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*36*
「…炎が止まったよ、みんな!」
「急いでその源をぶっ壊せ!」
「はあああああああああああ!!」
ホルスは炎の源、つまり器を指差した。指示するかのようにユウラはみんなに叫ぶ。
そして、真っ先にユールは器を破壊した。
割れた器は砂となって消滅していった。
すると、異変を感じたカヤルは思わず空を見上げた。
「……!見ろ、私たちの千年秘宝が…!」
「…それに、千年槍まで…。まさか…!」
「行くぞ、みんな!」
カヤルの掛け声でみんなは千年秘宝が飛んで行った後を追った。
***
「地割れが…止まった……」
「王様たちやったんだ!」
リュウとリュナの声に民衆は歓喜の声を上げ、喜びだす。
だが、ギルバートはどこかうかない顔をしていた。
「……アイシス…?」
***
飛んでいった千年秘宝はアギトのもとへ集結していた。
そんな様子にカイザーは驚く。
「……来たか」
「…王よ、これは一体…!?」
「……これで俺の最後の仕事だ」
憂い顔でアギトは千年秘宝を身にまとう。
そして、千年首飾りをキューブのように大きく曲げた。
「お師匠様!王はいったい何を…?」
「……半壊した王国を復興なさろうとしている。…だが、その代償は王自らの命…」
「おやめください王よ!そんなことをしなくても、われわれ人間の力で…!」
ウェザーズの言葉にカイザーはアギトを止める。
だが、アギトは止まろうとしなかった。
「…ダメだ。このまま放置してしまったらみんな死んでしまう。それにアイシスの犠牲も無駄になる」
「アイシスが…!?」
「…次の王はカイザー。お前だ。そして、頼みがある……」
アギトは微笑みながらカイザー二千年槍を差し出す。
「……これで俺の究極神ラグナロクを分断してくれ…。炎、力、雷の神に…」
「王よ…!」
カイザーは言葉を詰まらせた。これ以上何か言ってもきっとアギトはこの力を行使するだろう。
覚悟を決めたカイザーはそれを受け取った。
「……わかりました。ですが…私の種族、水の龍も協力させていただきます」
「……頼む」
キイいい…。と、千年秘宝は輝きを増す。
そして、カイザーは千年槍でアギトの背後にいる究極神ラグナロクを3つに割いた。
「……ありがとう、カイザー」
「……我が王よ……ッ!」
「この国を…頼む……」
そう微笑み、アギトは消えて行った。
その瞬間、半壊となっていた地獄絵図のようだった国は緑で生い茂る自然豊かな国へと変貌した――――――……。