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*15*
霊夢「で、あんた誰よ」
霊夢が不機嫌そうな声を出した。
暁 「暁という。今は紅魔館に居候している。今日来たのは顔見せと言ったところか」
霊夢 「顔見せ?」
暁 「ああ。一昨日幻想卿に来たばかりで、顔を知らんからな」
霊夢 「一昨日って、何処からよ」
暁 「ここは侵入、外出防止の結界があるのだろ? おそらく紅魔館の前の森の中に結界の綻びがある。俺はそこから迷い込んだ」
思案顔の霊夢は暫く考え込むと、
霊夢 「わかったわ。報告ご苦労様」
暁 「では、用事も済んだ。是にて失礼する」
その言葉に従い、咲夜と暁が踵を返し、帰ろうとしたときだ。
霊夢 「ちょっと待ちなさい。神社に来たんだから、お賽銭入れていきなさいよ」
と、お賽銭箱を指差す。
咲夜は呆れ顔だが、暁は邪悪な笑みを浮かべた。
何か面白いことを思いついたようだ。
暁 「咲夜。まだ帰らなきゃいけない時間じゃないな?」
咲夜 「まだ、余裕はあるわ。」
僥倖、と一言入れ、懐から財布を取りだした。
中身から一枚のお札と、硬貨を右手と左手に持つ。
暁 「さて、右手におわしますは、福沢諭吉様。左手には五円玉だ。このどちらかをお賽銭にしようと思う。霊夢とやら、どちらがいいか?」
霊夢 「右手に決まってるじゃない」
憮然として、霊夢が答える。
暁 「だろうな。だが、俺は五円玉がいいと思う。ご縁がありますように、と最近は言うらしい。さぁ大変だ。霊夢は壱万円、俺は五円。意見が食い違った。こういう場合此処ではどうすればよいかな?」
霊夢 「そういうことね」
暁 「ああ、弾幕勝負をしよう。霊夢が勝てば、望みどおり諭吉様をお賽銭にする。逆なら五円だ」
霊夢 「いいわ。やってあげる」
咲夜 「ちょっと、大丈夫なの?」
霊夢 「何がだ?」
咲夜 「あの巫女強いわよ?」
暁 「まぁ、勝つつもりでやるが、負けてもたいした痛手はない。弾幕勝負を一度やってみたかったのもある。どちらにしろ、何かしらの因縁をつけてこのような流れに持っていこうとも思っていた。お賽銭に執着してたから利用させてもらったまでだ」
やれるだけはやるさ、と軽く言い、財布を咲くに預けた。
先ほど、霊夢と魔理沙が戦っていた場所まで移動する。
左手に右手を突っ込むと、ズルズルと刀を取り出し、露を払うように真一文字に振るった。
暁 「では、始めようか」
霊夢 「ええ」