複雑・ファジー小説
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- 孤独で平凡
- 日時: 2018/01/24 17:22
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
何もかもがモノクロだ。
色なんて何の意味があるのだろう、この世界では羽よりも命の方が軽いらしいよ?
産まれた時から血の繋がりなんてもので他人に育てられて、勝手に法律なんてものにしばられて、
大っ嫌いだこんな世の中消えちまえ。
頼むから、僕を自由にしてくれ。
- 目覚め ( No.21 )
- 日時: 2018/03/03 23:17
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
琥珀が目覚めたのは翌日の朝8時だった。
村には大雨が降っていた。
琥珀は寝起きでまだ怠い体を無理やり起こした。
琥珀「うぅ〜、怠い。」
暫くボーっとしていた琥珀は、遅い動作で布団から出た。
悠久「あ、お姉ちゃん起きた?だいじょうぶ?」
悠久が琥珀の方に駆け寄ってきた。
琥珀は悠久の頭を撫でながら大丈夫だと伝えた。
路唯「ん?ああ、琥珀、起きてたのか?」
数分してから、ずっと琥珀の傍に居て疲れていたであろう路唯が目を覚ました。
琥珀「うん、お兄ちゃん心配かけたねごめんなさい。」
琥珀が謝罪の言葉を口にすると路唯は口をとがらせ不満そうにした。
路唯「お兄ちゃんは、こんな時謝罪よりお礼の言葉が欲しいんですけどぉ〜。」
琥珀は、まだ幼い子供のような事を言う兄を見て少し笑った。
琥珀「わかったよ、ありがとうねお兄ちゃん。」
その後、琥珀たちは家の中で思いっきり遊び、疲れて寝てしまった。
もう琥珀の頭からは、あの恐ろしい光景は抜け落ちていた。
村が壊れるまであと2日。
- 白い悪夢 ( No.22 )
- 日時: 2018/03/17 23:27
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
夜11時、琥珀は不思議な夢を見ていた。
空が白く眼の前には何もない大地が広がっていた。
琥珀「何?此処、夢?」
琥珀が暫く辺りを見回していると、少し遠くに小さな光が見えた。
その光は白く澄んでいたのにどこか暗く禍々しい色をしていた。
琥珀「綺麗。」
琥珀は無意識のうちにその光に近寄って行った。
琥珀が光に手を伸ばし、触ろうとすると小さい光は激しく強く光りだした。
琥珀「っ!?」
あまりの眩しさに琥珀は手で顔を覆い、その場に蹲った。
琥珀「………………えっ、ブインシオン?なんで、さっきまで何も無かったのに。」
光がおさまり、琥珀が顔を上げると何もなかった大地にブインシオンが広がっていた。
やがて、その村は黒い霧に覆われ家から出て来た大人は、狂ったように暴れだした。
まるで地獄だった。
琥珀は自分の家に急いで向かった。
ガチャ
勢いよく開け広げた先に琥珀が見たモノは、儚く消える粒子だった。
琥珀は知っていた、その粒子はジジュで人をあやめた時に残った骸が弾けて燃える時に出るものだと。
琥珀「あっ、え、お母さん?お父さん?」
琥珀にはその粒子が誰のものか分かった。
その粒子は、悠久だった。
琥珀「ナンデ?」
その言葉と、共に琥珀の目の前が真っ暗になった。
- お目覚めの時間 ( No.23 )
- 日時: 2018/03/24 19:11
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
その日の琥珀の目覚めはこれまでに無いほどに最悪なものだった。
体がいつもより熱をもっていた。
目覚めて数分たってもまだ意識がはっきりしないままで、視界がぼやけてほとんどの物が見えなかった。
路唯「風邪かな?今日は家で安静にするのが一番かもな。」
悠久「お姉ちゃん、今日遊べないの〜?」
琥珀「そうらしい、ごめんね。」
琥珀は悠久の頭を撫でた。
悠久「う〜ん。遊べないのは嫌だけど、お姉ちゃんに早く元気になって欲しいから我慢する。」
路唯「うん、いい子だ。じゃあ今日は俺と一緒な遊ぼうな。」
悠久「うん!」
路唯「じゃあ、俺たちは向こうに行ってるな。」
悠久「バイバイ〜。」
そう言って二人は出て行った。
寝室に残された琥珀は妙な感覚に襲われていた。
体は一切動いてないのに心が暴れている様な、今動いたら壊れてしまいそうな不気味な感覚だった。
琥珀「何これ?……不思議だなぁ。」
心の一部は安心するような感覚なのに、反対に荒ぶるような感覚があって落ち着かない。
ずっとこのままでは、気持ち悪くて吐きそうだ。
琥珀「…………少し寝よう。」
- さよなら ( No.24 )
- 日時: 2018/04/01 13:33
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
女性「キャァァァァァ!」 男性「たっ助けてくれ!」 子供「熱いっ!あづいよぉ!うわぁぁぁん。」
そんな声が聞こえ、琥珀は起きた。
窓の外は朱色に染まっていた。
琥珀は窓に駆け寄り鍵を開け外を見た。
琥珀「えっ。」
琥珀が見たのは夕日に染まる綺麗な見慣れた村ではなく、黒い空と地に炎が這う村だった。
大人や子供の悲鳴が飛び交い、家が次々と消えていく。
一部の大人は水のジジュを使い火を消そうと必死になっている。
女性「キ゛ァァァァァァァァァァァァ。」
家の台所の方で女性の悲鳴が聞こた。
琥珀は悲鳴が聞こえた方に走り出した。
ガシャッ
台所の扉を勢いよく開けた。
琥珀「ぇ?何…これ。」
スシャァ
琥珀の服の裾をかすって消えていった結晶の様なモノが何か琥珀にはすぐ分かった。
- 見たモノは………… ( No.25 )
- 日時: 2018/04/22 23:50
- 名前: にぃ (ID: ZUyffco7)
消えていった結晶、それは間違いなく琥珀の弟の悠久だった。
琥珀「はる…ひさ?」
琥珀の父「アハ………アハハッハ………ヨゥ、琥珀、我が娘。弟が消えるのをただ見る事しか出来なかった、無力な娘。」
琥珀の父の洋服には赤いしみが広がっていた。
琥珀「お父さんが……?ちっ違うよね。ねぇ、違うって言ってよ。」
目を見開き泣き崩れる琥珀を、冷たい目で見下ろしながら琥珀の父は当たり前のように言った。
琥珀の父「アァ、オレガヤッタ。俺がコイツを殺してやった。」
琥珀には、その言葉が自分の心の奥底まで響いた気がした。
家族を家族に殺され琥珀の精神はすでに限界だった。
琥珀「な……んで、殺した?」
今の琥珀を少しでも刺激すれば目の前の琥珀の父はジジュで琥珀に殺されるだろう。
それを分かっての事か、琥珀の父の回答は琥珀の怒りを最大にさせた。
琥珀の父「ん?……なんでって、暇だったから。」
………一瞬の出来事だった。
琥珀は目の前の男だ笑顔で発した言葉を瞬時に理解しジジュを使い男の肉親の首をはねた。
琥珀が男の首をはね、部屋は先程と違い物凄く静かになった。