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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
関連タグ: 東方 
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10~ 20~ 30~

*24*

しばらく歩くと妹紅の住んでいる家が見える辺り、小さく開けた場所がある。

三人は各々椅子のように配置された石の上に陣取り、各自用意したものを出した。

妹紅「せっかく酒を飲むんだ、余興でも見せようか」

人差し指を伸ばすとポッと火が灯る。

それによって熱燗を温めると、ちょうどいい温度に仕上げた。

おお〜、と暁が拍手する。

暁 「では、いただこう。乾杯」

暁が音頭を取り、盃を合わせた。



妹紅 「もう、あまり殺したいとも思わないね。今も殺し合うのは惰性もあるんだと思う」

妹紅 「千年の時を生きて、常人並の性格保っているのは、憎しみのお陰もあるだろうさ。その部分だけは輝夜への借りだな」

そう言って酒を煽り、もう一言。

暁 「それとも、あれか? 憎さ余ってなんとやらって」

妹紅 「なっ! ち、違うわ!」

暁 「焦るな、冗談だ」

くっと笑いを堪えながら言う。

酒の所為でほんのり頬が色付いていたが、それでも誤魔化せないほどには赤くなってしまった。

慧音 「それを言うなら、可愛さ余ってだろう、暁」

寺子屋の先生である慧音が、嗜める。

暁 「おっと、これは失言だ」

堪え切れず笑い声をあげた。

慧音「史実にある、茨木童子の腕を切ったのは本当か?」

暁「本当と言ったところだ。確かに切った覚えはある。元主達は気付いてなかったが。」

慧音「成る程。因みにたまに博麗神社に出没するぞ」

暁「おや。会ってみたい気もするが、気まずい感じもするな。しかし、輝夜といい妹紅といい茨木といい、俺は幻想卿に強い縁が有るのかもしれないな」

そう思わずにはいられない程に、昔見知ったものと会ってしまった。



暁 「普段二人は何してるんだ?」

慧音 「人里の寺子屋で、子供たちに勉強を教えている」

妹紅 「筍掘ったり、散歩したりだな」

対照的な二人。

妹紅「あとは、たまに輝夜と殺し合いか」

是非とも、日常には組み込まないでほしかった項目である。

妹紅 「暁は何をしてるんだ?」

暁 「今は居候の身故、家事手伝いだ。午前中に全て終わらせて午後は自由だ」

洗濯以外は何でもやるぞ、と洗濯をさせてもらえないことに遺憾の意を表しながら続けた。



暁 「む、そろそろ時間か。今日はこれにて失礼しよう」

妹紅 「泊まっていかないのか?」

暁 「おいおい、これでも人間体的には男に分類されるほうだぞ?」

慧音 「たまにはそういう夜も良いじゃないか」

暁 「やめておこう。割と一途なんだ俺は」

冗談混じりに言葉を交わす二人。

その様子は、まるで生来の友の様で、周りからは少し羨ましく思えるものだった。

暁 「ではな。今度はそちらが紅魔館の方に来るといい。主たちにはばれないようぐらいの配慮はしよう。いや、ばれた方が面白いか?」

妹紅 「ばれない方で頼むよ。そちらもいい酒が入ったら来るといい。いつでも待っていよう」

暁 「応」

妹紅 「応」

二人に背を向け、軽く手を挙げ挨拶をすると、懐手して、来た道を戻っていった。

朝食の準備の待つ紅魔館へ。

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