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*23*
妹紅「どうしたんだ?慧音」
背中に炎の翼を生やした女の子が降り立った。
暁「お前は!」
妹紅 「ん?」
暁は思わず声を出した。
背中の炎は見覚えが無い。
だが、綺麗な長い銀髪と顔には覚えがある。
暁 「藤原んとこの不比等の隠し子か? 名は確か、妹紅と言ったか。いや、人間がこんな時まで生きてるはずはないから、その子孫か? それにしてもよく似ている。瓜二つどころの話じゃないぞ」
そんなとき、暁は輝夜姫の存在を思い出した。
暁「まさか、お前、蓬莱の薬……。しかし、輝夜姫は渡した本人であるからわかるが、手に入れる手段が無い。む、帝は蓬莱の薬を山に捨てたのだったな。まさかお前はそれを奪ったか。いや、奪ったという表現は正しくないな。捨てたものを拾うだけならば、個人の自由だ。また大層な事だ。人の身に永遠は辛かろうに。それほどまでに得る理由があったか」
暁のマシンガントークは、勝手に気付き、勝手に推察し、勝手に答えに辿り着いてしまった。
懐手していた手を懐に入れ、日本酒の瓶を取出しながら言う。
暁 「まぁ色々あっただろうが、今日此処に再会したのは良縁の導きだ。昔話でも肴に飲もうではないか、妹紅」
もう、暁の中では銀髪を妹紅ということにしたらしい。
決して間違いではないのだが、相手に一言も喋らせないのはどうだろうか?
暁 「そちら、慧音と呼ばれていたか、一緒にどうだろうか?」
完全に二人を置いてきぼりである。
しかも、すでに妹紅が了解済みであるような言い様だ。
妹紅 「おいおい、ちょっと待ちなよ。あたしは確かに妹紅だが、あんたは誰だよ」
暁 「おっと、これは失礼した」
刀を拾って言う。
「俺はこの鬼切丸の付喪神で、今は暁と名乗ってる。妹紅にはまだ只の刀だったときに見た。その時主だった源頼光と、何度かあったことがあるだろう?」
妹紅という人物は、元主がしきりに気にしていた人物であり、何度も通っていたために輝夜姫よりもよく覚えていた。
加えて、あの時代珍しい銀髪と白子。
また、人間の構造的な綺麗さを持っていた妹紅を忘れるはずもない。
妹紅「頼光! 懐かしい名前だな。あいつには世話になった。いいだろ。うちに招待しよう」
慧音 「妹紅!?」
慧音が叫ぶが、
妹紅 「慧音も来いよ。きっと、実録の歴史が聞ける」
ちょっと惹かれるような表情を見せる。
堅苦しい歴史家という二つ名は間違いはないらしい。
歴史家の血が疼くのだろう。
結局は流されてしまうのだ。