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その日僕に落ちた神様は人生を喰いました〜完〜
作者: にゃは  (総ページ数: 69ページ)
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第十五神話「氷の中のお姫様」




眠りについて3日後…反乱の雨の後、ロムかま自宅に連れていき看病していた。しかし1日たつと、天は急に目を冷まし慌てるように支度をしていた。

「天!駄目!まだ寝てて」
ロムが必死に天を止めるが声は届いていない。天の体はボロボロであった。右肩を打撲、右足骨折、そして身体の血液バランスがバラバラであった。とても動いていい状態ではない。

「あはは、動くな!!」
天の動きがピタリと止まる。声がした方向をロムが見てみるとそこには窓口にローズがいた。
「ローズさん!?」
「あは、お邪魔するよー」
(それ、もうお邪魔してますよ…)


「それで何の用ですか?」
咲布団にお茶を出してローズをおもてなす。少し苦い温かいお茶をズズッと飲んでローズが返答した。
「フリーズクレパスの情報をね…」


フリーズクレパス…世界のバランスが崩れ一部の北海道が急激に温度が低くなり、気温の低下とともにクレパスが発生した。極寒の大陸となったその地域は人は住んでおらず世界の第二位の寒さだと言われるようにもなった。




「それでフリーズクレパスには行けるんですか?」
天が止まってる以上ロムが聞くしかない。
「一応、神の加護があればいけるよ…けど」
「けど?」
そのあとから発せられた言葉は驚愕するほどの言葉だった。本来あり得ることのない…いやあり得てはいけないことだ。

「どういう訳か…ブラックホールが出現してるんだよ」

ブラックホール…重力や圧力が以上に高いと起こるとされている宇宙現象。惑星ではないはずの現象がなぜ起こっているのか…

「生還率は…1%だね」
(1%…………それじゃ無理だよ)

「1%もあるのかよ、上等だ!!」
天は正気に戻ったのか言霊を破壊し喋りだした。
「天!どういう意味かわかってる!?1%だよ!99%死ぬんだよ!!」


「100は最高でも1は最悪じゃねぇよ。そもそも生還率があるだけで嬉しいじゃねぇか…俺は行く」
(魅咲を助けるんだ…償いのために、そして生きてくために!!)

「…………バカァ…グスッ…フェェェエン!!!!!」
ロムが急に号泣し始めた。
「お、おい…泣くなよ。大丈夫、俺は死なねぇ」
グスッグスッ…と涙を止めてロムが天を見つめる。


「天兄…………私も行く」
始めて聞いたロムの兄を呼ぶ言葉は…新鮮の中に少しの孤独が見えたような気がした。

「じゃ私もーーーー」
ガババァとローズが天にのし掛かる。女の子の仄かな甘い香りが天の鼻を擽った。少し膨らみ欠けのローズの胸が当たる。
「ちょっ…バカ!やめろ!!!!!」


これほどまでに仲間を信じたのはいつ以来だろう…

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