どうぶつの森戦争小説『大和村の住民たち』 作者/スターマンの息子

第一話『チーフの誕生日』



 18歳の少女ちとせはおしとやかであったため一見頼りない印象だが、しっかり者で面倒見のいいという一面もある少女だ。
 彼女は、友人の誕生日のプレゼントに得意料理の『さつまいもの煮っ転がし』を作っていた。
 
青年「少しじゃまするぞー」
 
 明るい声で一人の青年が上がりこんできた、彼の名は震電20歳。丸刈り頭がチャームポイントの人間だ。彼はとても正義感がとても強い性格だ。ちなみに彼の趣味はサバイバルゲームである。(実際、この村でサバゲーをしている人はかなり少ない)ちなみに元自衛官。
 
少年「お、さつまいもの煮っ転がしじゃん、うまそー」 
 
 もう一人の少年の名はピース15歳。お調子者でいたずら好きだがとても純粋で決して人を裏切らない、ムードメイカー的存在だ。
 そんな彼、実は孤児である。
 
ちとせ「あら、震電さんにピース君」
 
震電「チーフのやつ、ちとせの煮っ転がしが食えるのかー、いいなぁ」
 
 チーフは今日25歳の誕生日を迎えるクール気取りの気さくな青年だ。ちなみにかなりのイケメンである。
 
ちとせ「たくさん作ったのであなたたちの分もありますよ」
 
ピース「それでこそちとせだぜ」
 
震電「ちとせちゃん、いいお嫁さんになれるぜ」
 
ちとせ「そ、そういわれる・・とうれしい・・・です・・・」
 
 ちとせは照れていた
 
ピース「そろそろいこうぜ震電のアニキ」
 
震電「そうだな」
 
 ピースと震電がチーフ宅に着いたとき、チーフを含め、震電、ピース、ララミー、さくらじま、たまの六人がいた。彼らは村一番の仲良しである。
 
チーフ「あと来てないのはちとせだけか・・・」
 
さくらじま「まったくだ、女は男よりも先に来るべきであるというのに」
 
 彼はさくらじま30歳、体格のいい柔道4段の頑固親父だ(一応独身)」
 
たま「さくらじまは頭固いんだから。女が遅く来たっていいじゃない」
 
 彼女はたま。23歳の気の強いツンデレ系だ。
 
さくらじま「なにをー!」
 
チーフ「オレの誕生日なんだからけんかはやめろよ」
 
さくらじま「失礼した」
 
ちとせ「すいませーん、おそくなりましたー」
 
 ちとせが鍋を抱えてやってきた。鍋の中には大量の『さつまいもの煮っ転がし』が入っていた。 
 
ちとせ「チーフさん、お誕生日おめでとうございます」
 
チーフ「みんなそろったことだしそろそろおっぱじめようぜ」
 
 仲良し7人組がそろいチーフの誕生会が始まった。
 おなじみのバースデーソングのあとチーフはケーキの上のろうそくの火を消した。
 
チーフ「男25歳、最高の仲間を持てて俺は幸せだぜ」 
ピース「このケーキうめー」
 
チーフ「シカトかよ・・・・」
 
ピース「このケーキ、ララミーが作ったんだよな」
 
ララミー「そうだけど・・・・」
 
 彼女はララミー。大和村最年少の12歳だ。読書と裁縫が趣味の彼女は内気で恥ずかしがり屋だが人の痛みのよくわかるとても優しい性格だ。そんな彼女もピースと同じく孤児であり彼女にはつらい過去がある。 
 
ララミー「このケーキ初めて作ったからあんまり自信ないの」
 
ピース「そんなことないさ、めちゃくちゃうまいよ」
 
ピースはケーキをほうばりながら言った。
 
震電「ちとせの作った煮っ転がしもうまいぜ」
 
ちとせ「わたしの得意料理ですの」
 
チーフ「酒のつまみによさそうだな」
 
さくらじま「グットタイミングだな」
 
 さくらじまは一升瓶を取り出した。瓶には「男たちの大和 芋焼酎」と書いてあった。
 
さくらじま「オレからのプレゼントだ。広島へ旅行へいったときの土産だぜ」
 
 さくらじまはチーフのコップに焼酎を注いだ。

ピース「おいらたちもプレゼント渡さないとな」 
 
震電「そうだな」
 
ピース「チーフのアニキ、おいらからのプレゼントだぜ」
 
 ピースはハンドグリップを渡した。ばねの硬さが40kgある強力なものだ。
 
チーフ「ありがとよ、ピース」
 
ピース「しっかり筋肉つけてくれよ」
 
震電「おれからはこれだ。チーフが前から欲しがっていたものさ」 
 
 震電は小さな箱を渡した。
 
チーフ「なんだろうな」 
 
チーフは箱を開けた。 
 
チーフ「こ、これは・・・!」
 
 中には真鍮(しんちゅう)でできたベルトのバックルだった。そのバックルには拳銃と射的の風景が描かれていた。
 
チーフ「コルトピースメーカーのバックルやんか!」
 
 「コルト」とはアメリカの大手銃器メーカーのことである。実はチーフは西部劇マニアである。特技はシングルアクションリボルバーのモデルガンを駆使した早撃ちでその実力は目を見張るものである。
 
震電「手に入れるの苦労したんだぜ」
 
チーフ「やっぱり持つべきものは仲間だぜ」
 
たま「マニアックすぎてあたしにはそのバックルの価値がわからないわ」
 
ピース「そのバックルつけてチーフアニキの早撃ち見せてくれよ」
 
たま「いいわね」
 
チーフ「よし!誕生日を祝ってくれたお礼だ。オレのファスト・ドロウを見せてやる!ちょっとまってろ」
 
 チーフは別室に入った。着替えてくるようだ。
 
  数分後
 
チーフ「待たせたな」
 
チーフは別室から出てきた。 
 
ピース「おおっ!」 
 
 チーフはテンガロンハットをかぶり、ウエスタンブーツを履き、コートを羽織っていた。腰にはコルト・シングルアクションリボルバー二丁が入ったホルスターが入っていた。ベルトのバックルはもちろん震電からもらったコルト社製の物だ。
 
ちとせ「チーフさーん!がんばってー!」
 
チーフはいつも早撃ちを練習しているリビングの比較的広いところに立った。
 
チーフ「いくぜ!!ショウタイムだ!!」
 
 『けけウエスタン』のBGMとともにチーフは目にも留まらぬスピードの早撃ちを見せた。そのほかにも2丁拳銃や銃をお手玉するボーダースイッチなどさまざまな技を見せ。ラストは銃を回転させホルスターに収めフィニッシュ!
 
「パチパチパチパチ・・・」
 
 観客席から拍手が巻き起こった。 
 
たま「イカスーーーーー!!」
 
震電「かっこよかったぞ、チーフ」
 
さくらじま「もう一回頼みますぜだんな!」
 
 さくらじまは酔っていた。
 
チーフ「そのアルコール・・いやアンコール応えてやるぜ!ちょっと待ってろ平玉火薬詰めなおしてくるからな!」
 
たま「できるだけ早く頼むわよ」
 
 大和村の住民たちは毎日を平和にそして有意義暮らしていた。
 これから思ってもいないような大事件が起こることも知らずに・・・・・