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＊紹介文／目次＊

1

雨が、降っていた。
土砂降りの雨だった。
細い一筋の流れが、坂を下って行く。
その流れは、少しずつ、本当に少しずつ、太くなっていって。

騒めきが、聞こえる。

「あれ…なん…だ？」

雨音で声が消されてしまう。

ーあの流れは何か、だって？

知る訳、無いじゃないか。領らないよ。

そう、知らないんだ…。

・・・・・・・・・・・・・・・

雨の中、座ったままで。
口を、動かした。
けど、声など出なくて。出せなくて。
…でも。
その声は、
届かなくて良い。
自分への、戒めだから。

10～ 20～ 30～ 40～ 50～ 60～

＊62＊

11ー5
これだけは言っておこう、と舞は思った。この声が届いてくれれば、良い。何光年かかるとしても、この声を届けたい。輝きを増しながらとめどなく流れていく星を見て、舞は心の中で静かに呟いた。


お兄ちゃん。ーもう、こう呼んでも、良いよね？

お兄ちゃん。今まで、ほんとにありがとう。いつも想ってくれて、ありがとう。お兄ちゃんこそ優しくて、まっすぐで。
彼女になれて良かった。
妹でいられて良かった。
両方の存在になれて、良かった。
…誇りに思うよ。


彼女は一度、息をつく。
意を決したように。

今、言おう。
今なら言える。


…それから。

ー湊。

私ね、湊の事、嫌いになった事ないよ。嫌いになれなかった。
だって、湊は、私に色んなことを教えてくれたから。
大好きという感情。人を護る事の難しさ。強い想い。
だからね、
いつも。どんな時も。…刺された時でさえも。

ずっと、ずっと。






貴方を、愛していた



12月の空に、無数の流れ星が舞う。

ーFineー