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＊紹介文／目次＊

1

雨が、降っていた。
土砂降りの雨だった。
細い一筋の流れが、坂を下って行く。
その流れは、少しずつ、本当に少しずつ、太くなっていって。

騒めきが、聞こえる。

「あれ…なん…だ？」

雨音で声が消されてしまう。

ーあの流れは何か、だって？

知る訳、無いじゃないか。領らないよ。

そう、知らないんだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・

雨の中、座ったままで。
口を、動かした。
けど、声など出なくて。出せなくて。
…でも。
その声は、
届かなくて良い。
自分への、戒めだから。

10～ 20～ 30～ 40～ 50～ 60～

＊59＊

11ー2
それは、紀元前、神の創世記の時代。

ポルックスはゼウスを父に持ち、カストルはゼウスの妻レダの人間の夫、テュンダレオスを父に持った、異母兄弟だった。二人は様々な活躍をし、最後に従兄弟のイダス、そしてリュンケウス兄弟と争った。その際カストルはイダスに殺されてしまう。
ゼウスは、生き残った我が子ポルックスのみを昇天させようとした。しかし彼は、半分同じ血を分け合ったカストルとの離別を拒んだため、ゼウスは二人でポルックスの不死を分け合い、一日置きに神界と冥府で暮らす事を許したという。

この双子の英雄の名にちなんで、彼らの名は星の名となり、双子座という星座が生まれたのだった。