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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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「次は誰かな?」
「次はぼくが相手だ!!」
王子がいつになく真剣に答えました。
ラブリが目の前で無残に倒されたのを見て、王子は怒りのパワーを爆発させているのです。
「フン。ぼくは主役だろうと手加減は無用!いくよ!」
試合早々、いきなり黒川くんは王子の顔面をつかみ、握力だけで軽々と持ち上げコーナーポストに放り投げ間髪入れずにニードロップの嵐を叩き込みます。
そしてまたしても顔をつかみ、今度は力を加減してリング中央に放り投げると、伝家の宝刀幻の必殺技・脱出不可能のアリ地獄ホールドと名高いロメロスペシャルを決めます。通常ならここでギブアップしてもいいところなのですが、王子はなんとロメロスペシャルから脱出し、その小さな体のどこにそんなパワーが眠っていたのかと思わせるほど芸術的なバックドロップを炸裂、続けて上空に放り投げると今度はパイルドライバーを決めようとしましたが、相手は腕で急所にあたるのを防ぎ、斜め下から突き上げるようなドロップキックで王子を跳ね飛ばした後、コブラツイストを決めました。この技は複雑に体がからみついているので脱出が難しい関節技なのです。ですが、王子は体の柔らかさを生かしコブラツイストから脱出、今度は卍固めを黒川くんにかけました。
卍固めはより脱出が難しいのですが、それをゴム人間のような脅威の柔らかさで脱出した黒川くんは、ジャーマンスプレックスを王子かけました。ですが王子は腕をリングにつきそのまま回転し、ジャパニーズレッグロールクラッチの高等技を決めます。
ふたりの攻防はなおも激しく続きます。
黒川くんは、逆えび固めを決め完全KОを狙いにいきます。逆えび固めはその名前のとおり、えびが逆にまがったような技の形をしています。そしてこれにかかった対戦相手は背骨を直接痛めつけられ、脱出不可能になり失神してしまうのが通常です。しかし、王子は逆えび固めを決められたままブリッジし、ふりほどくと、今度はスピニングトーホールドを決めます。
これは足を痛めつける技でかなりの威力がありますが、それでも黒川くんには効果がありません。
ちなみにここまで試合開始からふたりともセリフが一切ありません。これでは小説として成り立たなくなってしまいます。果たしてふたりはこのまま何もしゃべらず一進一退の攻防を続けるのかそれとも口を開き、心理戦にでるのでしょうか。