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フェアリーテイル ―雪国の氷―  完結
作者: ハヤチ  (総ページ数: 65ページ)
関連タグ: FAIRYTAIL グレイ・フルバスター 二次創作 微グロ 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*10*

何十日も過ぎた頃…

夢を見た。



「ハァッ、ハァッ…!!」

走る。少年はただ、道を。
終わりがあるのか無いのかも分からず、走る。


「みん、な…!!」

ほんの十分前まで平和だった町は、跡形も無く絶望しかなくて。
それを思うと苦しくなった。
いつのまにか化け物―  デリオラが後ろにいる。
まるで自分を殺そうとしているかのように。

「や、だ…!」

死にたくない。
その思いしかなくて、走った。


そこで夢が覚めた。
グレイは体を起こし、冷たい頬を触る。
少し濡れている。
また、泣いていた。

「………夢…だよなぁ…。」

正直、生々しい。
感覚も、匂いも、足の疲れも、夢のままだ。
意識しすぎるとこうなるというのは知っている。
そう思い込んでしまう。医学にも確かだがあったはずだ。

「ギルド行かなくちゃな…。」

行かなくてはギルドの皆がうるさい。
心配性も程々にして欲しい。

こんこん、とドアを叩く音がする。
グレイはすぐに服を着替え、、カチャリとドアを開けた。

「よぅ!!迎えに来たぞ!!」
「…は?」

いきなり仲間の訪問、正直驚いた。
だがナツは笑顔で入る。
後ろにはルーシィ、エルザ、ハッピーがいた。

「ギルドに中々こないもの!心配したわよ?」
「まぁ待て、昨日の戦いの後だ。よほど疲れていたのだろう?」

グレイは小さく頷く。
戦いの後で疲れたのは嘘だが、疲れていたのは確かだ。


―何処か―

「儀式の準備を加速させなさい!!」

エーガの命令が部屋全体に響く。
暗く広い部屋は、宇宙のようで、深海のようだ。

「エーガ、静かにしてくれ。」
「…あんたはのん気ね、ガーレ。」

ガーレと呼ばれた男女不明の容姿は、タバコの吸殻を投げ捨てる。

「しょうがないだろ?退屈なんだから。」
「大丈夫、いずれすごく面白い奴らが来るしね。」
「ふーん…。だあーってよ、ギル。」

ギルと呼ばれた少女は、特有のはね毛をピコリとゆらす。
そしてすぐにニコリと笑った。

「楽しみだねー!」

そして一瞬で、真剣な顔つきへと豹変する。

「他人の運命を引き裂くのが、ね…。」


儀式まであと10日間。

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