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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
関連タグ: 東方 
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10~ 20~ 30~

*23*

妹紅「どうしたんだ?慧音」

背中に炎の翼を生やした女の子が降り立った。

暁「お前は!」

妹紅 「ん?」

暁は思わず声を出した。

背中の炎は見覚えが無い。

だが、綺麗な長い銀髪と顔には覚えがある。

暁 「藤原んとこの不比等の隠し子か? 名は確か、妹紅と言ったか。いや、人間がこんな時まで生きてるはずはないから、その子孫か? それにしてもよく似ている。瓜二つどころの話じゃないぞ」

そんなとき、暁は輝夜姫の存在を思い出した。

暁「まさか、お前、蓬莱の薬……。しかし、輝夜姫は渡した本人であるからわかるが、手に入れる手段が無い。む、帝は蓬莱の薬を山に捨てたのだったな。まさかお前はそれを奪ったか。いや、奪ったという表現は正しくないな。捨てたものを拾うだけならば、個人の自由だ。また大層な事だ。人の身に永遠は辛かろうに。それほどまでに得る理由があったか」

暁のマシンガントークは、勝手に気付き、勝手に推察し、勝手に答えに辿り着いてしまった。

懐手していた手を懐に入れ、日本酒の瓶を取出しながら言う。

暁 「まぁ色々あっただろうが、今日此処に再会したのは良縁の導きだ。昔話でも肴に飲もうではないか、妹紅」

もう、暁の中では銀髪を妹紅ということにしたらしい。

決して間違いではないのだが、相手に一言も喋らせないのはどうだろうか?

暁 「そちら、慧音と呼ばれていたか、一緒にどうだろうか?」

完全に二人を置いてきぼりである。

しかも、すでに妹紅が了解済みであるような言い様だ。

妹紅 「おいおい、ちょっと待ちなよ。あたしは確かに妹紅だが、あんたは誰だよ」

暁 「おっと、これは失礼した」

刀を拾って言う。

「俺はこの鬼切丸の付喪神で、今は暁と名乗ってる。妹紅にはまだ只の刀だったときに見た。その時主だった源頼光と、何度かあったことがあるだろう?」

妹紅という人物は、元主がしきりに気にしていた人物であり、何度も通っていたために輝夜姫よりもよく覚えていた。

加えて、あの時代珍しい銀髪と白子。

また、人間の構造的な綺麗さを持っていた妹紅を忘れるはずもない。

妹紅「頼光! 懐かしい名前だな。あいつには世話になった。いいだろ。うちに招待しよう」

慧音 「妹紅!?」

慧音が叫ぶが、

妹紅 「慧音も来いよ。きっと、実録の歴史が聞ける」

ちょっと惹かれるような表情を見せる。

堅苦しい歴史家という二つ名は間違いはないらしい。

歴史家の血が疼くのだろう。

結局は流されてしまうのだ。

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