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cynical【完結】
作者: 美奈  (総ページ数: 63ページ)
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*21*

5
5ー1
舞のバイトは、何と三ヶ月も続いている。
純粋な阿呆じゃないのかも、私!
ーいやいやいやっ、調子に乗ると危ないから駄目。
でもオーダーも間違えてないし、意外に順調だ。
しかし最近、湊が来ない。どうしたのだろう。
あの貸切営業の時の私が馬鹿過ぎて呆れた?
…いやいや、そんな事ではあの悩殺の笑顔を振りまく美男は休む筈がない。
それに、湊先輩とはそこまで悪い雰囲気になってる訳じゃないし…。
理由もわからない。

「大丈夫かなぁ…」

舞は5皿持ちながら、呟いていた。
と、急に皿の重みが腕から消える。

「どぁっ?!」

「皿持ってると、危なっかしくて見てらんないから」

横に、ついさっきまで舞が持っていたお皿を持っている湊がいた。舞は自分の目を疑った。

「か、神田先輩!!一週間も休むから、どうしたのかと…」

「心配、かけたか」

舞はすかさず言った。

「当たり前ですっ」

湊のレストランの制服の七分袖から、包帯が見えた。右腕が包帯でぐるぐるに巻かれている。舞はまた、自分の目を疑った。

「えっ、大丈夫、なんですか?痛そうだし、そのお皿持ちますけ…」

「いーよいーよ、もうあんま痛くないし、こういうの慣れてるし、またなんか事故りそうになったら嫌だし」

舞は驚いた。いや、ほんと。冗談抜きで。
…こういうの慣れてる?!
どういう生活してるんですか。
どっかの不良グループ所属かなんかですか。

「…慣れちゃ駄目ですよっ」

「いや、大丈夫だから。心配かけてごめん」

湊は皿を持って行った。少し、その表情が翳る。

「ー慣れなくちゃ、いけなかったんだ」

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