複雑・ファジー小説

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覚醒者<アウェイカー>
日時: 2015/11/18 10:05
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

人には魔人の力が宿っているということが発覚し、それは世界に流れを作った。
魔人の力は、全ての人に宿っているが、ほとんどの人間は覚醒せぬままその生涯を終える。
稀に現れる覚醒者を、人は口を揃えてこう呼ぶのだ。
アウェイカー
≪覚醒者≫、と。
−−−
初めましてか何度目まして、凜太郎といいます。
本日から書いていくのは、寝る前の妄想が地味に面白かったので試しに小説化してみようという謎の試みから始まったものです。
廚2病っぽい内容です。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.6 )
日時: 2015/11/19 11:29
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「一体どうなってるんだ。あの町に送り込んだ《覚醒者》の二人と連絡がつかないぞ」

 大きな椅子に座った男がそう言って目の前にいる痩せ形の男を睨んだ。

「すいません・・・どうやら、予想外のトラブルに巻き込まれているらしくて・・・」
「予想外〜?ハッ、化け物並の力を持ってるくせにかよ」
「お前もだろ。《覚醒者》はみんないわば化け物なんじゃないのか」
「正論〜論破されちった〜」

 金髪のボサボサした髪の男がそう言ってケタケタと笑った。
 その横で青い髪の男が溜め息を吐く。

「とにかく、あの二人はまだ下の階級だし、最悪他の《覚醒者》にでもやられたんだろう」
「他ってよぉ〜。この世界に《覚醒者》がどれだけいると思ってるんだよ。なぁ?」
「うるせえよ。お前らさっさと黙れ」

 ずっと黙って話を聞いていた赤い髪の男が低い声でそう言った。
 どうやら苛立っているようだ。

「ちょっとちょっと〜。そんなにイライラしなくてもいいじゃん〜」
「してない。ただ、ちょっと考え事をしたいだけだ」
「考え事?」
「あぁ」
「なになに?」
「お前らに言う必要はない」
「なんでだよ」
「いい加減に黙れよお前ら」

 大きな椅子に座った男はそう言ってため息を吐く。
 いや、大きな椅子だと思ってずっと話していたが前言撤回。
 彼の体は、小さい。
 というか、今自分がいる場所から見れば子供に見えてもおかしくないぞ。

「ところで、さっきから僕たちの話を聞いてた君はどう思う?」

 まずいな。見つかった。
 俺はひとまずこの記録を本部に送り、通気口の中を這っていくことにした。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.7 )
日時: 2015/11/19 15:08
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「春太〜。そこの釘とって〜」
「自分で取れ」
「なんでだよ」

 男2人、虚しく秘密基地作業。
 女子二人は今日はショッピングなんだって。
 いや、琴音は男子に任せるのは良くないっていったんだけど由梨がね〜。

「お前さ、琴音のどこを好きになったの?」
「な、急に何言ってるんだよッ・・・んー、全部、かな」
「全部ね〜」
「お前は由梨のどこを好きになったの?」
「へ?」

 ガツン、と自分の指をトンカチで殴ってしまう。
 痛みに僕は自分の唇を噛む。

「つッ・・・って、そんなことより!なんで僕が由梨のこと好きだって、思うの?」
「いや、見れば分かるだろ。お前、由梨と話す時とか、由梨のこと話す時目キラッキラしてんぞ」
「し、してねえよ!」
「いやいや、してるって」
「だからなんだって言うんだ!」

 しまった。

「自爆じゃねーか。それでどうなんだ?アイツって顔以外に好きになる部分なくね?」
「人の想い人にそういうこと言うなよ」
「はいはい。それで?どこを好きになったんだよ?」

 どこを、か。
 僕の自論は人を好きになるのに理由はいらない、だが、たしかになんで好きになったんだろう。

「ん〜。顔かな?」
「結局そこかよ」

 意外と普通に納得してしまった。
 僕はそれを少し不思議に思いながらも、作業に戻った。

−−−

「戻ったよ〜」
「ごめんね?人任せにしちゃって」

 琴音がそう言って優しく微笑んだ。
 たしかに、琴音を好きになる理由は分かるが・・・。
 僕の場合は・・・。

「春太?何変な顔してこっち見てるの?」
「いや、別に」

 僕はつい目を逸らす。
 その時、ちょうどそこにいた真治と琴音はなんとキスをしていた。

「隠す気ねえのな!?」

 つい叫んだ。
 2人は慌てて顔を離し僕と由梨を見る。

「だって、二人の前では隠さなくてもいいかなって・・・」
「隠せよ!?」
「春太。どうしてそんなに敏感なの?」
「どうしてって・・・」

 反論しようと由梨の顔を見た瞬間、無意識に唇に目が行った。

「な、なんでもいいだろ別に!」
「わけわからない」
「春太君はいつもこんなものでしょ?」
「ひでぇなおい」
「とにかく手伝ってくれよ」
「はいはい」

 今日もこれからも、ずっとこんな日々が続くと。
 この時の僕は信じて疑わなかった。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.8 )
日時: 2015/11/20 16:41
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

「578円になります」
「はい」
「600円お預かりします。22円のお返しです」

 僕はお釣りを受け取り、レジ袋を意気揚々と提げながらコンビニを後にした。
 今日は由梨は琴音と映画館。真治はサッカー部の活動だ。
 帰宅部で特にすることがない僕はコンビニでコーラと漫画雑誌を買い、家に帰る。
 コンビニを出ようとした時、黒い服を着た男の人とぶつかってしまった。
 握りしめていたお釣りを落としてしまう。

「ぅぁッ・・・すいません・・・」

 慌てて頭を下げる。
 やっぱりね、こういうのは早めに謝るのが一番だよね。
 しかし、頭を上げるとそこには誰もいなかった。

「ありえない・・・」

 普通ならイラつくところだが、今は週刊の少年誌を読むことで頭が一杯だった。
 ひとまず落ち着いてお釣りを一円残らず拾う。
 次は落とさないようにと胸ポケットに入れた。

「金を出せッ」

 直後、男の声がする。
 見ると、さっきの人が店員の人に包丁を向けていた。

「ほら急げッ」

 僕は咄嗟にレジ袋を下ろし、目を閉じた。
 しかし、いくら経っても覚醒しない。

「なんでだよッ!」
「あぁ?」

 気付けば、首に包丁を突きつけられていた。

「うるせえなお前。死にたいのか?」
「そういうつもりじゃッ・・・」

 そうこうしている間に、店員さんはレジの袋にお金を詰め込んでいた。
 僕は目をギュッと閉じた。
 何やってるんだよッ!今こそ覚醒しないとダメだろッ!
 その時だった。

「あれ、春太じゃん。偶然〜」

 気の抜けた声がした。
 見ると、由梨と琴音が立っている。

「由梨ッ!琴音ッ!来ちゃダメだッ!」
「なんだこいつら。死にたいのか?」
「うわ、強盗じゃん!ヤバくない?警察に連絡しないと・・・」
「やめろって!」

 次の瞬間、男の包丁を持った手が、由梨に伸びた。
 数瞬後、飛び散る鮮血。

「由梨ッ!?」

 由梨は腕から血を流し、痛そうに顔を歪めていた。
 琴音が心配そうに近付く。
 由梨が、死んじゃう。琴音が、死んじゃう。みんなが、死んじゃう。

「全く、変なマネするんじゃねぇっての・・・」
「お・・・前・・・ッ」

 血がグツグツと煮えたぎる。
 視界が、力が、大きくなる。
 やっとか。

「お前・・・だけは・・・許さねえッ!」

 僕は駆け出し、男の首に蹴りを食らわせた。
 しかし、腕で掴まれた。

「残念!俺も《覚醒者》なんだよね!」
「知らねえよそんなことッ!」

 143発目の顔面へのパンチを入れた後で、血が冷めたのが分かった。

「由梨ッ!」

 由梨は、ひとまず止血中らしく何かの布で傷口を縛ってあった。
 どうやら、今は救急車を待っているようだ。

「由梨、大丈夫か?」
「ん・・・平気。ごめんね?心配かけちゃって」
「大丈夫だよ」
「春太君こそ、怪我とかしてない?」
「僕は平気」
「3人とも大丈夫か!?」

 真治がそう言って駆け寄ってくる。

「由梨が怪我したけど、今救急車呼んでるらしいから大丈夫」
「勝手に決めないでよ」
「大丈夫じゃん」
「うるさい」
「平気そうで嬉しいよ」

 あれ、真治の顔に微かな陰りが見えたような・・・?
 まぁ、気のせいか。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.9 )
日時: 2015/11/21 22:08
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

 夏祭り。
 近所の神社で毎年行われる恒例行事だ。
 いつものように神社の鳥居の前で待つのだが・・・・・・。

「遅い」

 待ち合わせの時間をとっくに過ぎているのに、僕以外現れないのだ。
 イライラする。

「ごめん!待った?」

 少しして、由梨、真治、琴音が来る。
 なんと3人同時だった。

「なんで同時なんだよ!?まさか・・・?」

 僕の訝しむような視線に彼らは苦笑した。
 何か言おうと開いた口を見て、僕はすぐに言った。

「まさか、前に僕が遅れたからその仕返しか?」
「・・・・・・へ?」

 笑顔でフリーズ。
 あれ、もしかして違った?

「あ、はは・・・ほら、やっぱりすぐにバレたじゃないか」
「あーあ。つまんないの。このままバレすにやるつもりだったのに〜」

 うわ、こいつら最低じゃん!

「なんだよ〜。僕一人にするとかひっど!」
「前に遅れた人のセリフとは思えないね」

 まぁいいや、と由梨は笑い僕の腕を握った。
 え、腕!?

「ほら、もうすぐ花火始まっちゃうよ!あっちのベンチから見ようよ!」
「ぇぁあ!?」
「おお!俺達も行こうぜ琴音!」
「え?う、うん・・・ッ!」

 人ごみを掻き分け、花火が見える場所にでる。
 直後、バァァーンッ!轟音が響く。
 見ると、夜空に大きな花が咲いていた。

「うわぁ、始まっちゃった」
「綺麗〜」
「ホントだな」
「大きい・・・」

 いつの間にか、真治と琴音は恋人繋ぎをしていた。
 僕の腕はすでに放されている。
 少しだけ残念。

「綺麗だね」
「そうだね」

 しばらくして、花火終了。
 僕たちは適当に屋台を見ながら周った。
 その時、キーホルダーを売っている屋台を見つけた。
 僕はなんとなく見てみた。
 すると、面白い物を見つけたので慌ててみんなを呼び止める。

「ねえねえ見てこれ!」
「んぁあ?どうした?」
「あ、これ・・・」

 それは、手のひらよりも二回りほど小さな星のキーホルダーだった。
 鎖ごとで、4等分されている。

「これいいよね!僕たちの友情の確認だよ!」
「友情、か・・・」
「うん。いいと思うよ!」

 みんなで割り勘して購入する。
 それはネックレスになっており、僕たちはそれを首にかけた。

「僕たち、ずっと親友だよな!」
「あぁ」
「もちろん!」
「うん」

 僕たちは乾杯のようにネックレスをぶつけた。
 あぁ、この時の僕はまだ、純粋すぎたんだ・・・。
 さて、すでに伏線はばらまかれた。
 これをどう解釈するかは、君次第だよ。

Re: 覚醒者<アウェイカー> ( No.10 )
日時: 2015/11/22 09:29
名前: 凜太郎 (ID: 1Fvr9aUF)

 ヤバい、見つかったッ・・・。
 俺は廊下を走り抜ける。
 しかし、不運。ちょうどそこにはここのボス様が立っておられました。

「いやはや、楽しい鬼ごっこだったよ。でも、残念だね。君の負けだよ」
「ぐッ・・・」

 俺の周りをソイツの部下が取り囲む。
 正直、勝てる気がしない。

「しかし、驚いたよ。まさか君だったなんてね」
「えっと、どこかで会いましたっけ?」

 というか、コイツの顔も見えないし。
 黒いフードやらで全身を覆い、背格好すら分からない。
 顔は同じく黒いマスクで隠れている。
 それに、男の知り合いを思い出したがこんな声俺は知らない。
 一体、コイツは誰なんだ?

「ふふ・・・さすがに気付かないよね。いいよ。この際だから教えてやるよ」

 そう言いながらボイスチェンジャー付きのマスクをゆっくりと外していく。
 その顔を見た瞬間、俺は戦慄した。

「な・・・なんで、お前が・・・?」


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