二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜【完結!】
- 日時: 2017/04/22 21:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
キラキラ☆プリキュアアラモードのキュアショコラを中心とした作品を書いてみたいと思います。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.18 )
- 日時: 2017/04/22 08:53
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
夜一〇時。就寝していた剣城あきらは電話の音で目を覚ました。
「こんな夜中に一体誰だろう?」
眠い目を擦りながらも受話器をとる。
「もしもし?」
「キュアショコラ。いや、今は素顔の剣城あきらか。俺が誰だか分らぬはずはあるまい」
「ジェネラルシャドウ!?」
「そうだ。お前を倒すことを生き甲斐にしているジェネラルシャドウだ」
「それで用件は?」
「俺と一騎打ちをしてもらおう」
「プリキュアの力はそんなものの為に使う訳にはいかない。皆の笑顔とスイーツを守る為に使うものだ。だから君との対決はお断りさせてもらうよ」
「剣城あきら。お前には命よりも大切な妹がいたな」
「みく!」
「そうだ。妹は俺が預かった」
「みくを返せ!」
「返して欲しければ決闘ヶ原まで来い。俺との一騎打ちで勝てたら解放してやる」
「……」
「心細いのなら仲間と一緒に来るがいい。五対一の方がお前に有利だろう?
もっとも、その時は仲間も一緒に冥土に送ってやるが。フフフフフフフフ」
それだけ言うと電話はプツリと切れてしまった。
☆
「みなさん、大変です〜!」
翌日。開店前のキラパティに有栖川ひまりが駆け込んできた。
「どうしたの!?」
あきらが訊ねると、彼女は手にしていた一枚の紙を皆に見せた。
ゆかりがその内容を音読する。
「『親愛なるキラキラ☆プリキュアアラモードの諸君。君達の友人であるプリキュア達の魂と変身アイテムは全て預かった。返して欲しければキュアショコラをそちらへ引き渡せ。 デルザー軍団 鋼鉄参謀』……誰かの悪戯かしら?」
「いえ、そうでもなさそうです! ホラ!」
ひまりが次に鞄から取り出したのは今朝の新聞。そこには中学生の少女達が次々に眠ったまま目覚めないという怪事件の記事が書かれていた。
しかもその写真に写っているのはGOプリンセスプリキュアの春野はるか、海堂みなみ、天ノ川きらら、紅城トワ。魔法つかいプリキュアの朝日奈みらい、十六夜リコ、花海ことはではないか。
「こいつはどうやらほんとみたいだね」
あおいが顎に手を当てながら写真を凝視する。
「助けに行こう!」
いちかは立ち上がり宣言すると、店の扉に『今日は休み』の看板を下ろし、鍵を閉める。
「でも、助けると言ってもどうやって? 敵の事もよく分からないのに。無謀だわ」
「調べるんですよ! デルザー軍団ついて! ひまりん、お願いできる?」
「はいっ! では早速、いちかちゃんの家に行きましょう!」
「なんで私!?」
困惑しつつも皆はいちかの家に集合し、ひまりが彼女の家のパソコンでデルザー軍団について検索する。すると、彼らの画像や情報が次々に出てきた。
「この人知っています!」
ひまりが指差したのはドクロ少佐だ。
「知っているってどういうこと?」
あきらが訊ねると、彼女は先日ドクロ少佐に会って追いかけられたことを話した。
話が終わり、ゆかりが疑問を口にする。
「でも、彼らは仮面ライダーに倒されたんでしょ。どうしてまだこの世にいるのかしら?」
「ドクロ少佐は地獄から蘇ったと言っていました」
「悪いことばかりしているから天国に行けなかったのね。フフッ……面白いわ」
その時、ゆかりはあきらの異変に気が付いた。何だかいつもの彼女と違って元気がない。
ゆかりは中学生組の隙を突き、そっとあきらに問いかける。
「元気がないみたいだけど、何かあったの?」
「いや。……何でもないよ」
「そう。ならいいけど」
口ぶりではそう言って見たものの、やはり今日のあきらはおかしい。
普通ならばこういうことの場合、真っ先に動くのはあきらだからだ。
先ほどの手紙にはキュアショコラの名だけが記されていた。
あきらとデルザーとの間には何らかの因縁があるのかもしれない。
プリキュア救出は明日にすることにして、取りあえずこの日はキラパティで過ごすことにした。そして皆が寝静まった頃。あきらは一人布団から起き上がり、音を立てずに外へ出る。
「どこへ行くの?」
「……ゆかり、君も起きていたのか」
「デルザーは強敵揃いよ。一人で行くなんて無謀もいいところ。でも、その様子だと訳がありそうね。話してくれる?」
「君には敵わないな」
あきらは微笑を浮かべ、地面に腰を下ろした。ゆかりも同じように腰かける。
「……妹がデルザーのジェネラルシャドウに連れ去られたんだ」
「ジェネラルシャドウってデルザーの中心人物ね」
「彼は何故だか知らないけど、私と一対一で闘いたがっている。その願いを叶える為に私の妹——みくを人質に取った」
「だったら私達皆で闘えばいいじゃない。一人で行くことはないはずよ」
「彼らの目的は私だけだ。私の為に皆を巻き込みたくないんだ」
ゆかりは立ち上がると踵を返す。
「あなたの優しいところ、好きよ。こっちは鋼鉄参謀とドクロ少佐を引き受けるわ。いちか達にも話しておくから。あなたはあなたのしたいことをやりなさい」
「ありがとう、ゆかり」
「よく言われるわ」
キラパティの中に入るゆかりを見送った後、あきらは決闘ヶ原に向かって猛然と走り出した。
妹を助け、シャドウを倒すために!
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.19 )
- 日時: 2017/04/22 10:26
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
ジェネラルシャドウは決闘ヶ原で好敵手の到着を待ちわびていた。
彼の背後には巨大な鳥かごを彷彿とさせる檻の中に入れられたみくがいる。
「おじさん、ここから出して!」
みくは鉄格子を揺さぶるが、鉄の柵はびくともしない。
「騒ぐな。暴れると病に響くぞ。心配せんでもキュアショコラがくれば、お前を解放してやる」
「キュアショコラ?」
「お前を助けに来る正義のスーパーヒロインだ」
「じゃあ、おじさんは悪い人なの?」
「俺の顔を見ろ。悪人の顔をしているだろう」
「おじさんは、私を病院から連れ出して久しぶりに外の世界を見せてくれたし、病気が早く治るようにお薬もくれた。それに昨日の食事も美味しかったわ」
「人質に手厚くするのは当然だ。お前に死なれては俺が困るからな。
それに……お前をこうして檻に閉じ込める男が善人に見えるかね?」
「見えるわ。私には分かるの。おじさんは本当は闘いが好きなだけの良い人だって」
「フフフフフフフ、小娘のメルヘンチックな妄想には付き合ってやれんな」
そう言いながらも、彼の声はどこか嬉しそうなものがあった。
「シャドウ!」
突如として凛々しい声が空気を裂き、堂々とした足取りでキュアショコラが現れた。
彼女は日光に照らされ光り輝き、どこか神々しさが漂っていた。
「よく逃げずに来たなキュアショコラ。褒めてやるぞ」
「その娘を放してもらおう」
「よかろう」
指を鳴らして檻を開け、みくを地面に下ろす。
「ショコラのお姉ちゃん!」
気丈に振る舞っていたみくだったが、やはり決闘ヶ原の猛暑と檻の中で過ごす時間は耐えられなかったのだろう。彼女はショコラが自分の姉であるということも気づかずに駆け寄り、ぎゅっと抱きつく。
「よしよし、大丈夫だよ。お姉ちゃんが助けに来たからね」
「うん!」
頭を優しく撫でるショコラにみくは嬉し涙を浮かべて頷いた。
それを無言で見つめていたシャドウだが、再び指を鳴らしてみくの姿を消してしまった。
「安心しろ。妹は無事に俺の瞬間移動で病院に送り届けてやった。闘いの邪魔になっては困るからな」
広大な荒れ地には崖がそびえ立ち、二人の周りには刺々しいサボテンが所々に生えている。まるで砂漠のような過酷な環境で、赤い犬と影の騎士は互いを睨み合う。
「仲間は連れてこなかったのか」
「皆を巻き込みたくなかった。だから私だけで来たんだ」
「それでこそ我が宿敵」
「シャドウ、君はなぜそこまでして私との闘いに拘るんだ」
「惚れたのよ、お前の強さに」
「……」
「これ以上の会話は無用だ。後は闘いで語り合おうではないか」
シャドウはシャドウ剣を引き抜き全身に力を込めると、彼の身体から灰色のオーラが放出されていく。それはまるで太陽を包む炎のようだ。
「これぞ我が究極奥義・シャドウパワー!」
「シャドウパワー……」
「お前を倒す為に究極奥義を発動したのだ。この命に代えて、半世紀前にストロンガーに果たせなかった雪辱をお前で晴らしてくれる!」
一方その頃キラパティでは。
「スティール!」
「カカカカカカッ!」
襲撃してきた鋼鉄参謀とドクロ少佐の猛攻に圧倒されていた。
牛のような巨大な二本の角を持ち鋼の鎧武者と言った外見の鋼鉄参謀。
彼は単なる打撃のみで、キュアホイップ、キュアジェラート、キュアマカロンを寄せ付けない。ジェラートの氷を纏った打撃は鋼の身体によって粉砕。
マカロンが鋭い爪で攻撃すれば、反対に彼女の指が裂けて血が噴き出す。ホイップのクリームエネルギーのキックも簡単に弾き返される。
「ハハハハハハハハハ! どうした、プリキュアよ。お前達の力はそんなものか。これでは準備運動にもならん!」
ドクロ少佐もカスタードのクリームエネルギーの拘束技をドクロ分解で、身体をバラバラにして脱出し、別々の身体を駆使してカスタードに四方八方から打撃を浴びせる。
「カカカカカカ! 俺が本気を出せばこんなもの。お前は俺が再生能力を持つまでは見抜けなかったようだな、キュアカスタード!」
「ううっ……」
ボロ雑巾のように倒れ込む四人を見下ろし、二人の魔人は顔を合わせる。
「ドクロ少佐よ。ここは闘う場所では狭すぎる。我らがデルザーのアジト前に招待してやろう」
「敵を本拠地に入れるのか?」
「左様。あそこで奴らが全力で戦える環境を用意し、迎え撃つ」
「だがアジトには俺が捕らえたプリキュアの魂もあるんだ。奴らが復活して加勢しに来たら……」
「ドクロ少佐!」
爽やかながらも迫力のある鋼鉄参謀の声に少佐は怯んだ。
「あなたはそれでも誇り高きデルザーの一員か! 敵は強ければ強いほどいい。俺にとっては四人も四〇人も同じこと!」
「まさかアンタ……」
「俺はプリキュア共の魂を全部解放し、入院しているプリキュア共は治癒光線で治し、万全の状態の奴らと思う存分闘いたい。カスタードは少佐殿が相手をすればよいではないか」
「……四七対一など正気の沙汰とは思えんが、抗議したところで無駄だろうな」
「少佐殿、俺の我儘を受け入れてくれて感謝する」
ここで鋼鉄参謀は大きく息を吸い込み、倒れているプリキュアに声を張り上げる。
「プリキュアの諸君! 誰にも邪魔されず、広大な場所で思う存分闘おう! 正々堂々とな!」
鋼鉄参謀は瞬間移動で自らとドクロ少佐、そして倒れているキラキラ☆プリキュアアラモードの四人をとある場所へと誘う。
果たして鋼鉄参謀が指定した決闘場とは。
そしてシャドウとショコラの激闘の行方は!
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.20 )
- 日時: 2017/08/28 07:23
- 名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)
キラキラ☆プリキュアアラモードの四人の中で真っ先に目を覚ましたのはキュアマカロンだった。彼女は他の三人に手を貸して起き上がらせると、辺りを見渡す。
「……ここは?」
「フハハハハハハハ! よく来たな、親愛なるプリキュアの諸君!」
高笑いと共に鋼鉄参謀とドクロ少佐が現れる。
マカロンは長髪を指でいじり。
「あなた達が招待したんでしょう? 教えて、ここはどこなの?」
「ここは我がデルザー軍団のアジトがある鬼ヶ島だ。この広大な土地でお前達は永遠の眠りに付く」
「それはどうかしら?」
「ほう、大した自信だな。猫娘」
「私はキュアマカロンよ。おいで、遊んであげる」
けれどマカロンはその言葉とは裏腹に荒れ地を猫の俊敏性を活かして疾走する。
「逃がさん!」
鋼鉄参謀はドクロ少佐を置いて後を追うが、何しろ鉄の身体のために足が遅い。ようやく四人に追いつくと、彼女達は既にアジトの門を破壊し中に侵入していた。参謀が中に入りプリキュアの魂の保管室へ行くと、そこへ彼女達はいた。
薄暗い部屋で鋼鉄参謀とプリキュア達は対峙する。
「よくここがわかったな」
「何となくポイントがわかるのよ」
「それで? どうすると言うのだ」
「決まっているでしょ」
丁々発止のやりとりをして、マカロンはおもむろに小瓶を掴むと、それを床に投げつけた。ガラス製の瓶はあっけなく破壊され、中からキュアブラックの魂が飛び出した。
魂はそのまま洞窟の天井を突き抜けていく。
「さあ、みんなを解放するわよ」
「はい!」
普通ならここで止めるべき状況であるが、彼は敢えてそれを見逃し部屋を出た。洞窟から外へ出ると、無数の魂が大空へ吸い込まれ、各地に飛び去って行く姿が見える。
「鋼鉄参謀—ッ!」
「どうした、少佐殿」
「プリキュア達の魂が解放されていく! まさかアンタがやったのか!?」
「いいや。俺が追いかけた時は既にこうなっていた。天才肌のキュアマカロンに一本取られたな。ハハハハハハハハハ……」
「笑いごとではない! 総勢四〇人以上ものプリキュアが集まれば、流石の俺でも無理だ!」
「弱音を吐くことはない。俺が全員相手をしてやる。少佐殿は背後に気を付ければいいだけだ」
「なっ——」
鋼鉄参謀に言われて初めて、彼は後ろから強い力で引っ張られる感覚に気づいた。
黄色のクリームエネルギー。それを使用するのはただ一人。
「キュアカスタード!」
「あなたの相手は、この私です!」
「おのれぃ!」
「少佐殿、この闘いを存分に楽しめ。俺はプリキュア共の到着を島の中央で待っておく」
「待ってくれ、鋼鉄参謀。俺を一人にしないでくれぇ……!」
手を伸ばして懇願するが、鋼鉄参謀の大きな背中は遠ざかっていく。
味方が居なくなったドクロ少佐は虚空から得物の大鎌を取り出し、自らを拘束するクリームエネルギーを切断。
そして驚異的な跳躍力でジャンプし、思い切り鎌を振り上げた。
「そのまま真っ二つに切り裂いてくれる! このキュアカスが〜ッ!」
自分の功績を鋼鉄参謀の鶴の一声で台無しにされた虚しさ。
五〇に近いプリキュアが接近してくるという状況。
そこにキュアカスタードの背後からの奇襲。
それらが重なり彼は普段の冷静さを欠いてしまった。
「私の名前は……キュアカスタードですッ!」
振り下ろされる大鎌をクリームエネルギーの盾でガードし、強固な鎌を破壊。
「俺の鎌を破壊するとは。見かけによらず恐るべき力よ、クリームエネルギー!」
「いっきまーす!」
弾丸のように飛び出したカスタードは少佐の腹に頭突きを食らわし、海辺まで盛大に吹き飛ばす。
「キラキラキラキラルン・キラキラル!」
カスタードは上空から大量のクリームエネルギーの縄で少佐を拘束。
更に脱出されないように、二度、三度と縄の層を厚く太くしていく。
「動きを封じたところで決め技を持たない貴様に勝機はないッ」
「これで……最後ですッ」
一気に間合いを詰めると、全身全霊の力で少佐の骸骨の顔面にパンチ!
少佐の首は盛大に吹き飛び海中に落下。その数秒後に大爆発。
首を失った胴体は僅かなクリームエネルギーの隙間から両腕を出し、カスタードの両肩をガッチリと掴む。両肩の激痛から逃れようと必死で抵抗するカスタードだが、少佐の指はますます肩に食い込むばかり。
と、少佐の全身から火花が散った。
「まさか——」
首のない少佐の身体がぐらりと傾く。
次に何が起きるかを悟ったカスタードは目を閉じて、口元に微笑を浮かべる。
「私はここまでみたいです……ホイップ、ジェラート、マカロン、ショコラ……デルザーを倒して、みんなの笑顔を守ってください……!」
彼女の閉じた瞳から流れた一滴の涙が小さな顎を伝い、地面に落ちた瞬間。少佐の胴体は自爆した。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.21 )
- 日時: 2017/04/22 19:51
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
鋼鉄参謀は島に集まった四十六名ものプリキュアと、島の中央で激闘を繰り広げていた。
単純な戦闘力、防御力という点に関してはデルザーでは右に出るほどのない彼に、プリキュア達は次々と変身を解除されていく。
「プリキュア・エメラルド・ソーサー!」
劣勢に陥った仲間達を守ろうと、キュアミントがシールドを展開する。
「お前の紙ほどの防御力しかないバリアでは俺の攻撃は防げぬ」
タックルでバリアを完全破壊し、そのままミントの腹に膝を打ち込んで気絶させる。
次々と放たれる光線系の浄化技を単なる打撃だけで弾き返し、鎖付きの巨大な鉄球を振り回し、接近するプリキュアを吹き飛ばす。
「四十七人もいてこの俺を怯ませることも出来ぬとは伝説の戦士が聞いて呆れる」
鋼鉄参謀は彼女達の必死の努力を一笑するが、この考えには間違いがある。ふたりはプリキュアから魔法つかいプリキュアまでのプリキュア戦士は、読者諸君もご存じのように度重なる激戦を切り抜けてきた経験者達であり、決して弱い訳ではない。
今回はデルザー軍団という未知の敵であり、浄化技を受けても耐えきる規格外の攻撃力、防御力を誇る鋼鉄参謀が強すぎるだけなのである。
「一体どうすれば……」
キュアビューティは仲間が立て続けに敗北する中、状況を打破する策を考えていた。
半世紀前に鋼鉄参謀と闘ったストロンガーも大苦戦を強いられた。
だが、幸運にもケイトガスというデルザーに絶対的な効果を持つ毒を含んだ泉があったおかげで参謀の防御力は著しく低下。その隙を電キックで倒したのだ。
しかし今はケイトガスがないので、他の方法で彼の硬度を崩さねばならない。
現在、戦闘可能なプリキュアはシャイニールミナス、キュアダイヤモンド、キュアアクア、キュアピース、キュアホワイト、キュアブラック、キュアハート、キュアフェリーチェ、キュアジェラート、キュアホイップ、キュアマカロン、そして彼女を合わせた十二人だ。この十二人で戦局を変えなくてはならない。
「鋼鉄参謀! 作戦タイムをお願いします!」
「よかろう! いくらでも待ってやるから、じっくりと作戦を立てるがいい」
ビューティは残る皆を集めて自分の作戦を伝え作戦会議を終えると、再び鋼鉄参謀に向き直る。
「みなさん、行きますよ!」
「「「「「「よっしゃあーッ!」」」」」」
ホイップ達は少し前に烏天狗と闘った光景を思い出して気合を入れる。
「作戦会議は終わったようだな。では参る!」
鋼鉄参謀は鉄球を振り回して突進してくる。
するとシャイニールミナスが立ち塞がった。
「ルミナス・ハーティエル・アンクション!」
「なっ……」
七色の光線を食らい動きを止める参謀。そこへ——
「プリキュア・サファイア・アロー!」
「プリキュア・ビューティブリザード!」
「煌めきなさい! トウィンクルダイヤモンド!」
水と氷の矢を連続で受け、更に全身を凍結させられてしまう。
「こんなものぉ!」
ルミナスの技の効果が切れ、鋼鉄参謀は再び動き出す。
氷を力技で破壊し、鉄球を振り落そうとする。
「リンクルン・リンクトルマリン!」
それをフェリーチェが絶対防御のリンクトルマリンで防ぎ、硬度でもって鉄球を破壊。
「鉄球を破壊したところで、俺の防御力は変わらぬ!」
フェリーチェを一本背負いで投げ飛ばし、歩みを進める鋼鉄参謀。
「防御力は変わらない、ですって? それはどうかしら」
マカロンはくすりと笑って爪による連続攻撃を見舞う。すると鋼鉄参謀の身体に引っかき傷が出来たではないか。
「バ、バカな! なぜ俺の無敵の身体に傷が……!?」
「超低温で凍らせれば金属は脆くなるのです!」
「か、考えたな……」
「今です!」
ビューティの合図によって前に出たのはキュアブラックとキュアホワイト。
「プリキュア・マーブル・スクリュー・MAX!」
「作戦ミスだな。電気を吸収し逆流させる俺に電気を浴びせるとは」
「いいえ、これでいいのです!」
無防備でマーブルスクリューMAXを受けた彼の身体に亀裂が走る。
そこに上空からピースの電撃が炸裂!
「プリキュア・ピース・サンダーッ!」
「グオオオオッ! な、何故だ! 電気を無効化できる俺の身体が悲鳴を上げている!」
「水は電気を通しやすいのです」
「貴様、先ほどの攻撃はこの為に……」
「これであなたは最後です! ホイップ、ジェラート!」
「「キラキラキラルン・キラキラル!」
ホイップの桃色のクリームエネルギーで拘束され、ジェラートの氷を纏った打撃を受けると、鋼鉄参謀の全身からは火花が散り始めた。
「み、見事な采配だキュアビューティ。シャドウが闘いたいと言った理由がわかった」
「いいえ、私だけではあなたに勝つことは出来ませんでした。ここにいるみなさんの助けがあったからこそできたのです」
「俺達は個人で行動することはあれど、仲間と力を合わせて何かを成し遂げるという概念に乏しい。それがこの勝負の明暗を分けたか」
彼はおもむろに自慢の二本の角に手をやると、それをヘシ折る。
「何を……!?」
「勝負には勝てなかったが、せめてお前を道連れにしてやるぞ!」
ブーメランのように投げつけられた二本の角は真っ直ぐキュアビューティに向かってくる。
「危ないッ!」
咄嗟にマカロンがホイップを突き飛ばすと、参謀の角が彼女の胸を貫く。貫かれた箇所から血が噴き出し、マカロンはゆっくりと倒れ、動かなくなった。
「やはりビューティを狙えば、一番近くのお前が庇うと思った。
天才肌のキュアマカロン、お前だけは道連れだ。それがシャドウと交わした約束だからな……だが、俺もここまで。
我らが同胞、ジェネラルシャドウに栄光あれぇーッ!」
その言葉を最後に鋼鉄参謀は自爆。
こうしてデルザーの二人はプリキュア達の犠牲の上に倒された。
残るはジェネラルシャドウただ一人だけとなった。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.22 )
- 日時: 2017/08/28 07:33
- 名前: モンブラン博士 (ID: mOILM.Mp)
荒野でショコラと闘っていたシャドウは鋼鉄参謀とドクロ少佐の気配が消えたことを感じとった。
「ドクロ少佐と鋼鉄参謀は死んだようだな」
「君は仲間が死んだというのに涙ひとつ流さないのか!」
ショコラの繰り出す赤いクリームエネルギーを剣で切り裂き、彼は好敵手の言葉を鼻で笑う。
「涙だと? そんなものとうの昔に捨てた。感情など決闘の邪魔になる。今の俺にあるのは強者との決闘欲のみだ! 奴らは俺の為に死んだが、俺にはもはや悲しみの涙を流すことなどできないのだ!」
「涙を流せない……だって!?」
「そうとも。俺は昔、お前と同じ人間だった! だが、強さを求め自らの身体に強化改造を重ね、ついには魔界に堕ちた男、それがこの俺の正体だ!」
「!」
衝撃的な事実にショコラは動きを止めてしまう。その隙を突かれ、シャドウのレイピアの一撃を食らってしまう。
シャドウは仰向けに倒れ伏すショコラを冷たい目で見下ろした。
「天涯孤独の俺は家族の愛も知らぬ。デルザーの鋼鉄参謀やドクロ少佐とは仲は良かったが、それは友情ではなく敬意でしかなかったのだ。真の意味で俺の友はいない。
もしも俺に愛を与えてくれる存在がいれば、もっと違う人生を歩んだのかもしれんが—」
ショコラはどこか遠い目で語る彼に、立ち上がって歩み寄る。
「今からでも遅くはない。君は生き返った。もう一度人生をやり直せるんだ!今度はもっと違う生き方をしようよ」
「残念だが、それはできぬ。俺は前回のリベンジを果たしに蘇ってきたのだ」
「リベンジ?」
「そうだ。俺はストロンガーを倒す為にブラックサタンの幹部として雇われた。
だがブラックサタンは外様の俺を無視し、実力の無いタイタンやデッドライオンを信用したのだ。それが許せなかった俺はクーデターを起こしてブラックサタンを壊滅させ、同志を引き連れストロンガー打倒に乗り出した」
ここで彼は強く拳を握りしめ、
「だがデルザー軍団は全員が大幹部クラスで、お互い足の引っ張り合う関係だ……奴らを統率する立場だった俺は長らく前線に出られなかったばかりか、足の引っ張り合いが原因で仲間は全滅、挙句の果てに実権をデルザー最高幹部のマシーン大元帥に奪われた!
そして俺は万全の体調でないまま、よりによって自らの死相が出た日に大元帥に裏切り者の汚名を着せられ、強制的にストロンガーと闘わされ、敗北したんだ!
それから長い時を得てようやく復活したらストロンガーは病で死んでいた。この苦しみがこの悔しさが、お前に……お前にわかるか!」
彼が思いの丈を吐き出すと、ショコラの目から一筋の涙が流れた。
それは彼の不遇な人生に同情しての涙だったのだ。
「貴様、何故泣いている!?」
「君がこれほど辛い人生を歩んでいたとは思っていなかった。
だから正直、みくを人質に取った時も許せないと思った。
でも、今の話を聞いて、君に対する気持ちが変わった」
「ほほう。どういう風に変わったのだ」
「君は愛を知らない可哀想な人だ。だから、これまで与えられなかった愛を、私が皆に代わって与えてみせる! そして君を必ず天国に送って、ストロンガーさんに再会させて見せる!」
「面白い。やれるものならやって見ろぉ!」
シャドウはシャドウ・パワーを全開にして必殺の一撃を叩き込むべく、ショコラに接近。
ショコラは専用武器であるキャンディロッドを取り出し、シャドウに向かっていく。
すると彼女の左右にキュアホイップ、キュアジェラート、キュアマカロン、キュアカスタードが現れた。
「みんなどうして!?」
「シャイニールミナスに助けてもらったんです!」
ホイップの言葉に全員が頷く。
仲間の加勢で勇気を貰った彼女は、皆に口を開いた。
「みんな、行くよ!」
「OK!」
五人で協力してクリームエネルギーで五個の巨大なショートケーキを生成。それをシャドウの真上に落とした。
「スリー!」
「ツー!」
「「「「「「ワンダフル・アラモード!」」」」」
巨大なケーキに包み込まれ、シャドウは身動きが取れなくなる。
「な、なんだ、体が温かくなるこの感覚は!」
「これが私達から君へ送る、愛のギフトだよ」
「成程、これが愛の力か……! て、敵ながら実に天晴……!」
最後に安らかな表情を浮かべ、遂にシャドウは完全消滅。
ヘルメットも剣も残さず消えて行った。
シャドウは天国へ行けたのか。それはショコラにわからない。
ただこの闘いで、この世には愛に飢えた人間がいることも学んだ。
これからもキュアショコラの闘いは続くだろう。
大切な者を守るために。
おわり。
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