですよ、どうしようもなく ( No.10 )
日時: 2011/07/13 22:44
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)

[ 馬鹿ですよ、どうしようもなく ]


 「先輩は、馬鹿ですよね」

目の前に居る、池田嬉季と言う少女は敬語を使っているが、僕の事をちゃんと先輩と呼んだ筈なのだが、罵声を僕に浴びせた。敬ってるのか貶してるのか分からない奴である。

 「僕の事を馬鹿なんて言う奴は今まで半殺しにしてやって来たんだぞ」
「先輩の武勇伝ってある意味嘘をよく吐く事ですよね」

そうだった。これは褒め言葉なのだろうか? うーん、やはり矛盾している奴だ。
 まあ確かに僕はどうしようもなく臆病で誰かを半殺しにする以前の話で絶対的に僕は半殺しされる側だと自分で理解している。自分の事は、自分が一番分かる。当たり前の事だ。
 武勇伝とは言ってもその嘘は臆病過ぎて出たりする。まあ、関係ない嘘とかもよく吐くけど。嘘は泥棒の始まりだなんて言うけれど全然問題ない。なぜなら僕の頭は万年エイプリルフールだからである。

 「武勇伝はそんな卑怯なものじゃない」
「いやいや、嘘は使い様によってはカッコイイっすよ。先輩は使い方が悪いだけです」

 池田はそう言い放った。僕の嘘がカッコ悪いって、言う奴じゃねえか池田嬉季。
僕の嘘のカッコイイ所は何より自分の為である。怒られたくないから嘘を吐く。窓を割ったりすれば、流石に嘘は吐けない——と思うだろう。しかし、僕はそれでも嘘を吐いた。この池田後輩に罪を擦り付けたのである。僕は一応池田よりは成績良いしサボリもないしで良い子ちゃんなのでサボリしてる池田なんかよりずっと信用されている。あまりカッコイイ話ではなかった。

 「例えば——どんな嘘がカッコイイんだ」

僕は自分の嘘を心に閉じ込めて池田に訊ねてみる。池田は不機嫌なのか単に無表情なだけなのかよく分からない表情で言葉を放った。

 「少年漫画の様に、まあ腐受けしそうですが誰かの為に嘘を吐く、とか。ツンデレって言うんですか?」
「大丈夫、それは明らかにやおいさんの感性だから」
「やおいって、そもそも先輩ごときが意味分かるんですかー?」

わ……分からなかった。ただこんな感じに使うのだろうなと思っただけである。それはともかくコイツ確実に僕貶してると思うんだが。

 「それぐらいの嘘、僕にだって吐けるぞ!」
「それも嘘ですよね。先輩はいっつも、自分の為に嘘を吐きます」
「嘘じゃねえよ。お前にだったら、そういう嘘ぐらい、吐けるさ」

僕が真剣に言ったってのに、高らかに池田は笑い出した。全く、どこまでも失礼な奴である。

 「先輩は、やっぱり馬鹿ですね」

そう屈託の笑顔を向けられて貶されても、何ら嬉しい事はなかった。


 
馬鹿ですよ、どうしようもなく / end  





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