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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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翌日のことです。
「大変です!王子様、大変です!」
「メープルお嬢様!大変です!」
ラグくんとラブリが部屋に駆け込んできました。
「どうかしたの、ラブリ?」
「どうかしましたか、ラグくん」
ふたりがたずねますと、ふたりは顔を真っ青にして話し始めました。
「星野くんがいなくなっているんです!」
「今朝、ぼくが様子を見に、ラブリ様のお部屋に入りましたら、星野様がいなくなっていました!」
それを聞いてふたりはすぐに、一緒に観光に来ていた博士の助手のマロンくんと力也くんの助けを借りることにしました。
マロンくんと力也くんは、星野くんと大親友ですから、何か知っているかも知れません。知らないにしても、力也くんは大変な読書家で超能力者、マロンくんは博士の助手ができるぐらい優秀な頭脳とすばしっこさを併せ持っています。このふたりに協力してもらうのが一番です。
話を聞いたふたりはすぐ行動を起こしました。
「星野くんは、いつもデパートのヒーローショーを見ているでしょ。だからもしかすると、デパートに行ったかもしれない。いなければもしかするとホテルのレストランかも。星野くん、カレーが大好きだから食べているかもしれない。そして、最後に考えられる可能性は海だよ」
「海・・・?どうして?」
王子がたずねますと、続きを力也くんが話しました。
「星野くんはぼくたちもよくわからないけど、海やプールに関する何かつらい思い出があるんだよ。ぼくもおぼれかけたことがあってプールが苦手になったから、よくわかるんだ。でも、星野くんの場合はちょっと違うみたいだね。だって、きみたちの話を聞く限りでは海に入って泳いでいたそうだから、海自体に恐怖心はないと思うんだ。でも、星野くんは海そのものじゃないけど、明らかに何かを恐れてる。海に関係のある何かを。ぼくは少し心当たりがあるんだけど、まだ完全じゃないし、彼のプライバシーに関わることだから、今は秘密にしておくよ」
実は力也くんとマロンくんは星野くんが行く場所がどこか、大体の予想はついているのです。でも、それを探るのは星野くんにたいしてとても悪いことのように覚えているものですから、少し困っていました。でも、星野くんの性格を考えるともしものこともあるので、みんなに伝えたというわけです。