複雑・ファジー小説
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- 【完結】「 カイラク 」 【Ex1あげました】
- 日時: 2012/12/10 18:49
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: GUpLP2U1)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?no=12471
プロローグ
「子供にはマイライフを楽しむ術ってのが足りないと思うんだよね」
シャーペンをぶらぶらしながら、窓の外、どこか遠くを見つめる姉が呟いた。誰に話しかけているのか分からないから、私はいつものように独り言として流した。姉は構わず、独り言を続ける。
「ほら、大人には風俗とかギャンブルとか、酒とかタバコとかあるじゃない? 子供にはないでしょ、そういうの」
中学生が何をほざく。お前は受験生なんだから、勉強さえしてればいいんだよ。都立の安いところに行かないと高校行かせねぇからな。
汚い父親の吐いた汚い台詞を思い出した。可哀想だ。私も、姉も。
「だから非行に走る奴が多いんだよね。子供のうちから人生に絶望する奴も、さ」
姉が首を吊ったのは、次の日のことだった。
アイサツ
中学生になりました、玖龍と申します。
中学一年生です。ごめんなさい。
対象年齢未満です。書いてる途中に対象年齢があがってしまって……。
書き終わったら立ち去ります。ごめんなさい。
更新は不定期ですが頑張りますのでよろしくお願いします。
感想、アドバイス等は歓迎します。寧ろ宜しくお願いします。
それ以外の雑談等の話題も歓迎しますが、参照のスレッドにて。このスレッド内での雑談はご遠慮下さい。
モクジ
※この話はグロ描写を多く含んでおります。
※浅い知識で書いています。間違っているところは指摘を下さると嬉しいです。
[プロローグ >>0]
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[12>>92 13>>96 14>>98 15>>104]
[16>>108 17>>114]
[18>>127 19>>130]
[エピローグ >>135]
書き直し版
[プロローグ >>0]
[1 >>137]
レス数は保留中の小説の削除やコメント返信をまとめるなどをしているので、スレッド一覧のレス数とは異なります。
オキャクサマ
・カグラマ シュン 様 (親しい友人クラスのお世話になっている方です。有難う!)
・桃咲 優梨 様 (お世話になってます。可愛かったり、面白かったりする方です)
・水月 様 (光の落天使、スレタイだけ見たことあります)
・ふうこ 様 (優梨ちゃんのお友達さんみたいです! 是非お話してみたいです)
・葵 様 (久しぶりです。何か言うこと無いですね、お久しぶりw)
・ハルノソラ・春野花 様 (雑談のほうでお世話になっております。ユニークで可愛らしいお方!)
・鈴音。 様 (初めましての方です。宜しくお願いします。)
・風猫 様 (素敵なお姉さまですw 風猫様の小説が凄いです、好きです)
・野宮詩織 様 (執筆されている小説の私には無いコメディ要素が羨ましいです)
・秋桜 様 (一年か二年前くらいからお友達でいてくれている大事な方です。いつも応援有難う!)
・暁壱 様 (絵が凄く上手な方。美術部員として尊敬していますw)
・ゆぅ 様 (初めましての方。タイトルは結構適当につけたものですw)
・ステ虎さん (何といいますか……変態さんです。面白い方です。お世話になっております)
【13】 名様がコメントを残して下さいました!
有難う御座いました!
名前が載っていない、誤字を見つけた、という方はお手数ですがレスにてご連絡をお願い致します。
スレ立て日
2011年9月25日(推測)
完結日
2012年9月27日
オシラセ
○参照100突破 (2011年9月末くらい)
○参照200突破 (2011年10月12日)
○参照300突破 (2011年10月22日)
○参照400突破 (2011年11月21日)
○参照500突破 (2011年12月4日)
○参照600突破 (2012年2月15日)
○参照700突破 (2012年3月11日)
○参照800突破 (2012年5月18日)
〇参照900突破 (2012年7月16日)
〇参照1000突破 (2012年7月23日)
○参照1100突破 (2012年8月1日)
○参照1200突破 (2012年9月23日)
○参照1300突破 (2012年12月9日) 感謝です!
書き直しについて
ストーリーは変わりません。比喩とかがちょっと変わったりするだけです。
コメントへの返信を見ると恥ずかしくて死にたくなりますが返信はいじらないことにします。
ですので抉らないで下さい。そっとしておいてください。お願いします。
書き直し版は前のレスを修正するのではなく、新しいレスをすることにします。
比べたりするのもいいかも、です。
お姉ちゃんの出番が少ないなあと思っていて、もっと書きたいので番外編も書きたいと思います。
- Re: 「 カイラク 」 ( No.77 )
- 日時: 2012/02/19 10:31
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: 6ZbYyiXi)
>優梨
どやぁ? どやどy(
>風猫
駒っていうとカッコいいでしょ?
俺小さいころからお人形遊びとか出来なくてさ、命のない物に愛注ぎ込んで一緒に遊ぶってことが分かんないのさ。
現実の人間はコマの言い換えで「シャカイノハグルマ」って言うんだってさ。
そーなんだ。俺は自分の中で風猫はふぉんのままです。ときどき「ふぉんにゃん」とか。「まお」だっての。
雰囲気かーw 有難う!
>野宮詩織様
保留は結構軽く使っているので、保留中のコメントは大丈夫ですよ。
お久し振りです!
台詞は結構悩むので描写で物語進める感じになりますからねーw
素敵だなんて、好きだなんて……!! 嬉しいですっ!
期待に応えられるように頑張ります、コメント有難う御座いました♪
追記
東方神霊廟……。私は東方をプレイしたことが無いので羨ましいです。
- Re: 「 カイラク 」 ( No.78 )
- 日時: 2012/05/13 01:07
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: CMvpO4dN)
7
夢中。
今まさに私は夢の中にいるわけだが、この場合の夢中は「モノクロのガラクタ鳥居に色を付けることに夢中」ということだ。まあ、此処が本当に夢の中かということは定かではないが。もしも此処が死後の世界だとしても、今の私はこの世界の仕組みや回答には興味はない。
夢中、だった。
塗り絵というものは、終わってしまうと詰まらない物だ。消しゴムで消えないのでもう一度塗りなおすこともできないし、飛び出した部分や色が重なってしまったりといった所もやり直すことが出来ない。つまり何が言いたいかというと、私が色を塗った鳥居の完成度が糞だということだ。塗り終わってから色を付ける前の方がいいと後悔したのだ、気持ちが晴れない、気持ち悪い。
空になったスプレー缶を床に叩き付けると、カランと乾いた音が続いた。カランカラン、軽い、安っぽい音。空になったスプレー缶が蹴り飛ばされると、カコーンと潤った音が響いた。缶の真ん中、ストライクホームランナイスシュート。ふわりと飛んだ青いラベルのスプレー缶が着地に失敗する。
今スプレー缶を蹴り飛ばしたのはだれ?
「ねぇ」
声が聞こえた左側を下から上に抉るように見上げると、女の子が居た。後ろに手を組んで、前かがみになってこちらを見ている。だらだらと伸びた前髪が目の中に入ってよく見えなかったがとってもいろんな色の女の子だった。
とても綺麗とは言えないような、色が混ざり合って黒になる寸前のような、そんな色。
「ねぇねぇ」
右側を今度は上から下に、前髪が目にかからないように見ると、さっきの女の子が今度は右側でしゃがみこみ、床に落ちている緑色のラベルのスプレー缶を握りつぶしていた。缶はつぶれたのに音はしない。
「返事くらいしてよ、ねぇ」
ノイズ混じりの声とともにに、黒い、白目も光もない眼球が、が私の目の前に二つ、現れた。少し驚いて、二歩後ろに下がる。
私の頬に、氷が触れた。驚くほど冷たい……まるで……死者のような。天井からぶら下がった、力の抜けた右手。ずっと握っていたのに、少しも体温を取り戻してくれない、あの右手の感触。
足を伝って滴る水滴、口からこぼれた水滴、縄の食い込んだ首から流れる水滴、鼻をつくアンモニア臭。
強い痛みが頭に走る。
左の頬を見るために、眼球をぐりっと動かすと、青い手が視界の端っこに映った。彼女は前かがみの姿勢で、私の左側の頬に触れている。左側をにらみ過ぎて視界が少しぼやけてきたので、首も左に捻る。
彼女は急に手を引っ込めて、ふわぁ、と甘い香りと感情の籠らない口だけの笑みを残し、浮き上がった。私は彼女の背中に翼を探した。翼は生えていないけど、確かに飛んでいる。
女の子は鳥居の真上まで上ると、すとんと落ちた。鳥居の上に。ちょうど鳥居の真ん中に座っている。
「どうやって此処に来たか、知りたい?」
鳥居の上で女の子は今度は無邪気に、青色の肌の顔で笑った。
- Re: 「 カイラク 」 ( No.79 )
- 日時: 2012/05/21 15:51
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: CMvpO4dN)
8
彼女は、カラフルだ。彼女は、単色だ。単色だけど、少し視線をずらしてもう一度彼女を見ると、また違った色に見える。カラフルだ。
カラフルだけど、綺麗じゃない。
「別に……」
高い鳥居の色彩と彼女の色が混ざって目が痛くなる。ここは、色が多すぎて疲れる。
彼女は私の回答を聞くと、歯まで真っ赤な口をにやりと上に吊り上げて目を大きく見開いた。黒い瞳孔が赤く、小さくなり、私を見下ろす。役目を果たしきらなかった心臓がどくんと一つ、脈を打った。
「なんだ、ノリ悪いな? 自分に翼をつけて上ってきたのよ、ほら、こうやって、ね」
彼女は紫色の左手を大きく開くと、ピアノを弾くように躍らせた。翼? そんなものが作れるのか?
そんなことを考えていたら、急に私の体が前に倒れた。手を地面に付こうとして前に出しても、地面には触れられずにすかっと外れて私はくるりと一回転。ここは、空中だ。何とか体を地面と垂直に維持できるようになったと思ったら、ワンピースの裾がふわりと捲れてしまう。手で押さえようと下を向くと、さっきまで私が立っていた床が遥か遠くに見えた。
落ちる。と、いう感覚が一瞬。確かに私の体は落ちたが、それほどの距離でもない、鳥居の真上から鳥居の上へと着地しただけだった。私はすとん、と、鳥居の上に座ったことになる。
着地してからバランスをくずして今度こそ落ちると思ったら、カラフル子の腕が伸びてきて私の腕をつかんで落としてくれなかった。
「ね、簡単でしょ?」
私は鳥居の上に上ってきた。ちゃんと登れていたが……。本当に翼を生やしたのか? 魔法使いは生きていたのか、と、カラフル子の緑色の顔をまじまじと見つめた。
カラフル子は目を少し細めて私を見つめ返し、口を開いた。
「さて、夢中ちゃんはどうやってこのゲロ高い鳥居を塗ったのでしょう?」
……え?
確かに、言われてみれば。鳥居の七分の一くらいの身長しかない私はどうやってこの大きな高い鳥居に色を塗ったのだろう? 色を塗っているときは夢中で気が付かなかった。
……夢中?
「ヒント、夢中ちゃんは夢中で生きながら死んでる。夢中ちゃんには、この意味不明ごっちゃぐっちゃ世界で何が出来る?」
私にはこの世界で何ができるか?
私は、此処に来てから嫌いな場所を好きな空間に変えたり、スプレー缶を出して、色を付けたりした。変える、出す。
“いいかい、想像と、創造だ。”
チャラ男の声が繰り返す。
「ぶーっ、タイムオーバー大正解!」
顔をあげて右隣を見ると、彼女は既に其処には居なかった。チャラ男が言った。想像力が私の圧倒的な実力。想像と、創造。
私は壮大なスケールのことを考えているに違いない。レベル上げも何もしないでいきなり最終ボスに挑むのは馬鹿過ぎる。小さな問題から考えていこうか。
取敢えずここからはどうやって下りればいい?
- Re: 「 カイラク 」 ( No.81 )
- 日時: 2012/02/20 22:29
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: 6ZbYyiXi)
9
「人間死んでるだけで莫大な金がかかるなんて知らなかった」
真夜中、明かりの無い真っ暗な狭い部屋の中、一つの死体に話しかける様。可笑しい、ああ、可笑しいな。部屋の中は腐った肉が発する異臭が充満している。窓を開けに行くのもとても面倒くさい、そもそも換気ってナニ? 私は何年同じ空気の中で生きているのだろうか。
「ねえあなた、どうせ死んでるのと同じならさ、いっその事絞め殺してしまおうか?」
死体は喋らない。そんな常識さえ、この渦を巻いた浮遊感の中では覆されるのではないか、そんな気さえしてくるから不思議だ。ああ、死体が動いたらゾンビかな。いや、ゾンビは喋らないから只の幽霊かな? でもでも幽霊は肉体が無いじゃ、ないか。
ローテーブルにべっとりとついたよだれが右の頬に冷たく触れる。いや、薬が解けた水だろうか。どっちだろうと変わりはない。暗い部屋に慣れきった視界が映しだすのは、からっぽになった錠剤入れとカプセル入れ。その奥には頭の額の部分から白骨がチラリと覗く、くっさい死体。血はもう乾いて、只の赤いシミみたいなものになっている。シミの割に、量が多いけど。瞼が閉じていない眼球の上にはアリが群がっている。腐った肉なんぞ食って美味いのだろうか?
肩を這う寒気を無視、脳内鳴り響く警報を無視、感情が麻痺、それさえも快感。どうしましょ、ついにぶっ壊れちゃいました。
「絞め殺すよりも殴るほうが良かった? それともあなたと同じように包丁でぶっ刺そうか。ああ、銃でも仕入れて撃ち殺してもいいわ、面倒だけど」
死体は喋らない。そんな常識さえ……ああ、この流れ、二回目だ。
彼を無意識に刺した右手にはまだ血がついているだろう包丁が握られている。私はずっと右の頬をローテーブルにくっつけて左を向いているので右手にはもうずいぶん長いことあっていないが、それが分かるのはアヒルのように折りたたんだ足にかすかな痛みがあるからだ。きっと包丁が右の足にぶっささってるんだろう、まあ、気持ちいいからもうなんでもいいや。
私は錆びついたガラクタでできた重い左手を持ち上げて、残り一粒になって一人でカプセル視点で広くて、血やよだれがくっついた汚いテーブルに医とりぼっちのカプセルくんを拾って口に入れた。
良かったね、君はもうずっと一人で取り残されることが無いんだよ。死んだから、死んだから。カプセルに命なんてないけど。
さっきより酷くなった眩暈と快感。さっきまで寒気が走っていた背中や肩には毛虫が這い、包丁を持った右手は震えだし、包丁がぶっ刺さった右足からはアリンコが沸く。
眠いから、目を閉じましょう。
- Re: 「 カイラク 」 ( No.82 )
- 日時: 2012/03/11 22:05
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: 5Ru2iDax)
10
目を開くと瞼はちゃんと持ち上がり、目だって霞んでいるけどまだ見える。死んでなかった。死ぬように眠っただけではどうやら人間は死なないらしい。当たり前だろうか。私の場合異常で、当たり前じゃなくて、いつ死んでもおかしくない状況に居るから死んでもよかった。寧ろ死にたい。いや、もう死んでいるのかもしれない。
そんなことはどうでもよくて、今日は大事なあの子の命日。の、予定なのだ。いつの間に決まったのかわからないけれど気が付いたらそういうことになっていたから。
とりあえず首を起こす。ああ、頭蓋骨って重いんだな。いや、その中の腐った脳が重いのだろうか。それとも眼球か。あまりの重量に視界が歪んで首の骨が折れ、頭がごろんと落ちる。そんなことはない。当てにならなくなった感覚を無視し続けていると本当に首の骨が折れたのではないかと心配になる。それだけ、簡単。
次に、思い切って立ち上がってみた。こんなことをしていたら日が暮れる。眩暈も無視して壁に手を付き、ふらふらとしながら玄関へ向かう。裸足で歩いた床がふにゃふにゃだ。霞んだ眼に黒い影が映りこみ、私を取り囲む。影は、悪いことをした私を殺しに来るのだ。
やっと、玄関に辿り着く。そのまま扉に手を付き、ほとんど全体重をかけて扉を開ける。骨と蝶番がきしむ音が聞こえる。
光だ。太陽の、光だ。
目が眩む。今日は何年かぶりの空全体が輝いているような晴れの曇りの日だ。私が大好きだった空が一番よく光る、綺麗な日だ。私はくらりふらりとしながらマンションの廊下に出てそのまままっすぐ前に進み、コンクリートに手を付いた。高いマンションの廊下からは空がよく見える。
空は何も知らない。私がこれから犯す罪も、すでに犯した罪も、何も知らない。何も知らないから、綺麗だ。手すりに上半身を乗っける。こうした方がよく見えると思ったが、腐った目に映る空は特に何も変わらなかった。ああ、空がよく見えるいい方法を思いついた。視界に空だけが映るいい方法を。
そのまま、上半身を前に。足が浮いたら、もっと前に。薄汚れたコンクリートの灰色が上へ流れると、其処には空があった。風も風景も、上へ流れる。
ああ、綺麗な空が、よく見えた。
視界は黒へ落ちる。肉がつぶれる音と生暖かい液体が飛び散る音が混じり合った耳の中は耳鳴りが踊り、死ぬ。記憶は千切れ、潰れ、消滅する。体はもう動かない。
私は、あの子を殺すことも出来ずに、自分を殺した。
彼女は強い。私じゃ、勝てない。