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作者: にゃは (総ページ数: 69ページ)
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第二十四話「好きな心」
「…………ロ、…………ロム…おいロム!!」
ロムの頭に1つの聞き慣れた声が巡りだす。紛れもない天の声だ。氷点下のクレパスではなく暖かい日差しの病室のベッドで寝ていた。
「…………天兄」
「起きたか?体は大丈夫か?痛いところは?」
そんなに一杯聞かれても逆効果だと思ったのか天は少し後ろに下がり病室の椅子に座った。天はシスコンなのだろうか、と思ってしまいロムはクスッと笑った。
すると病室のドアから一人の美しい女性が入ってきた。
右手には箱を持っている。
「あの…………どちら様?」
「なにいってんだ?魅咲だよ」
ロムは愕然とした。昔の雰囲気には少し近いかもしれないが見た目はほとんど違う。主に胸部が…
「ロムちゃん、久しぶりね…早速巻き込んでごめんなさい」
申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。ロムはその行為に慌て出して赤面しながら手を降る。
「お、お久しぶりです…魅咲さん」
「ケーキ買ってきたんだけど食べる?」
「はい、いただきます!」
迷いなく答えたロムは魅咲と優雅な一時を送った。
ロムは軽い氷点下の体への負担らしく、安全に寝てれば三日で回復すると告げられた。お見舞いが終わった天は専門学校の前に立っていた。
「お!天生きてたか」
「繋げて読むな…あと勝手に殺すなよ?」
そこにはいつしかぶりのクライズがいた。相変わらずチャラそうな格好で金髪だ。
「ま、中に入れよ、ローズも銀音もいるぜ」
クライズの誘いにのって学校に入りいつもの教室に入る。久しぶりの二人の声に久しぶりの教室。少し照れ臭くなっていた。
「天…………浮気…」
「始めからその会話はないからな?そもそも結婚してないからな?」
会話から始まったのは銀音の声だった。銀髪のキラキラした瞳。まるで天使のようにおっとりしている。
「じゃいまからする?」
「しねぇよ!?」
「久しぶりだねー天くん!!元気そうでよかったよ♪」
「あぁローズも元気そうだな」
次に赤い髪の毛をポニーテイルにしている少女のローズだ。見た目は幼女だが決起とした年上である。
「今日の夜は楽しみだね!!」
「意味がわからないからな?まともな会話じゃないからな?」
「ま、スキンシップはそこまでにしてよー」
(どーみたらスキンシップに見えるんだ!?)
「大切な人はどうした?」
クライズの顔が真剣になる。クライズはチャラそうな雰囲気もあるが人一倍命を気遣う奴だ。
「助けたよ、今はロムのとこでケーキ食ってるさ」
「じゃ、今はフリーって訳だね?」
「妙な言い方するな…」
コツンとローズの頭を叩いた。
「なぁ天、カオスのことだが…」
「…………なんだ?」
いいかけたことはあまりにも衝撃過ぎて何がなにかわからず頭の理解を越えていた。
「…………一角…覆われる闇か…」
反乱…もしくはそれいじょうを予測しなくてはならないのだろうか…そうおもうほど夜は暗かった。