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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
関連タグ: 東方 
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10~ 20~ 30~

*18*

咲夜「いいの、あれで?」

暁 「何がだ?」

咲夜 「お賽銭。あの神社御利益無さそうじゃない」

暁 「無いだろうな。まぁ霊夢が、殺そうにも殺せない存在であることはわかった。その授業料だと思えば、高い買い物ではないだろう」

くくっ、と笑いを堪え切れずに漏らす暁。

咲夜 「何が可笑しいのよ」

暁 「いや、俺が払った一万円と、俺が今日スペルで打ち壊したものの修理代。どちらのほうが高いのかと思ってな」

思い出せば、階段からお賽銭箱まで敷いてある石畳を縦に叩き切ったのだ。

修理代が一万円を下回ることはおそらく無いだろう。

これこそ夕霧が、邪悪な笑みを浮かべながら考えていたこと。

勝てば良し、負けてもそれはそれで面白い展開であると。

咲夜「まるで、永遠亭の兎みたいね」

呆れたように肩をすくめる。

これではまるで永遠亭のイタズラ兎だ。

咲夜 「そういえば、霊夢の後ろにまわったあれ、どうやったの?」

イタズラ兎が永遠亭に一羽いる想像をして寒気がした咲夜は、それを振り払うために別の質問をした。

咲夜 「霊夢と同じ無時間移動?」

一瞬消えたと思ったら、いつの間にか霊夢の後ろに現れたのだ。

現象が霊夢のそれと酷似しているのは言うまでもないだろう。

暁 「いや、違うぞ」

だが、暁はそれを否定する。

暁 「縮地法って知っているか?」

咲夜 「仙人が使うやつ?」

咲夜が言っているのは、瞬間移動(テレポート)の事である。

暁 「そっちじゃなくてな。日本武術の方法論の一つでな、五歩の間合いを三歩で詰める、そういう歩法の名だ」

つまり、

暁 「霊夢の背後までの約六歩の距離を一歩で済ませたんだ」

咲夜「え?」

確かに今聞いた話では、五歩を三歩に縮める技術だったはずだ。

距離としては五分の三。

だが、暁が今言ったのは、六歩を一歩に縮めた。

距離としては六分の一。

咲夜 「おかしくない?」

暁 「おかしくないぞ。突き詰めれば、その程度はできる技術ということだ。やっていたのは剣術の合間、趣味程度だがな。その程度でも長い年月続ければ、形になるもんだ。塵も積もれば、というやつだな」

軽い調子で話す暁。

変人を見るような目をしている咲夜。

咲夜 「よく、長い年月同じ趣味が続くわ」

暁 「深遠はまだまだ先だからな」

どうやらまだ満足する域ではないらしい。

長く生きてる人はよくわからない、と永琳と輝夜の顔が思い浮かんだ咲夜あった。

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