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その日僕に落ちた神様は人生を喰いました〜完〜
作者: にゃは  (総ページ数: 69ページ)
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*20*

「……なんでこうなった?」
日曜日の昼間…天の自宅には大集合していた。
そして、何故かリビングで枕投げ。

【ガシャーン】
はい、窓一枚〜ってなんで枕投げ!?

「あははくらえー四連続枕ー」
ローズから四連続で枕が天に飛んでくる。
「どっから4つも…ぐはっ!!」
ちょっ…威力強……
言霊で枕の重さを変えたらしい。さらに四発。


「全く、騒がしいな〜なぁロムちゃん?」
人の妹と飯食ってるやつが言うなよ…
そう、何故かクライズはロムの手料理をほうばっていた。


「天、少しは静かにね」
俺なのか?俺が悪いのか?
首を傾げて考える天に枕が飛んでくる。

「ほいっと」
気づいていたのか、枕を破壊した。
「うぅ…天、私の愛情」
「枕で愛情表現とかありえないからな?」
銀音までいるのかよ…なんで全員いんの?


天は服を着替えて玄関へ向かう。
「あれ?出掛けるの?」
気づいたロムが問いかける。
「少し散歩だよ、30分で戻る」
そういって、天は家を出た。



天が向かったのは、とある公園だった。
まぁ気晴らしには調度いいのだろう。
「いい天気だな」
雲ひとつない青い空を見上げて言う。
眠くなるように暖かい太陽の光が優しく降り注ぐ。


「……カオス、今はなにしてんのかな?」
それに……魅咲(みさ)、あいつはどこにいるんだ…?
俺は……お前に謝らなくちゃならないのに…。






遡ること10年前…天とロムはまだ幼い頃。
家族と家を失った天達は養護施設にいた。

「お兄ちゃん…」
幼いロムの眼差しが痛くひかる。
どうやらまたいじめられた様子だ。俺達は人間でないと周りに警戒され、いじめられていた。
天はまだしもロムはそれに耐えれていなかった。

「大丈夫だ、俺がいる」
励ましにもならない。自分でもわかっていた。
小さな小さな養護施設なのに多くの人間が俺たちを否定する中、一人の少女だけは俺たちを怖がらなかった。

「あの、大丈夫ですか?」
見上げてみるとそこには、天使のような子供がいた。
ブラウンのロングの髪の毛からフワッといい香りが漂い、その子の瞳はキラキラと輝いていた。

「あの……チョコでも食べる?」
ロムの警戒心は大人以上だった。しかし何故かその少女だけは心を開いていた。そして俺も。


チョコを受け取ったロムは無心でかじる。
「美味しい?……私は魅咲(みさ)っていうの。」
魅咲…不思議な人間だ。警戒心を全く必要としない。


「俺は……天だ、こっちはロム」
コクコクと頷くロム。

「天くんにロムちゃん…うん!覚えたよ」
俺達の出会いはそこから始まった。


しかしこの始まりが終わりの始まりだった。





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