複雑・ファジー小説
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- 命短し、闘れよ乙女!! -episode of zero-
- 日時: 2012/11/11 17:30
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: zist1zA5)
複雑・ファジー板ではお初にお目にかかります、野宮詩織です。
ちなみに、タイトルの「闘れよ」は「バトれよ」と読みます。
初っ端からとんでもない当て字です。←
6月28日にサブタイトルをつけました(´∀`*)
注意
・荒らし、喧嘩、誹謗中傷、チェンメ、このサイトのルール及び法律に抵触する行為は禁止です。
・一見、コメディ成分が強いですが、時々、グロやシリアス、過激描写等が入りますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。
・作者が嫌いな方もブラウザバックを推奨します。
・作者が他の小説と掛け持ちしているため、亀&不定期更新です。
これらを守れる、もしくは大丈夫という方は大歓迎です!!
†callers†
麝香鳳蝶様、風猫様、イカ飯様、狒牙様、王翔様、コーダ様、爆(千)様、由羽様、葵様、ゆぅ様、べ、別に名前なんてないんだからね!様、ホットアリス様、nananana様、ソーダ#様、藤田光規様、多摩藻様
†Character’s profile†
・葛城夢幻
・和
・葛城ユリア
・潮
†contents†
「葛城夢幻の困惑」
>>1 >>8 >>9 >>20 >>25 >>33 >>34 >>37 >>40 >>44 >>50 >>54 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>73
「潮の奮闘」
>>90 >>97 >>100 >>106 >>122 >>126 >>133 >>139 >>142 >>148 >>151 >>164 >>165 >>170 >>173
「葛城ユリアの動揺」
>>177 >>180 >>184 >>185 >>190 >>193 >>196 >>199 >>203 >>206 >>207 >>211 >>215 >>218 >>221
†Illustration†
>>154 >>174 >>181 >>212
*ちょっとしたもの達*
登場人物たちの簡単な紹介 >>107
*キャラクター達のイメソン*
葛城ユリア……セツナトリップ >>210
.。.:*・゜追記やら何やら:*・゜。:.*
そして、参照もいつのまにやら2500超え……!!
どれもこれも読者の皆様の応援のおかげでございます(*´∀`*)
- 命短し、闘れよ乙女!! ( No.54 )
- 日時: 2011/10/15 17:09
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
- 参照: パピヨンとは、フランス語で「蝶」という意味ですw
「そうじゃなくて! 契約者とか『ブルジェオン』って何なんですか?」
軽く仕切り直してから潮さんに向かって問いかける。
俺の問いに潮さんが一気に真面目な表情になり、お椀の上に箸を置く。
そのすぐ横で、和ちゃんがモグモグとご飯を食べているため、シリアスな場面とは言い難いが。
「本当に知りたいの?」
潮さんが真面目な表情のまま、真剣な声色で問うてくる。
「え? あ、はい」
軽い気持ちで聞いたのに真面目に返され、戸惑いを隠しきれないままの俺が答える。
それでも、潮さんが使った超人的なスキルの数々は気になるから、彼の問いに「はい」と答えた。
「……まぁ、どうせ隠しきれないだろうしね」
潮さんが小さく呟いて、何故か俺の手を握る。
それを見たユリアが、「うはっ」と言いながらテーブルの上にあるティッシュ箱からティッシュを一枚取り出し、鼻を抑える。
まぁ、まず間違いなくさっきの本のような妄想をしていて鼻血が出たのだろう。
「俺と契約して『パピヨン』になってよ」
…………何だろう、この聞いたことのあるセリフ。
しかも、こういうのって普通は女の子と契約するものじゃないの……?
和ちゃんにこの話を持ちかけられるならまだ分かるが、何故に潮さんフラグが立ったんだ?
「え? 潮さんも……?」
俺に契約云々の話を持ちかけてきた潮さんに、和ちゃんが箸を止め、不思議そうな顔で問いかける。
「うん、間違いなくこの人であってるよ。 ユリア嬢はニアピンくらいだけど、この青年はクリーンヒット」
クリーンヒットの意味を間違えているような気もするが、そんなことよりも気になることがいくつかある。
「あの……話が掴めないんですけど……?」
正直に言うと、いくつかどころか何もかも理解しきれていない。
そもそも、「あなたたちは何者ですか?」というような質問に「俺と契約して『パピヨン』になってよ」という答えが返ってきたところから、既に分からない。
ユリアは脳内補完……つまるところ勝手な憶測や妄想で納得しているようだが、俺には分からないことが多すぎて脳内補完できる域にすら達せていない。
「まずブルジェオンっていうのは、限りなく人間だけど少し異なる存在なんだよ」
潮さんがそう言いながら、左の手のひらに氷できた花を出現させて、俺に渡す。
このまま固まっていても仕方がないから、潮さんから氷の花を受け取る。
「青年、それを全力で和に投げて」
「……潮さん、和ちゃんに怨みでもあるんですか?」
潮さんが投げろと指示してきた氷の花は、ところどころ鋭利に尖っている。
尖っていることに関しては氷という物質の性質上仕方ないのだろうが、そんな危険物を女の子めがけて投げる必要せいは無いはずだ。
「で、和は飛んでくる花を能力使って砕いてね」
…………潮さんは、今のところ無茶ぶりしかしていない気がするのは気のせいだろうか。
- 命短し、闘れよ乙女!! ( No.55 )
- 日時: 2011/10/29 20:34
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
- 参照: 久々の更新なのぜw
そんな無茶ぶりに対しても、和ちゃんは動じることなく応えてみせる。
よく話が掴めないままの俺が投げた適当な軌道上にある氷の華を、目にも止まらぬ速さで打ち砕いてみせたのだ。
本当に見えないほど速くて、何が起こったかが全く把握できなかったんだが……。
「青年」
和ちゃんが超人的な技を放った後、すぐに真面目な声で潮さんに呼ばれた。
「はい」
普通に返事をする。
確かに和ちゃんの拳の力は凄まじかったが、メリケンサック装備の時点で戦闘力や破壊力が高いということを察してはいたため、あまり驚愕の感情は湧いてこない。
「とりあえず、俺たち『ブルジェオン』が超人的なのは分かった?」
潮さんがさらに問いかけてくる。
「よく分かりました」
俺の返答を聞き、潮さんが満足そうな表情でユリアの方を向く。
「ユリア嬢は?」
そして、ユリアにも俺に聞いたそれと同じことを聞く。
ユリアは一瞬逡巡した後に、コクリと頷いた。
「……うん。 じゃあ、詳しく話そうか。 とりあえず、和とユリア嬢はちょっとだけ後ろを向いててもらえる?」
潮さんの要求に、和ちゃんが「はいっ! 分かりました!」と無駄に元気な声で返事をして、うさぎの耳のようなツインテールを揺らしながら半回転する。ユリアも少し戸惑いながらも和ちゃんの向いている方向に体全体を向ける。
「俺がいいって言うまでは、振り向かないでね? 逆に、青年はどんなに辛くても目を逸らさないでね」
「は、はい」
……「はい」という返事はしたものの、これから何が起こるか分かって無いんだよなぁ。
未知のことが起こりそうな予感のせいで、心臓が高鳴る。
そんな俺を後目に、潮さんがスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ワイシャツのボタンも外し始める。
えっ!? どういうことなんだ!?
本当に何が起こっているか分からないぞ!?
「……襲ったりはしないから安心して」
パニック状態にある俺を落ち着かせようとしてくれているらしい潮さんが優しげな声で喋りながら、ワイシャツのボタンを外し終え、やはりそれも脱ぎ捨てる。
「……ッ!!」
潮さんの素肌を見て、思わず悲鳴が漏れかける。
潮さんの身体には大量の傷痕があった。
擦り傷や火傷などという軽いものではなく、明らかに人為的に作られた切り傷やそれを無理やり塞ぐためと思わしき縫い痕。
肉を抉られた痕、何度も何度も執拗に鈍器で殴られたかのような痣。
しかも、そんな目も当てられない酷い傷がこれでもかというほどに広がっている。
前方から見ているため、実際のところどうなのかは分からないが、恐らくは背中も——。
いや、上半身だけではなく、服で隠しづらい顔や手首より先以外は全身に同じような傷が大量に存在しているのだろう。
右手で口を抑え、吐き気と悲鳴をこらえ、言われた通りに、必死に潮さんから目をそらさないようにする。
「…………青年は強くて優しいね。 俺の体を見ても意識を保っている上に、目をそらさないでくれる」
潮さんが悲しさ半分嬉しさ半分と言ったような複雑な表情を浮かべる。
「う、潮さッ! 何がどうなったらッ」
吐き気と思考の混乱のせいで上手く舌が回らない。
「一口に『ブルジェオン』と言っても、俺から前と俺から後ろは訳が違うんだよ」
潮さんが今にも泣き出しそうな震えた声で語る。
このまま、詳しく話し始めたら、まず間違いなく潮さんは泣き出すだろう。
そもそも、俺やユリアがその話を受け入れられるかと聞かれたら————
間違いなく、否だ。
- Re: 命短し、闘れよ乙女!! ( No.56 )
- 日時: 2011/10/29 22:15
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: OgnYhGeD)
潮さん、冗談を交える割に壮絶な人生を歩いてるんですね・・・
しかもトラウマまで・・・頑張れ潮さん。
そして頑張れ一般人たる主人公さん。
作者様も更新頑張ってください。
- Re: 命短し、闘れよ乙女!! ( No.57 )
- 日時: 2011/10/30 21:03
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
>>狒牙様
潮は冗談を飛ばしたりして、自分を誤魔化しているのです。
アレ? これってネタバレ?←
潮も夢幻も頑張りますよ、それから和やユリア、他のブルジェオンの子達も……。
とりあえず、最近、野郎ばっかりだったので可愛い女の子を書きたいです(`・ω・´)(キリッ
更新、頑張らせてもらいます!
……可愛い女の子を書くためにも!!((ぇ
- 命短し、闘れよ乙女!! ( No.58 )
- 日時: 2011/11/03 22:24
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: Hfcg5Sle)
- 参照: 和はいつでもどこでも空気を読まないのがポリシーです(`・ω・´)(キリッ
だから————。
「『まだ』、話さないでください」
目に涙を湛えた潮さんに強い意志を含めた言葉を、言い放つ。
その言葉にうつむき気味だった潮さんが、ハッと顔を上げる。
「『まだ』……?」
潮さんが、僅かに潤んでいる色っぽい瞳に疑問の色を揺らめかせる。
「はい。 ですから、もうしばらくは此処にいてください。 その上で——潮さんのことを少しでも分かった時に、話を聞かせてください」
潮さんに俺なりの答えを答える。
「夢幻さんの言うとおりですっ!」
潮さんとは似て非なるが同じ『ブルジェオン』として、うっすらと状況を察した和ちゃんが、鈴のように綺麗で可愛らしい声で元気よく言い放つ。
そして、こちらに向かうため回転しようと構える。
……ん? もしかして、和ちゃんは潮さんに言われたことを忘れて振り返ろうとしてるんじゃねぇーか……?
案の定、和ちゃんが左足で床を軽く蹴り、反対の右足を軸にして回転する。
ど、どうすればいいんだ!?
とりあえず、一時的な急場しのぎだけど——!!
「青年?」
俺の奇行に潮さんが戸惑いの表情を浮かべる。
まぁ、そりゃ、今日会ったばかりの男に自分が半裸の時に抱きつかれたら驚くよなぁ…………。
でも、これで一応は傷を隠せるわけだし、後で弁解すれば分かってもらえるだろう。
だが、願わくば、勘違いしそうなユリアにだけは振り返らないでもらいたい。
「……あれ?」
振り向いた和ちゃんがキョトンとした表情を浮かべる。
そして、一瞬だけ逡巡し、後ろを向いているユリアの肩を軽く叩く。
「どうしたのー?」
潮さんの言うことを遵守し、振り向かずに和ちゃんに声をかける。
ユリアは、昔から是が非でも約束を守るタイプだったが、今も全く変わってないなぁ。
「お二人がユリアさんの好きそうなことをしてますよ」
……うん、嫌な予感が的中してしまったよ。
和ちゃんの言葉によって揺さぶられた好奇心と潮さんとの約束の間で揺れ動いているらしい。
「……ごめんね、潮さんがいいよって言うまでは振り向かないよ」
葛藤の末、約束を守るというポリシーが勝ったようで、ユリアは振り向かなかった。
我が妹ながら、素晴らしい精神力と忍耐力だと思う。
「うあー、でも、見たい……。 お兄ちゃん、写真撮っておいて!!」
「ムリだからな!?」
最終的に不思議なところに着地したユリアの要求を断る。
潮さんが隠している傷痕を写真に収めるなんてマネはしたくないし、そもそも、両手が塞がっているし。
「和ちゃんは向こうを向いてて」
不思議そうな顔をする和ちゃんをユリアと同じ方向に向ける。
それから、床に落ちている潮さんのワイシャツを広いあげ、それを渡す。
「とりあえず、潮さんは服を着てください」
潮さんが少し不満そうな顔でワイシャツを羽織り、ボタンを止め始める。
それにしても、どうしてあんなに不満そうなんだろうか……?
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