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*49*
凛とした声には、強さが隠されていた。
荒々しくも、秀麗な何かがある。
蒼い目に、翡翠の鱗の龍。
その名は。
「アイシーガ…。」
『グレイ…久しぶりに会いました、ね…。』
温かい声に、グレイの目頭が熱くなった。
ナツは、一瞬アイシーガにイグニールの影を重ねてしまう。
(何考えてんだ、俺)
自分の親はあんな涼しい色ではない。
イグニールは赤く、強い色だ。
(…らしくねぇ。)
『…貴方は…火竜の子の…ナツですか?』
「!」
いきなり質問を投げかけられて、ナツはビクリとする。
すると、後ろからルドの笑い声が聞こえた。
「やった!これで、願いが叶う!」
『…すみません、グレイ…。』
「え?」
アイシーガの声は哀しげだった。
少し震えている気がする。
『私は、契約をしてしまった。この者達の願いを…。』
グレイはこの瞬間、後悔することになる。
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