複雑・ファジー小説
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- ひっそりと生きている。
- 日時: 2011/09/24 08:05
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10755
( 世界の隅っこで小さく脆く息をして )
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どうも初めまして。またはお元気ですか。知ってる方は知ってる蟻と申します。
まずこの小説は気まぐれと無計画の二つしかありません。つまり話の筋を全く決めていないわけです。ファジー板に立てたのはどのジャンルに転がるか分からないので立てさせていただきました。
ゆっくり見ていってくれるとありがたいと思っています。
ついでに宣伝ですが参照から短編集に飛べちゃいます。
※ この小説はおそらくシリアス成分が含まれています。
@お客様
京助さん 水瀬うららさん 赤時計さん
@目次
#00 - 僕は生きていた >>1
#01 - 過去の絆 >>2 >>3 >>8 >>9 >>10 >>11 >>12 >>13 >>18 >>19 >>20
#02 - 結びなおす糸 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25
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@ 2011/7/31 スレッド生成
- #02 - 結びなおす糸 ( No.23 )
- 日時: 2011/09/19 15:32
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「その後で、私はあなたと出会ったのね」
流の言葉に、舞雪さんは小さく頷いた。
「そして貴女に助けてもらいました」
「私は助けた覚えはないけれど」
ベッドから立ち上がり、舞雪さんを嘲り笑う様に言葉を放ち、そして部屋から出て行った。
自然に二人きりになった僕と舞雪さんは、喋る事もなく、ただただ気まずかった。……流が居なくなるだけでこんなに気まずくなるとは、思ってもいなかった。
舞雪さんは辛い過去を語ったからか、どうやら落ち込んでいる。今、縁さんはどうなってるんだろう。裏切ったのはおそらく舞雪さんでもないし。あの魔道士が許せないな……。
勝手に舞雪さんの辛い過去をどうにかしてやろう、と半分だけ思い、考える。でも、僕が舞雪さんと縁さんを助けるっていうのは、失礼にも程がある。分かったふりだけで、舞雪さん視点の話しか聞いていないのに、助けるだなんて、傲慢だ。
でも、助けられるなら助けたいよなあ——。僕の善が、僕を哂った。
「零」
僕の首を冷やす何かと流の声に、僕は驚いた。
「……なんだよ、驚いたじゃねえか。で、またアイス持ってきたのかよ。いらねえよ」
もう十分に寒いし。布団被ってても冷気が襲って、僕のチキンスキンがぶわぶわぶわと、姿を見せている。結構前から。
「駄目よ、食べなさい」
「何があって強制されてアイス食べないといけないんだよ!」
「いいから食べなさい」
手に持っていた銀のスプーンで僕を脅迫してきた。と言うかスプーンで人を脅せるのが凄いな。流だったらスプーンで人を殺せそうな気もするんだけどさ。
「スプーンって事は、今度はアイスクリームか?」
「いいえ、シャーベットよ」
「アイスより頭が痛くなりそうだ!」
僕と流がどうでもいい会話を交えているその間にも、舞雪さんは俯いて暗かった。僕と流の空気は軽すぎるのに、舞雪さんの空気は何か重たかった。黒かった。鬱だった。
「舞雪」
その流の声は、優しく笑うものでもなく、厳しく叱るものでもなく。ただただ、無表情で、無機質。飴をあげる訳でもなく、鞭を振るうわけでもなく。何も渡さず、目の前を諭す。
「このシャーベットは、ずっと前に、あなたに貰った雪から作った物よ」
流は、シャーベットの製造工程を、舞雪さんに話した。
- #02 - 結びなおす糸 ( No.24 )
- 日時: 2011/09/19 16:49
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「とは言っても、私は食べ物とか作れないから、一応手伝ってもらっている人も居るんだけどね」
と、付け足した。
舞雪さんは顔をあげて、話を聞くが、話の内容がいまいち分からないらしく、口を開けたままの抜けた顔だった。
先程まで、僕に向けていた嫌悪感が、さっぱり無くなり、ほんわかと内面が柔らかくなっていた。多分、マイナス思考になってるから自分を責めてるんだろうな、とか思ってみたり。
それに僕もよく分かってない。とりあえずこの舞雪さんから貰った雪で作ったシャーベットを食べろ、と言っている事は分かる。ただし理由は不明だ。
「これは、あの城の溜め池の水から作ったって言ってたわね」
「はい。ずっと、昔の水ですが……」
「だから必要なのよ」
か弱く話す舞雪さんに対し、強く言い放つ流。僕は何も喋れないままなので、自分なりに状況整理をしてみる。
おそらく、舞雪さんと縁さんが戦った(疑問系)後に、流が城に訪れて、舞雪さんに頼んで雪を貰ったのか。そして貰った雪から作ったシャーベットが、この蓋にマッキーでどでかくメロン味と書かれているこれか。
「記憶が宿っているから、とりあえず、食べなさい」
舞雪さんと、ついでに僕にも催促する流。僕は一応流に渡されたスプーンでシャーベットを掬い、口の中に放り込む。うまいけど、頭が痛い。
キンキンと痛みを訴えてくる頭を無視して、どんどん口に放り込み、僕はシャーベットを食べ終えた。ぐう、やはり頭痛が僕を襲った。舞雪さんはというと、やはり不器用なのか、未だに蓋を開けようと頑張っていた。
僕は何だか見ていられなくなり、「開けますか?」と、良心で聞いたはずなのに、どうしてか舞雪さんは怒りを表し、こちらを横目で睨んできた。僕のメンタルが磨り減っていく。やはり、性格が柔らかくなったというのは撤回だ。
流が再度呆れながら、舞雪のシャーベットを奪い取った。そして、またいとも簡単に蓋を開ける。うーん、物体は違うものの、デジャヴである。
「ありがとうございます……!」
顔を赤面させて感激してた。恋する乙女みたいだな。
そして、スプーンの使い方を流から教えてもらい、結構な時間をかけて舞雪さんはシャーベットを平らげた。
————眠い。強烈な睡魔に襲われ、僕はそこで倒れた。完全に瞼を閉じる前に、舞雪さんも一緒に倒れて、た、はず。
- #02 - 結びなおす糸 ( No.25 )
- 日時: 2011/09/24 08:03
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
急に眠気がして、僕はその場で眠った筈なのだが、はて、どうしたものか。
僕が目を開けると、そこは流のベッドの上ではなく、綺麗に整えられた和風庭園だった。色とりどりの花が咲いている庭に僕は足をつけ、ちゃんと立っていた。
うーん、夢だろうか。じゃあ僕は何をしても痛くないかな。いや、僕が何をしても痛くないのは元からだったりしてー! と女子高生の口調を真似してみた。空しいのは仕様。
体を動かしてみる。うん、どこにも異常がないのは当たり前だ。
とりあえず、じっとしていても現状は変わらないので、動き回ってみる事にした。
庭から普通に入れる家に、許可も取らずにお邪魔する。ただ歩いていると、正面から歩いてきた舞雪さんが、驚いた様子で僕を見ていた。
「お前……」
「やっぱ一緒だったんですか。ところで、ここはどこですか?」
「お前に教えたくない」
ふい、と背を向けて僕を質問を無視して歩いていった。僕は、この家の事は全く分からないから、文句を言われない様に後からこそこそと舞雪さんについていく。ストーカーの気持ちだ。
舞雪さんが気配を察知して後ろをちょこちょこ振り向いてくる。その度に僕は何かに隠れて危機を免れる。
しかし、こういう事はよくあるだろう。例えば隠れる物がなくて見つかった時、どうしようとうろたえる時。今がまさにそういう時だった。舞雪さんは白けた目でこちらをずっと凝視している。
僕は心が抉られる様な、変な気持ちを持ちながら、何とか言い訳を探す。……言い訳なんて、ないよなあ。
僕が困っていると、舞雪さんは僕を無視した。と言うか、視界から僕を振り払ったんだと思う。何て嫌われようだ。
その後は僕の方を振り向く事なく、舞雪さんは歩いていった。怒っているのか、そんな事は分からないけど、どちらにしろ気分を悪くしたなら申し訳ない、と罪悪感が湧き出るが、普通に振り向かない方が歩きやすい。まあ、一度見られたからどうせ見られてもいいんだけど。
どうでもいい事を考えながら歩いていたら、舞雪さんがとある部屋の前で立ち止まっていた。
- Re: ひっそりと生きている。 ( No.26 )
- 日時: 2011/09/24 03:10
- 名前: 赤時計 (ID: u5ppepCU)
初めまして、赤時計です。
始め、このお話を読んでの感想は情景描写に手抜きがないのが凄いと思いました!また、ストーリーがトントンと進んで読みやすく御綺麗ですね。
妖怪モノですか・・・私の場合、物の怪がなんたら。というお話ですがこのような妖怪モノも大好きです!
では、更新頑張って下さいませ。。。
- Re: ひっそりと生きている。 ( No.27 )
- 日時: 2011/09/24 08:03
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
>>26
どうも、はじめまして!
情景描写など、描写全般は本当に難しいだけあって、褒めてもらえると嬉しいです^^
ストーリーの速さはあまり気にしないで、というかこれくらいかなーっていうただの感覚でしかないのですが、読みやすいと言って頂けて良かったです。
妖怪と物の怪も似てますよね。
まあ、私の場合はお悩み相談所という場所なので、妖怪だけではないんです。次の章からは人間を出そうと思ってたりします!
まあ基本ありえないことばっかなんですけどね;
はい、コメントありがとうございました。更新も遅いのですが、頑張らせていただきます。
では。