複雑・ファジー小説

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覚醒者<アウェイカー>
日時: 2015/11/18 10:05
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

人には魔人の力が宿っているということが発覚し、それは世界に流れを作った。
魔人の力は、全ての人に宿っているが、ほとんどの人間は覚醒せぬままその生涯を終える。
稀に現れる覚醒者を、人は口を揃えてこう呼ぶのだ。
アウェイカー
≪覚醒者≫、と。
−−−
初めましてか何度目まして、凜太郎といいます。
本日から書いていくのは、寝る前の妄想が地味に面白かったので試しに小説化してみようという謎の試みから始まったものです。
廚2病っぽい内容です。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.16 )
日時: 2015/11/27 14:50
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「急に呼び出されたから、ビックリしたよ」

 そう言って『彼女』は笑う。

「そりゃそうだよ。こんな状況で君に電話かけるなんて、おかしいもんね。由梨」
「何か理由があるんだろ?春太」

 気付けば彼女の喋り方は男口調になっていた。
 これが本性なのか。

「もちろんだよ。ねぇ・・・」

 息を吸う。
 ゆっくりと言葉を紡いだ。

「僕、今から死ぬから。見てて?」
「・・・・・・は?」

 由梨はポカンとした表情を浮かべた。

「死ぬって、飛び降りるの?それともリスカ?」
「自殺じゃないよ。あくまで事故」

 直後、轟音が響き渡った。
 由梨は目を見開く。

「琴音に頼んで真治に言ってもらったんだよ。僕が≪反乱鬼≫を全員閉じ込めておくから、このビルを壊して。って」
「そんなことでできるわけないでしょ?ご都合主義にもほどがあるじゃない」
「元からここは壊す予定だったらしいからね。《共有旗》の力なら、それくらいの財力はあるんじゃない?」
「でもッ・・・」
「この際ご都合主義でもなんでもいいじゃないか。ここで僕は死ぬ。そうすれば、君達は自分たちのせいで僕が死んだと悔やみ、自然と仲直り。ハッピーエンド。めでたしめでたし」
「こんなのハッピーエンドでもなんでもないよッ!」
「ハッピーエンドだよ。だって、こんなことになったのは、全部僕のせいだもん!僕がいなければ、二人は僕のことなんか気にせず普通に争うことだってできたじゃないか!僕のせいで打算で働いちゃったんでしょ?僕がいなければ、二人が無理に仲良くする必要もなかった!」
「もう、お前が何をしたいのか分からないし、そんな理由で死ぬのはおかしいって!」
「僕が全てを狂わせてしまったんだ。僕が、僕がいなければ・・・」

 間を開けずに僕たちは叫び合った。
 もう何度轟音が響いたことだろうか。
 何かに着火でもしたのか、火が辺りを包み始めた。

「じゃあ、なんで俺を呼んだんだよ!自分の死を見せたいからか?」
「そうだよ。せめて、君の中で、永遠になりたかったから」

 彼女の頬に手を添える。

「馬鹿だよね。今でも、君のことが好きなんだ。死んでも、君のことを想いつづけてみせる」
「馬鹿・・・言うなよ・・・俺・・・私だって・・・春太のことずっと・・・」

 僕は彼女の華奢な体を抱きしめた。
 何かが焦げる臭いとは別の、良い匂いが僕の鼻をくすぐる。
 僕たちは目を合わせた。
 そして、短い繋ぎ目を作った。
 たとえこれが禁じられた行為だとしても、僕は・・・。

「春太・・・ごめんね」
「何が?」

 次の瞬間、僕の体は窓から放り出された。
 地面に体を打ちつけたが、不思議と痛みはなかった。
 窓を見上げると、由梨が悲しそうに笑っていた。

「由梨ッ!?なんでッ!?」
「死ぬべきなのはあなたじゃない。私だよ。私がいなくなっても、真治と琴音のこと、頼んだからね」

 そう言って笑った。
 そんな顔が見たいんじゃないよ。

「待ってろッ!今すぐそっちに・・・」
「春太ッ!」

 名前を呼ばれ、再度顔を上げると、由梨は笑顔を崩さずに言った。

「大好き」

 直後、その部屋を業火が襲う。
 手を伸ばしても届かない。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.17 )
日時: 2015/11/30 15:14
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「おめでとう。二人とも」
「春太。ありがとう」

 あれから7年経ち、僕も真治も琴音も立派な大人になった。
 といってもまだ21歳だけどね。

「二人とも、お幸せに」

 幸せな二人を見てるのがつらくなり、ついその場を離れてしまった。
 人気のない場所を探して歩く。
 あれから、色々あったなぁ・・・。
 もう、疲れたよ。
 高校に上がっても、大学にあがっても、苦労は纏わりついてきた。
 《覚醒者》だから、なんだというのだ。
 僕は、僕は・・・。
 幸せになりたい、だけなんです。

「なに泣いてるんだよ」

 奇跡。
 僕は、そんなもの信じません。
 それは、決して変わらない事実。
 でも、たまには信じてもいいかもしれない。
 そう思えた。
 なぜなら・・・————。

「君は・・・・・・」
「ずっと、ずっと一緒だよ」
「・・・・・・あぁ」

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.18 )
日時: 2015/11/30 15:22
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

たとえ、世界の何もかもを敵にまわしても、守りたい物はありますか。
それがなんでもかまわない。
もしそれを守りぬけても、だれもすごいなんて言わない。
なぜなら、守り抜くって決めたのだから、それが普通だからだ。

よく分からないセリフで始まったあとがきですが気にしないでくださいw
どうも、凜太郎でっす!
どうでしたか、アウェイカー(笑)
いきあたりばったりな奥の細道な話でしたが、まぁ気にしないでくださいw
あと、今から言うのもなんですが、続編書きます!
真治君と琴音ちゃんとの結婚式までの7年間は、今まで以上に熾烈なものだった、と思います←
まぁ、もう楽しみにしててください!
また次回会いましょう!
さいなら!

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.19 )
日時: 2015/11/30 22:30
名前: Raychell (ID: 9AGFDH0G)

恥ずかしいわ、本当…
なんつか、まぁ…有難う、かな?

今回も驚異の更新速度での素敵な小説を見せてくれましたね。
続編ありとの事ですが、とりあえず完結お疲れ様でしたッ!!

これからも応援させて貰うね。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.20 )
日時: 2015/12/01 20:01
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

番外編「真治と琴音の新婚生活」

「疲れた・・・」

 仕事、というか《共有旗》での活動が今日は思いの外ハードだった。
 まだ中2の頃に《反乱鬼》のボス、米川 由梨が事故に巻き込まれ死亡したらしい。
 その影響でずっと長く続いていた戦いは終結し、今は協力して《覚醒者》を保護し共存を目指している。
 これから忙しくなったら、子供が生まれた時に困るし、そろそろボスの座を誰かに譲って俺は平凡な生活に身を投じようかな。
 そんなことを考えながらマンションの扉を開けた時だった。

「お、おかえりなさいませ。お風呂にしますか?晩ご飯にしますか?それとも・・・わ・・・わ、た、し?」

 我が愛しの妻、琴音は裸エプロンの状態ではにかんでいた。
 待って、何この状況!?
 俺は脳内で何かいけないものが切れないように頑張って固定しつつ、琴音に顔を向けた。

「き、急にどうした・・・?じゃあ、晩ご飯にしようかな」
「そこは私を選んでよ」

 そう言いながら廊下の奥に歩いて行ってしまった。
 二つの綺麗な山が見えたので俺は慌てて目を逸らした。
 少しして服を着た状態で登場。
 素早く晩ご飯の準備をする。
 まるでさっき何事もなかったかのように晩ご飯開始。

「そういえば、今日はいつもより遅かったね。仕事忙しいの?」
「あぁ。ちょっとな。でも、子供産まれるまでには誰か跡継ぎを探すさ。・・・由梨が生きていればな」
「それは言わない約束でしょ?でも春太君も中学卒業してから転校しちゃうし・・・でも、明日の結婚式には来るんだよね?」
「たしかな。幼馴染として、スピーチもしてくれるって」
「へぇ〜。楽しみだね〜」

 いつものようにそんな会話をしながら完食。
 食器を片づけて皿を洗い、風呂に入ったあとは俺にとって癒しの時間が訪れる。

「ハァ・・・真治君ッ・・・無理、だよ・・・入らないってッ・・・」
「いや・・・入った・・・出すぞぉ・・・」

 俺はゆっくりと・・・・・・ゲームのディスクをゲーム機に入れ、ゲーム画面をテレビの画面にだした。
 琴音は機械音痴らしく、ディスクを入れることすらままならない。
 俺はソファに座った。すると、その上から琴音が座ってきた。

「なんだよぉ。画面が見えないだろ〜?」
「じゃあ私を見てよ」

 そう言って俺の方を見た。
 うッ・・・顔が近い・・・。
 なんか良い匂いもするし・・・。

「ねぇ?」
「なに?」
「今から、昔みたいに4人で仲良く遊んだりなんて、できないのかな」
「分からないよ。俺には」
「そっか」

 そう言って俺の胸に頭を付ける。
 ついに我慢の限界が来た俺は、彼女の体を抱きかかえた。
 そして足早に寝室に直行した。


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