二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 俺と携帯獣のシンカ論 【ポケモン対戦小説】
- 日時: 2015/04/29 01:22
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
『読者の皆様へ』
どうも、初めましてタクとモノクロとOrfevre(オルフェーヴル)です。この小説は以上の3人によって考案・執筆をしております。所謂合作です。ただ、現在はモノクロと高坂桜の2名はリアルでの都合によって直接執筆をすることができません。
よって、タクが1人でしばらくは筆を執ることになると思います。
この小説は、ポケットモンスターXY、ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイアを原作とした小説……というよりは、このゲーム自体を中心に展開する小説となっております。
つまり、現実世界での対戦だとかそんなものを描いた作品になります。
ポケモン廃人の方から(作者も廃人です)殿堂入りしたばかりのネット対戦初心者の方まで気軽に読んでいってください。
それでは、また。
第一章:飛翔の暴龍/咆哮の悪龍
>>01 >>02 >>03 >>07 >>08 >>12 >>13
第二章:携帯獣対戦のすゝめ
>>14 >>15 >>16 >>18 >>19 >>20 >>21
第三章:害悪支配者
>>22
- Re: 俺と携帯獣のシンカ論【ポケモン小説】 ( No.10 )
- 日時: 2014/12/21 12:50
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
モノクロ
コメントありがとうございます。確かにさっきの試合は酷かったですが……ぶっちゃけると、さっきボーマンダ構築は完全に完成したので、次はこうはいかないかと。
というのも、モノクロさんから貰ったウリムーですが早速育ててマンムーにしました。そして、ある型を作ったのですが、やっちゃいました。3タテ。先ほどレーティングで。まあ、相手の自覚が無かったのにも助けられたのですがね。というわけで、次は勝てると思います。シャンデラも5Vのものに差し替えていますしね。
特殊メガガルーラは使っていた当時はなかなか良い感じに働いてくれていました。破壊力は物理型の方が断然上ですがね。
確かに御剣の行動としては、それでも良かったかもしれませんね。というか、次回から対戦パートを書くときは、そちらとも要相談ということで良いでしょうか。
ああ、あの廃人発言ですか、あれは後で変えておくとします、はい。
それでは、また。
- Re: 俺と携帯獣のシンカ論【ポケモン小説】 ( No.11 )
- 日時: 2014/12/21 13:57
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
あのウリムーはASスカーフ想定の意地っ張り個体ですし、アタッカーマンムーのやることは大体分かりますが、まあ楽しみにしておきます。
メガガルは何気に積み技がグロパンのみというのが利いていますよね。あれもしも剣舞とかを覚えられたら、クレセリアを起点にできますもん。だからこそ特殊ガルーラなんてものが考え出されたのだと思いますが。
まあでも、今の環境だと特殊ガルーラは難しそうですね。瞑想ガン積みしてくるメガヤドランや、輝石耐久のポリ2が普及してますし、普通に数値受けする奴らだと特殊ガルーラでの突破は難しそうです。
ああ、そうですね。後から口出しするよりもそちらの方がいいですね。
では今度からは、リク板の方で相談してから対戦パートを執筆する、という形を取りましょうか。
変更後の台詞みましたが、調整すると言ってもほぼぶっぱ……まあ、ポケモンの調整基準はぶっぱなので、これでいいんですかね。一応設定では、ガモスは調整しますし。
- 第一章:飛翔の暴龍/流星の悪龍 ( No.12 )
- 日時: 2015/04/12 00:07
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
--------やっぱ出てきたな、ウォッシュロトム。相手が本当にバカじゃねえなら、俺がファイアローを選出するのは見え見えだが---------生憎、逆に言えばロトムが来るのもお見通しだ。当然、敵の裏の裏をかくってな!ファイアローは今回、選出していない!
ウォッシュロトム。ポケモン界の中でも優秀な物理受けポケモンの1体だ。水/電気、更に特性浮遊で地面無効という珍しいタイプだ。これで弱点が草タイプしかない上に軽いので草結びでは対策にならないポケモンだ。
しかも、元がゴーストタイプなので鬼火を思えることができ、物理アタッカーはこれで機能停止である。
火傷状態になったポケモンは物理技の威力が2分の1になってしまうからだ。
「なら、まずはこうだ!」
ガルーラが影の玉を作り出し、そのままウォッシュロトムへ投げつけた。
【ガルーラのシャドーボール!】
ウォッシュロトム:残りHP60%
「やり返せ、ロトム!」
しかし、一方のロトムも攻めてくる。
ウォッシュロトムはドラム洗濯機のような形をしている。正面の丸い蓋からとてつもない激流を噴出し、ガルーラに浴びせた。
【ロトムのハイドロポンプ!】
メガガルーラ:残りHP49%
ダメージ量からして乱数2発。Cに全振りしていないのだろうが、次のターンに倒される恐れがある。
「まずい、此処は---------引くぜ!」
ガルーラが翼の元に戻ると同時に、サンダースが飛び出してきた。
【ツバサはガルーラを引っ込めた!】
【ツバサはサンダースを繰り出した!】
「……今更壁張りか? まあ良い、ちょっと付き合ってやるかっ!!」
再び、激流がサンダースに襲い掛かる。
【ロトムのハイドロポンプ!】
ハイドロポンプは威力120の水タイプの技、ウォッシュロトムのメインウェポンの1つだ。ウォッシュロトムは素の特攻も高いので、特攻に努力値を振っていなくてもそこそこの火力は出る。
特防は高いサンダースだが-----------
サンダース残りHP:69%
「後2発--------ってところかよ」
「HSサンダースだな。やっぱり特殊受けだったか」
「ちっ、バレたか」
翼は思わず漏らした。余り削ってオボンの実が発動しても美味しくはない。
此処まで削られてしまった。HPに努力値を全振りはしているが、特防に多く割いている訳ではない。
「……しゃーねぇ、どーするよ、これ」
上手くいけば、相手を一気に崩せる。
しかし、しくじればこちらが負ける。
綱の上での戦い。
落ちた方の、負けだ。
翼としては、此処でウォッシュロトムを倒しておきたい。
「なら、1発入れるか---------!」
サンダースが10万ボルトの電圧で攻撃しようとする。
しかし、そのときだ。
【ポケモントレーナーのキョウヤは、ロトムを引っ込めた!】
ウォッシュロトムが引っ込んだ。
同時に現れたのは----------
「俺は、自分とこいつの拳でいつも勝ってきた」
御剣は余裕ぶって、口角を上げる。
ぐっ、と3DSを握っていないほうの拳を握り、そして叫んだ。
現れたポケモンは赤い装甲に身を包んだ二足歩行の虫ポケモン。大きな鋏と羽を持ち、その姿はさながらヒーローの様だ。
「ハハハ、お終いだぜ、お前。てめーじゃ、俺と、俺のハッサムには勝てねぇよ!!」
【ポケモントレーナーのキョウヤは、ハッサムを繰り出した!】
鋼の守りと虫の機敏さを併せ持つポケモン、それがハッサムだった。
此処でハッサムが剣の舞を使えば、ハッサムの攻撃力は2倍に。サンダースを文字通り、起点にして翼のパーティを崩壊させることができる。
ハッサム自身、そこまで素早さは速くはない。
しかし、先制技”バレットパンチ”と特性:テクニシャン(威力60以下の技の威力を1.5倍にする)のコンボで積めば最後、相手は死ぬ。
サンダースでさえ、バレットパンチ2発で高確率で倒される。
電撃を受け止めたハッサムの残りHPは70%程だった。
----------まずい、交代(ボルトチェンジ)のタイミングは今しかない!
相手が剣舞型か、否か、というのは分からないが、此処で引っ込めなければ危ない。
しかし、サンダースがボルトチェンジを繰り出す直前だった。
「メガシンカだ、ハッサム!!」
【キョウヤのキーストーンと、ハッサムのハッサムナイトが反応した!】
そして、球状の光に包まれて----------新たなる姿となって現れる。
それは、ハッサムであってハッサムではない。
メガシンカを果たした姿、メガハッサムだった。
「く、くそっ! やっぱりメガシンカしたか!」
「ははは、攻撃、耐久、共に最強クラス! ぶっ潰してやる!」
「仕方ねぇ、一時退却だサンダース!」
【サンダースのボルトチェンジ! サンダースはツバサの元に戻って行く!】
翼はサンダースをボルトチェンジで引っ込める。
電撃がメガハッサムに炸裂した。
そして現れたのは---------------ボーマンダだった。
「行け、俺の相棒!!」
【ポケモントレーナーのツバサは、ボーマンダを繰り出した!】
青い身体、赤い翼、全てを焼き尽くし破壊する暴君龍がそこに現れる。
速山翼のエースにして相棒、ボーマンダだ。
【ハッサムの攻撃が下がった!】
「これで、火力は削げるか---------!?」
特性・威嚇が発動してハッサムの攻撃力が1段階下がった。剣の舞を舞われたら、相殺愚か抜かされてしまうが。
「なっ、此処でボーマンダ交代だと!? ガン刺さりだったファイアローはいなかったって言うのかよ!!」
案の定、御剣はメガハッサムに剣の舞を舞わせて攻撃力を上げてきた。
しかし、サンダースのボルトチェンジは少し堪えたようだった。
メガハッサム残りHP:40%
攻撃1段階アップ
しかし、足し引きで1段階上がった程度。
仮にもボーマンダは600族。耐久はそれなりに高いため、バレットパンチでは倒せない。
それどころか、ドラゴンタイプの大人気のサブウェポン、大文字で死ぬ可能性がある。
「ま、まずい、引くぞハッサム!!」
此処でハッサムを死なせる訳にはいかない。
御剣もハッサムを引っ込める。
【ポケモントレーナーのミツルギは、ハッサムを引っ込めた!】
しかし、その行動を見て翼はまさに作戦通り、といった笑みを浮かべた。全て、思い通りだ。
---------引っ込めた、やっぱり大文字を警戒”してくれた”か!!
「お前、知らないな?」
御剣の首筋に冷や汗が伝う。
翼はそれこそ勝利宣言のように言った。
「ボーマンダは、初手”竜の舞”だ、てことをなっ!!」
次の瞬間、暴龍・ボーマンダは黒い稲妻と共に舞踊り、咆哮する。
同時に、攻撃と素早さが1段階上昇した。
【ボーマンダの龍の舞! 攻激と素早さがあがった!】
ボーマンダ残りHP:100%
攻撃1段階アップ、素早さ1段階アップ
あんぐりと口を開けて御剣は叫んだ。
「ば、馬鹿な!! 起点構築使いの俺様が、逆に今の交代を起点にされた、だとぉ!?」
「お終いだ腐れヤンキー、ウォッシュロトムじゃこいつの技は----------受けられない!!」
現れたウォッシュロトムにボーマンダのオーラを纏った爪が炸裂した。爪はウォッシュロトムの体内にしっかりと食い込み、えぐる。
ビキ、ビキビキ、故障したようにウォッシュロトムはふらふらと宙を舞っていたが、ベギンッと音を立ててそのまま倒れる。
【ボーマンダのドラゴンクロー!】
ウォッシュロトム残りHP:0%
【ロトムは倒れた!】
しかし、ここまでの火力を出すには当然、火力増強アイテムが必要だ。
技の威力を1.3倍にするが、代わりに相手を攻撃する度に体力が10分の1削られる命の珠によって。
ボーマンダ残りHP:90%
命の珠によって、命が削られた!
「と、とんでもねぇ、物理型だったのかよ----------!!」
しかし、ウォッシュロトムを一瞬で破壊したその火力に戦慄する御剣。
にやり、と笑う御剣。
まだ勝機は残されている。
大文字外しを1度起点にしてしまえば、もうこちらの勝ちだ。
ただし、15%以下というとてつもなく細いラインではあるが。
「ちくしょぉぉぉ、ド三下ァーッ!! これでお終いだァーッ!!」
叫ぶ御剣。
確かに此処で起点にされれば、負ける確立が高くなる。
高くはなるが---------
「教えてやるよ、大正義600族の力をな!! そして、第四世代トップメタの力をな!!」
次の瞬間、御剣は驚愕した。
飛んだ。
ボーマンダが飛んだのだ。
「大文字? 持ってたらもっと楽だったが、生憎技スペースがきつきつなんでな、今回は搭載していないのさ。その代わり、これを使わせてもらうぜ!!」
御剣はボーマンダが使った技を見て、あんぐりと口を開けていた。
【ボーマンダの空を飛ぶ! ボーマンダは空高く飛び上がった!】
1ターンの間、上空に高く飛びそして急降下して相手を倒す技。
しかし、1ターンのラグが発生するので対戦では殆ど使われない。
だがボーマンダにはタイプ一致のウェポンが不足している。
対フェアリーへの安定した最大の打点はこれしかない。
一方の御剣はまさか、この技を使われるとは思っていなかったので、堂々とボーマンダの前でハッサムを舞わせてしまった。
メガハッサムの耐久力はこの状態のボーマンダの空を飛ぶですら耐え切れる。
”HPが100%の場合、30%ほどのHPを残して”、という大前提がつくわけだが。
しかし、どうだろうか。
今のメガハッサムは、先のサンダースの10万ボルトとボルトチェンジでHPは40%程。
つまり----------
「あ、が、ぎりぎり耐え-----------」
「られるわけ、ねぇだろうがぁーっ!!」
暴龍は飛翔する。
そして、上空から急降下し弾丸のようなタックルがメガハッサムの装甲を打ち破った。
ぐしゃり、と音を立ててハッサムの装甲は砕け散る。
【ボーマンダの空を飛ぶ!】
メガハッサム残りHP:0%
【ハッサムは倒れた!】
メガハッサムはその場に崩れ落ちた。
同時に、翼の勝利が確定したのだ。
「勝負っつーのは、強い奴が勝つんじゃねぇ。勝った奴が強いんだよ」
【ポケモントレーナーのキョウヤとの勝負に勝った!】
- 第一章:飛翔の暴龍/流星の悪龍 ( No.13 )
- 日時: 2014/12/30 18:44
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
愕然、とした様子だった。御剣は。余程自身があったのだろうが、何よりも現環境トップクラスのメガハッサムが、現環境で最も落ちぶれた600族のボーマンダに”物理技”で倒されたのだ。
それも、ストーリー中でしかまともに使わないであろう”空を飛ぶ”で。
はぁー、と溜息をつくと翼は言った。
「つーわけで、静谷の3DSは返して貰うぜ」
まさか、本当に勝つなんて、と静谷は驚きを隠せない。一歩間違えれば、即負けていたかもしれないが、何にせよ勝った事には変わりがない。
安堵を隠すことも、出来なかった。
「ま だ だ」
御剣が顔を上げた。足をずしり、と立てて翼に詰め寄る。
そして、余裕の笑みを浮かべた。
「まだだ、まだ俺は負けていねぇ……!! 俺は負けたくない、俺はなんとしてでも勝たなきゃいけねぇんだよ、ド三下ァ!! ちょっと意表を突いたからって勝った気になってんじゃねえぞ、マイオナ厨がよぉ!?」
ゴキゴキ、と嫌な音が彼の首から鳴った。
罵詈雑言を浴びせながら、1歩、1歩と翼に詰め寄っていく。
その姿からは執念すら感じる。
「てめぇは今、負けたはずだ。まだ何かあるのかよ」
にやぁーっ、と御剣は笑って返した。
「いや、まだだ……ここでお前をぶちのめせば、それで俺の勝ちだァーッ!!」
轟! と風を切って御剣の拳が翼の顔面へ突き刺さらんと突っ込んでいく。
ひっ、と静谷は悲鳴をあげた。
流石の舎弟も「キョウさん!!」と叫んで止めに掛かる。
何て奴だ。
約束云々と自分から言っておきながら、自分から破っていくスタイル。
このままでは、自分の顔はミンチになるだろう。
まあ、”このまま”何もしなければ、という話だ。
御剣の拳はそこで止まった。
手首がとても強い力で握られている。
殴られる寸前で翼が手首を握って止めたのだ。
「お前、さっき勝利が何たらって言ってたけどよ。こんな勝ち方して本当に嬉しいのかよ」
「るっせぇぇぇ、その手を離せぇぇぇ!! 勝ちゃいーんだよ、結果が世の中は全てなんだよ、ド三下ァーッ!!」
「メガハッサムっていうポケモンは、正面から相手を火力でねじ伏せる」
御剣の手首を取った翼は、そのまま御剣の体の内側に入り、体勢を崩した。
そして、両手を振りかぶりつつ、180度回転し、刀を斬るように腕を振り下ろした。
御剣の体が仰け反ったように倒れた。
肘は頭の後ろに回されている。
「俺さー、通信講座で合気道習ってたんだよな。結局途中で辞めたけど。けど何の護身術もなしにてめーら不良の居る場所に乗り込んでくる訳ねぇだろ」
「あ、あぎぎぎ、この野郎ォーッ!!」
押さえが甘かったか、払いのけられる翼。
殴りかかってくる御剣だが----------
「ぶち殺してやる、ド三下ァーッ!!」
「るっせぇ」
体勢を立て直し、静かに言った翼だったが、その拳には怒りが篭っていた。
右ストレートは確かに御剣の頬を捉えた。
突っ込んできた勢いが相乗し、脳天にまでその衝撃が響く。
そのまま、拳を押し出し、御剣の巨体を地面へ叩き付け、怒鳴った。
「正面からまともに殴り合えない卑怯者のお前に、メガハッサムを使う資格はない。文句があるなら、頭しっかり冷やしてから正々堂々挑んできやがれ!!」
御剣は完全に伸びていた。
硬い地面に頭を打ち付けられたのもあるだろう。が、頭には傷1つついていない。石頭で幸いだったろう。
「おいっ!!」
舎弟の1人に翼は怒鳴った。
「静谷の3DS盗ったのはどいつだ?」
「お、俺ですぅぅぅ!! 盗った後、全速力で裏道抜けて帰ってきたんです、データとか何にもいじってませんから、許してくださいぃぃぃ!!」
即・土下座。翼の怒気に何も反論できず、謝るしかないようだ。
「次やってみろ、あのバカと同じ目にあうぞ。俺前に不良10数人を病院送りにしたことがあるから」
「マジさーせんしたぁぁぁ!!」
静谷の3DSを翼に渡し、舎弟2人は気絶している御剣を背負って、そのまま撤退していった。
まだ不安げな顔をしている静谷に、翼はにっ、と少しだけ笑って言った。
「ま、今のは嘘だけど。合気道習ってたのは本当な。ほれ、3DS」
静谷は受け取った3DSを受け取り、電源をつけてデータを確認する。
大丈夫だ。レポートを最後に書いた時点から何も変わっていない。
「ありがとう」
「良いってことだ。さ、帰ろうぜ」
色々大変だったが、とにかく静谷と彼女の3DSが無事で良かった。
安堵した翼はとっとと帰ろうとするが--------静谷が「待って」と自分の袖を掴んでいることに気付く。
「さっきのバトル、すごかった。あのボーマンダがあんな動きをするなんて」
「たまたま相手の編成があんな感じだったからよ。ファイアローを選出してたらまずかったかもな。でも、竜舞空飛びって決まったらすっげー楽しいんだ」
「……今度、対戦して、翼」
ああ、いいぜ、と言おうとした翼は喉から出そうとした言葉が引っかかった。
今、自分が名前で呼ばれた気がしたのだ。
「おい、今お前俺の事を名前で」
「うるさい、バカ」
「バカ!? お前、恩人に対してなんてことを---------」
***
速山 翼は自分のライバルと成り得る初めての人間だった。テンプレの中に仕掛けられた地雷。
そして切札の圧倒的破壊力。
もしかしたら、将来とても化けるかもしれない、と。
速山 翼とボーマンダ。この1人と1匹が自分達を打ち負かす日はそう遠くない。
「ぎゃあ、此処で急所かよ、折角新しく育てたのに!」
……先はまだまだ遠いかもしれない。
学校の寂れた空き部屋で一緒に対戦している彼を見て、静谷 未歌はふっ、と息を漏らした。
「まだまだプレイングが甘い。そんなんじゃ、あたしには一生勝てない」
「るっせ、分かってるよ! 何か、この間みたいに行かないんだよな、お前相手だと」
「簡単に勝たせる訳がない」
「あ、そーだ次交換しようぜ。俺丁度、交換進化させたい奴がいるし-----------」
それでも、楽しむという心を忘れていない彼はいずれ、ライバルは愚か、自分を追い越すかもしれない。
それも案外、本当に近いうちに------------
- 第二章:携帯獣対戦のすゝめ ( No.14 )
- 日時: 2015/01/01 16:12
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「今日こそお前に勝つぞ、静谷! 良いか、新たに育てて来たメンバーでお前の面子をボッコボコに」
「そもそもそっちの構築がサザンドラに薄い、というか悪に弱い。キザンにぶち抜かれるのが見えてるし」
「だからちょっと構成を変えたんだよ」
いつも通りであった。普通にいつも通りであった。でも、普通の中学生と比べると少々ズレた放課後だとは思う。
寂れた旧校舎の部屋で今日も2人は3DSを持ってポケモンXYという名の決闘に。
ただし、今のところ器用貧乏少年・速山 翼が天才少女・静谷 未歌に勝った事は一度として無かったわけだが。
それを込みにしても、いつも通りの日課だった。
寂れたこの教室は鍵が掛かっているが、見事に鍵がぶっ壊れており実は簡単に入れる。
ヤンキー共は体育館裏を根城にしているので、それを含めて生徒も教師も誰も寄り付かない。
そう、自分達を除けば--------と思っていた時代が翼たちにもあった。
「翼、これ」
「……ああ」
3DSだった。そこにあったのは。
カラーはグロスピンクで、翼がライトブルー、静谷がクリアブラックなので、2人のものではない。
とりあえず、誰のものか分からないのに、電源を付ける訳にはいかない。
いや、それよりも----------
「俺らの他にこの部屋でゲームをやっていた奴がいたのか」
ということだった。これ、3DSの持ち主が来たら色々面倒なことになるかもしれない。
あ、これフラグ? フラグなの? この後すぐに来ちゃう感じ?
「カセットが刺さってる。ポケモンY」
「ふーん、それじゃあやっぱりポケモンプレイヤ-------------」
と、そのときだった。音が聞こえた。やっぱりフラグだった。
それも、硬い上履きの底が廊下を踏み鳴らす音。
思考するまでもない。こんなところにやってくるのは、とうとうこの場所に目をつけたヤンキー軍団か、あるいは急ぎの用の先生か?
とりあえず、誰だろうがまずい。
というか面倒くさい。
いや、しかも行動を起こす前に肝心の足音はどんどん近くなってくる。
ガラガラガラ、と鍵の壊れた戸が開いた。
「はぁ、はぁ、やっと着いた……あれ?」
足音の主、曰く今目の前にやってきたのは少女だった。
明るい色のポニーテールにハシバミ色の瞳が特徴的な少女は、ぽかんと口を開けている。
視界の中に飛び込んできた翼と静谷を見て驚いているようだった。
「あ、あははは、ちょっと出直しますね----------」
「いや、ちょっと待てやコラ」
逃げようとする少女は翼の手に握られた3DSを目にしたとたん、引き下がろうとするが、がしっ、と翼が手首を掴んだので逃げられなかった。
「ご、ごめんなさーい! その3DSは訳アリなんです、いやあたし全然関係ないんです、というかふかーい訳があるんですー!!」
パニックになってるからか、訳があるのか、関係ないのか全く分からない。
「お、おい落ち着けって、俺ァ別にこの3DSを先公に突き出そうって腹じゃないんだぜ」
「ふぇ?」
「……類は友を呼ぶ」
静谷が静かに言った。
「え? え? も、もしかして皆さん-------------」
落ち着きを取り戻した少女は、目を輝かせた----------
***
「へー、先輩方もポケモンをこの部屋でやってたんですか!」
椅子に腰掛けた少女はようやく手元に戻ってきた自分の3DSを開いてにこにこと言った。
さて、見ず知らずの自分達を先輩と呼ぶあたり、彼女は1年生と見て間違いないだろう。
「実はあたしもこの部屋で昼休みなんかでポケモンやってたんですよ!」
しかしまあ驚いたのは翼達の方だった。
まさか同類、同属がいたとは思いもしなかったのだ。
「あ、申し遅れました、あたし1年3組の東雲 夏奈(シノノメ・カナ)って言うんです、よろしくお願いしますね!」
「俺は速山 翼。クラスは2年2組だ」
「……静谷 未歌、2年2組。よろしく」
軽く自己紹介を済ませると、彼女は言った。
「ポケモンって本当いいですよね! 可愛いのから格好いいのまで! 色んな種類がいて千差万別ってやつですよー!」
「ま、分かる気がする。俺もそういうところに惹かれ--------」
「先輩達とは、すっごい仲良くなれそうな気がします! よろしくお願いしますね!」
「……無駄に元気」
毒を刺すように静谷は言ったが、聞こえていないようだった。
……ずいぶんとまあ、積極的だった。
強引かつ一方的な意気投合ではあったが。
「あ、そーだ、あたし対戦やってるんですよ!」
元気に彼女は言って来た。
む、と翼は声を漏らす。
ひょっとして、彼女もガチ勢の1人ではなかろうか。
「バトルお願いしても良いですか?」
とのことだ。翼としては、最近はいつも静谷か見ず知らずの相手とランダムマッチで闘っていたので、新鮮な気持ちになる。
そういえば、大会にもあまり出なくなった気がする。
とりあえず、静谷に「俺が行くけど良いか?」と聞くと彼女は「うん、先に行って」と返したので翼が迎え撃つことになった。
「ルールは6350、さあ行くぞ」
「へ? ろくさん、ごーぜろ?」
どうやら、その俗称を知らなかったらしい。まあ別にいいか、と思って一応「フラットルールのシングルバトルだ。63は手持ち6体を見せ合い、3匹を選出するから。50はレベル50統一って意味だけど」と説明してやると、「あ、そうですね! フラットですね!」と返した。
……怪しい。翼は何か嫌な予感がした。
静谷に目配せすると、彼女もなんとなーく察しがついたのか、こくり、と頷いた。
***
さて、パーティの見せ合いで翼の嫌な予感は的中した。6350の意味が分かっていなかった時点で既に薄々感づいてはいたのだが、
--------こやつ、初心者(ビギナー)だぁぁぁ!!
と。なぜなら、それぞれのパスは
翼
ボーマンダ
メタグロス
フシギバナ
サンダース
シャンデラ
ゲッコウガ
夏菜
マフォクシー
ピジョット
ピカチュウ
ルカリオ
バタフリー
ガチゴラス
翼の編成を見た静谷が冷ややかな声で言った。
「……悪の一貫性、そのまんま」
「構成は変えた。悪に強くしたとは言っていない。だって難しいんだよ」
翼の新規メンバーはフシギバナとシャンデラだった。が、相手のパーティを見て、別の意味で驚愕する。
--------うわあ、ピジョットとバタフリーがいなければ、辛うじてまともなパーティに見えたのに。ピカチュウは……たまにガチで使ってる人いるけど、これもう絶対”旅パ”で確定だよ。
腐ってもレーティングガチ勢の1人ではある翼は夏奈の構築を一目見て、もうげんなりしていた。
先が何となーく、読める。
が、しかし。
--------待て、俺。実はこれ、偽造旅パって奴なのでは? 油断したら痛い目を見るかもしれない。
とりあえず、選出を決めた翼はそんな可能性も頭の隅に入れつつ対戦へ。
「バトル、スタートだ!!」
***
翼の初手はサンダース、夏奈はピカチュウだった。とりあえず、光の壁で場作りだけでもしとくかー、と翼は光の壁を選択。
当然、素早さはサンダースの方が上だった。
しかし、相手は引っ込めない。電気タイプ同士だとサンダースの方が有利なはずなのに。
「いっくよー! ピカチュウ、10万ボルトーっ!」
サンダース残りHP:100%
特性・蓄電発動により、電気技を無効化した!
「あれ?」
「あれ? じゃねえよ。サンダースの特性は蓄電、電気技を食らったら逆にHPが回復するんだけど」
「あ、え!? そうなんですか!? 初めて知りました」
撃たれたところで別に避雷針ではないので何の能力が上がった訳でもないが、サンダースに入ったダメージは0%。
特性・蓄電は電気のダメージを無効化してHPを25%回復するという効果を持つ。
どうせHPマンタンだったから良かったのだが。
サンダースを引っ込める翼。すかさずボーマンダを投げる。
と、ここで夏奈も交代。そして現れたのはガチゴラスだった。
ボーマンダ残りHP100%
ガチゴラス残りHP100%
「ラッキー! ガチゴラスの方が有利です!」
いや、無理だろ、と翼は心の中で呟いた。
何故なら次の瞬間--------
「地震」
ガチゴラス残りHP:0%
こ れ は 酷 い。
襷かスカーフですらない。
まさかのノーダメ&地震ワンパンKOである。いや、弱点だから仕方ないのだが。
「そ、それじゃあ頼んだよ、ルカリオ!」
最後に出てきたのはルカリオだった。さて、当然! と言わんばかりにメガシンカする。
が、結果は同じだった。
「地震」
メガルカリオ残りHP:0%
とまあこの通りである。やはり彼女のパーティ、地面通り易すぎないか、と。
「う、だけど最後は任せたよピカチュ-------」
「地震」
ピカチュウ残りHP:0%
と。ボーマンダ3タテで終わったのだった。
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