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その日僕に落ちた神様は人生を喰いました〜完〜
作者: にゃは  (総ページ数: 69ページ)
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第六神話「破壊VS言霊」




静かな中庭に息吹を与えるような風が行き渡る。
その一方では激しい戦いが繰り広げられていた。

「はぁ、はぁ…」
息を切らす一人の少年…天だ。
「うん?天、少し強くなったね」
ローズが余裕の微笑みを見せる。

「それはどーも…」
つっても攻撃があたらねぇ…あの日のまんまだ。俺はなんにも変わってねぇのか?……くそっ…

「続き……いくぜ!!」
言葉とほぼ同時に踏み切りをいれて破王剣でローズに斬りかかる。しかしローズは微笑みを隠さず構えをとり、天の乱舞を子解くごとく交わしてゆく。

「うーん…少し堅いかな〜止まれ!!」
天の動きが完全に止まった。
「しまった…領域(テントリー)に入ったまんまだ」
言霊により停止されられた。

「どったの?なんか天っぽくないよ」
俺っぽくない、か…そうかもな…だが
「負けてばかりはカッコ悪いな!!」
驚いたのか後方へ下がるローズ。

「こんなもん…壊してやるよ…おらぁ!!」
叫び声と共にローズの言霊が崩れ落ちる音がした。

「言霊を破壊したの!?」
見学していたロムが疑問を問う。

「やるね!でも……「剣よ降りてきな」」
空中から無数の剣が降り注ぐ。
「上か?!いつの間に!!」
命中とはいかないがかすり傷がいくつかできた。

「はぁ、はぁ…くそ!」
追い付いていない…思考…速度…耐性…全て
「諦める?結構がんばったよ?」
フッと笑う天。

「嫌だね…追い付いていないなら追えばいい!!」
剣を地面に突き刺し…集中力を高める。赤色のオーラが天の回りに出現し、次第におおきくなってゆく。

「これは……まさか!?」
そう、自分の制御を壊したんだよ…人は無意識に力を制御してしまう生き物だ。恐怖や余裕、様々な感情が潜在能力を開花させない…だが、俺はそれを壊せる!!


「限界突破!!ブレイクソウル(限界の魂)」
こっからが本番だ!!


「岩よ…形をなして邪を滅せよ」
ローズの言霊により土が尖った岩とかし、天に飛んでゆく。だが天は先程とは全く違う動きで岩を交わしローズの間合いに入る。
「そこは領域(テントリー)よ!」
「んなもん壊してやるよ!!」
言葉通り、天は言霊の領域を破壊し、一閃を加える。

「あぶな!よっと…」
強靭な脚力で回避したと思いきやローズの頬から少し血が出る。
「当たったぜ…やっとな」
「おめでと、だけど時間だよ」



……目の前が真っ暗になった。




「んん…ふぅ…ここは?」
天が目を冷ましたのはベッドの上。どうやら自宅らしい。
「負けたのか…」
「勝ったんだよ」
目の前にロムが現れた。
「天は……勝ったんだよ」
……そうか、俺は自分に勝てたのか。

「強くなろう…二人で」
ロム…この言葉は命令や言霊とは違う。完全なる気持ちだ。暖かいな…。

「ブレイクソウルは持って5分程度だったな…目標は体力UPてところか」
「私は天を守る」
「あぁ、頼むよロム」
俺達は人間であり、人間でない。だがこの瞬間だけは人間であっていいと思った。


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