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■些細な嘘から始まった ■【遂に完結!】
作者: 碧  (総ページ数: 77ページ)
関連タグ: 殺人 複雑  
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*67*

「ねぇ、父さん、先生。 いくら二人でもさ、葵を殺るのは酷くない? 」
光は、険しい表情のまま、二人に近寄る。
「あぁ、光か。 危ないぞ、離れておけ」
「父さん、僕の話を聞いて」
「坂本。 お父さんのいうことを聞いて、離れなさい」
「先生も、聞いてよ!」
光は、二人を止めようとする。二人の男は、そんな光をはねのけるのでもなく、殴るのではなく、ただ……みつめていた。
比較の抵抗が終わるのを待つ、というように。
それが続き、約一時間。さすがの、光も疲れてきて、動きが鈍くなった。
その時だった。寿樹さんが光を叩いたのは。
「好い加減にしなさい、光」
光は倒れる。かなり、強い力だったようだ。
そして、倒れた光を、赤坂が一斗の隣に引きずり、置いた。私は、光の息を確かめる。……良かった、生きていた。だけど、意識は無い。光の口は、苦しみでゆがんでいた。
光、というヒーローも倒れた。もう、終わりだ。
もう、私になす術は無いのだ。
私は、微笑んでいった。


「さ、殺して」


立ち上がると、私はハサミを、ポケットから取り出し、二人に渡そうとした。

【レッドキル】
周りからは、シザーキラーと恐れられた。だけど、違う。
本当に私に正しい名は、「レッドキル」なのだ。
ただ、人が赤い雫に染められ、苦しんでいるのを蔑んできただけなのだ。ハサミは……より残虐にするための演出なのだ。それだけ。
このハサミには、レッドキルと彫り込まれている。
孤独な私に、「ブルーローズの貴方」がくれたハサミには、最初からそう彫り込まれてあったのだ。赤く、深く。

だけど……現実は、私よりも「ブルーローズの貴方」よりも残酷。
私を、悲劇を味わった〈ヒロイン〉のままで、終わらせてはくれなかったのだ。
「お前は、一番最後だよ。 ちなみに、一番最初はこいつらだぜ」
赤坂がそういって、携帯電話をとりだした。

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