完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*68*
そして、器用に操作して、私に画面を見せた。その顔は、とてもにこやかな、〈学校での〉スマイルだった。
「……」
私は、言葉を失った。
画面に写っている笑顔のポニーテールの少女と、しかめっ面の少年。
それは、そう。私の友人の、鈴と拓だった。
「はは、お前の友達だよな? 悪りぃな、こいつらはこの世にはもう、いねぇよ」
そして、つぎに見せられた写真は、鈴たちの家が燃えているシーンだった。
嘘だ、嘘だ。これは、合成だ。きっと。映画のワンシーンを合成したものなのだ。
「嘘だ、絶対に鈴は死んでない……」
なんで、こんな時。私は、こんなにも冷静なのだろう。なぜ、こんなに。
友達が死んでいる。だけど、そんなに感情的になるほど、悔しくも悲しくもない。なぜ?なぜ?
あぁ、そっか。
私がいつも、人を殺しているからだ。
こういうのに、耐性がつくんだな、人を殺していると。
便利だね、これは。この、スキルは。
「死んでるぜ、なんならみせようか? その惨酷な姿を」
「赤坂。 やめなさい。 相手は高校生だ」
「はいはい、わーったよ」
「ごめんなさい、白咲さま。 ここからは改めて敬語を使わせていただきます。 あなたと私は、他人ですので 」
他人ですので、そういった寿樹さんの顔は笑顔だった。
いつもの優しい微笑みだったのだ。
「……わかった」
私はそういい、腹の痛みも顔の痛みもなかったかのように平然と立ち上がる。
痛いのに、死にそうなのに。それを我慢して立ち上がる。
PR