SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

第11回 SS小説大会結果発表!【次回はSS春大会】
日時: 2015/12/06 17:13
名前: 管理人 ◆P/q.52Nypk

【〜秋の夜長に〜SS小説大会にご参加いかがですか?】

■結果発表!(2015.12.06 副管理人1更新)

>>58 【SS】忘れない愛 ルカさん

が31票で1位となりました!
ルカさん、おめでとうございます〜!

今回は試験的な開催で申し訳ないです。
次回までに表示項目などの各種修正改善を進めていきます。

今回ご参加くださった皆様、誠にありがとうございます!
投票してくださった皆様にも深く御礼申し上げます!
次回SS春大会にもふるってご参加ください。


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【日程に一部変更あり】

■【変更前】 第11回
(2015年11月1日(日)0:00〜11月30日(月)23:59)

■【変更後】 第11回
(2015年11月1日(日)0:00〜12月5日(土)23:59)

※実際には12月5日24:59ごろまで表示されることがあります
※小説カキコ全体としては初回のため仮的な開催です
※ルールは随時修正追加予定です
※風死様によるスレッド「SS大会」を継続した企画となりますので、回数は第11回からとしました
http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?mode=view&no=10058&word=%e9%a2%a8


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【第11回 SS小説大会 参加ルール】

■目的
基本的には平日限定の企画です
(投稿は休日に行ってもOKです)
夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください

■投稿場所
毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)
新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません

■投票方法
スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです
⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します

■投稿文字数
100文字以上〜1万字まで((スペース含む)1記事約4000文字上限×3記事以内)
⇒この規定外になりそうな場合はご相談ください(この掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」にて)

■投稿ジャンル
SS小説、詩、散文、いずれでもOKです。ノンジャンル。お題は当面ありません
⇒禁止ジャンル
R18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説

■投稿ニックネーム、作品数
1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。これらは無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがあります
ニックネームの複数使用は荒らし目的等悪意のない限り自由です

■発表等 ※変更あり
【変更前】2015年12月1日(火)12:00(予定)
  ↓
【変更後】2015年12月6日(日)12:00(決定)

■賞品等
当面ありません…申し訳ないです

■その他
ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせください


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★第11回 小説カキコSS大会投稿作品 一覧(敬称略)

>>1 【詩】雨、というその日に。 miNoRi
>>2 【SS小説】飛べない小鳥 冬野悠乃 ◆P8WiDJ.XsE
>>3 【SS小説】お別れ  奏音
>>4 【詩】君にまた会える日を、僕はずっと待ち続けよう。 瀬ノ島 凛音
>>5 【SS小説】輝夜姫は夜の闇に消える  はみう(゜ω゜*)三
>>6 【SS小説】『メトロノーム』 全州明 ◆6um78NSKpg
>>7 【SS小説】rainy/melody  悠真
>>8 【SS小説】その日は来ない、永遠に。 てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
>>10 【SS小説】君へ。 のれり
>>11 【詩】Memorialdays 零
>>12 【SS小説】無彩色と白。  とある
>>14 【SS小説】螺旋 ろろ
>>15-16 【SS小説】鶴は恩を仇で返す 瑚雲 ◆6leuycUnLw
>>17 【SS小説】笑顔で言おう。「おめでとう」 クッキーコロッケ
>>18 【SS小説】僕とシチューとタコの煮物(仮題) 表裏 ◆w2Agp5Gh4I
>>20 【SS小説】大好きな幼馴染  杏莉
>>21 【SS小説】宇宙より愛を込めて。 故草@。 ◆vna4a5IClM
>>22 【SS小説】囚われた人間。考え。重い思い。 Coronate(コロネ)
>>23 【SS小説】主人公『A』のお話 HVC−012
>>24 【SS小説】茜色の雫が滲んで、 Garnet
>>25 【SS小説】青い部屋に 紺子
>>26 【SS小説】ありがとうの言葉。 ルナ
>>27 【SS小説】約束  彩
>>28 【詩】思いを伝えられたなら  モンブラン博士
>>29 【SS小説】オレ氏とワイセツ物とヒバリ様。 名無したろう
>>30 【詩】存在透明人間 恋恋
>>31 【SS小説】君と出逢えて  宗治狼 ◆r2L9GXvgnc
>>32 【詩】花言葉に想いをのせて  あると ◆9cjbSd9YrQ
>>33 【詩】他力本願 さくら餅
>>34 【詩】大好きなキミへ、ボクから送る最後の言葉 もな
>>35 【詩】大切なきみへ  そら
>>36 【SS】二人は確かに愛し合った 希都
>>37 【詩】幸せを願う証拠 希柳
>>38 【散文】満月の上のマンサルド  翌檜 
>>39 【SS】君の心は止まったまんま。 ふぁんぷ。
>>40 【SS】バカが二人で大馬鹿三昧 (夢大好き丸)※名前部分削除
>>41 【SS】秘密のキスはシーツの下で 妖狐
>>42 【SS】例のアレ Gilochin
>>43 【SS】ちょっと変わった恋 ー始まりー cinnamon
>>44 【SS】僕の嫌いな、僕の話し。 蝉時雨
>>45 【SS】アストロノーツは地に墜ちる 浅葱 游 ◆jRIrZoOLik
>>46 【SS】手をつないで、空を見上げて 雛
>>47 【SS】離れていくあなたへ贈るサヨナラ  妖眼美
>>48 【SS】私は生きる 〜主治医との約束〜 水紀
>>49 【SS】「明日の彼方」 とりけらとぷす
>>50 【SS】夢を拾ってみました。 榛都
>>52 【SS】空への手紙 シャノン
>>53 【SS】ごぼう リアン
>>54 【SS】夕暮れに伝えたい ミソノ
>>55 【詩】Endless World 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM
>>56 【SS】歪んだ恋心。 蚯蚓と書いてミミズです(笑)
>>57 【SS】あの空をもう一度 彩都
>>58 【SS】忘れない愛 ルカ
>>59 【SS】二人の隼人〜ひっこし〜 金愚
>>60 【SS】わたしの取扱説明書 電卓
>>61 【SS】彼氏は幼なじみ☆ 桜ルカ
<ここで投稿を締め切ります 2015.12.01>


(除外)
>>19 【SS小説】マリオ小説 HVC−012 (←申し訳ないです。二次小説は無効です…。)

(2015.12.06更新)
※管理者が作品一覧を更新しています(1〜2日に1回確認)
※第11回大会は終了しました。積極的にご投稿下さりありがとうございます!次回大会をお楽しみに☆

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君と出逢えて ( No.31 )
日時: 2015/11/08 08:46
名前: 宗治狼 ◆r2L9GXvgnc


君に出逢えて、私は幸せだった。
君がいなければ、私はここにいることはなかったでしょう。

「―――樫本あずささん、死去」

私は死んだ。
理由は肺結核。今の時代、すぐに治せるはずだが……私の場合、発見するのが遅くなった。

「あっ……あずさぁ……!なんで死んだんだよォ……!!!」

私の体は、ベッドの上で横たわっている。
それを私は、上から眺めている。
そして、私の姿に嘆く君を、上から見下ろす。

『ごめん……ごめん、シュウ……』

この言葉は、君には届かない。
でも、奇妙なことはあるわけで……

私は、シュウに手紙を書いた。

君はとても驚いていたけれど……いつも涙が流れてた頬に、顔に、笑顔が戻った。

そして君は空を見上げ叫ぶ。

「俺も!!!ダイスキだっ!今までありがとな、あずさっっ!!」

――――――今までありがとう、シュウ。大好きだよ。



Fin

花言葉に想いをのせて ( No.32 )
日時: 2015/11/08 11:36
名前: あると ◆9cjbSd9YrQ

声は、思いを届ける大切なもの。
自分だけのもの。
何にも変えられない、大事な大事なタカラモノ。

でも。

私は声を失った。
ある日の事故で、声が出なくなってしまった。
医師は、もう、二度と治ることはないと言う。
私は、タカラモノを失ったんだ。

目が見える。
耳が聞こえる。
笑える。泣ける。
そんなあたりまえのことができる。
でも、声が出ない。
笑えても、泣けても、
もう私は
誰かと喜びや悲しみを分かち合うことができない。
大好きな人と、喜びや悲しみを半分コできない。
今更のように、知ったんだ。
「私には、もう、言葉がないんだ」


だけど、そうじゃなかった。
確かに、言葉は喋れない。
喋ることはもう二度とできない。
それでも私は、
「伝えることができる」

だから、大好きな人に伝えたい。
私を支えてくれた、大切な人に届けたい。
私の想いをこの花にのせて。


花言葉って知っている?
ひとつひとつに、たくさんの意味が込められているんだよ。
そんな話を聞いたことがある。
私には、これしかないと思った。
伝えるなら手紙。
きっと、みんなはそう言うけれど。
私の言葉は花だから。


花言葉は、私の想いを届けてくれる。
言葉にしなくても、花言葉に想いをのせれば、
花は雄弁に語りだす。

声は思いを届ける。
花は想いを届ける。
だから、今、大好きな君にこの花を贈ります。
サルスベリ。花言葉は、

『あなたを信じる』

他力本願 ( No.33 )
日時: 2015/11/08 15:40
名前: さくら餅

__私の名前?

えっと、あぁ、思い出した。
西条 悠生。
あ〜もう、名前なんて喋りたくないなぁ……。
だって私、幸薄いって気味悪がられてるもの。
あぁ、でも気にしないけど。


理由はね、昨日。
良いこと有ったんだ。
私が変われた理由でもあるんだけど。



昨日の放課後に忘れ物を取りに行ったら、カキツバタの花と、一通の手紙。

手紙の内容は、たったこれだけ。

『いい加減前向きに笑ったらどうだ?
クラスの三浦、アンタの事が気になってるらしいけど、
アンタはどうするの??』

__そっか。

私、ただ運のせいにして、逃げてたんだ。
全部から、逃げてた臆病者なんだ。
なぁ〜んだ。
私って、私の事を気味悪がってる奴より、よっぽど卑怯じゃん。


でもね。
こんな私の事を気にしてくれる人が、私の周りに居るんだよ。
案外、私は幸せかもしれないね。


〜カキツバタの花言葉〜
『幸せは必ず来る』

大好きなキミへ、ボクから送る最後の言葉 ( No.34 )
日時: 2015/11/15 14:32
名前: もな

「大好き!」



そうキミに伝える事が、ボクの唯一の幸せだった。



妄想でも、夢でも、キミに会える事が



ボクの生きる勇気になれた。








桜舞い散る一学期、運命のクラス替えで、



ボクはキミと同じクラスになれたよ。


お早う、キミがボクにそう挨拶してくれた。


キミがボクの事をただのクラスメイトだと思っていても、


ボクにとっては命よりも大切な人。


ある日の帰り道、ボクはキミの後ろで


トモダチと一緒に帰り道を歩いた。


キミは一人で帰り道を歩く。ボクは人と帰ってる。


キミの寂しそうな背中が、ボクはずっと忘れられない。


いつも持ってきてるかばんから、キミがお気に入りの本を出し、


キミは自分の世界に入る。


ものすごいスピードを出した車がキミの目の前まで来た。


プップー、とクラクションが鳴る。


しかし車は止まる気配はない。このままじゃキミは車に…。


ボクは無我夢中でキミの方へ駆け出した。


ドンッ


車と何かが接触する音が聞こえた。


車はそのまま走り去っていく、キミはボクが押したせいで


こけたけど、キミの人生はきっと光り輝くはず。



ボクは瀕死状態だった。



ああ、ボクは幸せものだ。


だってキミの腕の中で死ねるんだもの。


キミの涙がボクの頬に流れ落ちる。


泣かないで、キミの笑顔をボクは見たい。


ああ、ボクはキミの世界に迷い込んでしまったようだね。


ボクは最後の力を振り絞って笑顔でキミに言ったんだ。


「大好きだよ」


と…。


〜fin〜

大切なきみへ ( No.35 )
日時: 2015/11/09 21:40
名前: そら

きみが泣いたら 助けにゆくよ
だからいつでも 僕を呼んでよ

だってきみが だいすきだから


辛いときは 隣にいるよ
きみといっしょに ひざを抱えて

2人でいれば あったかいから



寂しいときは 手をつなごう 
嬉しいときも 手をつなごう



お日様みたいな キラキラ笑顔も 

どしゃぶりのような 泣き顔も

氷のような 冷たい瞳も

炎のような 真っ赤な怒りも



きみが嫌いな 真っ黒なきみも
きみが捨てたい 大嫌いなきみも


それがきみなら そのままでいいよ
だって僕は 大好きだから
「きみ」というきみが 大好きだから



あらしのような 苦しみの中も

星も月もない 真っ暗な闇夜も

うみの底の 孤独な世界も


きみと2人で ただ 静かに・・・






そしていつか 雲が晴れたら・・・






また、2人で遊ぼうね

二人は確かに愛し合った ( No.36 )
日時: 2015/11/09 21:50
名前: 希都

彼女と付き合い始めて5年が経って俺が25歳の時、もともとある病気だった俺は余命1か月と診断された。

嘘であってほしかった。
だけど、隣で泣いている彼女を見て嘘なんかじゃないって実感した。
彼女が泣いてる。
抱き締めたいのに俺はベッドに寝て見てることしか、手を握ってあげることしかできない。
・・・残りの時間、彼女に何をしてあげられるだろうか。

考えた挙げ句、手紙を書くことにした。
一日一日書いては消しての繰り返し。

自分の体が自分で動かなくなるときまで繰り返してた。

意識も朦朧としてきてもう終わりかなって思う日が多くなった。
その度に彼女は泣きそうになるんだ。




今日も意識が朦朧とする。
次第に何処にも力が入らなくなる。

うっすらと見えたのは彼女が泣いている顔だった。

あぁ、ごめん。
もう駄目みたいだ。

【拝啓 愛しき人
 手紙でごめん。直接言わなきゃいけないんだけど恥ずかしいし、もう時間がないからさ。
今までありがとな。
5年間すっげぇ幸せだった。
でもできれば一緒に年をとりたかったなっておもったりした。


あのさ、幸せになれよ。
お前の隣にいるのが俺じゃなくてもいい。お前に新しい彼氏ができて、結婚して、子供ができて。
幸せに向かってくれ。幸せになってほしい。

泣いてないか、きちんと笑っているか、落ち込んでいないか。
傍にいてやれないけど、俺は君を想う。

ありがとう。
ありがとう。
最後までありがとう。
さよなら。

願わくは君に幸せが訪れることを】


次の日。
昨日まで男性が寝ていた病院のベッドは綺麗に畳まれていた。
その横で
手紙を大事そうに抱きしめた一人の女性が、

静かに涙を流していた。

fin.

幸せを願う証拠 ( No.37 )
日時: 2015/11/11 19:03
名前: 希柳


君の声を聴かせて。

『愛してる。』

その言葉を私に向けて。

君の笑顔をみたい。

君の気持ちに割り込みたいの。

君の瞳にうつりたい。

そう思うことは恥ずかしい事?

君に抱き締められたい。

君と手を繋ぎたい。

不可能だとわかっても、君を知りたい。

わかってる。君には彼女がいるってことは。

彼女をすごく大切にしてることはわかってる。

私に気持ちが傾かないなんてわかってる。

それでも好きが消えてくれなくて、君が私を見てくれる事に期待して

どうしようもないくらい私は君におぼれてる。

私は君に恋をした。

恋がこんなに苦しいなんて分からなかった。

君が彼女に笑いかける度、黒い感情が私を覆うの。


あぁ、恋がこんなに醜くて、苦しいものなんて知りたくなかった。


………でも君を好きになってよかった。

君が幸せならいい。

綺麗事かもしれないけど、

私の本心はまちがいなく

私が少しでも君と彼女を応援している証拠。

fin.

満月の上のマンサルド ( No.38 )
日時: 2015/11/11 20:09
名前: 翌檜

今日は満月が良く見える…

ここは私だけの世界。例え、小さくても

今日は星が良く見える…

ここは僕だけの世界。例え、狭くても

今日は空が良く見える…

いつか見た空と、全然違う。

だって君がいるから。

二人なら大丈夫だ。

さあ、僕達の世界の屋根裏部屋を飛び越えて行けば

待っているのは、死の祝福と生の落胆。

僕は一人じゃない。

一人なら死ぬ事は無かった。

一人なら生きるのが怖かった。

やっと死ねる。

やっと君と出会えた。

やっと世界に対して同じ思いを持つ者が僕の中で生まれた。そして、君と自殺しよう。



今日は満月が良く見える…はずだ。

だけど、どうして満月が歪んで見えるんだ?

どうして、君は泣いているんだ?

どうして、涙を流しているんだ?

僕は一人じゃない。

一人なら生きる理由が無いからだ。

やっと生きれる。

やっと君と出会えた。

やっと世界に対して同じ思いを持つ者が僕の中で生まれた。そして、これから二人で生きよう。

君の心は止まったまんま。 ( No.39 )
日時: 2015/11/13 18:37
名前: ふぁんぷ。
参照: http://fanpulu...

声やしぐさは覚えてるのに...
何故か顔が思いだせないんだ。

ずっと一緒に居た筈なのに心には今も存在が有るのに。

君の姿を想像すると、顔だけが出て来ない。
その度に胸が苦しく締め付けられて......
声が出なくなる。

───「ほら泣かないでよ」...──
遠くで君がそう囁く。耳の奥まで擽るような、甘い声で。

───「結構前だしさー」...──
顔は見えないけど、フッと笑った気がした。

───「まぁまぁ君が私を忘れないだけでも奇跡みたいなモンよ。」...──
肩を竦めてそう言う。


...そんな事は無いのかもしれないが、俺にはそれが無理しているようにしか思えなかった。


あの日もしも自分が一緒に居れば...
あの日もにも自分が無理して誘わなければ...
あの日君はこんな事には遭わなかった...
あの日の事が在るんだから君は俺を恨む理由が此処にある。

───「私が君を恨む理由なんて無いよ!?」...──
もうそんな筈は無いのに、感触が在った。

フワッとした生命を感じた。
そこには...此処にはそれが存在した。


───「でもさ? 私はもうこうして君と話す事は無いよ」...──
なんでと言いかけた所でフッっと消えた君。


座り込んで顔を上げるとカレンダーが目に入る。

夏休みの初日から四十九日が経っていた。







君の心の時間は今も四十九日前のまんま。

バカが二人で大馬鹿三昧 ( No.40 )
日時: 2015/11/15 20:07
名前: 夢精大好きちんぽ丸
参照: https://twitter.com/Toremoro1467



「レディース&ジェントルメェン! さぁ今宵もみなさんお元気お気楽御調子絶好調、ぶっちぎりハイテンションぶっ殺し隊隊長、尊大絶対偉大広大、三奈木山詞花様だよぉ!」
 やかましい声と共に、阿呆な名乗りで、黒いコートを着た女が突然に表れる。
 場所は【街】の中心地、【岸峰財閥】の本部ビルの屋上。
 そう、屋上である。
 女性にしては埒外な長身とスレンダーな肢体、その体を黒いコートに包む、年齢は二十とそこそこといったところだろう。。
 そんな彼女、三奈木山 詞花(みなぎやま しか)は、手に拡声器を持ちながら、吹きすさぶ強風の中、屋上のフェンスによじ登って叫んでいた。
「今からぁ! 悪ど〜〜〜い事して稼いできた、この岸峰財閥のォ、その社長さんの首をぶっ狩りに行くぞぉ! 死にたくなかったら逃げろォ! 死にたくなくても逃げろぉ! とにかく逃げて逃げて逃げまくれ、私が殺す、ぶっ殺す。躊躇なく、万遍なく、懺悔も何も聞かないまま、丁寧に丁寧に、跡形もなく粉微塵に――」
「だぁ! うっさいわボケェ!!」
 と、軽快に軽妙な宣言らしきものをしていた詞花を、横っ飛びハイキックで誰かがフェンスの内側にまで蹴り飛ばした。
「がヴァりヴェハヴっ!?」
 人間が出しちゃいけない音を出しながら、盛大に転がる詞花。怪我はしていないようだが、鼻から出血していた、なんとも絵面的にバカっぽい。
 そしてなんとも重要な事だが、詞花は本物のバカなのである。
「詞花ぁ! テメェはなんでそう、バカなの⁉ 私言ったよね! 私確かに言ったよね! 隠密行動だって、ステルス・スニーキングしてこうって! 言ったよね!?」
 詞花を蹴り吹っ飛ばした誰か。彼女もまた黒いコートをした女性だ。
 ただし、詞花と違って、そのサイズはかなり小さい。
 低身長の少女。年齢はまだ十代を半ばと言ったところか。
 性別以外を詞花と反転させたかのような印象のある少女は、名を、可松 葉木(かまつ はもく)と言う。
 

 説明しておこう。
 この二人の職業は暗殺業。
 人を殺し金を貰う。依頼理由は様々、受ける理由は金一つ。
 この世で尤もクソな人間の職業の一つ。
 人類が生んだ、愚かに過ぎる生業の一つ。
 コンビの殺し屋、情無し、籍無し、生きる価値無し。
 それが、詞花と葉木の簡単な概要で、全てである。


「葉木ゥ! ひでぇよ、ひでぇよ、つれぇよ、つめてぇよお姉さん泣いちゃうよ! 詞花様が何したって言うんだよォ!」
「大声で騒いでただろうがボケ! 殺すぞ!!」
「ひゃぇっっ、葉木怖いよォ」
 屋上で強い風に吹かれて、大声で叫び合う二人。
 と、そんな姦しく騒いでいて、【岸峰財閥】の本部ビルの警備が黙っている訳もなく、次の瞬間には怒声が辺りに響いた。
「なんだ貴様等ぁ!」
 怒気を孕んだ、男の声と共に盛大に屋上にあるドアの一つが開かれる。そして、その屋上出入り口から次々と人が入ってくる。
「お前ら、動くなッ!」
 鋭く響く通る声。
 紺色の警備服を来た男たちが、数名構えを取って二人の馬鹿に臨戦態勢を取る。
 銃を持っている者や、警棒を構えている者。二人に叩きつけられる、確かな殺気。
 どう見ても正規の警備員が持つ兵装を越えており、ここがアングラな場所だと実感させられる。
 だが、バカ二人には関係が無い。
「あへへぇいー、やべぇの来たァ……」
「おめーが呼んだ様なもんだボケ!!」
 倒れていた姿勢から立ち上がる詞花、その隣に場所を移す葉木。多少なりとも命の危機にさらされている二人だが、焦る様子は微塵も感じられない。
 顔に浮かぶのは、笑み。
 無邪気な子供と、冷徹な大人の、デカい子供と、小さい大人の、正反対の、だが熱量は同じだけの、鮮烈な笑み。
 
 人殺しの笑顔。
 
「貴様等、何処から入ってきた。何故こんな、屋上などに居る!」
 その二人の態度に不気味さを感じたのか、銃を構えるリーダー格の警備員は語気荒く質問する。
「あー、何処から、ねぇ。まあ、アレよ。下から」
「は?」
 返答を寄越す詞花の言葉を理解できずに聞き返す警備員。
 何故ならここは屋上だ。下からというのなら、入り口から入ってきたのだろうが、このビルに入るには社員証などが必要であり、上の階に上がれば上がるほど警備機能は格段に上質になる。
 屋上に立ち入る事など、見回りの警備員か、他数名程度の重役が気分転換に来られる程度で、他の人間には不可能だ。
 だから、下から自然に入ってくるなどと言うのは不可能。警報機が作動した様子も無い。警備員は理解が出来なかった。
 だが、違う。
 詞花の言う、下、とは。入り口から入ってきた、という意味ではない。もっと純粋な意味。


「だから、下は下だってヴぁ。下の、【地面から、ビルの壁伝いに走って上まで来たんだよ】」


「……」
 空気が一瞬凍る。
 そして、凍解。
「バカにしているのか貴様!」
 激昂する警備員、何を言っているのか分からない、だが、虚仮にされていると、そう感じた。
 だが、詞花にその感情は無い、彼女は純粋に返答しただけだ。
「まあ、詞花は存在自体がバカバカしいからな。私はこいつの背中に乗って此処まで一緒に来たわけだが」
「誰が馬鹿だ!!」
「お前だ」
 やんややんやと言い争う二人、そんな二人に業を煮やしたのか、警備員は決める。
「なんだか分からんが危険だ、危険は排除する。責任は俺が取る、殺せッ!」
 法治国家に有るまじき人間の命の軽さを感じさせる号令で、他の警備員たちは、未だ争っている二人に銃口を向け引き金に指を掛ける。
「撃て」
 リーダー格の言葉の元、部下数人が引き金を引き、発砲音が―――。
「あっ……?」
 ―――聞こえない。

「銃は良くないよォ、銃はァさぁ」
 何時の間にそこに居たのか、詞花はニコニコと笑いながら、警備員達を見やっている。
 彼女の手には、血に濡れた銃が五丁。
(あれ? あの銃俺のだよな、なんで血が銃について?)
 一人の警備員が疑問を抱く、だがその疑問はすぐに氷解する。
 ああ、なんだこれは。手の感覚が無い。壮絶な喪失感がある。
 無くしてはいけないモノを、亡くして居る事に、失くして……、消失。
 警備の一人は目を向けた、自分の手に目を。そして、手首から先が、冗談のように無くなっているのを見――
「えぁ……? あ、あぁ、ぎぁひぃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 絶叫が数人から響く、血濡れの叫びが。だが、その叫びすらも、長くは許されない。
「うるせぇ! もうちょいミュート気味で叫べや、ご近所迷惑だ!」
 無茶苦茶を言いながら、詞花同様、何時の間にか近づいてきていた葉木が、叫ぶ警備員の顔面に片っ端から拳を蹴りを叩き込み、気絶させていく。
 いや、おそらく、そのまま永遠の眠りにつく可能性大の昏倒、気絶なんていう生易しいモノではない死への誘い。
「あ、ああ、お前ら、貴様等、なんだ、コレ……」
 部下が目の前で倒れていくのを何もできず見ながら、リーダー格の男は詞花と葉木を見る。
 それに対して、二人は馬鹿みたいに大きな口をあけながら、愉快痛快二人そろって楽しく宣言し始めた。
『殺し屋だぁよ! お前ら全員逃げてくりゃれぇな!!』


 さてはて、バカ二人が馬鹿みたいに人を殺す、そんな地獄が、開演する。

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