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魔天使マテリアル×妖怪ナビ・ルナカキコ
作者: ルル  (総ページ数: 447ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル 妖界ナビ・ルナ 
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*256*

ここからちょっと残酷だけど・・・書くしかないいいい・・・><
+++
昔のことだった。
紗綾は、魔界にいた。
その頃の話だ。

「・・・・」
一人、自分の部屋で本を読んでいた紗綾。
コンコン・・・
ドアがなった。
「はい」
返事をすると、聴こえたのは魔梨の声。
「紗綾。入るよ」
「ああ・・・・魔梨・・・うん」
短く返事を返し、本を閉じる。

「んー・・・紗綾の部屋、いろいろ落ち着くな・・・」
伸びをし、近くにあったイスにすわる。
「で・・・、どうしたの」
紗綾は、用件を聞く。
「ああ・・・あのな・・・魔王が・・・・」
魔梨は話し始めた。

「うそ・・・兄さん・・・を・・・・?
驚愕の表情をにじませた顔。
「・・・私は・・・闇の力だから、魔王の前に行っても別に何も怒らないけど・・・紗綾は別だろ?破魔の力を持ってるんだから」
「そうだけど・・・兄さんは・・・兄さんは?
消されたって・・・そんなの・・・。
黎夜は?知ってるの?」
口早に、魔梨に質問を重ねる。
「まて、順にはなすから・・・。
多分夕夜は・・・滅びた。そのことは、黎夜も知ってる。
特にショックは受けてないみたいだが・・・」
「・・・・」
何も考えられなかった。
アイツが・・・
自分の父親でも、許せないことは許せない。
紗綾の決断だった。
「・・・私・・・魔王を・・・アイツを・・・・」
力なく立ち上がる紗綾。
「紗綾?」
「黎夜のところに行く・・・・」
ふらりと、部屋を出て行った。


「黎夜。いる?」
控えめにドアをノックしながら、呼びかける紗綾。
「・・・紗綾・・・か・・・・。聞いたのか?」
「・・・・うん・・・。聞いた。
黎夜は・・・黎夜は、イヤじゃないの?たとえ、血のつながりがあったとしても・・・きょうだいを、殺された・・・・滅ぼされた」
「・・・僕は・・・夕夜のことは・・・」
紗綾の言葉に、反対すると。
「・・・そう。・・・”きょうだい”って・・・
そんな、もろいものだったの。
じゃあ・・・・いいよ。私、決めたから」
最後、微妙にけんかのようになってしまった。
「紗・・・」
呼び止めようとするが、紗綾はもう、通路の向こう側の、自分の部屋に入っていた。


「しらないよ・・・、もう・・・
お母さんだって、ここにはいないんだよ・・・
どうしたらいいのかわからない・・・・」
弱音を吐いた紗綾の頭に、不思議な声が流れ込んできた。

(紗綾・・・。聴こえる、紗綾。
この声を聞いているなら、今から言うことにしたがって)
「!?」
あたりを見回すが、だれもいなかった。
(人間界にいくのよ、紗綾。
あなたの破魔の力は、いずれもっと強大な物になってしまう。
魔王に・・・あの人に、殺されてしまうかもしれないの。
だから・・・逃げて。お願い。
人間界に逃げれば、私もいるから・・・)
「人間界に・・・・?」
(そうよ、紗綾。あなたは、マテリアルとしてじゃない。
人間として・・・生きるの。
人間界で・・・・・)
その言葉を最後に、声は聞こえなくなった。
「・・・・」
決意し、紗綾は立ち上がる。


城の中で力を悟られないためには、結界を張る必要があった。
今までやったことはなかったものの、紗綾の力が導いてくれた。
おかげで、1時間で結界を張ることが出来た。

「・・・お願い・・・開いて・・・・!」
紗綾の呼びかけにこたえたのか、あたりが疼きだす。
「・・・ゴメン・・・魔梨、黎夜・・・・・兄さん、助けられなくて・・・ゴメンね・・・・」
瞬間、まばゆい光があたりを満たし・・・

紗綾は、その場から消えていた。

_____
人間界へ降り立つ。
「・・・・・・」
紗綾は、あの声の主を探そうとする。
すると。
(紗綾。そこから、人目のなさそうな場所にきて。)
またもや、あの声がそう言った。
「・・・?」
不安を抱きながら、言われたとおり人目の無い場所へと歩き出す。


「つ・・・ついたよ」
控えめに声を上げると、
「紗綾。・・・本当に、ごめんね・・・許してね」
あの声が、すぐ近くでそう告げる。
「何が・・・ごめ」
言いかけたそのとき、急に体の力が抜ける。
同時に、たくさんの記憶が、消去されていった。
(な・・・に・・・ダメ・・・そんな・・・)
紗綾の力も、最後までは続かなかった。

「ごめんね・・・紗綾・・・・」
そういった人の名は、綾香。
紗綾、黎夜、夕夜の、母親。
紗綾をおぶると、再び、人目の無いところへと歩き出した。
____

目が覚めた。
ここはどこ?
何も覚えていない。
私は・・・誰?

数分、そんな疑問を抱き続けていると。
「まぁ!目が覚めたの!よかったわ!」
優しそうな人が、紗綾に抱きついてくる。
「え・・・」
びっくりして、それまで寝ていた布団から飛び出す。
「ここは、ひまわり園よ。
あ、あなたは・・・ここの園の子で・・・さっき、ちょっとした事故に巻き込まれちゃって・・・打ち所が悪かったみたいで・・・記憶がなくなってしまったのね」
その人は、ひまわり園の園長先生。
紗綾がここの園の子供だったというのは、真っ赤なウソ。

ナゾの女性に・・・・
___
「あの・・・・・」
園の門を開けに、外に出ていた園長先生のところへ、一人の女が声をかけてきた。
「あら・・・どうしました?」
返事をすると。
「お願いがあるんです。この子を・・ここに、預けてくれませんか?」
「え・・・・」
「この子は、記憶をなくしています。
このひまわり園に、ずっと子供のときからいたことにしてあげてください!」
女は言うと、走って、その場から姿を消した。

だから、今、そう、ウソをついているのだ。
「あの・・・私は・・・誰・・・」
不安げな、紗綾の声。
「あ、あなたは・・・・紗綾。そ、そう・・・・睦月 紗綾よ」
「私は・・・・睦月・・・紗綾・・・・?」
「そう。あなたは、紗綾。ここの、園の子よ。」

しばらく、訝しげな顔をしていたが。
「よ・・・ろ、しく・・・お願いします」
ふわりと、優しい笑顔を浮かべた。

そして・・・・
今の、状況にあるのだ。




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