SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

第11回 SS小説大会結果発表!【次回はSS春大会】
日時: 2015/12/06 17:13
名前: 管理人 ◆P/q.52Nypk

【〜秋の夜長に〜SS小説大会にご参加いかがですか?】

■結果発表!(2015.12.06 副管理人1更新)

>>58 【SS】忘れない愛 ルカさん

が31票で1位となりました!
ルカさん、おめでとうございます〜!

今回は試験的な開催で申し訳ないです。
次回までに表示項目などの各種修正改善を進めていきます。

今回ご参加くださった皆様、誠にありがとうございます!
投票してくださった皆様にも深く御礼申し上げます!
次回SS春大会にもふるってご参加ください。


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【日程に一部変更あり】

■【変更前】 第11回
(2015年11月1日(日)0:00〜11月30日(月)23:59)

■【変更後】 第11回
(2015年11月1日(日)0:00〜12月5日(土)23:59)

※実際には12月5日24:59ごろまで表示されることがあります
※小説カキコ全体としては初回のため仮的な開催です
※ルールは随時修正追加予定です
※風死様によるスレッド「SS大会」を継続した企画となりますので、回数は第11回からとしました
http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?mode=view&no=10058&word=%e9%a2%a8


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【第11回 SS小説大会 参加ルール】

■目的
基本的には平日限定の企画です
(投稿は休日に行ってもOKです)
夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください

■投稿場所
毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)
新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません

■投票方法
スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです
⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します

■投稿文字数
100文字以上〜1万字まで((スペース含む)1記事約4000文字上限×3記事以内)
⇒この規定外になりそうな場合はご相談ください(この掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」にて)

■投稿ジャンル
SS小説、詩、散文、いずれでもOKです。ノンジャンル。お題は当面ありません
⇒禁止ジャンル
R18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説

■投稿ニックネーム、作品数
1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。これらは無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがあります
ニックネームの複数使用は荒らし目的等悪意のない限り自由です

■発表等 ※変更あり
【変更前】2015年12月1日(火)12:00(予定)
  ↓
【変更後】2015年12月6日(日)12:00(決定)

■賞品等
当面ありません…申し訳ないです

■その他
ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせください


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★第11回 小説カキコSS大会投稿作品 一覧(敬称略)

>>1 【詩】雨、というその日に。 miNoRi
>>2 【SS小説】飛べない小鳥 冬野悠乃 ◆P8WiDJ.XsE
>>3 【SS小説】お別れ  奏音
>>4 【詩】君にまた会える日を、僕はずっと待ち続けよう。 瀬ノ島 凛音
>>5 【SS小説】輝夜姫は夜の闇に消える  はみう(゜ω゜*)三
>>6 【SS小説】『メトロノーム』 全州明 ◆6um78NSKpg
>>7 【SS小説】rainy/melody  悠真
>>8 【SS小説】その日は来ない、永遠に。 てるてる522 ◆9dE6w2yW3o
>>10 【SS小説】君へ。 のれり
>>11 【詩】Memorialdays 零
>>12 【SS小説】無彩色と白。  とある
>>14 【SS小説】螺旋 ろろ
>>15-16 【SS小説】鶴は恩を仇で返す 瑚雲 ◆6leuycUnLw
>>17 【SS小説】笑顔で言おう。「おめでとう」 クッキーコロッケ
>>18 【SS小説】僕とシチューとタコの煮物(仮題) 表裏 ◆w2Agp5Gh4I
>>20 【SS小説】大好きな幼馴染  杏莉
>>21 【SS小説】宇宙より愛を込めて。 故草@。 ◆vna4a5IClM
>>22 【SS小説】囚われた人間。考え。重い思い。 Coronate(コロネ)
>>23 【SS小説】主人公『A』のお話 HVC−012
>>24 【SS小説】茜色の雫が滲んで、 Garnet
>>25 【SS小説】青い部屋に 紺子
>>26 【SS小説】ありがとうの言葉。 ルナ
>>27 【SS小説】約束  彩
>>28 【詩】思いを伝えられたなら  モンブラン博士
>>29 【SS小説】オレ氏とワイセツ物とヒバリ様。 名無したろう
>>30 【詩】存在透明人間 恋恋
>>31 【SS小説】君と出逢えて  宗治狼 ◆r2L9GXvgnc
>>32 【詩】花言葉に想いをのせて  あると ◆9cjbSd9YrQ
>>33 【詩】他力本願 さくら餅
>>34 【詩】大好きなキミへ、ボクから送る最後の言葉 もな
>>35 【詩】大切なきみへ  そら
>>36 【SS】二人は確かに愛し合った 希都
>>37 【詩】幸せを願う証拠 希柳
>>38 【散文】満月の上のマンサルド  翌檜 
>>39 【SS】君の心は止まったまんま。 ふぁんぷ。
>>40 【SS】バカが二人で大馬鹿三昧 (夢大好き丸)※名前部分削除
>>41 【SS】秘密のキスはシーツの下で 妖狐
>>42 【SS】例のアレ Gilochin
>>43 【SS】ちょっと変わった恋 ー始まりー cinnamon
>>44 【SS】僕の嫌いな、僕の話し。 蝉時雨
>>45 【SS】アストロノーツは地に墜ちる 浅葱 游 ◆jRIrZoOLik
>>46 【SS】手をつないで、空を見上げて 雛
>>47 【SS】離れていくあなたへ贈るサヨナラ  妖眼美
>>48 【SS】私は生きる 〜主治医との約束〜 水紀
>>49 【SS】「明日の彼方」 とりけらとぷす
>>50 【SS】夢を拾ってみました。 榛都
>>52 【SS】空への手紙 シャノン
>>53 【SS】ごぼう リアン
>>54 【SS】夕暮れに伝えたい ミソノ
>>55 【詩】Endless World 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM
>>56 【SS】歪んだ恋心。 蚯蚓と書いてミミズです(笑)
>>57 【SS】あの空をもう一度 彩都
>>58 【SS】忘れない愛 ルカ
>>59 【SS】二人の隼人〜ひっこし〜 金愚
>>60 【SS】わたしの取扱説明書 電卓
>>61 【SS】彼氏は幼なじみ☆ 桜ルカ
<ここで投稿を締め切ります 2015.12.01>


(除外)
>>19 【SS小説】マリオ小説 HVC−012 (←申し訳ないです。二次小説は無効です…。)

(2015.12.06更新)
※管理者が作品一覧を更新しています(1〜2日に1回確認)
※第11回大会は終了しました。積極的にご投稿下さりありがとうございます!次回大会をお楽しみに☆

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雨、というその日に。 ( No.1 )
日時: 2015/11/01 21:23
名前: miNoRi
参照: http://shousetu/5564/j-w

ある日、君は言ったんだ。


 


 

__雨の降らない世界はあるのかな


 


 


 


 

雨上がりの虹を見上げて言ったんだ。


 

 

 

 


 


 


 


 

 

 

彼女の名前は、柴橋れい。


 


 

 

少し目の青い、キリッとした顔立ちの黒髪の少女。


 


 

 

「今日も雨ですか」


 


 

いつも同じバス停から乗る、という共通点から次第に話すようになっていった。


 


 


 


 

話を聞けば彼女は雨が嫌いだそう。

 


 


 

「なんで嫌いなんですか」


 


 

そう聞いたけど、笑って誤魔化された。


 


 


 

 

いつも赤いリボンのついた制服を着ている。


 


 


 

どこの学校かは知らないが年は近そうだ。


 


 

 


 


 





















「おっはー!ひなた〜!」


 


 

雨で憂鬱だっていうのに、幼馴染みの源はいつものように暑苦しい。


 


 


 


「日向〜!お前もっと笑えよー!」

 


 


 


 

日向。

 


 

 

彼女は雨が嫌いだが、晴れは好きなのだろうか。


 

 


 

好きか嫌い、ただそれだけなのにどうしても気になるのは


 

この名前のせいだと俺は思う。


 


 


 


 

晴碕日向。


 


 

彼女には言いたくない名前。


 


 

だって、思いっきし " 晴れ " って感じがするじゃん。


 


 

なんか恥ずかしい。





 

つまり無理。


 


 


 

 


 


 

 

毎朝、バス停で会う彼女には


 

 

日向、とだけ言っておいた。


 


 


 

そしたら『いい名前だね』って微笑んでくれた。


 


 


 




 

でもそういうってことは、やっぱり晴れが好きなんだろうか。


 


 


 


 


 

 


 

 

























「おはよ、日向くん」


 


 

今日も彼女はいた。


 


 

 

「今日は雨だね」


 


 

傘を差しながら、またいつものように微笑む。


 


 

その微笑みがなによりも僕が好きな顔。


 


 


 

「日向くんて、いつも濡れてるってイメージしかない」


 


 

笑いながら言われた言葉。

 


 

 

「ふは、なんで?」


 


 

「んー、なんとなく?」


 


 

 



 


 

「なにそれ」


 


 
僕は笑った。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

「そういえば日向くんは雨好きなの?」


 


 

「え、違う…けど」


 


 

「そうなの?ずっと好きだって勘違いしてた」


 


 

「俺、雨好きだって言ってた?」


 


 

 

彼女は首を横にふる

 





 

「日向くん、雨のときものすごく可愛く笑うから」


 


 


 

か。かわ……









「可愛くねぇし!」


 


 


 
これがはじめて彼女にみせた照れ隠し


 


 


 

 

 

 

「そ、そういう柴橋さんこそ、雨好きそうだし」


 


 


 

 

違うよ、って困らせるつもり



 


 


 

だった


 




 


 
のに


 


 


 


 


 

「好きだよ」


 


 


 


 


 


 

思ってもみない言葉が返ってきた。


 


 

「嫌いだけど、好き…みたいなね」


 


 


 


 


 

雨の日に見せた彼女の小悪魔みたいな笑顔は


 


 

僕を虜にさせた。


 


 


 


 


 

その日、君は言ったんだ。


 


 

__晴れのない世界はあるのかな



 


 


 


 


 

雨上がりの空を見上げて言ったんだ。


 


 


 


 

 

fin.

飛べない小鳥 ( No.2 )
日時: 2015/11/01 23:16
名前: 冬野悠乃 ◆P8WiDJ.XsE

 とべないことりは つぶやいた
 どうしてあなたはとべるのです?
 とべることりは さけんだ
 わたしはせかいをしっている

   ***

 ――どうして、わたしはいつもドジを踏んでしまうのだろう。ふとしたときにいつも考える疑問には、いまだに答えられずにいた。
 わたしの名前は凪那(なぎな)ミナ。どこにでもいる平凡な少女だ。
 わたしは今日も帰り道を一人寂しく歩いている。でも、別に寂しくなんかない。だって昨日買ったCDを聞こうって決めた日だから。

(風斗(ふうと)さん――)

 それは“FUUT”の名で知られる、有名なアイドルの名前だった。通称、フウくん。まだ高校生らしいそのアイドルは、わたしの大好きな人。もちろん、アイドル的な意味で。

(アイドル的な意味で、ってなにさ……)

 思わず溜息を吐いてしまう。空はいつも綺麗だなあとか、そんなどうでもいいことを呟いてみる。
 でも、なにも変わらない。
 ……そう、なにも変わらない。
 食べられない人だっているんだよ。そんなの知ってるよ。
 貧しい人々のためになにかできないの。募金ぐらいしかできないし、そんなの本当に貧しい人たちに届くかわからないじゃん。
 そう思いながら生きてきたわたしは、いつも通り家のドアを開ける。きっと、玄関には愛犬の“いもた”がいるなあ。そんなことを考え始めて――固まった。

「こんちは♪」

 ――――は?
 目を見開いて驚いても、どんなに頬をつねっても――そこにいるのは大好きなあの人。
 わたしとほとんど年が変わらない、あの人。
 茶色い髪と瞳が綺麗な、あの有名アイドル――風斗!?

「え、あの、まって、うそ――?」
「風斗だけど?」
(――いやいやいやっ! そんな漫画みたいなことあるわけない! 突然あの、あのあのあのっ――)
「……まだ、困惑してるのか?」
「い、いえ。あ、いや……して、してるけど、その」

 開いた口が塞がらない。どういうことか全然わからない。
 わたしは風斗さんを見つめる。突然すぎて、なぜか、うっわあ、綺麗だなあ……とか考えてしまった。

「おい、落ち着けよ。とりあえず聞いてくれ。俺、今すっげえこと考えてんだ!」
「な、なんです……か?」
「それは――“ドリーム・ロスト・スタート・プロジェクト”!」


 夢のない、虚ろな子供たちをキラキラ輝かせてほしい。
 だから、なにか役に立つようなことをやらしてほしい。
 そして――最後に歌を歌ってほしい。

「というのがその、ドリームなんとかプロジェクト?」
「ああ、そうだ。そんで、夢のない人たちに夢を持たせてほしい――それが偉い人の言ってたことなんだぜ」
(夢がなくて悪うござんましたね……)
「で、な? ミナ、お前には俺と一緒に仕事をやってほしいんだ!」
「仕事?」
「ああ。……ダメ、か――?」

 そんなの、いいに決まってる。わたしは一つ頷くと、風斗さんはにかっと笑った。その笑みがとても素敵で、わたしは頬を赤く染めて見惚れてしまう。

「ん、ゴメン」
「あ、す、すみませんっ」
「いや? 俺が悪いじゃん、今の。なんで赤くなったのかはわかんねーけど」
「……仕事ってなんです?」

 少し怒りを含ませた、どこか不貞腐れてる声音で尋ねる。風斗さんはまた謝って、説明しようと口を開いた。

「風船配り!」
「ふ、ふうせんっ?」
「ああ。俺とミナ、二人で配るんだ。子供たちの笑顔が見れるぞ〜!」

 ――子供たちの笑顔、ねぇ。

(そんなの)

 わたしは溜息を吐いた。それを見た風斗さんが不思議そうに首を傾げる。
 それが可愛かったのだけど、今度は見惚れないでわたしは顔を俯かせた。

(――どうせ、小さなことだ。無駄だよ)

   ***

 俺は一つ思うことがある。
 世界の人たちを笑顔にするには、まず自分自身が楽しかったりしなくちゃダメなんだってこと。
 それと、もう一つ。
 “ココロ”で歌ったりすれば、必ずひとは応えてくれるってこと。
 ……足りないんだよな、彼女には。さあて、どうしよっかなー。
 呟きながら彼女を見やる。

「風船配り――」

 どこか空っぽな声音で、そう呟いていた。

   ***

「よしっ。配り終わったな!」
「……はい」

 なんでこんなこと、してるんだろう。
 明日、平日だから学校あるのに。暇じゃないのに。
 いろいろなドロドロした思いが混ざりあって、なんだか気持ち悪い。疑問がいっぱい湧き上がってしまって、怖い、とも思える。
 わたしはそれを和らげるために、意味のない溜息を吐いた。

「んー。なんか溜息吐いてばっかりだな?」
「……」
「だんまりかよ」
「意味……あるの……?」
「え?」

 ――え? じゃ、ないよ……質問してるんだよ……意味、意味は……あるの?
 ドロドロした思いは広がって大きくなってとまらなくて――遂になにかが壊れたような感じになった。とまらない。大好きなアイドルを、わたしは思いきり睨みつける。

「意味、あるの?」
「うおっ――」
「なんでこんなことしなくちゃいけないの? コンビニにある募金とか、わたし、たまにやってるけど、不安になるよ。届いてるの? ホントは大人の都合とかそういうので、勝手に別のところで使われてたりするんじゃないの?」
「……んー、そーかもしんねーけど……」
「わたし、わからない。コドモだからかもしれない。でも、それをヌキでもそうなんだ。非力で無力で情けない、平々凡々なわたしじゃ……どんなに頑張ってどうせ、平凡なだけでしょうっ? どうせ、わたしの努力なんて届かないでしょう?」
「……そうかな?」
「そうだよ。どうせ悪用とかされてるんだ。大人も子供も変わらないよ。みんな少しでも悪いことしてるんでしょ。……どうせ役立つことだって、あとには嫌なことに変わるんだよ」
「……それは、お前の努力が足りてねーだけじゃねーの? 俺は知ってるぜ、本当の“小さなこと”をさ。いや、俺が知ってることは、もしかしたら大きなことかもしれないけど――」

 風斗さんがにかっと笑う。
 ――とても綺麗な笑みだった。

(あ……わたしとは、大違い……)
「俺さ、今から歌うんだけど――! 聞いてくれねえっ!?」

 マイクから流れる、風斗さんの声。
 ――周りに集まる人々と雑音。

「うしっ」
「……あの、ふう――」
「ミナ!」
「はいっ!」
「――見てろよッ!」

 マイクから通って流れる、心地よい雑音に包まれて――風斗さんは口を大きく開く。
 そして、その歌声が――。

 とべないことりは つぶやいた
 どうしてあなたはとべるのです?
 とべることりは さけんだ
 わたしはせかいをしっている

 俺だって知ってるぜ どんなにサイズが違くとも
 童話や物語の中のハナシ きれいごと? それでもいいさ

 ファンタジーはリアルで通用するものもある
 知ってる? どんなに小さなことでも

 世界を揺るがす歌声 響かせろ
 俺の歌は世界一…… ココロに向かって届ける歌さ!

 飛べなくてもいい 飛ばなくともいい
 どっちでも届けられるそれは とても明るい曲なんだ

 小鳥の羽は何色? 白色だけじゃないだろ
 世界を広げて 自分を狭めないで きっと待っている新世界

 だいじょうぶ 聞こえるよ
 キミにもその 小さなことが

「――それは、どんなに小さくともココロに届けようと、精一杯頑張る者が主なら……きっと聞こえるはずなんだ!」

 どんなに小さなことでもいい 例えば募金とかでもいい
 頑張ってもそれにキモチがなけりゃ ムダになってしまうんだ

 まずば自分からだろ 精一杯広げよう
 言葉にオモシをとか そういうのなんだ

 飛べなくてもいい 飛ばなくともいい
 どっちでも届けられるそれは とても静かな曲でもさ

 小鳥の羽は何色? 白色だけじゃないだろ
 世界を広げて 自分を狭めないで きっと待っている新世界

 だいじょうぶ 見つかるよ
 キミにもその 小さなことが

   ***

「とべないことりはつぶやいた、どうしてあなたはとべるのです――それは、キモチがあるから……か」

 ――そうだね。まあ、確かにその通りかもね。

(……でも、ちょっと強引? それにしても、歌ったらすぐに帰っちゃうなんてね――)

 ……ま、いっか。
 わたしは空を見上げる。相変わらずの綺麗な青空だった。
 ただ、今は夕焼け空だったけれど。

(……今度募金するときには、“キモチ”を入れてみなくちゃな)


 わたしの名前は凪那ミナ。どこにでもいる平凡な少女だ。
 わたしは今日も帰り道を一人寂しく歩いている。でも、別に寂しくなんかない。だって昨日買ったCDを聞こうって決めた日だから。

 ――キモチがこもった、彼の歌声を聞こうって。そう決めた日だから。

お別れ ( No.3 )
日時: 2015/11/02 06:57
名前: 奏音

――さようなら。 君とはもう、会えないんだ。

こんなひどい嘘。彼の口から出るわけない。


彼は優しくって嘘なんてつかない人。

それに嘘なんてついたとしても目が泳いですぐわかる。

なのに今は…

いつもみたいに目が泳いでいない。

その、綺麗な目は私を見ている。



「大分、嘘つくのが上手くなったね」

涙が目に溜まる。声が震える。



「嘘じゃない。 君とはもうお別れなんだ」

『嫌だ』声に出そうとしても声に出ない。

声がのどに張り付いて何も出ない。

ただ、出るのは目から溢れだす涙だけ。





幼馴染の彼。

昔からいつも一緒だった。

優しくって嘘が下手で、いろんなことに人一倍努力して。

そんな彼が大好きだった。

彼と離ればなれになるのはもっと先かと思ってた。

まだ、ずっと一緒に居られると思ってた。


お別れなんて…

「嫌だよ」

涙を流しながらそう呟く。

彼は困った顔をして『ごめん』という。

そんな顔しないでよ。

私がもっと悲しくなっちゃうからさ。








本当にお別れだとしたら。


いつもみたいに笑っててよ。ね?


――fin

君にまた会える日を、僕はずっと待ち続けよう。 ( No.4 )
日時: 2015/11/02 19:17
名前: 瀬ノ島 凛音

僕は、雨が好き。

雨の音は気持ちを落ち着かせてくれる。

雨の匂いも。雨の温度も。

雨が、好きだ。

涙を隠してくれるから。


『周りのカラフルな傘に埋もれ、一人で佇む僕の姿は貴方にどう写っていますか?』


そんな言葉も、雨の音がかき消してくれる。

空を見上げると、雨が目に入ってきた。

涙と雨が一緒に、僕の体を冷やす。

そのまま、前に進んでみた。

歩くと下を向いてしまうのが僕の癖。

右足、左足、右足、左足。一定のリズムで交互に見える自分の足。

黄緑色が点滅している横断歩道を渡る僕。

その時左から、僕を照らす光がすごい速さで近付いてきて――


                   **


――だんだん遠のいていく意識の中、僕は仰向けになって空を見つめていた。

体中が痛い。

目だけを動かして横を見てみると、左ヘッドライトあたりが凹んだトラックが止まってあった。

ああ、あれに轢かれたのか。

…ははは、あの子と一緒の逝き方をするのか、僕は。

でも、ちょうどいいかもな。

これが…あの子を殺した僕の罰か…。皮肉なもんだ。

そんな事を考えてみる。


「ユウマ!!?」


遠くで僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。

聞き覚えがあるこの声はきっと…リョウかな。

あの子がいなくなってから僕を避けていたのに、今更何だよ。

今更友達ごっこですか。今更僕の心配ですか。

…ああ、もうなんかどうでもいいや。

きっと、あと少しで僕はいなくなるんだ。

きっと、あと少しで佳奈のところへ行けるんだ。

あの子の元へ。

カ…ナ………ごめん…

僕の意識は、そこで途切れた。


                   **


「―――……ま……ゆう……………ユウマ!!」

「――………!!」


あれ…生きてる…?

体中を見回してみるけど、どこにも外傷は見つからない。

僕の寝ていたベッドの周りには、何一つない。

ただただ真っ白の部屋で、何も…無い。

いや…ただ一つだけ…ベッドの隣りに――


「か、カナ!!?」


カナが、いた。

あの日、無くしてしまった笑顔のまま君は何も言わずに笑いかけてくれた。


「お前…どうして……っていうか、なんで僕は生きているんだ…?」

「そんな細かい事はいいじゃん!それよりあんたさ…」


ぺちっ!

叩かれた。カナは力が弱いから、痛くは無い。


「…なんで叩くんだよ。」

「なんでって…ユウマ、あんた私が死んだ事を自分のせいにして自分を責めてるでしょ。」


なんでそれを…

…あれ、今カナ、自分で死んだって…ということはやっぱり僕は死んだのか…?

…あ〜〜〜!!もうわけ分かんねぇ!!考えるの止めよう…


「あはは、すっごい混乱してる表情してるね、ユウマ。」

「そりゃ混乱もするだろ…」

「あはっ、そうだね、ごめんごめん。…それより本題。
私が死んだのは、ユウマのせいでもリョウのせいでもない。
ユウマもリョウも、私が死んだのは自分のせいって考えちゃって…そんなわけねぇだろ!って感じ。」


や、やめろ…


「あの日、私が死んだのは…」


やめてくれ…


「私が道路に飛び出しちゃったせいなんだし。」

「やめろ!!!!!」


僕が唐突に大声を出したせいか、カナはとても驚いた顔で僕を見つめてきた。


「なんだよそれ…お前が死んだのは僕とリョウのせいじゃない?なに言ってんだよ!!あれは…あれは……!!」



                   ++



僕とリョウとカナは幼馴染で、すごく仲が良かった。

亮はいつも僕たちを笑わせてくれる。

佳奈はいつも僕たちを引っ張ってくれる。

そんな二人に僕、悠馬はなに一つ敵わなかった。

僕は面白い事も言えないし、本音をいつも隠してしまうし、正直自分でも一緒にいて楽しくないと思う。

それなのに二人は、いつもこんな僕を引っ張って、笑わせてくれた。

僕は、二人の事がとても大切だった。

リョウは頼りになるし、カナには…特別な感情も持っていた。

つまり、僕はカナの事が好きだった、という事。

その事を、僕はリョウに言おうとした。だけど…言えなかった。


――リョウが、いつもカナの事を見ていた事に気付いていたから。

でも…あの日。…カナがいなくなってしまった日。


「カナ、俺…お前の事が好きだ。」


リョウは…自分の気持ちをカナに告げた。

僕とカナとリョウで、一緒に帰っている時に。

なんで僕もいる時に言うんだ…

なんて考えていたら、リョウは僕に、


「お前も…なんだろ?」


と言ってきた。

――…一瞬、頭が真っ白になった。

気付かれていないと、思っていた。


「な、なんで…」


僕の口から出たのはそんな言葉だけ。


「幼馴染なめんな。お前もカナの事、ずっと見てた事くらい直ぐ分かるわ。」

「……………」


リョウの言葉も僕の言葉が聞こえているはずだけど、カナは何も言わない。

下を向いているからどんな表情をしているのかも分からない。


「わ、私…は……この関係を…壊したくない…」


カナはそう言うと、僕たちを置いて走り出した。


「か、カナ!!待てっ!!」


リョウはカナを追いかけようとしたけど、途中で愕然とした表情で足を止めてしまった。

その理由は、前方を見たら直ぐに分かった。


「カナ!!!赤信号だ!!!」


キキィ〜〜〜!!!ドンッ!!!

その音が、とても印象に残ってしまった。



                 ++


「あれは…僕とリョウが…幼馴染の関係を壊そうとしたせいで…」

「……」


そうだよ。僕が…カナを殺したんだ。


「……ばかっ!!」

「――…!!」

無意識のうちに下を向いていた顔を上げると、そこには涙をボロボロと流す、カナの姿。


「あれは、私が逃げちゃったから悪いの!私が…関係を壊したくないからって…二人から逃げちゃったから…ごめんね……ごめんね…!!」

「なんでカナが謝るんだ…。僕こそ…本当にゴメン…」


僕がそう言うと、カナはゆっくりと顔を横に振った。


「ユウマにも…リョウにも…苦しい思いをさせて、本当に辛い。
でも、それは私だけじゃなくて、二人はもっと苦しんでる。
見てたんだ、ずっと。二人の事を。」


…あ…れ……だんだんと目が…見えなくなってきた。

いや、目が見えなくなってきたのではない。

僕の、意識が…だんだんと遠のいているんだ…


「そろそろ時間みたいだね…。
…私は、いつまでもずっと、二人の事を見てるから。」


――それが、僕の聞いた最後のカナの言葉だった。


                    **


「ユウマっ!!」

「うぉっ!?」


僕は高校への登校途中、後ろからリョウに抱き着かれた。


「お前…いつも言ってるだろ。いきなり抱き着くの止めろよ。」

「はは、悪い悪い」


僕とリョウは、そのまま一緒に駅まで歩いて行く。


――僕が事故に遭ってから早一年。

幸いな事に当たり所が良かったらしく、ちょっとのリハビリだけで退院出来た。

その間、リョウはずっと、僕の傍にいてくれた。リハビリの応援だってしてくれた。

最初こそぎこちなさはあったものの、時間が経つにつれて僕たちは前みたいに戻っていった。

カナがいない、二人で。

あれからカナの話を一度だけした。

やはりリョウもカナの事を気にかけていたようだ。

二人で話し合って、一度思っていた事をお互いにぶちまけてみた。

今までずっと胸の中にあったモヤモヤが、その事でスッと軽くなるのを、僕は感じた。


                     **


…あの日体験した、カナの事はなんだったのかは分からないけど、僕の心の中にとても強く残った。

僕は、カナが好きだ。

それは今でも変わらないけれど、あの日のように雨に濡れながら一人泣く事は無くなった。

――窓の外を見ると、先ほどまで雨が降っていたせいか、綺麗な虹がかかっている。

その大きく輝く虹が、なんだかカナの眩しい笑顔を思い出させて、僕は一人で笑ったんだ。

カナの事を思い出しながら、虹を見上げた。

…僕は雨の日が好き。

だけど…これからは晴れの日も、好きになれそうだな。

大空を見ると、カナが僕の事をどこかで見守ってくれている気がした。

少し薄くなってきた虹に、僕はもう一度笑みを返す。


「さようなら、カナ。また会える時まで――」



〜fin〜

輝夜姫は夜の闇に消える ( No.5 )
日時: 2015/11/02 17:42
名前: はみう(゜ω゜*)三

月の形はとても綺麗で、何かが思い出せるような。何故だか懐かしいような。その真の意味を知っているか。そう言われれば、はい。と言えてしまうのだろうか。でも、私は何も言わない。しったかぶりなどしないのだから。

「かぐや」
「翁様」
「今日の婚約者は…」
「ああ、逃げて行っちゃいました」
「そうか。…暗くないかい?」
「大丈夫ですよ。私はこのくらいが好きなんです」

暗闇と言うのは、恐いものでも、何もないものでもないと思う。夜が来れば月と一緒に暗闇が来る。嫌な明るさばかりでは、もはや暗闇が恋しくなる。誰もこのことは知らない。月は常に明るい。夜と共に光る月は、常に明るいのだ。

「…かぐや。月に帰るのか?」
「帰りません。私はここで一生過ごすのです」
「それなら…私もうれしい」
「はい。私も…です」
「―――――」
「翁様」

暗闇は、私を救ってくれる。嫌なことから救ってくれる。私は暗闇が好きだ。常に暗いこの場所は私が住むところ。大好きなところ。光は、私を殺してしまう。底の底へと突き落とす。常に明るいあの場所は、私を殺す。嫌にさせる。もう嫌だった。

「―――――」
「媼様」
「かぐや」
「媼様」
「私はあなたのことが大好きよ」
「私もです。とっても嬉しいです」
「本当に大切な人なの。大好き」
「私もです。」
「嬉しいわ。かぐや」
「私もです…。」

大切な物とはなんなのか。迷う人もいるだろう。私はすぐに言える。決まっているじゃないか。大切な人とは何なのか。迷う人もいるだろう。私はすぐに言える。…本当に、決まっているじゃないか。

「何があっても私はあなたのことを忘れないわ」
「私もです。」
「私も…よ…フフッ」
「…ぷっ。フフフッ」
「フフッ…・・・・・・」
「…媼様」
「―――」

大切な物なんて、大切な人なんて、もう、決まってるじゃないか。
「――――――――」
「翁様」

「――――」
「翁様」

「――――」
「翁様…?」

「――――」

「…・・・っ、」
「ぅああ…ッ。ああっ…」
そして暗闇は、私を救って私を落とす。墜とす。深い、深い、闇へと…

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