複雑・ファジー小説

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鎖解時 −第二章開幕−
日時: 2012/01/07 19:18
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: JbVqO821)

初めまして、柚子(ゆず)とかいう者です。
前々から居たのですが、名前変えてやろうって思いました←

‡お客様
*栗鼠隊長様
*凛様(鑑定を受けてくれた方)
*檜原武甲様
*宙燐丸w様

†めにう
プロローグ
【 壊していく 】「>>001

第一章
【 壊しにいく 】
第一話『創めます』
>>002」「>>007
第二話『壊す過程で』
>>008
第三話『泣いても……いいですか?』
>>011」「>>013
第四話『全力で泣かせてもらいます』
>>014」「>>015
第五話『涙なんかもう捨てた』
>>25
第六話『涙の代わりに雨を』
>>26
第七話『初めての——』
>>27」「>>28
第八話『抑えきれない悲しみと哀しみと』
>>31」「>>34」「>>39
第九話『   』
>>41

第二章『プロローグという名の詩に近いもの』
>>52



参照100突破記念レス「>>022



キャラクタプロフィール「>>006
重要語句意味     「>>003
キャラクタ募集    「>>40

——注意事項——
1:環境があまり良いとはいえないので、更新は蝸牛並です。
2:作者の書き方が苦手。荒らしにきた。小説への文句を言いに。
  該当する方は、すぐさまプラウザバックをお願いします。
3:微量にグロ表現が見え隠れしますが、苦手な方はプラウザバックお願いします。
4:アドバイスや、ご指摘有りましたらお願いします。

*お知らせ*
□参照100突破 (2011年12月05日)
□参照200突破 (2012年1月1日)
□キャラ募集について「>>34

Re: 現在題名試行錯誤中 ( No.1 )
日時: 2011/11/15 18:21
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: FQzo10Uq)

プロローグ
【 壊していく 】

 この世には【システムコード】や【開発コード】と呼ばれる人間が存在する。名前は似ているがその人間たちの行う【仕事】の過酷さが明らかに違う。この人間たちは【システム開発本部】と呼ばれる世界規模の大会社として名を馳せている。
 システム開発局本部で働いているのは、総勢30万人程度。支部を含めると、100万人近くが働いている。システム開発局で働く為には、国家資格や体力試験、筆記試験(正答率3%未満しかない)をクリアしなくてはいけない。その中でも【体技能】のみが特化している人間をシステムコード、開発コードとして受け入れる。世界人口13億5千700万人の中でもほんの一握りしか入ることが許されないのである。
 そんな入ることが難しいこの会社に毎年世界全土で約1億人近くの人が試験に参加する。だが、最終試験に入るまでに脱落する人が多すぎることから、『地獄への入り口』『入ったら出ることの許されない場所』などと比喩されたりもしている。

 ただ。
 そういう風に言う奴に限って。
 この会社の仕事内容を理解していない。
 この会社の過酷さを理解していない。
 この会社で働く人たちの苦悩を知らない。
 
 負け犬なのである。

Re: 現在題名試行錯誤中 プロローグ更新 ( No.2 )
日時: 2011/12/05 16:33
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: FQzo10Uq)

第一章 【 壊しにいく 】
第一話

『シス……ム……ドTN-P1、応答……よ』

——頭の中にノイズ混じりの音声が聞こえる。自分の喉から声を出そうにも上手く出ない声に少し怒りを覚えた。

『シス……ド……』

 もう一度音声が聞こえた、と思った瞬間。頭の中に“ガシャン!”という酷く荒々しい破壊音が聞こえた。少し時間が経ってからしっかりと解ったが、あの音は機械が力任せに破壊され粉々に砕け散る音であった。体も思うように動かせず、移動するのも億劫だった自分が最後に目にしたもの。それは、恐ろしいほど大きく骨張った三叉の足であった。

*

「クソッ! 通信機が壊れやがった……」
 
 チッ、と自分に聞こえるくらいの大きさの舌打ちをし、がたんと少し大きめの音を立てて席を立つ。そのままガラスでできた扉を開け広いラウンジへとでる。
 この男が出てきた場所、そこは【システム開発局本部外部探索通信班】、通称【S班】と呼ばれる場所である。
 ここ、S班では本部勤めの人でも極僅かな人しか入れない、エリート達の集まるところである。基本的な仕事は、本部からシステムコード達への外部状況の通信だ。外部探索をするシステムコード達はS班を頼りながら探索を行う。S班が少しでも指示を間違えたり、注意力散漫で周りが見えていなかったりすると、システムコードは困って動けなくなってしまい、外部生物達に捕食されてしまうのだ。

 外部で命を落としたシステムコードを放置しておくと、外部生物が増える危険性がある。その事から、亡くなったシステムコード達を探しにいく役割を持つ人間たちがいる。それが、開発コード(別名改造コードともいう)と呼ばれる人間たちである。
 システムコードとは比べ物にもならないくらいの身体能力を併せ持つ、所謂超人である。その超人と謳われる開発コード達も、S班の力なくては外部では生きていけない。それほど過酷な世界で活動を行っているのである。
 
「よう、尊。なーに疲れた顔しちゃってんの?」
「あ、あぁ。俺の担当していたシステムコードの通信機が外部生物によって壊されちまったんだよ。
 システムコードが一人減っちまったかも知れない……」

 尊と呼ばれた男は、深いため息をついて手に持っていたコーヒーカップをテーブルに置く。

「アレックス、お前のほうのコードはどうなんだよ」

 尊が、自分の正面に座ったアレックスという男にむすっと膨れっ面をしながら問う。その表情にアレックスは、内心あほかコイツ。と思いながら苦笑する。尊はその様子をあまり面白くなさそうにじっと見る。

「今回で三人目。外部生物のレベルが上がってるって印象を持つよ。まあ、調べるにも何するにもシステムコードがいないと話にならないからな。
 開発コードに頼んできたところ」

 そろそろ研修員も本格的な訓練を行ったほうがいいな、アレックスは先程とは打って変わって真剣にものを考えながら呟いた。

「開発コードも、大変だろうな……。外部生物を殺しながらシステムコード見つけて帰ってくるってよ」

 尊はため息を吐きながら言った。アレックスは、尊の発言に目を見開いた。そのアレックスの目線からは“お前、んなこと考えてたのか?”という驚きしかとることができなかった。そんなアレックスの様子を見て、尊は如何せん失礼な奴だなと内心では思ったが、仮にも上司であるアレックスには伝えはしなかった。

『——社員を呼び出します』

 毎日午後三時に鳴り響くアナウンス。此処で呼ばれる社員は大抵仕事を良くやっていて、真面目な奴らばかりだ。逆に呼ばれないのは、俺やアレックスのような奴らか……。

「今日は、どの部隊の奴が呼ばれっかなー?」
「知らないよ。ま、誰が呼ばれても自分に関係ないって言うのが事実」

 どうせ俺ら呼ばれないじゃん? と肩を窄めてアレックスを見やる。アレックスはそんな俺の表情を見てくすくすと笑い始めた。

『社員呼び出しを行います。所属班、S班、KS班』

 どうやら、今日アナウンスを行っている人間は初心者らしい。いつもならもっとスピーディに所属班と、社員名、登録コードを挙げられる。S班内部にいた社員たちも、何時の間にか全員ロビーへと出てきていた。S班以外の班の奴らもたくさんいたが、中でも【KS班】とS班は、アナウンスの続きを今や今やと待ち構えている。

『登録コード、NP-T9614。TD-I842。社員名は、海棠尊、アレックス=ターナー。呼ばれた者……は? え、っと……少しお待ち下さいっ』

 アナウンスで名前が呼ばれた瞬間、ロビーにいる社員たちがアレックスと俺のことを探し始めた。周りから「海棠さんは何処だ!?」とか「アレックスさん! 何処にいるんですか?」などと聞こえる。ラウンジにいる俺たちを見つけることは普段なら容易い事ではあると思うが、今日は条件が違う。
 アナウンスを聞くためにみんな出てきているのだ。ほぼ全社員が出てきている。そんな中で俺達を見つけることができるのは、俺達を良く知っている奴か嗅覚の優れた人間。視力のいい人間。速く動ける人間。簡単に言うと開発コードやシステムコードじゃないと、無理だろう。

『失礼』
 
 瞬間、凍りついたかのように社員たち全員が固まった。一般人であれば普通の中年くらいの年齢の男性の声だと思うだろう。だが、この社内では違った。この会社で一番支配力があり、権限をどうふるおうが自由な人間。システム開発局本部本部長の声だった。


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