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＊紹介文／目次＊

1

雨が、降っていた。
土砂降りの雨だった。
細い一筋の流れが、坂を下って行く。
その流れは、少しずつ、本当に少しずつ、太くなっていって。

騒めきが、聞こえる。

「あれ…なん…だ？」

雨音で声が消されてしまう。

ーあの流れは何か、だって？

知る訳、無いじゃないか。領らないよ。

そう、知らないんだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・

雨の中、座ったままで。
口を、動かした。
けど、声など出なくて。出せなくて。
…でも。
その声は、
届かなくて良い。
自分への、戒めだから。

10～ 20～ 30～ 40～ 50～ 60～

＊15＊

3ー8
湊はその後、母親の兄、つまり伯父の家に引き取られることになった。伯父は独身だった。今度は男親一人によって育てられることとなった。

「…なぁ湊。お前には言っておこう…。俺もな、お母さんを死に追いやったのはあの父親だと思うんだ。俺だって、あの父親を憎んでいる。奴が誰と結婚したのかも、実は知っている。でもあえてお前には教えないし、俺から手を下す事はしない。奴の進んだ、選んだ道を知るも知らないも、お前の自由だ。知りたくないならそのままで構わないし、知りたいなら自分で手がかりを探すんだ…」

湊は頷いた。知りたいと思った。領るべきなんだと思った。だから。
湊の1年後に生まれた子供を、彼は己の敵とした。
湊は、父親よりも子供を一番恨んでいた。
湊は伯父と同じ考えを持っていなかった。
もう一人の子供の存在が、母を死に追いやったのだと感じていた。…分かるんだ。常に彼女の側にいたのだから。
その子供は、父の真の笑顔を見ている。そして子供も、母親も、父の真の愛を得ている。

自分のため。母のため。復讐の為。

必ずや、敵を討つ。

それは本当に言葉のままの意味であり。


…この手にかけて。