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*11*
二話「痕」
あれからずっと夢を見る。
いい加減に足が痛い。
依頼にもいけなくて、グレイはため息をついた。
「あら、どうしたの?グレイ。」
「…ミラちゃん。」
話しかけたのはミラジェーンだ。
グレイに水を差し出して、カウンターに少し身を乗り出す。
「足が痛くてさ…、仕事いけねぇんだ。」
「それは大変ねぇ……あ、そうだ。ウェンディ呼びましょ?」
ミラがウェンディを呼ぶ。
とてとて、と走る姿は微笑ましかった。
「どうしましたか?」
「あのね、グレイの足を治して欲しいの!疲れてるんですって。」
「そうですかー…。いいですよ!頑張りますね!」
ウェンディはグレイにズボンをめくるよう願った。
裾をあげる。
綺麗な白い肌は、すこし赤くなっていた。
「いきますよ…」
魔法の呪文をとなえると同時に、グレイの足の痛みは取れていく。
体の疲れも消えていった。
「ふぅ…、これで大丈夫です!」
「どう?」
「…治った。ありがとな、ウェンディ。」
お礼を言えば少し顔を赤く染めて「いいえ」と小さい声が聞こえた。
そのとき、後ろから大声が聞こえた。
「グレーイ!勝負しろぉおおおおお!!」
「…またか。」
実はここ最近、一日に一回、魔法のぶつけ合いをしている。
これも疲れやすい原因の一つだ。
グレイが立とうとした瞬間、エルザがグレイの肩をつかんだ。
「エ、エルザ?」
「…やめておけ。」
ナツはグレイのめくり上げられたままのズボンをみる。
白い足には、未だに赤さは消えていない。
ウェンディによれば、少し経てば消えるといっていた。
しかし、この時気づかなかった。
その赤い痕の形は、龍に似ていた事に。
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