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第八章-奇なることは続く-
長い階段をゆっくり上る。
前回は上らなかった階段だ。
今日は参拝なので、歩いて上るべきだろう、という案外几帳面な暁だった。
ややあって、階段を上り切ったところには竹箒を持った霊夢がいた。
そして、昨日壊した石畳はきれいに直ってる。
霊夢 「あー! あんたこの前壊された石畳、直すの大変だったんだから!」
暁 「ここに樋口一葉様がおわすのだが」
霊夢「よく来たわね、暁、歓迎するわ」
暁 「切り替え早いな」
驚きの早さだ。
元々お賽銭を入れに来たので、それで機嫌が直ってくれるのは有り難いことだが。
魔理沙 「おまえも物好きだな」
暁 「そうなのか?」
魔理沙 「悪戯目的以外でお賽銭入れるやつなんてお前ぐらいだぜ」
縁側から魔理沙が話し掛けてくる。
暁 「うむ、だがご利益があったからにはお礼はせねばなるまい」
魔理沙 「ご利益?」
暁 「ああ、偶然昔の知り合いに出会ってな。案外ここの神社には縁結びがあるのかもしれん」
五千円を入れ終えると、魔理沙が入る縁側に腰掛けた。
ちょうどその時お茶とお茶請けをもった霊夢がやってくる。
霊夢 「ゆっくりしていってね」
と、霊夢はお茶を差し出した。
それに不満を示すのは魔理沙だ。
魔理沙 「なんで私にはお茶請けなしで、暁にはありなんだ? お茶だってセルフだぜ」
霊夢 「ほしいならお賽銭入れてきなさい」
だが、バッサリと切り捨てられる。
魔理沙 「そりゃないぜ」
暁 「まあまあ、二つあるからh――」
すると高速で奪われるお茶請け(饅頭)。
全部言い切る前に取られてしまう。
霊夢 「おい、ちょっとまて」
魔理沙 「邪魔したな、霊夢。この辺で帰らせてもらうぜ」
饅頭を一口で飲み込んだ魔理沙は箒に飛び乗り消えていった。
霊夢 「あきらめた方がいいわよ。魔理沙に盗まれたら戻ってこないわ」
何もかもね、と呆れ顔の霊夢が言う。
暁 「むう、この借りはいつか返さねば」
深く心に誓った暁だった。