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その日僕に落ちた神様は人生を喰いました〜完〜
作者: にゃは  (総ページ数: 69ページ)
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第十六神話「凍える大地へ」




【専門学校 教室】
「ってことでクライズ、俺は北海道に行くことにする」
机に腰をかけながらクライズとの目線を合わせていた。
どちらも前回の傷は癒えていない。天の右腕は固定されており曲げることが出来ない状態だ。クライズのほうはほっぺにバンソコウをはっていた。目には見えないが恐らく服のなかの身体はボロボロだとわかるほど神力が弱っていた。

「本気だな?死ぬなよ」
「俺の心配より、町を頼むぜ」
天が北海道に行っている間、天抜きだけでなく、ロムも居ないことになる。この二人の戦力はかなりのダメージになるはずだ。
「なんとかするさ…賢斗もいるしな。それより大事なもんを見つけてこいよ…無駄足はごめんだぜ」
「あぁ、行くのは俺だが無駄足にはさせねぇよ」
二人の拳ががっちり一致する。両者は強い絆を感じた。







町に別れを告げてから新幹線に乗り、北海道をめざして旅をすることになった。
新幹線に乗ってから1日。現在地は青森だ。外を見てみれば白い雪原の景色が目に写る。


「流石に寒いですね…」
ブルブルと震えるロムを見て、天は自分が着ていた白いコートをロムに被せる。
「天兄…ありがと」
無言のやり取りだが確実に近くなれている感じがした。



すぐに時間が過ぎて行くなか、夜中に天は目が覚めた。
(この感覚は…横の車両はたしか倉庫になってたな)
車両の椅子から立ち上がりロムに貸していたコートをかぶり、その代わりに持ってきた毛布をロムに被せた。


倉庫に来てみるとそこには荷物がぎっしり詰まっていた。見上げると首が痛くなりそうだ。
(さっきのは神力だよな…この辺りに)
キョロキョロしていると後ろから黒い影が天の視覚を襲った。神力に気づき、振り替えるが誰もいない。
「………?どういうこ…………」
いいかけた途端首に冷たいものが当たる。鋭く尖った黒い小型ナイフだ。後ろに誰かいるのは明白だが姿が見えない。
(…………俺が察知をミスっただと…)


すると首についていたナイフのようなものが消えた。
「お前はだれっ…ツッ!!」
喋ろうとした途端に体が動かない。
(金縛り!?)
コツコツと音が聞こえて天の前に出る。
(幼女?)
目の前に出たのは、幼い少女だった。ふんわりした青色の髪の毛に透き通るような白い瞳。一言でいうとあまりにも可愛すぎる【美少女】だ。
「貴方…は、悪い人?」



発言された驚愕の言葉に絶句した。はじめて目をあわせる人にいきなり「悪い人?」なんて聞くだろうか…?
地獄を味わう人しかこんなことはないだろう。
(…………ジヴァソウル)
少しの神力を出力し、金縛りを少しずつ壊す。
未知数の力に…………孤独の感情…………少し自分に似ている気が天にはあった。


「貴方…は…………」
完全に金縛りが壊れた。
「黙れ…」
そういってギュッと少女を抱き締める。
(魅咲…君ならこうするよな?)

少し赤面し、苦しがる少女に天は話し始めた。



「大丈夫だ、いい人とは言えないが…悪い人ではない。俺は君の仲間だ、俺は君を信じるから、君は俺を信じてくれ…」

優しく包むその言葉に少女はゆっくりと目をつぶった。

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