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*33*
妖夢「ん〜」
哀愁歌 「おっ目が覚めたか」
妖夢がゴシゴシと目を擦る。
妖夢 「あれ、貴方は」
暁 「暁。咲夜が拾った刀の付喪神だ。突然キレてすまなかったな」
妖夢 「ということは私は勘違いを……。すいません」
目を伏せ、首を動かそうとして違和感に気付いた。
今の体勢は仰向けで横になっている。
それはいい。
だが、今枕にしているものはなんだ?
心なしか、暁との距離も近い気がしてきた。
暁 「うむ、たまには膝枕する側もいいものだな」
そう、膝枕されているのだ。
気付いた瞬間妖夢は飛び起きそうになるが、頭を押さえられてそれは叶わなかった。
妖夢「あの…暁さん?」
暁 「罰ゲームだ。そのままでいろ」
にかっと笑い言ってくる。
妖夢 「いえ、その足痺れませんか?」
暁 「痺れないぞ? 慣れてるからな」
妖夢にはもう反論要素が無くなってしまった。
よっておとなしくしているしかない妖夢の髪を細く長い指が梳く。
暁 「そういえば、どうしてあんなところにいたんだ?」
妖夢 「咲夜さんが約束を過ぎても来なかったので、届けに来たんですが」
暁 「やはりか。すまない、咲夜が迷惑を掛けたようだ。届けるとは鞘のことか?」
妖夢 「はい」
暁 「では、いただいておこう」
置いてある鞘をとるとスッと髭切をしまい、体のなかに収めた。
暁 「うむ、ぴったりだ。礼を言おう。ありがとう。楼観剣の言うとおり刀を愛しているのだな」
妖夢 「楼観剣が?」
暁 「ああ。素直でいい主だとな」
妖夢 「刀と話せるんですか?」
暁 「俺も刀なんだ、話せない訳が無い」
少し自慢気な暁が面白いのと髪を梳く手が少しくすぐったくて、笑いを洩らしてしまった。
妖夢 「強いんですね」
暁 「そんなことないぞ。ついこの間博麗の巫女には負けたしな」
妖夢 「え?」
妖夢は霊夢と少なくとも互角だと思っていた。
暁 「俺を基準に比べるなよ?今回ああいう戦い方ができたのは、相手が剣士だからだ。
ラストのスペルも他の者が使っていたら被弾していた。
剣士ならば、という行動がわかるのだ。剣士としての純度が高いほどにな。千年近い研鑽と経験によって
千年。
半分人間の妖夢にとってあまりに長い時間だ。
暁「だが、鬼神哀愁歌の後の反撃は良かった。戦闘の本質を知るいい方法だ」
妖夢は強くなれる、と頭を撫でながら言うのだった。
咲夜 「あれ、暁?」
暁 「おっ、ようやく来たか」
暁 「なにしてるの?」」
膝枕する夕霧を見て、呆れる。
暁「気絶したもんでな、しばし休んでた。
それより咲夜を待っていた。念のためパチュリーのところに連れていきたい」
暁は妖夢を持ち上げながら言った。
俗に言う、お姫さま抱っこだ。
妖夢 「ひゃい!」
みょんな声を上げてしまうが、暁が気にした様子もない。
暁 「む、思ったより軽いな。しっかり食べないとダメだぞ」
一人テンパる妖夢。
咲夜はそれを呆れたようにみて
咲夜「はぁ。まぁいいわ。行きましょ」
とフラフラと飛んでいった。