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その日僕に落ちた神様は人生を喰いました〜完〜
作者: にゃは  (総ページ数: 69ページ)
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第七神話「愛しき神殺し」





魅咲と出会ってから約二年。俺達は養護施設を出ることになった。そして魅咲も…理由は、この間ロムをいじめていた子供が怒り狂ったロムに攻撃され亡くなった。


けしてロムは悪くない……とは言えなかった。


「ロム、支度できたか?」
荷物をまとめていた。お金は養護施設が出してくれたが、1ヶ月もつかどうかのお金だった。

「う、うん…ごめんなさい」
怒ることは出来ない。俺でも…こんな風になっていただろう。そして謝り続ける、このロムのように。


廊下を出て、養護施設の入り口付近に来た。
そこにはブラウンの髪の毛が少し見えた。魅咲だった。
「すまねぇな…巻き添えを食わせて」
あの場にはロムだけでなく魅咲もいたのだ。連帯責任ってことになった。


「ううん、気にしてないよ♪」
そんなわけあるか!これは嘘だ!!俺が…俺が悪いのに…


激しい雨が降り始めた。俺たちを嘲笑うかのようにやむ気配は無さそうだった。
「と、とにかく…気にしてないから、ね?天くんと一緒なら私は平気だよ♪」


俺は……天は初めて人を好きになった。
あらゆる意味で目の前の女の子に惚れてしまった。




雨宿りのために公園に来ていた。公園には雨宿りにぴったりな屋根付きのベンチがあった。
「ほら、タオルだ。拭いとけ」
そういって鞄からタオルを取りだしロムに渡す。
「あり…がと」
元気がない。しかし励ましは逆効果だと思った。


本当に止むことがないようだ。雨は二時間降り続けた。
「止まねぇな…」
ロムはさっきから言葉を発しない。魅咲は不安なのか何度も天に話すが必ず途切れる。




皆が黙りきった時、事件は起きた。
「ねぇ…あれなに?」
魅咲が右にあった砂場を指差す。
そこには黒い影があった。
「なんだ?あれ…」
即様嫌な感じが天を巡った。


人間は即様頭に浮かんだことを行動に示すのではない、それが正論なのか…思考を巡り、それから行動に移す。が天には考える前に頭に文字が浮かんだ。



「危険」「逃げろ」




「ロム!魅咲!逃げろぉぉぉおお!!!!!」
そういって天は黒い影に向かって土を蹴った。


魅咲は天に言われた通り硬直したロムをつけれ逃げようとした。しかし……

「黒い影が…消えた?」
天の前から…消えた…いや!後ろだ!!!!!
振り向くとロムは倒れて気絶していた。

「ロム!このやろ!!」
ロムに近寄り揺さぶる。


天は絶句した。目の前の光景に…


「あぁ…ぁあああ!!」
魅咲が黒い影と戦闘を交えていた。
しかもほぼ互角。

「魅咲……お前、まさか俺たちと…」
浮かんだのは天やロムと同じ落とされた人間。

「付喪神」
魅咲が……こっちを向いた。


「輾濕(ねんしつ)!ホロウギルム!!」
手を翳すと黒い影の後ろに赤き鳥が現れた。
「ホロウギルム、足止めをお願い致します」
体長二メートルの怪鳥がロムの指示を受けとる。
「了解だ、主よ」



ホロウギルムに黒い影を任せて、天に魅咲が近寄る。
「天くん、よく聞いて」



見間違いなのか…魅咲に尻尾が見え赤く光輝いた。


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