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*50*
「願い…?」
『彼らを合体させ、最強にする事…です…。』
アイシーガは上を見上げる。
すぅ、と息を吸っているようだ。
「!ブレスを使う気なの!?」
『私は古龍です。本来私はこの世から消え、伝説となる存在です。最強とまではいきませんが。
…覚悟は?』
「できてるよ、僕はどんな異形でも耐えてみせる。自由の為に。」
「同じく。」
「当たり前じゃない。」
大きいブレスが、ルド達にあたる。
『力を使いきらなくてはならない…。グレイのためにも…。』
「………。」
グレイはその光景を見ていた、見ているしかなかった。
全ての事が遠くに感じる。
『ただ、私は故に残酷でもある。…彼らの器では入りきらなかった。』
「え…。」
『器から魔力が漏れると、異形の生態が出来上がる…。』
目の前を向くと、一つの氷塊。
それは氷の筈だ。
その筈なのに、それを見ていると異様な吐き気と悪寒を覚える。
とてつもなく大きい氷塊、まるでそれは。
「…デリオラ、みてぇだ。」
その氷塊はグレイを襲う。
氷の縄で、グレイの自由を奪った。
「ぐぁっ!」
「グレイ!」
ルーシィの星の大河がグレイを引っ張り、グレイはそこを抜け出す。
だが、氷の縄は再度グレイを襲おうとした。
それを、全員は必死で止める。
『これは彼らが求めた結果…。』
ボソリとアイシーガが呟く。
その直後、ナツの叫び声が、洞窟内で響いた。
「ふざけんなぁ!確かにこいつ等は俺達の仲間に、グレイに酷ぇ事をした!!」
『火竜の子…。』
「だけど、それでも生きてるだろ!?俺達と一緒だ!!」
その叫びは矛盾みたいで。
グレイはなんともいえない気持ちになった。
「方法」
『………?』
「あれをどうにかする方法は?あるのか、アイシーガ。」
『ありますね。』
エルザがアイシーガを睨む。
「なら、何故それを実行しなかった。」
『怖かったかも知れません。ですが火竜の子のおかげで、決心がついた。』
アイシーガは、純粋な目で、全員を見る。
そして、グレイが一番聞きたくない事を言った。
『私を、 殺してください。』
氷塊が、赤黒く変色した。
それは怒りか、とグレイは目を瞑り、涙を堪えた。
一話・終