完結小説図書館
作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
関連タグ:
*31*
第十神話「月喰らいし人間」
カオスの襲撃から2週間。
町の修復のため天一行は働いていた。
ゴッドイーターにとっては普通の仕事など夢にも思わない…そして思いたくない現実と共に…
「いちちっ…体が筋肉痛だ」
修復が終わり、学校に帰ってきた天、ロム、銀音。
クライズとローズは少し用事らしい。
「天…………子作りできる?」
「やらねぇよ…」
どっからその話になるんだ?
「永眠…」
「怖いわ!!」
筋肉痛だけでなく頭もいたいな…
念のためロムに体を見てもらった。アーテナーの知恵の力はあらゆる知識をもち、それに担う力をロムに与える。つまりロムの知らないことはあまりないのだ。
「神力の使いすぎかな…?」
そうか…確かにむちゃしすぎたかな?……「天照」もかなりの負担がかかるし。
「よし、飯でも食いにいこう」
今日は3人…そしてクライズはいない!!
なら財布は死なねぇ!!
「私はいいよ」
ロムが断る。躊躇い一つすらなかった。
「ロム?どこか悪いのか?熱か?風邪か?」
心配そうにロムを見つめる。
「なんでもないって!早くいってこーい、このブレコン」
ブレコンってブレイクコンプレックス?
日本語に直すと破壊の…言わないとこう…
「ハムッ♪……おいしぃ」
銀音が喜んでパフェを口に運ぶ。カラフルなパフェが銀音の唇についているのを見ると、少し恥ずかしい感じがした。
「天も……食べる?」
「ん?あぁ…いただく…」
天が食べようとした……
その瞬間、パリンッとお店のガラスが激しく割れる。
破片が飛び散り子供の方向に大きな固まりが飛んでいくのを天は気付き、真っ先に破壊の力を使う。
「逃げな…」
子供は泣きじゃくって天に一礼。そしてすぐに走っていった。
「カオス…じゃないな?誰だ!?」
銀音も天の鋭い目付きを見て身構える。
天の目の前にはレジの台のうえに立っている一人の男を目に写す。
「君は強いかい?」
そこには黒髪の男がいた。天が思うのもなんだが、かなりの美少年だ。歳は天とさほど変わらないと見える。
「強いかどうかはいい、とにかく名前は?」
「僕は冥土 颯磨(めいど そうま)、神より落とされし人間さ」
聞いたことない名前だ…
しかし先程の神力は遥かに「天照」を凌駕していた。
「なんの用だ?俺に用なのか?」
「そうだね、僕と一戦交えてくれないか?」
断る!!なんて言えないな…ここは…
「俺が勝ったら、ここの修理代払えよ」
直すのは俺たち何だから…
ニヤッと颯磨は笑いだし、外に出ていく。
どこかカオスと同じ雰囲気に感じた。
広場…誰もいないのは不自然だな…気味が悪い。
「さぁ、やろうか」
「あぁ…行くぞ!!」
天が地面を勢いよく強く蹴り、颯磨の間合いに入る。
カオスのときよりかは少し遅いが十分早かった。
「楽しませてくれよ」
一言のあと幾つもの投剣が無数に飛んできた天は勢いよく後ろに吹っ飛んだ。
「威神圧(いしんあつ)に剣か?…かなりの力だな」
威神圧とは体より発せられる、威圧と神力の応用である。どちらも対立しないと効果は発揮できない。
こいつ…威圧を神力に対立させたのか?
「狩猟の神であり、月の神である…ディアナの力を…」
颯磨の神力である光が一点に集まる。
悪い予感が天を遮る。
「ちっ!天地開闢、天津神!「天照」」
して、名乗り惜しん、叶の物よ…
「三柱神(さんちゅうしん)」
光輝いた天の力が叶を揺るがし、矛となる盾を構えるが如く光の壁を創り、身を囲んだ。
そこに颯磨の一撃が加わった。
「月の裁きを受けよ…月落とし!」