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作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
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*18*
言霊…恐ろしい力だ。
「まだ残ってんの?」
ローズのあきれた声が天にわたる。
「あんたが手伝わないからだろ」
まぁもし手伝ったら仕事にならないけどな…
「手、かそか?」
「いや、遠慮しとくよ…終わらせてやる」
銀音の方を見て、合図を送る。
「行くぞ、銀音」
「うぅ…わかった」
いきぴったりに前方へ走る。
おばけが群がっていた。ざっとまだ100匹はいるだろう。
「うぅ…大地の怒り…」
即様、銀音の技が炸裂。地面が割れ、割れ目から黄緑の光がおばけ達に命中する。
怯んだおばけは後方へ逃げ出した。
「逃がさねぇよ」
先回りした天がおばけの群れに手を向ける。
「砕けな…破壊の一閃」
刹那…破壊の力をまとった拳の風圧がおばけ達に降り注ぎ触れたものは消滅していった。
「終わった…てないな…」
天は気づいていた。これだけのおばけの群れにボスが一人もいないなんてあり得ないと言うことを。
「下か!?うわっ!!」
「きゃ!!」
天の驚く声と銀音の普段出さない可愛らしい声が鳴り響く。下から巨大なおばけが出現した。
「おーおっきい、おっきい」
ギランとローズに睨むとローズの方向へ突撃していった。
「ローズ!!」
「あっはっはっ♪あたしと殺るっての?いい根性だね」
猪突猛進…そんな勢いより遥かに早い。
「止まれ」
ピタッ…おばけはローズの赤く光出した目力のようなものに支配されていた。
「領域に入ったか」
「領域?」
銀音が首を傾げて問う。
「あいつの「言霊」は聞こえればそれに越したことはないが耳が存在しない相手や怖さを恐れない相手には効かない。だかローズは「言霊」と「領域」により完全無敵に慣れる。あいつの「言霊範囲」に入ればたとえ「恐怖感」「聴覚」がなくとも「心」に言い聞かせることが出来るんだよ」
「話し……長い」
……ごめんなさいです。
「領域に入ったからあなたはもうなにも出来ないよ」
動くことのできないおばけは苦し紛れな声をだす。
「終わりにしよっか…
「死ね」
暗黒の霧がおばけを包み、跡形もなく消えてしまった。
「仕事終了♪」
「無敵………誰が対等?」
「さぁな、あの人は化け物だ…俺たちもだがな」
【守護専門学校 中庭】
仕事が終わり校舎に戻ってきた。
あのあとは隣り町で一泊し、買い物に付き合わされていた。
「……なぁローズ」
ローズ、ロム、クライズが中庭にいた。
銀音は用事で出掛けている。
「ん?なに?モグモグ」
スイーツのケーキを頬張りながら応答する。
「俺と…一戦交えてくれ」
「天!だめ!」
ロムが激しく否定する。
過去にローズと一戦交えてボコボコにされた経験がある。あのときは人指も触れることが出来なかった。
「纏いとなり、苅らす魅におけぬ柳よ荒らげよ」
天に纏っていた「双柳埜信守(そうりゅうのしんじゅ)」の「守」が「攻」となり破王剣へと変化する。
「ロム…」
「やめろっていっても無理でしょ?……死なないでよ」
「全力を尽くす…」
「ローズ頼む…一戦交えてくれ」
無謀なのはわかってるけど、やらなきゃ…強くならなきゃ…
「いいよ♪殺ろっか」