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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
関連タグ: 東方 
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10~ 20~ 30~

*33*

妖夢「ん〜」

哀愁歌 「おっ目が覚めたか」

妖夢がゴシゴシと目を擦る。

妖夢 「あれ、貴方は」

暁 「暁。咲夜が拾った刀の付喪神だ。突然キレてすまなかったな」

妖夢 「ということは私は勘違いを……。すいません」

目を伏せ、首を動かそうとして違和感に気付いた。

今の体勢は仰向けで横になっている。

それはいい。

だが、今枕にしているものはなんだ?

心なしか、暁との距離も近い気がしてきた。

暁 「うむ、たまには膝枕する側もいいものだな」

そう、膝枕されているのだ。

気付いた瞬間妖夢は飛び起きそうになるが、頭を押さえられてそれは叶わなかった。


妖夢「あの…暁さん?」

暁 「罰ゲームだ。そのままでいろ」

にかっと笑い言ってくる。

妖夢 「いえ、その足痺れませんか?」

暁 「痺れないぞ? 慣れてるからな」

妖夢にはもう反論要素が無くなってしまった。

よっておとなしくしているしかない妖夢の髪を細く長い指が梳く。

暁 「そういえば、どうしてあんなところにいたんだ?」

妖夢 「咲夜さんが約束を過ぎても来なかったので、届けに来たんですが」

暁 「やはりか。すまない、咲夜が迷惑を掛けたようだ。届けるとは鞘のことか?」

妖夢 「はい」

暁 「では、いただいておこう」

置いてある鞘をとるとスッと髭切をしまい、体のなかに収めた。

暁 「うむ、ぴったりだ。礼を言おう。ありがとう。楼観剣の言うとおり刀を愛しているのだな」


妖夢 「楼観剣が?」

暁 「ああ。素直でいい主だとな」

妖夢 「刀と話せるんですか?」

暁 「俺も刀なんだ、話せない訳が無い」

少し自慢気な暁が面白いのと髪を梳く手が少しくすぐったくて、笑いを洩らしてしまった。







妖夢 「強いんですね」

暁 「そんなことないぞ。ついこの間博麗の巫女には負けたしな」

妖夢 「え?」

妖夢は霊夢と少なくとも互角だと思っていた。

暁 「俺を基準に比べるなよ?今回ああいう戦い方ができたのは、相手が剣士だからだ。

ラストのスペルも他の者が使っていたら被弾していた。

 剣士ならば、という行動がわかるのだ。剣士としての純度が高いほどにな。千年近い研鑽と経験によって

千年。

半分人間の妖夢にとってあまりに長い時間だ。

暁「だが、鬼神哀愁歌の後の反撃は良かった。戦闘の本質を知るいい方法だ」

妖夢は強くなれる、と頭を撫でながら言うのだった。







咲夜 「あれ、暁?」

暁 「おっ、ようやく来たか」

暁 「なにしてるの?」」

膝枕する夕霧を見て、呆れる。

暁「気絶したもんでな、しばし休んでた。

 それより咲夜を待っていた。念のためパチュリーのところに連れていきたい」

暁は妖夢を持ち上げながら言った。

俗に言う、お姫さま抱っこだ。

妖夢 「ひゃい!」

みょんな声を上げてしまうが、暁が気にした様子もない。

暁 「む、思ったより軽いな。しっかり食べないとダメだぞ」

一人テンパる妖夢。

咲夜はそれを呆れたようにみて

咲夜「はぁ。まぁいいわ。行きましょ」

とフラフラと飛んでいった。

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