複雑・ファジー小説

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ナルシスト美少女の冒険記
日時: 2017/07/21 08:51
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

久しぶりに新作を公開します。
今回はアクションファンタジーです!

Re: ナルシスト美少女の冒険記 ( No.3 )
日時: 2017/07/21 08:59
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

その時である。
どこからともなく馬の蹄の音が聞こえる。次第に大きくなる音。何者かが迫っているのだ。

「ヒーハー!」

テンションの高い叫び声と共に土埃をまき散らしながら、馬に乗った一人の男が颯爽と現れた。

「正義の味方ロディ参上!」

滝川より淡い金髪に濃い緑の瞳。
ウエスタンガンマンの服装をした男は馬から飛び降り、ガンベルトから二丁拳銃を引き抜き構える。

「ロン毛で貴族みたいな恰好した坊主。俺が来たからもう安心だ。
この最低野郎共は俺が全員始末してやる」
「ボクは女だよ」

すると男は目が点になり。

「ありゃ、女だったか。男みたいな服装なものだからつい……」
「別にいいよ。よく中性的って言われるからね。だから髪を伸ばしてる」
「なるほどね」

ここで男はゴブリン達に視線を戻し。

「お前ら逮捕されるのと死ぬの、どっちがいい?」
「両方嫌に決まってんじゃねぇか。バーカ」
「そうかい。それなら、あばよ」

刹那、ゴブリン達全員の頭部に穴が開き、彼らは穴から噴水の如く血を流して倒れる。当然ながら全員死亡していた。
ロディが完璧な正確さと早撃ちで彼らの頭部を撃ち抜いたのだ。

「俺が酒場で飲んでいる間に脱獄するとは……連中も考えたものだぜ」

ブツブツと文句を言いながら、滝川に手を貸し引き起こす。

「ありがとう。君のおかげで助かったよ」
「悪人から人を守るのが保安官の仕事だからな。
それでお前、見慣れない顔だがどこから来た?」
「信じられないかもしれないけど、ボクは別の世界から来たんだ。
元の世界に帰りたいけれど方法がわからないから、情報を求めて街を目指しているんだよ」

話を聞いたロディは意外にもあっさりと彼女の話を信じてくれた。
そして彼は腕組をして深刻な表情で考え込む。
もしかすると何か帰るための方法を知っているのではないか。
期待に胸を膨らませ訊ねると、彼は深刻な顔で答えた。

「さっきからずっと言おうかどうしようかと迷っていたんだ。
お前がどうしても知りたいというなら教えてもいい」
「知りたいね」
「じゃあ教えよう。耳の穴をかっぽじってよく聞け。
お前は臭い!」
「え?」

顔をしかませるロディに滝川は口をぽかんと開ける。
常に清潔を心がけてきた彼女にとって、ロディの発言は信じられないものだった。彼は彼女に構わずに話を続ける。

「血と汗、砂や泥の混じった悪臭がする。お前は何日風呂に入ってない?」
「二日かな。でも君も女の子に、それも美しいボクに失礼なことを言うね」
「事実だ。諦めろ。そして早く宿を見つけて風呂に入れ」

ロディは真顔でそれだけ言うと馬に跨りどこかへ行こうとする。
それを滝川は慌てて引き止める。
ここで彼に逃げられては疲労が限界を迎え負傷した体では街まで歩くのは不可能。街に行き宿を見つけて風呂に入り悪臭を消すには、彼の力が必要不可欠だった。

「待ってくれ! ボクはもう疲れて一歩も歩けない。だから、街まで連れていってほしい」
「街までここから五〇〇キロもある。普通の人間が歩くのは不可能だ。
かと言って俺も面倒臭いから断りたいが、お前を見捨てるのは心苦しい。だから」
「だから?」
「今日は俺の家に泊めてやる。乗れ」

元々ゴブリンが脱獄したのはロディが酒場で飲んでおり、牢屋の警備を怠慢していたからである。自分のミスが原因で彼女に重傷を負わせたのだ。
結果的に滝川の命は救えたものの、あと一歩遅かったら彼女はゴブリン達に殺されていただろう。
命の危機に晒された上に風呂も入れず宿もなく困り果てている少女。
これを見捨てるのは保安官としても人間としても最低の行為。
さりとて街まで五〇〇キロもある。
滝川は二日風呂に入っていないということは、当然ながら金がないことを意味する。もちろんこれまで何も食べずにこの森まできたのだろう。
空腹と怪我を負った彼女を馬に乗せて走れば、最悪の場合、途中で彼女が死んでしまうかもしれない。
それならば一度自分の家に泊めて、食事と風呂を与えて体力を回復させてから送った方が遥かに安全だ。
もっともこれで自分のミスが消える訳ではないが、それが今自分にできる精一杯の謝罪だろう。
言葉にこそ出さなかったものの、ロディは彼女の手を取り、自分の後ろに乗せる。

「いいか。俺の腰をしっかりと掴め。ゆっくり行くが、落ちないように気をつけろ」
「うん」
「よし。じゃあ行くか」

こうしてロディは自分の家へと愛馬を進めた。
スピード狂のロディは本来ならばいつものように愛馬を最高時速で走らせ爽快感を味わいたかった。
けれど今は後ろに怪我人がいる。
自分の欲望を押し殺し、滝川の身の安全を最優先にすることにした。
普段の彼からは考えられない行動なのだが、それだけ自分がしたことの責任の重さを感じていたのだ。



ロディは小さな田舎村の保安官として働いている。
住民自体は温厚なのだが砂漠と森に囲まれた村のために、そこを住処としているモンスター達の犯罪の被害に遭うことが非常に多かった。
ロディが保安官に就任してからと言うもの、過去と比べると犯罪の件数自体は明らかに低下しているものの、それでも他方と比べると依然高いままだ。
理由は二つあった。
凶暴なモンスターが多数生息するこの村一帯をロディ以外の保安官は怖がって誰もこの場所には来ないこと。
もうひとつは住民が被害に遭ってもロディに報告をしないことだ。
普通ならばモンスターの襲撃に遭っているのならば保安官に助けを求めるのは当然である。
しかしロディは街中を暴れ馬で乗り回り、被害を顧みずに店の中であろうと民家であろうと関係なく窓を壊して乱入し、捕まえるまで犯人を追いかけ続け、キレると容赦なく発砲して犯人を殺害することも頻繁に遭った。
つまりこの村は「凶悪犯より危険な保安官が守っている」状態であり、ロディの犯人逮捕の巻き添えに遭うよりはモンスターの襲撃に遭った方がマシ、と住人達は思っている。
村の被害を最小限に抑えるために村人は極力彼に頼まないのだ。
色々と保安官として問題のあるロディだったが、どうにか自分の家(交番)に滝川を連れてくることができた。
西部劇に出てくる木製の扉を抜けて入ると、中は机と椅子、冷蔵庫に風呂場、そして奥には牢屋があるだけのシンプルな作りである。
滝川をお姫様抱っこで家まで運び、椅子に腰かけさせる。
そして冷蔵庫からペットボトルに入った水を取り出し彼女に放り投げた。

「飲め」
「ありがとう」

喉が渇いていたこともあり一気にそれを飲み干す。
豪快な飲みっぷりにロディは感心していたが、ここで真剣な顔になり、

「悪臭がたまらんからまずは風呂に入って欲しいが、まずは怪我の治療が先だ」
「身体よりも心が傷ついたよ」
「ほんとのことなんだから仕方ないだろ。ま、怪我が治れば風呂にも入れる。
匂いも消えて俺もお前もハッピーだ。そうだろ?」
「そうだね」
「じゃあ魔法使いに電話をかけるとするか」
「魔法使い? お医者さんじゃなくて?」
「内蔵系の病気ならともかく、打撲や怪我なんかは魔法使いの回復魔法の方が効果も高くて治りも早い」

この世界では医者と魔法つかいがおり、内臓系や感染症は医者が、怪我や火傷、打撲などは魔法使いが担当している。
特に魔法つかいは電話一本あれば瞬間移動で駆けつけるため、緊急性の高い場合に重宝されていた。
ロディは机の上にある黒電話で魔法使いに電話をかける。
依頼を受けてきたのは長い白髪に白髭という典型的な老人の魔法使いだった。
彼は滝川に回復魔法をかけるとロディから報酬を受け取り、現れた時と同じように消えていった。
徐々に滝川の身体の切り傷や打撲が消えていき、同時に服も修復されていく。
傷は癒えたがすぐに風呂に入るのは身体によくない。

「ボクはどこに寝たらいいのかな」
「あそこに決まっているだろ」

彼が指差したのは何と牢屋。

「ボクは何も悪いことしてないんだけど……」
「そりゃそうだが、個室でベッドもある。贅沢言うな」
「他の場所はないの?」
「お前金がないんだろ。泊まれるだけありがたいと思え」
「でも——」
「ゴチャゴチャ言わないで、さっさと寝ろ」
「嫌だ!」
「さっさと入れ!」

抵抗する滝川の服の後ろ首を掴むと、牢屋の鍵を開けて中へ彼女を放り込むと、鍵をかけた。

「ボクはここに入るべき人間じゃない!嫌だ! ここから出してくれ!」
「おとなしく寝ておけ。俺はパトロールがてら酒でも飲んでくる」

以上が滝川が牢屋へ入れられた顛末である。

Re: ナルシスト美少女の冒険記 ( No.4 )
日時: 2017/07/21 09:01
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

「おい、起きろ。いつまで寝ているんだ」
「フッ……そんなことを言っているけど、君はもうボクの美貌にメロメロだ……」
「寝言なんか言っている暇があったら、さっさと起きろ!」

翌日の朝。眩しい太陽の光が牢屋に差し込み、滝川は薄らと目を覚ました。
彼女は眠たい目を擦って、外に出る。
どうやらロディが開けてくれたらしい。
彼女はロディを見ると、ぷぅっと頬を膨らませた。

「どうした? 怒っているのか?」
「当然だよ! 美しいボクをあんな暗くて狭い場所に閉じ込めるなんて!」
「昨日からずっと気になっていたんだが、お前は何でそう『美しい』ばかり連呼するんだ?」
「君にはわからないのかい。ボクの美しさが」
「全くわからねぇな」
「!?」

ロディの一言は滝川に強い衝撃を与えた。幼い頃から自らの容姿に絶対の自信を持ち、周囲の人間もそれを認めていただけに、『美しい自分に周りが尽くしてくれるのは当然』と考えていた滝川には、ロディの言葉が信じられなかった。
まさか、異世界とはいえ自分の美しさが通用しない人間がいるとは。

(嘘だ。あり得ない。ボクの美貌に惚れない人間など存在する訳がない)

「そんな台詞を言われたのは生まれて初めてだ。君は本気でボクを美しいとは思わないのかい」
「生憎、俺は人間より馬が好きでね。お前がどんなに美しかったとしても愛馬の前には霞むさ」
「そんな!」

滝川はがっくりと膝を落とし悲観する。

「負けた。このボクが馬に……!!」

と、同時に自分に初めて敗北を知らしめたロディに、彼女は内心対抗意識を燃やす。

(こうなったらいつか必ず、彼にボクの美貌を認めさせてみせる!)






「これが朝食?」
「そうだ。美味いぞ、食え!」
「……」

テーブルに並べられた朝食を見て滝川は絶句した。そのメニューが牛乳に蛇の丸焼き、そして山盛りのアリのフライだからだ。
ロディはまるでポップコーンを食べるかのようにアリを口の中へ放り込むと、食事に手を付けようとしない彼女に口を開く。

「なんでさっきから食べようとしないんだ?」
「ボクの住んでいた国ではこういうものを食べる習慣がなくて」
「食わず嫌いばっかしてると強くなれねぇぞ」
「そんなこと言われても……」

この地方では蛇やアリなども生息しており、ロディはそれを好んで食べていた。
本人の弁によると体を強くする食べ物らしいが真偽のほどは定かではない。
彼は滝川が食べないと判断し彼女の料理を奪い取り、代わりに自分が食べた。

「こんな美味いものを食べないとは、お前は人生を損しているぜ」
「この世界の人はみんな朝食にアリとか蛇を食べるのかい?」
「いや! 食っているのは俺ぐらいなもんだろうな。
大抵の連中はフライドポテトとか目玉焼きとか、トーストとかを食ってる」
「ボク達の世界にも同じ名前の料理があるよ」
「名前が同じでも俺とお前は住んでいる世界が違うからな。
俺とお前の想像している料理が違うってこともあるわけだ」

ロディは手を叩いて椅子から立ち上がると、扉を開けて外へ出る。

「どこへ行くの?」
「今からこの世界の料理を買ってくる。同じ料理かどうか、お前の目で確かめろ」

三〇分後、ロディは大きな袋を抱えて帰ってきた。

「ほらよ。買ってきたぜ」

彼がテーブルの上に置いたのは滝川の住んでいた世界と変わらない、ハンバーガーにフライドポテト、トーストだった。

「どうだ? お前が食っていたのと何が違う?」
「同じだね。名前から見た目も変わらない」
「そいつはよかった。まあ、早く食え」

滝川は二日間の空腹を埋め合わせるように大量の食べ物をむさぼり食うと、口を白いナプキンで拭いて手を合わせた。

「ご馳走様でした!」
「食い終わったな。じゃあ早く風呂に入れ」
「あっ——」
「どうした?」
「ボク、この服以外持っていないんだよ」
「服なんて俺のを着ればいいだろう?」
「それはできない相談だね。
まずサイズが違うし、下着は女の子用しか着ない主義なんだ」
「しょうがねぇな。買いに行くぞ」

服を買うべく、ロディと滝川は村へと出かけた。
この選択が大きな誤りになるとも知らずに。

白馬に跨り、気持ちのよい風に吹かれながら滝川は昨日からの疑問をロディにぶつけた。

「君はどうしてボクに親切にしてくれるのかな。見ず知らずのボクに」
「ゴブリンに集団で襲われているお前を見捨てることが出来なかった」
「それに、どうしてボクが異世界から来たと言った時に信じてくれたの?」
「お前の目が嘘を言っているように見えなかった。質問はこれで終わりか」
「あとふたつだけいいかな。
ボクはずっと異世界という場所は剣と魔法があって騎士がいて、王様がいる中世時代のイメージがあったんだ。だけどこの世界にはモンスターはいるけれど、とても近代化していている。
ボクの目から見て一九八〇年代の日本だ。
日本はボクが生まれた国で、ボクが生まれる約二〇年ほど前の文明レベルにそっくりだよ。
なんでこんなに文明が進んでいるの?」
「この村は田舎だから都市と比べると近代化していないけどな。それでもまあ、ペットボトルや冷蔵庫なんかはある」

だからロディの家には冷蔵庫もペットボトルもあったのか。
あの時は喉が渇いていたので訊ねる元気こそなかったが、滝川は昨日から気になってたのだ。
ロディは話を続ける。

「今から五〇年前にこの世界に来たある男が色々と近代技術を教えてくれたからだ。
その男は偉大な奴でそいつがいなければこの世界は魔王に支配されていただろうし、文明もここまで進んでいなかった。
今ではお前達の世界の日本のガキ共が自分の人生に不満を持って、異世界転生という裏技で安易にこの世界に来て人生をやり直そうとしている。
お前の世界で本気を出せない奴がどうしてこの世界で本気を出せる?
それに人生をやり直そうと強力な力を振ったところでそんなものは神からの借りものだ。
自分の努力で得た力ではない。
全く反吐が出るぜ。それで、最後の質問は?」
「この世界に住んでいるモンスター達って何なの?」

するとロディはニイッと笑って答えた。

「反則的な力を使い私利私欲を満たし続けた、異世界転生者達の成れの果ての姿だよ」
「!!」
「質問はこれで終わりだな」
「うん、ありがとう……」



ロディが警備しているのは人口三〇〇人ほどの小さな村だ。
規模はどれも小さいが小売店や洋服屋などもあり、それほど生活には困らない。
彼は滝川を村で唯一の服屋につれていき、服を選ばせる。

「どうだ。決まったか」
「うん。どうかな?」
「前とあまり変化がないな。しいて言えば下がスカートになったぐらいか」

滝川は赤色の軍服風のジャケットに超ミニスカートという格好だ。

「お前は何でそんな男みたいな格好にこだわるんだ」
「この方がボクの凛々しさが際立つんだ」
「でも暑いだろ? ラフな服装を選んだらどうだ?」
「フフフ。中は普通のシャツだよ」

ジャケットを脱ぐと彼女は白いシャツを着ていた。

「正直言ってお前の美意識は理解できないな」
「今は気づかなくてもいつかはわかるよ。ボクが世界で一番美しい存在だと言うことがね」
「さっさと元の服に着替えろ。会計に行くぞ」

滝川を元の服に着替えさせ、一緒に会計に向かう。
商品を清算しながら、会計係の男性店員がロディに話しかける。

「ロディ保安官。そちらの女の子はどうしたんですか」
「森でゴブリンに襲われていたところを保護したんだ」
「綺麗な子ですが、お名前は?」

ここにきて初めて、ロディはまだ滝川の名前を聞いていないことを思い出した。
滝川は髪に触れると穏やかな微笑を浮かべ。

「ボクは滝川麗。異世界から来たんだ」
「異世界から……だって!?」

こぼれ落ちそうなほど目を大きく見開き、口をあんぐりと開ける男性店員。
その様子にロディは眼光鋭く睨み、低い声で言った。

「早く会計を済ませろ」
「は、はいッ!」
「釣りはいらん」

素早く代金を払って服の入った紙袋を受け取ると、滝川の腕を掴んで強引に店を出る。

「ロディ、急に慌てだしてどうしたんだい」
「今は話している暇はない。全速力で家に帰るぞ」

いつものヘラヘラとした陽気な表情とは違う、眼光鋭く深刻な顔に滝川もただ事ではないと悟る。
ロディは滝川を乗せ、風のような速さで家に帰る。
そして家の扉に鍵をかけ、落ち着いた声で言った。

「まずは風呂に入れ」
「ボクの一糸纏わぬ美しい姿を見たかったら君も入っていいんだよ」
「早く入れ!」
「う、うん……」

彼の凄味に圧倒され滝川は大人しく指示に従う。
シャワーから出るお湯に撃たれつつ、その気持ちよさに天にも昇る心地よさを覚えていた。風呂が何よりも好きな彼女にとって、三日間も入れなかったのは地獄同然だった。なのでこうして念願だった風呂に入れるのは嬉しいのだが、反面、なぜロディの余裕の無さが気がかりになる。

(思い返せばボクが店員さんに自己紹介をした時からロディの様子が変わった。
そこに何かあるに違いないけれど、一体何が——)

考えても答えが出なかったので、浴室の外にいる彼に声をかける。

「さっきから様子が変だけど、何かあったの?」
「店員にお前が異世界から来た存在だと言うことがバレた、これが問題だ。
お前の素性は絶対に村の連中にバレてはいけなかったんだが、それを忠告し忘れた。
これから起きることは、全部俺の責任だ。
お前は何も悪くないのに迷惑ばかりかけてすまない……」

この二日間、滝川はロディの謝罪の言葉など聞いたことがなかった。
その彼が謝るのだ。これから何か余程のことが起きるのだろう。

「一体、これから何が起きるの……?」

滝川はシャワーのお湯を止め彼に訊ねる。
言葉の語尾は未知への恐怖により、かすかに震えていた。
互いが沈黙し、静寂な時だけが過ぎていく。
先に口を開いたのはロディだった。

「住民たちが激怒してこの家に攻めてくる。闘う覚悟はあるか」

Re: ナルシスト美少女の冒険記 ( No.5 )
日時: 2017/07/21 10:32
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

滝川には分からなかった。
自分とロディは村で買い物をしただけで住民の怒りを買った覚えはない。
けれど彼の普通ではない慌てた様子から冗談でないことはすぐにわかった。
着替え終わった彼女にロディは冷静な口調で問うた。

「さっき、俺がこの世界にはお前の世界から多くの異世界転生者が来たと話したのは覚えているか」
「ついさっきのことだからね、もちろん覚えているよ。でも、それとこの家に住民が怒りで襲撃することの何の関係があるの?」
「異世界転生者はな、この世界で調子に乗って強大な力で住民達を虐げたんだよ。レベルがどうのハーレムがどうのと、俺達にはまるで訳のわからないことを言いながら多くの罪のない住民を殺しまくり、美少女を囲み……お前の世界に何の不満があったのはわからんが、とにかく奴らは悪行をやりまくり、多くの人々を不幸にした」
「……」
「結果的に奴らは魔王の怒りに触れ、化け物に姿を変えられてしまったが、家族を奪われ、幸せを奪われた人々の怒りや怨みは消えない。
お前は転生者ではないが、異世界から来たことには変わりがない。
容姿は俺達に似ているが、お前の名は異世界の名だ。
連中には同じに見えるんだよ。お前も、転生者も」
「だからあの時、ボクが異世界から来たと聞いてお店の人は驚いたんだね」

ロディは静かに頷く。

「長い時間をかけて転生者の苦しみを忘れようとしていたこの村に、再び異世界からの人間が来た。悲劇が繰り返される。そう思っているんだ」

刹那、窓ガラスが砕ける音がして家の中に何かが飛んできた。
よく見るとそれは拳ほどの大きさの石である。

「どうやら早くもお出ましになったようだぜ。外を見てみろ」

滝川が窓から家の外を覗くと、大勢の人々が家を取り囲んでいた。
彼らは口々に「出てこい!」と怒鳴り声をあげている。
ロディは立ち上がり、テーブルの上に置いてあった銃を手に取る。

「何するの!?」
「俺が時間を稼ぐ。お前はその隙に逃げろ」
「ダメだよ。命を粗末にするようなものだ」
「お前が逃げられるのならそれでもいい」
「どうして!? なんでボクにここまで!」

彼の肩を掴んで揺さぶる滝川の目には涙が滲んでいる。
滝川はロディの真意が知りたかった。けれど彼は優しく肩から彼女の手を離し。

「理由は聞くな。とにかく今は全力でお前を逃がす。それだけだ」
「戦う以外の選択肢はないの?」
「何が言いたい」
「ボクは外にいる人にも君にも傷ついて欲しくない。
だから言葉で説得してみたいんだ」
「……わかった。だが、お前が駄目な時は俺流のやり方をするぞ」
「ありがとう」

二人は扉を開けて外に出る。
外には大勢の住人が集まってきていた。
滝川はロディより一歩前に出て、大きな声で訴えた。

「みなさん、なぜこの家に暴力で押しかけようとするのですか」
「異世界人がいると聞いたからだ」
「洋服屋から聞いたぞ。保安官が異世界人を庇っているってな。お前がそうか?」
「ボクが異世界から来たのは本当です。ですが、ボクは皆さんに危害を加えるつもりはありません!」
「都合のいいことを言って油断させ、俺達が寝込んだところを奇襲して全滅させる気だろ!」
「そうだ、そうだ。お前の言うことなんて誰が信じるものか、この悪魔め!」

一人の男が滝川に卵を投げつける。
それが彼女の髪に命中し、割れた卵が髪を濡らす。

「落ち着いてください。ボクは武器も特別な力もありません。
ボクはただ、元の世界に帰りたいんです!」
「黙れ、私利私欲を肥やすことしか能がない異世界人め!」

五〇人を超える住民達が一斉に野次を飛ばし、石や卵、泥などを手当たり次第に投げつける。雨あられと投げつけられる石などに負傷し血を流す彼女だが、説得を諦めようとはしない。
すると、一人の女の子が前へ飛び出してきた。

「おねえちゃんをいじめないで!」

小さな体を盾にして滝川の前に立ち、懸命に彼女を守ろうとする。

「君は!」

その少女は先日、滝川がりんごを拾ってあげた少女だ。

「おねえちゃんは私をゴブリンから守ってくれたの。悪い人なんかじゃない。
エミリー、わかるもん!」

自分は命を守ってくれた。だから今度は自分が彼女を守る番。
小さな少女エミリーはその一心で住民と滝川達の間に割って入ったのだ。
住民も幼女を巻き込むことに躊躇いが生まれたのか、物を投げつける動きは止んだ。
ロディはその時を待っていたとばかりに指笛を吹いて愛馬を呼び出す。
群衆を軽々と飛び越え、愛馬はロディの傍へ降り立つ。

「エミリーのおかげで俺が時間稼ぎをする必要はなくなったな。じゃあ、行くか」
「……そうだね。でも、ちょっとだけ待ってくれないかな」

滝川はエミリーに近づくと、彼女を優しく抱きしめた。

「守ってくれてありがとう。その気持ちだけで嬉しかったよ」
「お姉ちゃん、村を出て行くの?」
「みんなを怖がらせる訳にはいかないからね」
「さよならは嫌! エミリーも行く!」
「君がいなくなったらお母さんが悲しむよ。君はここでお母さんの笑顔を守るんだ」

彼女の涙を指で拭くと、安心させるようにニコッと笑ってロディの愛馬の後ろに跨る。ロディが威嚇の意味で一発上空に発砲すると、皆は怯えて道を開けた。

「お前達を守り続けた俺がバカだったよ!」

それだけ言い残し保安官と美少女は村を去っていった。
だが、これは二人の旅の始まりでもあった。

Re: ナルシスト美少女の冒険記 ( No.6 )
日時: 2017/07/21 20:18
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

「お腹が空いたけど、お昼ご飯はまだかな」
「何を呑気なことを言ってやがる。もう、飲む水もないんだ」
「冗談だろう?」
「考えてもみろ。急に家を出たものだから、持ってこれたのはお互いの着替えと一日分の食料だけ。しかもそれも昨日と今日で尽きちまった。
それにお前、こんな場所でレストランでもあると思うか」
「あってほしいものだよ。ボクのいた世界では二四時間経営のコンビニが一キロ置きにあったものだよ」
「そうかよ。だが、ここにはそんな便利でありがたいものはない。
何故なら俺達が歩いているのは……砂漠だから」

村を出た二人は森を抜けた先にある砂漠を歩いていた。
灼熱の太陽に砂だらけの場所に滝川は三日ぶりに戻ってきたのだ。
滝川の長い髪は汗でへばりつき、着ている服や白い手袋からは汗が滲んで滴り落ちている。ロディは横目で滝川を見て口を開く。

「いい加減に上着や手袋を脱いで楽になれ。少しは涼しくなるだろう」
「ボクの美しさがダウンしてしまう。このお洒落な服装を着てはじめて、ボクの魅力は最大限に輝くんだ」
「いくら美しくても、誰も見てないんじゃ意味がないな」
「君は幸せ者だよ。この広い砂漠の中でただ一人、完璧な美しさを持つボクをひとり占めできるんだから」
「お前のやかましい自慢話を聞いていると、余計に暑くなってきた」
「これは我慢大会だよ。ボクと君、どちらが服を脱がずに耐えられるかのね」
「ヘッ、それで罰ゲームは何にするんだ?」
「そうだね。じゃあ——」

滝川が罰ゲームの内容を口にしようとした刹那、何者かの声がした。

「罰ゲームは俺達に殺されるってのはどうだぁ?」
「君達は!」
「ヘッヘッヘ、また会ったなお嬢ちゃん。今度は前のようなヘマはやらかさねぇ。
確実にお前の息の根を止めてやるぜ、そこの保安官と一緒にな」

現れたのは前に滝川を襲おうとして失敗したオークの一団だった。
彼らは先日滝川に翻弄された怨みを忘れず、滝川が村から出てくるまで待ち伏せしていたのだ。
二人はたちまち囲まれ、八方塞がりとなる。
互いに背中合わせとなり、オーク達を睨む滝川とロディ。

「ハッ!」

早速滝川は上段蹴りを見舞うが、簡単に弾き返されてしまう。

「何故だ。前は効いたのに!?」

するとオークのリーダーはブヒブヒ笑い。

「この前はちょっと油断しただけだ。人間よりもずっと頑丈な俺様達にお前の貧弱な蹴りが効く訳ないだろう」

滝川は自分がオークを倒せるほどの戦闘力を秘めていると思っていた。
だが実際はオーク達が本気を出していなかっただけと知り、その自信は粉々に砕かれ、彼女は地面に両膝を付く。

「お前なんてナルシストのただの女の子なんだよォ!」

オークのモーニングスターの一撃を食らい、滝川は吐血して倒れ伏す。
肉体のダメージよりも精神を傷つけられ、彼女は立つ気力も失っていた。
それを見たロディは声を張り上げる。

「何をやっていやがる。敵に背中を見せるのは、自分から殺してくれと言っているようなものだ」
「ボクの蹴りは彼らには通じなかった。やはりボクなんかが立ち向かっていいような相手じゃなかったんだよ」
「いつものお前らしくねぇな。たった一回攻撃を弾かれたぐらいでよ……」
「もう放っておいてくれ。ボクはダメな奴なんだ」
「ああ! もう、面倒クセェ! 攻撃がまだ完全に通じないと決まった訳じゃねぇだろ。諦めなければ道筋は開けるってことを、今からお前に教えてやるッ!」

ロディは得意の銃をガンベルトに入れたまま、素手だけで一〇体のオークに猛然と挑んでいく。

「む、無茶だロディ。君一人で闘うなんて無謀過ぎる!」
「無茶? 無謀? 残念ながら俺にそんな言葉は通じないね。
何故なら俺は、これまで一度も『できない』と思ったことのない人間だからさ!」

腕を引き、オークの鎧に拳を撃ち込む。だがその堅さに逆に自らの手の皮が裂け、血が噴き出す。

「保安官さんよ。何をやったって無駄だぜ。俺らの鎧は砕けねぇよ」
「お前らみたいな豚野郎に、自分の可能性を決められたくはないね」

パンチの連打を幾度もオークの鎧に当てていくと、次第に鎧に拳状の凹みが生まれる。

「おおおおおッ!」

血塗れの両拳で炸裂させるパンチの雨は、ついにオークの鎧を粉砕した。

「馬鹿な。俺の鎧が……!」
「人間、諦めなければ何でもできる!」

ロディは滝川に向けてウィンクをする。
彼は滝川のマイナスの考えを自らの行動で変えてもらいたかったのだ。
だが、滝川は起き上がらない。
敵のど真ん中で完全に戦意を喪失してしまったのだ。
普段が自信満々な分、その自信を砕かれると滝川は非常に脆いのだ。

(畜生。あいつにも闘って欲しかったが仕方がねぇ)

保安官はついに必殺の銃を引き抜き、その銃口をオークに向ける。

「俺の本領を受けてみやがれ」
「撃てるもんなら撃ってみな!」

オーク達はモーニングスター、剣、槍、大斧などで彼を狙うが、ロディはそれを側転で避けつつ、回転の合間に発砲して一人ずつ止めを刺していく。
アッという間にオークは白いモヒカンが特徴のリーダーだけとなった。

「仲間はみんな俺に殺されちまったが、どうする?
このまま泣いて帰るなら見逃してやってもいいぜ」

拳銃で己の肩を叩きながら情けをかける。その姿は様になっていた。
リーダーオークは脂汗を流しながらも、鼻息荒くロディに突進してくる。

「俺の仲間を許さねえええええぇッ!」
「お前らが攻撃したから悪いんだろう」

至極真っ当な意見を告げると、オークの額に弾丸を撃ち込んだ。

「結局一人で倒しちまった。こいつが一人前になるのはいつの日か。
先が思いやられるぜ」

ショックと疲労のせいで静かな寝息を立てている滝川にそっと自分の上着を被せ、彼女を起こさないようにして傍を離れると満天の星空を眺め、一人呟く。

「アンタとの約束、必ず守ってやるからな」

Re: ナルシスト美少女の冒険記 ( No.7 )
日時: 2017/07/22 06:44
名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)

「ロディ……聞こえるか、ロディ」

満天の星空を眺めていた彼の耳に何者かの声が飛び込んできた。
低く威厳がありながらも温かみに満ちたその声に、ロディはパッと跳ね起きた。
そして周囲を見渡すが、滝川を除いて人の気配はない。
気のせいかと思い再び寝転がろうとするものの、やはり気がかりで寝ることができない。
先ほどの声は俺が忠誠を誓った男の声だ。
俺が聞き間違えるはずはないし、誰かの物まねというのも考えにくい。
だが何故だ?
あの男はこの世界に存在しないはず。
それなのになぜ、今になって奴の声が聞こえたのか。
様々な疑問が彼の頭を掠める中、再び声がした。

「ロディ、聞こえるなら返事をしろ」
「……隊長、どこにいるんだ。隠れるなんてアンタらしくねぇよ」
「私は君の魂に直接語りかけている。君も知っているはずだ、私がこの世界にいないことを」
「すまねぇ。覚えてはいたんだが、アンタの声を聞くと懐かしさについ喜んじまった」
「君の前に姿を見せられないのは、とても残念だ。できることなら、君と再び戦いたかった」
「いや、いいんだ。アンタの声を聞けただけで俺は幸せだ。
それはともかく、なぜ魂で語りかけてきた」

ロディの質問に声の主は押し黙る。
暫くの沈黙が流れ、聞こえるのは風の音だけだ。
保安官は相手が話を続けるまで、じっと目を瞑り待っていた。
長い沈黙ののち、再び声が聞こえてきた。

「以前、私が君に下した命令を覚えているだろうか?」
「もちろん覚えているぜ。『この世界に滝川麗と名乗る金髪碧眼の少女が来たら、彼女が一人前になるまで見守ってやってほしい』だろ?」
「君の隣には、滝川麗がいるな」
「その通りだ。今はぐっすり寝ている。随分なナルシストでよ、甘ちゃんの癖に自慢話だけは一人前だから困ったものだぜ」
「……そうか」
「それで、その滝川の件がどうかしたのか」
「君には申し訳ないが、滝川から離れて欲しいんだ」
「何ッ!?」
「君が私の忠実な部下で、私の約束を守り果たそうとしてくれている気持ちは嬉しい。だが、このままでは彼女の為にはならない」
「隊長、それは一体どういう意味なんだ!」

ロディには信じられないことだった。
彼を唯一の上司と尊敬し、誠心誠意尽くしてきた。
彼の背中を追い、彼を超えることを目標にして生きてきた。
残念ながらその志は半ばではあるが、上司であり友であるカイザーに尽くすべく彼は一生懸命努力してきた。彼が最初に滝川の話を信じたのも、あの日に滝川という少女が異世界から飛ばされてくることを知っていたからであり、命を懸けて滝川を守ってきたのも、隊長の恩を返すためであった。
それなのにここにきて滝川と別れろとはどういう意味なのか。
ロディには元上司の考えが理解できなかった。

「隊長、どうしてそんな悲しいことを言うんだ。俺じゃ力不足だって言いたいのかよ! 俺はアンタの最後の隊長命令を命を散らしてでも全うしたいんだ!」
「君は私にとって大切な部下であり友だ、それは今でも変わらない。そして君には使命を全うするだけの力もあると私は信じている」
「だったらどうして!」
「君は命令に忠実になるあまり、滝川に少しでも身の危険が起きるとすぐに助けるだろう。だが、それでは彼女の為にはならない!
万が一、君が命を落としたらどうする? 彼女はたった一人で過酷なこの世界を生きなければならない。
だが、心身共に甘えのある今の滝川では一人で生きていくことは不可能と見た。
最悪の場合、英雄になれないまま死ぬかもしれん……」
「じゃ、じゃあ俺はどうすればいいんだ」
「少しの間、彼女と別れるのだ。
君は知らないかもしれないが、彼女は砂漠を切り抜け森までたどり着いた。
誰の力も借りずにだ……限界ギリギリ、生か死かの極限状態で培われる、逆境を跳ね返す力。それが彼女には生まれつき備わっている。
君の新たなる使命は、彼女を遠くから見守り、力を覚醒させるまで甘やかさないことだ」
「ここ数日滝川と過ごして情が移っちまったから、簡単に別れられそうにもねぇよ」
「情に厚い君のことだ。滝川から離れるのは友を見殺しにするのと同じほど辛い行為だろうな。だが、その厳しさが滝川を今より何倍も強くさせる。
愛は試練を乗り越えた後に、存分に与えたらいいだろう」
「……」
「迷っているようだな。だが、急いで結論を出す必要はない。
焦りは選択を誤る要因になる。最終的に答えを決めるのは君自身だ」

そして声は途絶えた。魂の会話が終了してしまったのだ。
ロディから相手に話をする術はないため、再び彼から連絡が来るのを待つしかない。
穏やかな寝息を立てて幸せそうな顔で眠っている滝川。
彼女は故郷の夢でも見ているのだろうか。
突然の上司からの新たなる指示。
滝川と隊長。
大切な二人の間に挟まれ、ロディは髪を掻きむしる。

「畜生! 俺はどうしたらいいんだ!」


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