二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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  ボトル詰めの宇宙空間 ( 雑食 )
日時: 2014/03/18 20:05
名前: 黒依 ◆kuB5mqYaRs (ID: jxbxTUdV)

 自分の星ごと飲み干して。





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■What's New?

 260210:Short+1

 お久しぶりです。HPの方なり某企画なりで放置してました。
 何だかんだで最近は物語の続きを書くのが楽しいです。早く終わらせたいという衝動が原因なのかもしれませんが。



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■1st(251225)

 『玉響懐中時計』⇒『ボトル詰めの宇宙空間』

 今年のクリスマスプレゼントはポケモンYでした。しかし3DSは来年の1月10日っていうね。兄と共用してプレイすることにします。せめて殿堂入りするなら自分の3DSでしたいよなあ……。
 プレイ初日にて最初に選んだハリマロンがハリボーグになった訳なのですが、正直ハリマロン系統はこの第二進化形態が最大の鬼門だと思う。最終進化はカッコ良くて好きなんだけど、中間ェ……。
 あ、あとピカチュウ(CV:大谷育江)がクソ可愛いです萌え死ねる。何なのあの可愛さ……反則すぎる……!!



■Owner

 黒依( Kuroi ) ⇒ 燎火( Ryohka )
  カキコ内において別名義で活動しています。場所はコメライ、トリップは同じだから分かる人は分かるかも。以前は漆塗りの黒い奴だったり月の影だったりしてました。



■INFORMATION

 『ボトル詰めの宇宙空間』は雑食系設定集(気まぐれ短編)です。
 荒らしや中傷コメントが来ても私はスルーします。ネット上のマナーは守って下さい。
 また、無断転載・複製行為・宣伝等は禁止しております。
 最近1行レス等が増えてきていますが、此方は受け付けていません。最低でも3行以上は書くようにして下さい。
 誤字・脱字に関しては、見つけ次第修正していきます。
 皆様、御協力を宜しくお願いします。



■Index


[ Primary creation ]

 ◎Original Characters*.
  >>001(Ver. All)
  >>042,>>043,>>044(Ver. The Sterlight Reverie)
  >>045(Ver. The Moonligtht Ideal)
  >>046(Ver. Falling in Love of The Glass)

 ◎Consept
  >>049

 ◎Recruitment(NEW!!)
  >>053 一次創作オリキャラ募集‐募集要項・応募用紙(Ex.>>054)‐
  >>080 応募されたオリキャラ

 ◎Memo
  >>003/>>009/>>027/>>031/>>035/>>040
  >>047


[ Short ]

 ◎Original ※Spoiler!!(ネタバレ注意)※
   ‐きをくめぐり‐
  >>004 惨殺グロリアス
  >>085 捨殺エンプティ
  >>--- 応殺メモラブル
   ‐  続編  ‐
  >>066 ( No title )

 ◎Project
  >>013 異なる端で黒色は嗤う

 ◎inzm11
  >>026 ふーあーゆー?( 豪炎寺・時空未来 / 遭遇 )
  >>038 腐れ縁デストラクション ( ヒロト・白銀十夜 / ファンタジーパロ戦闘直前 )
   →>>039 関連メモ

 ◎BSR
  >>028-029 ( No title / パロディだらけの会話文 )
  >>030 会話文メモ
  >>062 ( No title / 支えを失った政宗とそんな彼に失望した幸村 )
  >>087 ( No title / そして何も始まらない )
  >>089 みかんをくちにほおばって

 ◎Attack_of_Titan
  >>032 ( No title )
   →>>033 オリジナルキャラクター紹介

 ◎BLEACH
  >>034 僕と貴方に、告げる(黒崎一護誕生日記念)

 ◎Original
  >>002 哀雨スカイスクレイパー
  >>037 白銀になく夜
  >>041 そして二人は武器を持つ
  >>063 ( No title / 原曲:ドーナツホール )
   →>>083 ( No title / 続き )
  >>086 ( No title / RPGパロになれずにオリキャラ達が集まった何か )
  >>088 次に遭う時は薔薇色の世界で
  >>089 みかんをくちにほおばって
  >>092 ( No title )





■Guest(敬称略)

 夜桜 きこ なる 遥





 250211 OPEN
 251105 1,000Hit確認
 251219 タイトル変更(『玉響懐中時計』⇒『ボトル詰めの宇宙空間』)

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Re:   玉響懐中時計 ( 雑食 ) ( No.85 )
日時: 2013/12/19 21:13
名前: 燎火 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)
参照:   1,000Hitしてた




 白に赤は似合うというけれど、青に赤は似合わないことを、この惨景で痛感した。
 いつもの雰囲気なんて、もう此処には無くなった。確かに此処が中心として放っていたはずなのに、何処かへ消え去ってしまった。

 倒れ伏した大好きな二人の姿、見ず知らずの姿——元々三つあったのであろうそれは見事に欠片となり、赤と共に飛び散っていた。だけど、それよりも先に飛び込んできたものがある。
 赤い床に立ち尽くす、一人の赤い少女。右手に日本刀を持った彼女が私の身内だということに気付くには時間なんて要らなかった。ぞっと恐怖と緊張が全身を駆け巡る。咄嗟に彼女の元へ駆け寄れば、黒い瞳はただ気怠さに満ちていた。それ以外は何も無い、その一言が相応しくて、自分が見ている彼女が本当に身内なのかと疑ってしまう。ただ、その黒い髪も髪飾りも、私の知っている人物で。服も肌も赤に塗れた姿に、身内であるにもかかわらずおぞましいと思ってしまった。刀の方へ見遣れば、そこから滴り落ちるのは赤黒い液体。偽物だったら良いのに、だけどこの状況でそんな事は有り得ない。
 私の顔に視線を向けると、突然彼女が崩れ落ちる。反射的に体を支えたけれど、それは普段よりも数倍重く感じる。一体何が原因なんだろう。疲労か、感情か、それとも別の何かか、はたまたそれら全てをひっくるめた一つの塊か。知っているのは、彼女だけだ。

 ぺたり。急に地に足が着いた様な音が聞こえて、探すように後ろを振り返った。純白の綺麗なローブ、それと同じ色の神々しい翼、絶世の美女——そこに居たのは、誰かだった。誰かはついさっき見た様な気がして、思わず血溜りの方へ視界を動かす。全てが赤に染まっていたけど、よく見れば羽根なり似たようなローブなりがあった。もう一度視線を戻して、同時にある疑問がくっきりと浮かぶ。もしかしてコイツは、アイツと同類じゃないか——と。

 ドス黒い感情が、私そのものを支配していくのをこの身で感じた。ゆっくりと身内の体を床に預け、瞬時に両手は隠していた二丁拳銃へと伸ばす。どうしてかは分からない。でも、自分自身が壊れそうなくらいに訴えていた。彼女をこんな風にしたのは、アイツの所為だと。そして、コイツはアイツの同類ならば、選ぶ道は一つしかないと。煌めく二つの銃口を、コイツに向けて。

 同じタイミングで、二つの引き金を、引いた。



          ( 荒廃世界を撃ち貫いていれば、どれだけ優しくなれたのだろうか )





   ■ 捨殺エンプティ


Re:   玉響懐中時計 ( 雑食 ) ( No.86 )
日時: 2013/12/12 21:47
名前: 燎火 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)
参照:   1,000Hitしてた




 レンガ造りの建物がずらりと並ぶ、都市程とはいえないがそれなりに賑わっている一つの町。朝昼夜、一日を通して人が絶えない此処では、その“見た目”で埋もれる人や店も少なくない。
 もっとも、彼女達の場合は“敢えて”埋もれている様だが。

 ——人気ひとけの無い路地裏に、早いテンポを刻む靴音が響き渡る。短い黒髪を揺らし、一冊の分厚い本を大切そうに抱えながら、少女は自信の目的の場所まで辿り着いた。
 息を切らしながら、勢い良く扉を開ける。

「——遅くなりましたっ」

 暗い路地裏によく見かける木製の扉を開ければ、広がる世界は明るく暖かみのあるもの。そして、戦国娑羅の知り合いである人物もちらほらと。
 何処からどう見てもバーである此処は『月風鳥花』。誰もが知らないといっても過言ではない、とてもひっそりとしたバー。モダンな雰囲気を漂わせ、マスターであろう黒髪の男子もまたそれに見合ったものだった。

「そこまで急がずとも、わたくし達は貴女を責めたりしませんよ」

 落ち着いた声色で告げたマスターと思わしき男子。グラスを丁寧に拭くと、「ココアを入れますね」と微笑んだ。
 娑羅は有難う御座いますと礼儀正しく言うと、視線を別の方向へ向ける。彼女の視界には、四つの人影が映った。

 テーブル席とカウンター席、それぞれに座っている四人。肩を覆うくらいの黒髪を持つ少女は頬杖を突き。腰まで伸びた黒髪を下で結わえた少年は、その緋色の瞳を息切れ少女に向けた。綺麗な金髪をポニーテールにした女は笑顔で出迎え、男とも女とも捉えられる容姿をした銀髪の少年は澄んだ青い瞳を静かに開く。

「相変わらずですが、やはり黒髪率が高いですね。いくら事情があろうとも」
「メタ発言すんじゃねぇ十夜」

 閑話休題。

「やっぱり愛されてるわねぇ、娑羅ちゃんは」
「や、やめて下さいよ過去さんっ」

 にこにこ顔で過去が言うと、言われた本人は顔を真っ赤にした。先程までの疲労が塗り替えられるくらいに、鮮やかに。
 お陰で場の雰囲気が和むのだが、同じ黒の長髪少女は、耳を傾けようともしなかった。
 勿論彼女の状態に気付かない訳が無く、娑羅は彼女に近づく。

「あ、あの。今日も宜しくお願いします」

 ぺこりと頭を下げる。その行動に少女は尻目で確認し、再び視線を戻した。気怠るそうな黒の瞳は相変わらずで、少女は何も返事をしない。

「『遺品』の扱いは、いくら愛されているとはいえ大変だからな。張り切るのは良いが、張り切り過ぎは良くねぇぞ?」
「自分も同意します。何せ、元々貴重な『遺品』を一つではなく七つもありますからね。自分のペースで進んで行けば良いのです」

 男性人二人組が優しく声をかける。お陰で緊張がほぐれたのか、娑羅の口角が緩んだ。

「ココア、入りましたよ」

 マスターの台詞通り、カウンターテーブルからの甘い匂いが鼻腔を擽る。







 オリキャラ勢しか居ない故の俺得投稿。
 RPGパロになっていない……だと……? 何だかんだで私はメインに突入する前の雰囲気が好きなようです。


Re:   玉響懐中時計 ( 雑食 ) ( No.87 )
日時: 2013/12/17 21:13
名前: 燎火 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)




 ふと、前田慶次が立ち止まる。

「独眼竜は、どう思うんだい」

 普段よりも低いトーンの声で言った台詞に、すぐさま普段とは違う、いわゆる違和感を覚えた。コイツが“何か”に対して本気なのは薄々分かるが、同時に嘘かも知れないという疑いもある。そして何なのかが分からない。だからこそ、敢えてオレはしらばっくれる。

「どう思うって、何がだ」
「その言葉は冗談として受け取っておくよ」

 どうやら、相当本気らしい。ピリピリとした雰囲気と態度が物語る。
 素直に口を噤めば、前田慶次は口を開いた。

「——またこうして、俺達が出会ったこと」

 ぴたり、と足が止まった。それはオレのものであることは間違いない。
 コイツは知らねぇと思っていたが、どうやら読みが甘かったようだ。一国を束ねた武将がこの調子じゃあ、小十郎だけじゃなく部下全員に笑われちまう。

「アンタは願ったかい? 祈ったかい? “また逢いたい”って」
「……“No”っつったら、嘘になるな」

 ブラウンの視線がオレを射抜く。疑いを掛けているのだろうか。だがこれは嘘じゃねぇ。残念ながらな、心の中で僅かながらに嘲笑しながら、こっちも視線を投げかける。——テメェはどうなんだ、と。

「俺は……自分が無力だと痛感したよ」
「無力? どういう死に方したんだ、アイツは」
「そのままの意味さ」

 最後の台詞が弱々しくなったのを聞いたからには、これ以上詮索しない方がコイツの為だと静かに悟った。
 沈黙が流れる。気になる事もあったので、それは数秒で断ち切ることにした。

「……アイツはこの事を知らねぇとして、他にこれを知ってる奴は何人いる? 少なくとも小十郎は知ってるんだが」

 この事実を知っている奴を把握しておきたい。それが、今オレが知らなければならない事だ。どうやら小十郎以外のセンコウはオレ達の知る奴らとは別人らしい。根拠は何処にも無ぇが、本能と直感がそう伝えている。

「毛利は知っていると思うよ。後は……お忍び君、かな」

 「俺の知っている限りはね」真剣な目付きで告げた二人の人物。勿論オレが知らねぇ訳が無く、そして大方予想していた。
 確証を得られたというだけで十分な収穫だ。小さく礼を言うと、「構わないさ」と返事が来る。

「もし」
「……?」
「もし……アンタの言う『if』が本当だったら、その時はどうする?」

 オレの言う『if』——つまりそれは、アイツがこの事実を知っている、ということだ。そしてそれが本当になったとしたら。単刀直入で、実に分かり易い問いを、何処からともなく前田慶次は突きつけた。
 アイツがオレ達を知っていたら。もしそうだとしたら、アイツはどうするのだろうか。アイツの事だから、疑心暗鬼にでも陥りそうだ。

 何にせよ、『if』が『True』だったとして。そしたら、オレは。

「——そのままでいるな。何か騒ぎ立てるつもりも無けりゃ、目の色変えるつもりも無ぇ。今のアイツと、いつもどおり接するつもりだ」

 本当は、そんな事無い。そうする自信なんて何処にも無ぇんだ。
 オレの言葉の真意を知らず、前田慶次は「そう」とだけ返した。






Re:   ボトル詰めの宇宙空間 ( 雑食 ) ( No.88 )
日時: 2013/12/28 21:46
名前: 燎火 ◆kuB5mqYaRs (ID: hFInjsVD)




 息苦しくて、頭の中もボーっとしてきた中で、君は手に込める力をさらに強めた。より一層呼吸が出来なくなる。
 私自身がが白に沈む。せめて名前だけでも、想いだけでも——口を動かした。細く締めつけられた喉から、無に等しくなろうとする声を絞り出す為に。

 ——とどけ、きみのもとへ。



■ 次に会う時は薔薇色の世界で、


Re:   ボトル詰めの宇宙空間 ( 雑食 ) ( No.89 )
日時: 2013/12/31 21:48
名前: 燎火 ◆kuB5mqYaRs (ID: hFInjsVD)




「今年ももう終わりかぁ」
「ですねぇ」

 呟きに似た俺の声に、ナチュラルに相槌を打たれた。窓からの景色を見遣れば、闇の帳はとっくのとうに下りていた。
 今年もあと何時間単位で終わろうとし、新年が始まろうとしている。こういう状況に限ってあまり実感が湧かないのは、恐らく自分だけではないだろう。
 暖房をつけた部屋は勿論暖かいが、何処か息苦しさを感じる。窓を開けて良いか、と十夜に訊ねてみれば「良いですよ」と了承の答えが返ってきた。

 窓を開けようと手を伸ばし、ふと外に視線を送った。
 空模様がどうも怪しい。日が替わる頃——というより年を越す頃には雪が降っても可笑しくはないだろう。

「どうされましたか?」
「いや、雪降りそうだなーって」
「来年は雪化粧に包まれて始まりますか」
「多分な」

 他愛も無い話をしながら、窓を開ける。少しだけの隙間から勢い良く寒風が吹き込んできた。こうなるだろうとは分かってていても、寒い物は寒い。厚い生地であるはずの衣服を物ともせずに肌を刺した。新鮮な空気を手に入れる為の引き換えは地味に大きいらしい。「うっ」と寒さに堪える自分以外の声が確かに聞こえた。

「そこに突っ立ってんならさっさと閉めろ」

 女子にしては低い声にハッとする。後ろを振り向けば、腕を組む未来がいた。ぴんと背筋を伸ばしている未来は、相変わらずの少しだけ眉間にシワを寄せた無表情。彼女と初めて会う人は、怖いとも思うがそれよりも先に不気味だという気持ちが支配しそうだ。

「空気入れ換えてんだよ」
「外の空気が吸いたいなら外に行けよ」
「入れ換えてるって言ったろ」

 思わず溜息を吐く。未来はそんな俺をどうでもいいと言わんばかりに、手前にあったテーブルに近づく。そして、ミカンの山から一つを手に取った。

 ——時の流れは速いのやら遅いのやら。
 俺もどうでもいい事を考えつつ、無性にミカンが食べたくなり窓を閉めた。

「ミカンまだあるわよー」
「助かります、過去さん」
「もっと褒めても……シバいても良いのよ?」
「それじゃあ外に出て死んで来て下さい」





 強い甘みの中に潜む酸味が、美味しいという感情を湧き起こす。黄色みの強いオレンジ色の果実を、一つずつ千切りながら口の中へ入れた。果汁が瞬く間に広がり、やはり今の季節のミカンは美味しい、と再認識した。

「やっぱミカン美味ぇな」
「今の季節が旬で御座るからな」
「あったかい所で食べるのが良いんだよねぇ」

 のほほんとした雰囲気の三人。彼らだけでは無い。元親や猿飛先輩、更には片倉先生も。毛利もそのような雰囲気に包まれているのは包まれているような気がするのは気のせいだろうか。

「つか政宗ん家、ガキ使優先してんだな」

 「紅白は録画か?」ふと元親が政宗に話題を振った。台詞からして、テレビ番組の事だろう。
 確かに今の季節になると、“ガキツカ”という略称の番組で何かと話題になる様な気がする。それでも紅白歌合戦の方に自然とチャンネルを変えているのだが。元親が話題に上げるということは、それなりに面白い内容なのだろう。

「Ah……今年はガキ使が良いからこれにしただけだ。紅白は録画で正月の内にゆっくり見るさ」

 くす、と笑みをこぼしながら答える政宗。彼の新年は楽しい行事が沢山待っているのだろうか。

 ——来年、か。
 来年には一体何が待っているのだろうか。今年は一言では言い切れない程にイベントが埋め尽くされ過ぎていて、その分自分の知らない事が知れたような気がする。
 来年も、また今年みたいに沢山の得体の知れないイベントが待ち受けているのだろうか。出来ればゆっくり、ゆったりと過ごしたいものだが。

「戦国、お茶要るか」

 強張った声が突然耳に入り、何事かと思えば湯呑を右手に持つ片倉先生が居た。
 湯気と茶の香り——香りからして緑茶だろうか——が立ち上る白い陶器が、小さな欲を掻き立てる。

「お、お願いします」
「分かった」

 彼の言葉に甘えてみると、先生は快く湯呑を私の前へ置いてくれた。「有難う御座います」とお礼の一言を頭を下げながら述べる。
 受け取った湯呑の中を覗いてみれば、透き通った緑茶が私の顔を映していた。そういえば、緑茶は黄色に近い色の方が健康的だとテレビ番組か何かで言っていたような気がする。この緑茶の色も黄色に近いものだ。片倉先生はそのようなことを考慮したのだろうか。
 素朴な疑問がすっとよぎったが、それは置いといて、と自己処理をして口にする。ちょっとした渋みが刺激するが、逆にそれがクセになる。

「……あったかいなぁ」

 呟きに似たその言葉は、率直な今の思いだった。

「あー毛利の旦那クスクス笑ってるー」
「嘘を吐くな、捨て駒めが」
「毛利殿! 読書をせずに某達と共にテレビを見ましょうぞ!」
「Ha,ならガキ使に則って笑っちゃいけねぇルールでもやるか?」
「ガキ使見ながらか? そりゃあ面白そうだな!」
「全く、お前達は……」
「ほら、娑羅も一緒に」
「……え、私も?」







 皆さん良いお年を。



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