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*418*
ポニーテールの女の子が差し出してくれた傘のおかげで、実凪たちは濡れずにすんだ。
亜紀は
「おぉ〜!この傘住所入ってるよ!まじめだなぁ!」
でもお礼行けるや、よかった。と呟き、もう目の前に迫っていた自分の家に飛び込む。
「じゃあね、実凪!明日お礼行くからね!」
「うん。・・・わかった」
亜紀の言葉に実凪は頷く。
そして、その日は解散した。
____
「紗綾さん、よかったのですか?知り合いでも無いのに・・・」
志穂が、困ったような表情でサーヤに問いかける。
「うん、いいの。きっと来てくれるよ。たしか傘に住所が書いてあったような気がするから・・・」
サーヤが笑って言う。
「そうですか。」
「さあやっちは、本当、やさしーよな。んに打って変わって、しほっちとくれば・・・・」
ああああ、と、いろいろなことを思い出しているのだろう徹平は髪の毛をぐしゃぐしゃとやる。
「・・・それは、志穂が悪いんじゃなくて一方的に徹平が悪いんだと思う」
徹平に冷徹な一言。
「うぐっ・・・・・」
冷や汗をだらだらと流しながら、徹平は隠し笑いをしていた。
翌日。
ウィンドミルは休業だったが、サーヤの言ったとおり、昨日傘を貸した二人が、住所どおりウィンドミルに尋ねてきた。
「えっと、あの、昨日はコレ、ありがとう。ホント、助かったよ」
亜紀がにっこり笑いながら、傘を差し出した。
「ううん、いいの。他の人のに入れてもらったから。」
「そうなんだ。あ、私は、水野 亜紀。」
「私は桜野 実凪。」
二人に自己紹介をされて、サーヤもあわてて名乗った。
「あ、私は、日守 紗綾。サーヤって呼んで」
サーヤも名乗り終えると、店のドアが開く音がした。
「?」
亜紀たちは、今日は休みじゃ・・・・と思い、後ろを振り向く、そこには。
(う、うわぁっっ!!キレー!!人形みたい!)
ドアのところには、整った顔立ち、つややかな黒髪の女の子が立っていた。
その横には、眠そうな顔の、ツンツン逆立った髪の男の子。
「あ、志穂ちゃん、徹平さん。いらっしゃい」
「紗綾さん、こんにちは。 あ、昨日の方たちですか?」
志穂と呼ばれた黒髪の女の子は、実凪たちのほうを見てたずねてきた。
「あ、うん。ええっと、私は、亜紀。こっちは実凪。よろしくね。」
「はい。私は風見 志穂と申します。よろしくお願いします」
どうして丁寧な言葉遣い・・・?と思いながらも、最後に中学生だと思われる男子に目を向けた。
「あ、オレ?おれっちは、稲城 徹平。よろしくな、えーと、あきっち、みなぐっち」
なんで”・・・っち”?と思いながらも、実凪は、ずっと聞きたかったことをサーヤに聞いた。
「えっと、昨日見たんですけど、もう一人、男の子居ませんでした?
すっごいカッコイイ・・・・」
「あ、レイヤくんのことかな・・・・?レイヤくんなら・・・。ちょっとまっててね」
サーヤは言うと、店の奥に消えていった。
少し経って。
「いいでしょ、レイヤくん」
「・・・別に僕話したこと無いし、知らないし」
そんな会話が聞こえる。
「おまたせ、実凪ちゃん、亜紀ちゃん」
サーヤが奥から現れる。
「!」
あの美少年だ。
レイヤと呼ばれていた。
あ、名前もカッコイー・・・などなどと考えながらも、ガバッと頭を下げてお礼を言う。
「えっと、この前、助けてくれてありがとう。」
その言葉に、サーヤ、志穂、徹平が、?を浮かべる。
「どういうこと?レイヤくん。」
「・・・・この前、スーパー行ったとき、コイツが車に轢かれそうになってた。から助けた。それだけだ」
「それだけって・・・・・。そっか、それでレイヤくんに会いたいっていってたんだ。」
サーヤが納得したような顔をする。
「じゃ、僕はもど」
レイヤが上に戻ろうとしたとき。
「あれ〜?なんか皆そろってるな」
聞きなれたその声。
実凪と亜紀の顔が驚きに変化していく。
「あ、翔さん、翼さん。お久し振りです。この前のライブ、すごかったですね!」
「あ、紗綾ちゃん、見に来てくれたんだ。ありがとう」
翼がにこやかに返事をする。
「で、そっちは誰だ?」
翔が実凪と亜紀をジーっと見つめる。
「あ、ああああああの、私はっ、水野 亜紀と言いますっっ!超ファンです!」
「わ、私、桜野 実凪です!!」
真っ赤になって自己紹介する二人に、翔たちもニッと笑って応答。
「おれは、しってのとーり灰神翔。こっちは翼。ここの店、行き着けなんだ。」
この二人と話していることが夢だと思っているのだろう。
実凪たちはふらふら(?)としていた。
「今度こそ、戻るからn」
レイヤが裏口に向かおうとすると。
「あれ?見慣れないコが居るけど。誰?」
と言う声を出して入ってきた男を見て、実凪たちは絶句する。
「にっ・・・・」
「似てるー!?」
レイヤに似ている。とても。拡大コピーした感じ。
「?あ、サーヤ達の友達?じゃ自己紹介。ぼくはユウヤ。よろしく」
「実凪です。」
「えっと、亜紀です」
本日何度目だろう自己紹介を終えて。
皆で店の席についた。レイヤはうんざりとした表情をしながら。
少し・・・いやかなり無愛想なレイヤと、それをフォローするサーヤ。
レイヤにちょっかいをかける翔と翼、ユウヤ。
まるで夫婦のようなやり取りをしている、志穂と徹平。
実凪たちは、この個性的な人たちと友達になって、仲良く話しているということが現実だと思えなくなっていた。