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■些細な嘘から始まった ■【遂に完結!】
作者: 碧  (総ページ数: 77ページ)
関連タグ: 殺人 複雑  
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ということは……相手は、出血しているらしい。死んでいるとは確定できないが……否定もできなかった。心に灯ったろうそくの光が、消えた気がした。
「……」
私は、放心して座り込む。すると、それに合わせるかのように、部屋に明かりがついたのだ。
「葵さん、こんにちは」「よぉ、白咲」
あまりの眩しさに私が目を瞑った時、聞こえた二人の声。もう、嫌だった。確定した、二人が悪い奴だということを。そして、目を少し開ける。隣の人は、……一斗だった。私の共犯者であり、主犯である矛盾している存在である一斗だったのだ。
「さて、パーティーもクライマックスだ。 楽しめよ?」
赤坂の声。私は、そんな声は無視して、小さな震えた声で一斗、一斗、と呼んでいた。出血量は思ったより少ないが、彼は起きてはこなかった。まだ、少し温かい。生きているはずだ。いや、生きていないと困る。
「無視はいけませんね、葵さん」
寿樹さんが、一斗を蹴る。一斗の身体は壁にぶつかる。彼についていた血が周りに飛ぶ。
「やめて」
私は、ポーカーフェースを装い、冷静に一言。今まで何人もの死体をみてきた。私は、……怖くなんて、ないはずだ。
「やめねぇよ。 お前ら邪魔だしな」
赤坂が、私を蹴る、殴る、叩く。やめて、やめてよ。暴力で訴えるよ? ま、生きてたらの話だけど。
「さて、二人とももうダメですか?」
寿樹さん……いや、坂本 寿樹は一斗をまた蹴る。
もうダメだった。
「ねぇ、お父さん。 なにやってるの?」
その時、この部屋のドアを開けて部屋に入ってきたのは、光だった。和やかな笑顔で入ってきた光は、私をみると表情をとても険しいものへと変えた。

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