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作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
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第十八神話「運命」
「さ、寒っ!」
始めの言葉がそれでいいのかと思うくらいだが明らかに心情じゃない寒さだ。吐いた息が白く濁り空に上がって行く。フリーズクレパスと言われるだけあって幾つものクレパスが広がっていた。
「天くーん、寒いー」
そこ懐かしいような揺るーい声は三咲から聞こえてきた。本当によくにている。
「二人とも我慢してくれ、これからもっと寒いぞ」
「「えーー!?」」
(お前ら仲いいな)
フリーズクレパスに来てからから徒歩で5分。宿のような場所があってそこに荷物をまとめた。
「ここ使っていいの?」
「この地域には人はいない。大丈夫だろ」
そういいながら丸いテーブルに地図を広げた。
そして地図の北海道のフリーズクレパスの地形を教える。珍しくフリーズクレパスらクレパスを辿って下に行かなければないらない。
ある程度説明が終わると…
「まずはこの直径100?の巨大クレパスにいくぞ」
(三咲はこの寒さには耐えれないよな…)
「まっかせて!確か知識に…あった!戦場で極寒の地に使った呪文があるよ」
流石知識の神。
準備が終えて、荒れまくるブリザードの中を3人は歩いていた。天はロムの負担を無くすために破壊の力で膜を作り、防ぐことに成功した。三咲とロムはアーテナーの力で寒さを関知しない呪文により平気な顔で歩いていた。
「さて…恐らく…そろそろ来るよな」
天がポツリと言い出したとたん、鋭く尖った無数の物が飛んできた。天が気付き、ロムと三咲の地面の雪を少し破壊してクッションを作って窪みが出来た。天も辛うじて回避するが勢いが速すぎて見えない。
(あまりにも速すぎる!!直感だけでどうこうなるものじゃねぇ…)
発生源は恐らくさらに奥のほうからであろう。防ごうとしてもこの速さでは無理がある。
(…………どうする)
「ちょっ!三咲ちゃん!?」
ロムの声が後ろから響き渡る。振り向くと三咲が笑顔で天の作った窪みから抜け出していた。
「三咲!何やってんだ!?」
「飛んでくるなら飛ばせばいいんだよ」
そういって三咲が手のひらを伸ばす。すると炎の弾丸が繰り広げられた。弾丸は確実に飛んでくるものに命中しすべてを防ぎきっている。
「すげぇ…三咲、お前はいったい…」
「やっぱり神力が足りないかな」
普通に考えれば…こんな小さい子供が神力を維持できるわけない。むしろ力の器が違いすぎる。
「ロム!三咲に神力を渡すぞ!!これで進める!!」
「う、うん!」
そういって三咲の方に天とロムの手が触れて神力が流れ始めた。
(やっぱりこの神力…………)
思考をくすぐる…これは神のいたずらなのか。